第24話② とある龍の独り言
『...ん?』
寝ていると、山の向こうから龍の’それ’を感じた。
『なあ、今のって、『龍の咆哮』か?』
横で座っている龍に尋ねた。
『多分、そうだと思う。ちゃんと感じたし。どっかの龍が使ったんだろ』
『いや、よく考えてみろよ、感じた方向を。あっちは森のほうだぜ? もし本当に使ったんだとしたら、そいつは森にいるってことに...』
『たっ、確かにっ。方向は、森のほうではあった。でも、森のさらに奥にいるって可能性もあるんじゃ』
『森のさらに奥って、海だぞ』
『そっ、それじゃあ、森山平和条約を破って、森に行ったバカ龍がいる、ってこと?!』
その龍は、驚いた様子で声を荒げる。
その声を聴き、長がこちらへと向かってきた。
『うるさいぞ、二龍とも。それで、何があったんじゃ?』
『ハイネ様! いえ、それが...今感じた咆哮を、森の方角から感じたので少し疑問だったのです』
『確かに、そうだったのかもしれんが...じゃが、本当に感じたのが龍の方向であったのかは、わからんじゃろう?』
『と、いいますと...』
『龍の咆哮は、ほかの龍に居場所を伝え、助けを求めるときに使うものじゃろう? じゃから、ここ最近はあまり使っていない。感覚が鈍ったせいで、勘違いをしてしまったのではないか? 例えば、その時感じた魔力は、どうだったかのう』
『た、確かに、龍にしてはあまりにも感じた魔力が少なかった、気がします。それに、時間帯的にも不自然だ』
『じゃろう? しっかりといろんなことを考えんと、一龍前の龍にはなれんぞ』
『『わかりましたっ』』
やっぱり、ハイネ様はすげえなぁ...
『では、ハイネ様は、一体どうやって一流の龍に成長されたんですかっ?』
ハイネ様は、少し思案しつつもゆっくりと答える。
『そう、じゃのぉ。わしはな、昔、人間界で修行しておったことがあるんじゃ』
『にっ、人間界?! どうして、そんな低レベルなところにっ』
『その時代はの。人間の魔法技術が、世界で最も優れておったんじゃ。わしは、その時にな。ある国の宮廷魔法師団に懇願して、入らせてもらっておったんじゃ。そこで、いろんなことを教えてもらったわい』
『人間にも、そんな時代が...でも、龍がそんなところに入れるものなんですか?』
『一応人の形にはなっておったがな。力が制限されたうえ、戸籍もなくってな。最初は門前払いじゃった。――でも、そんなときに助けてくれた優しい男がおって、その男の手助けによって、入団試験を受けることができたんじゃ。普通は無理なんじゃがな、団長だったその人の計らいのおかげじゃ。もう、感謝しかないわい』
ハイネ様は、懐かしみながら話した。
『その男とは、その後どうなったんです?』
『それはな――――
『ちょっとあなた! また抜け出して、ウロチョロとぉ! 今日という日はもう許しませんっ! 早く出てきて頂戴!』
『マズいっ! すまんが、また今度でよろしく頼むわい。それじゃ』
『『ありがとうございました!』』
やはり、ハイネ様の逃げる後ろ姿も、カッコいいなぁ。




