第23話 バレなきゃOK?
「でも、正面から来るとか、絶対にダメですよ。さすがに二人が驚いちゃうから」
「じゃあ、どうやって行けばいいのよぉ...」
「いいじゃん、転移魔法が使える奴がいるんでしょ? 俺の部屋まで、転移して来ればいいよ」
「...確かにっ! ......そっ、それじゃあ、失礼して...」
「ふぇっ?!」
待て待て待てっ! なぜ徐に近づいてくるっ? うぐっ...
「なっ、なんで急に抱きついて...」
「ちょっと、じっとしててよ。私だって、こんなっ...」
むふぅ...
「これでよしっと」
俺の首には、綺麗な宝石のついたネックレスがかけられている。
なぜかほとんど感触がない。めちゃくちゃ繊細な糸に通してあるようだ。
「これ、何ですか?」
「これはね、魔力のこもった宝石をつけたネックレスよ。これがあれば、いつでも転移できるでしょっ?」
「ほぉ...」
確かに、微かだけど、この宝石からレーネさんと同じ魔力を感じる。
「うふふっ...それじゃあ、また次の機会にっ」
さっきから、この人ずっとニッコニコだけど...なんなんだ?
...まあ、さっきの言葉は、聞かなかったことにしよう。
そうだ。俺の勘違い、勘違いだっ。
「ほらおにぃちゃんっ! 早く帰ろっ!!」
「はいはい。それでは」
「ああ、その前に、一つ、いい?」
レーネさんは、またさっきのふやけた顔をしている。
...なんか、嫌な予感がする。
「はい...」
「わっ、私のさっき言ったこと、嘘じゃないっ、から! カインのことっ、好きに、なっちゃったん、だからっ!」
「...はい?」
待て待て、おい、あれは聞き間違えじゃなかった、のか? いや待て、待て待て! なんだ、だって、こんなーー
「ほらっ、はーやーく!!」
「ち、ちょっと待っーー
『それでは、いってらっしゃいっ!』
「おーーーいーーーーーー
◇
気づくと、二人はベッドの上に座っていた。
「......な、何だったんだよ...」
「...お兄ちゃん、動かないで」
ラナは一変、すごく険しい表情へと変わった。にっ、睨まれてる?
「えっ?...いっ、いっだぁぁ?!」
ラナが後ろに回って、俺のネックレスをグイグイ引っ張ってきやがる。
「まっ、待て待て待てっ! ラナ、落ち着けぇ!!」
「ううぅ!...ん? あれ、これって、留め具?」
「だから、痛いってぇ...」
そりゃ、ネックレスには繋ぎ目があるに決まってるだろぉ...ぅぉいでぇ。
「あっ、あれっ? とれない...」
「とれない? いや、そんな訳ないだろ?」
ラナは、必死に取ろうとするがなかなか取れない。しょうがない、俺がとってやるか。
えっと...これかっ。
「ほら、ちゃんととれたじゃん。力がなかっただけじゃない?」
「えー」
「...よいしょっと」
「なっ、なんでまたつけちゃうの!」
「だって、もらったものだし...」
「ばかぁぁ!!」
あぁ、また怒っちゃったよ、、
...あれ、そういえば、これって転移用に貰ったんだっけ。
そっ、それじゃあ、このまま付けてたら・・・
"「カインっ、久しぶり!」
レーネ登場!
「えっ?! あっ、ちょっ」
「誰だお前は! 何者だっ?!」
周りがざわつき始める。
「エッ、エルフが現れたぞぉ!!」
「とらえろ!」
「うへぇーーん、なんでこんなことにぃ...」"
...まずい、それはまずい。
「やっぱり、取っておくかな」
「えっ、ほんとっ!」
ラナは、表情を急に明るくした。両手を合わせながらキャッキャと喜んでいる。
これだけ騒ぐと、下の階にいる母さんと父さんにバレそうなんだがな。
「てか、早く寝ろよ。今って...5時?! おい、早く寝ろ! まずいぞ!」
「えっへへ、おやすみぃ!」
「はい、おやすみ」
...もっ、もう寝たのかよ......まあ、明かりくらい消してやるか。
◇
「お、おはよー」
「ちょっと、カインもなのっ?! あなた達、なんでそんなにぐったりしてるのよ!」
「えぇ? いや、そんなことは...ああ、くらくらするぅ...」
やべぇ、さすがに子供になったこの体には、2時間睡眠はキツかったか...
前世の俺なら、逆にスッキリしたくらいなんだがな。
「おっ、おにぃ、ちゃん...」
...ラナも、やばそう。
「...二人とも、もしかして、寝不足なの? 昨日の夜、ちょっと音がしたけれど、もしかして...」
「いや、そうじゃなくて、ただ昨日の魔法の訓練がキツかっただけだし」
「あら、そうなの? まあいつも頑張ってるしねっ。じゃあ、ラナはなんでそんなに...」
「えぇっとね......きのうね、いっぱい遊んだからっ」
「ラナ、昨日はずっと家にいたじゃない」
...おい、ここでもかよっ! いつになったら嘘が上手につけるようになるんだよ...
「あんた達、とりあえずもう一回寝てきなさい」
こっちにまでとばっちりくらったじゃねぇか! おいっ!




