表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/26

第24話② とある龍の独り言

『...ん?』


 寝ていると、山の向こうから龍の’それ’を感じた。


『なあ、今のって、『龍の咆哮』か?』


 横で座っている龍に尋ねた。


『多分、そうだと思う。ちゃんと感じたし。どっかの龍が使ったんだろ』


『いや、よく考えてみろよ、感じた方向を。あっちは森のほうだぜ? もし本当に使ったんだとしたら、そいつは森にいるってことに...』


『たっ、確かにっ。方向は、森のほうではあった。でも、森のさらに奥にいるって可能性もあるんじゃ』


『森のさらに奥って、海だぞ』


『そっ、それじゃあ、森山平和条約を破って、森に行ったバカ龍がいる、ってこと?!』


 その龍は、驚いた様子で声を荒げる。


 その声を聴き、長がこちらへと向かってきた。


『うるさいぞ、二龍とも。それで、何があったんじゃ?』


『ハイネ様! いえ、それが...今感じた咆哮を、森の方角から感じたので少し疑問だったのです』


『確かに、そうだったのかもしれんが...じゃが、本当に感じたのが龍の方向であったのかは、わからんじゃろう?』


『と、いいますと...』


『龍の咆哮は、ほかの龍に居場所を伝え、助けを求めるときに使うものじゃろう? じゃから、ここ最近はあまり使っていない。感覚が鈍ったせいで、勘違いをしてしまったのではないか? 例えば、その時感じた魔力は、どうだったかのう』


『た、確かに、龍にしてはあまりにも感じた魔力が少なかった、気がします。それに、時間帯的にも不自然だ』


『じゃろう? しっかりといろんなことを考えんと、一龍前の龍にはなれんぞ』


『『わかりましたっ』』


 やっぱり、ハイネ様はすげえなぁ...


『では、ハイネ様は、一体どうやって一流の龍に成長されたんですかっ?』


 ハイネ様は、少し思案しつつもゆっくりと答える。


『そう、じゃのぉ。わしはな、昔、人間界で修行しておったことがあるんじゃ』


『にっ、人間界?! どうして、そんな低レベルなところにっ』


『その時代はの。人間の魔法技術が、世界で最も優れておったんじゃ。わしは、その時にな。ある国の宮廷魔法師団に懇願して、入らせてもらっておったんじゃ。そこで、いろんなことを教えてもらったわい』


『人間にも、そんな時代が...でも、龍がそんなところに入れるものなんですか?』


『一応人の形にはなっておったがな。力が制限されたうえ、戸籍もなくってな。最初は門前払いじゃった。――でも、そんなときに助けてくれた優しい男がおって、その男の手助けによって、入団試験を受けることができたんじゃ。普通は無理なんじゃがな、団長だったその人の計らいのおかげじゃ。もう、感謝しかないわい』


 ハイネ様は、懐かしみながら話した。


『その男とは、その後どうなったんです?』


『それはな――――


『ちょっとあなた! また抜け出して、ウロチョロとぉ! 今日という日はもう許しませんっ! 早く出てきて頂戴!』


『マズいっ! すまんが、また今度でよろしく頼むわい。それじゃ』


『『ありがとうございました!』』


 やはり、ハイネ様の逃げる後ろ姿も、カッコいいなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ