表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/24

第21話 森にいざなうくせ者!

 いつのまにか、エルフの目の前に座っていた。


「何が...って、妖精族っ?!」


 しまった! 妖精族がいた、のかっ!

 こいつら、魔力に敏感な上に転移魔法を使いこなしてるからな。


 見つかってはいけない、はずだったんだが...


 本当に、鈍ってしまったのかもな。


「おい、そなたは何者ですか? なぜこんなところにいたの? ...受け答えによっては、お前はこの世からいなくなるでしょう」


 どうしてって、そんなの...


「お前らが俺の妹を勝手に連れて行ったからだろうが! ふざけるのも大概にしろ!」


「お、おにぃ...」


 そう答えると、エルフの顔が少し緩んだ。


「ふっ、ふふふっ。そうか、あなたはこの娘の兄だったのね。それは失礼したわ。確かに、勝手に奪っていったのは謝るわ」


 あれっ、意外と物分かりがいいな。...でも、魔獣を従えてるってのは、一体全体どういうことだ?


「でも、こっちにも事情があるの。この娘が、私たちの大切な仲間を殺したの。それは、許されたものじゃないわ」


「ラナが...? いや、ラナはいつも見守ってるけど、そんなことはしていないと思うのだけど」


「そーだそーだ!」


「あれ、おかしいわね。大きな白狐族の魔獣なのだけれど...」


「ーーブフォッ...び、白狐族?!」


 もしかして、あの狐の魔獣のことか? そっ、そうなのか?


「その反応は、思い当たる節があるようね」


「い、いやぁ...だって、あっちがラナを襲ってきたわけだしぃ...」


 その時、横から急に、すんごい魔力を感じた。


 途端、横の狐の魔獣が襲ってきたのだ。


「うわっ?!」


『てっ、テメェが、フェイ様を...よくも、よくもぉー!!!』


 とりあえず、魔力障壁で防いだ。でも・・・


「・・・まっ、魔獣が喋ったぁ?!!」


『あ゛ぁ?! 何言ってんだ、てかこれをどけろ! 邪魔なんだよ!!』


「ラクス、そこまでにしなさい」


『...かしこまりましたっ......』


そのエルフの一言で、狐は後ろへと下がった。


「ごめんなさいね。それで、話を戻すわ。つまり、あなたがフェイを倒したってことで、間違いはないのね」


 ここは、もう嘘はつけなさそうだな。


「...はい」


「そう、ですか。正直、怒りがないといえば嘘になります。彼は、私の友達でしたので」


「でっ、でもっ、あの魔獣はラナを襲って、しかも泣かせたんだぞ? それは、同情の余地もなかったことの理由に十分じゃないのか?」


 あの時、狐の魔獣は俺に向かって先に攻撃を仕掛けてきた。それは、変わらない。


 それに、ラナを泣かせるとか、犯罪だろ犯罪!


 さすがに許せなかった。


「いえ、それは何となく分かっております。フェイは短気なところもあったのでね。それに、あなたは悪い人間ではないように見えます。私、動物を見る目は一流だと自負しているのでっ」


 ...やはり、少し物分かりが良すぎやしないか? なにか隠してたりするのだろうか。


「では、もうラナを返してもらえますか?」


「それは構いません。犯人は、あなただと分かったのでね。その代わり、あなたに質問しなければならないことがあります」


「質、問?」


「はい。是非とも答えてほしいのです。ーーあなたは、私達の敵ですか?」


「...敵とは、何を指すんです? 曖昧すぎるんじゃないか」


「私の言う敵とは、敵対意識、つまり私たちを"排除すべき存在"、だと考えている者のことです」


 千年前だったら、絶対に敵だと言っているだろうな。魔獣は、言葉の通じない、ただの害悪だったし。


 それに、魔獣に殺された大切な人もたくさんいたからな。前世では、それが正解だったろう。


 ...でも、隣の魔獣は喋ったし、命令を聞いた。物分かりもいい。


「では、その前に俺からも質問をしてもいいか? 俺は答えるのだから、一つは答えてもらうぞ」


「当然です」


「なぜ、魔獣が話している? 他の魔獣も、あの時の狐の魔獣も、意思疎通が可能なのか?」


「ーー意外と当たり前のことを聞くんですね。まあ、人間の言葉を話せるのはこの子とあと三体ですが。なぜそんなことを聞くのかは分かりませんが、魔獣は数百年前から言語を操るほどまでに知能が発達しました。ちょうど、私が生まれたくらいですかね」


「そう、ですか」


 知能が発達した、か。この千年で、最も大きく変わった点の一つだろうな。


 ということは、人間の唯一の取り柄が消えたと言うこと。


 普通なら、人間族が生き残っているわけないと思うんだけど...


「...この質問には、答えなくてもいいです。でも、答えてくれなければ、俺の返答も正確ではなくなってしまうけど。 ーー魔獣達は、知能が発達したと言った。それは、無意味な敵対を避けるためにあるのですか? ーーそれとも、敵との戦いを有利にするためにあるのか?」


 少し、沈黙が流れる。


 これは、エルフに聞くことではないかもしれない。

でも、魔獣が彼女を慕っているのを見ると、聞くのに最適なのではないかと思う。


「それは、意地悪な質問ですね。そんなことを言われては、答えない訳にはいかないじゃないですかぁ。......そうね、魔獣達の代弁者としては、どちらもとでも言っておこうかしら」


「どちらも? それは、どう言う意味で?」


「もちろん、私達は無駄な争いは避けるべきだと、考えているわ。実際、向こうにいる龍族とも、協定を結んでいる。そして、もしそれでも争いを仕掛けてくるような"敵"がいるならば、この知能を争いにだって使うことになるでしょう」


「...そうか」


 魔獣が、協定を結ぶ。そんなの、前だったら信じることなどできなかっただろうが、今は違う。


 多分、魔獣たちは人間との戦いを避けてきてくれたのだろう。


 だから、今の人間はまだ生き残っている。人間は、何とも悲しい立場にあるってわけだな。


「ーーでは、俺も答えます。俺に、敵対する気は今のところ全くもってない。ってか、敵対なんてしたくない。そちらが、危害を加えない限りは」


「そうですか。まあ、分かっていましたけどね。あなたは、ほかの人間とは少し違うように見えます。フェイのことも、きっとフェイが悪いんでしょう。それではーー


『お待ち下ださいっ、王よ!!』


 急に割って入ってきたのは、さっきの狐の魔獣だった。

 表情は全くわからないが、声でわかる。多分、めっちゃ怒ってる。


『フェイ様は私達の恩狐、ここでこやつを見逃す訳にはいきません。どうか、決闘をすることをお許しくださいっ!!』


「け、決闘?!」


 いや、今無駄な争いはしないって言ったばっかじゃん...てか、こいつは一体どうやって言葉を発してるんだ?

 人間と同じように、のどち◯こでもあるのか?


 ...いやいや、今はそんなことを考えてる場合じゃないな。


「それはやめておいたほうがいいですよ。この者は、フェイを倒したのです。あなたが勝てる見込みはない」


『それ、でも! 我が執念で、打ち破ってやります!! フェイ様の仇を!』


「...そうですねぇ......では、代わりに私が戦うってのはどうでしょう!」


『・・・はい?』


 エルフの意味わからん提案に、狐までもがあんぐりしてしまった。


「私は多分フェイよりも結構強いですし、勝てる見込みはありますっ! 口ではああ言いましたが、フェイのことは少々心残りがありますし、ここで決着をつけましょうっっ!!」


「えぇぇ...めんどくせぇ」


「だったら帰しませんよ? それに私、あなたを見てる限り、フェイが倒されたとは到底思えないんです。ここはずっっっと退屈だったし! お願いですからっ!」


「もう、分かりましたよぅ。さっさとやりましょう」


 ちょっと驚かしたら、それで終わりだろ。マジで早く終わんないかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ