第2話 ここはやべぇ!
転生してから、3年くらいが経った。
3歳となった俺は、すでに歩けるし喋れるし、何不自由なく生活することができている。
気づいた事といえば、まず、前世から千年の時が経っている事だ。
覚悟はしていたけど、もう知り合いはこの世に残っていなさそうだし、諦めた。
まあ、元々友達なんて数えるくらいしかいなかったんだがな!!
ちなみに、見たところ俺の知っている国は一つも残っていないようだった。まあ、もうほぼ別世界みたいな感じだな。
次に、この家族が平和すぎることだ。
母、リリア・アルフレッドは、とても優しい人。たまに天然が出ることはあるが根が優しすぎる。
父、アルン・アルフレッドは、もうすごいいい人だ。優しいは優しいんだけど、それ以上に、気配りがすごい。
母さんは気付いてないけど、俺は見てるぞ。サッと母さんの座る椅子を引いたり、先立って家事をしたりな。
まあ、俺といる時は大体ニッコニコで、何もしないけど。
そして、喧嘩がねぇんだよ、マジで。怖いほどに何も起こらない。
喧嘩になりそうだったら、どっちかが絶対に謝る。
これは、見てても意味わからん。
その後も、すぐにいちゃいちゃしやがるし! 俺の前だぞ、おい! 俺もいるんだって!
そうやって叫びたくなる。
見てるこっちが恥ずかしくなってくるわ。
まあ、そんな感じだった。俺は、暇だからといって柄でもない読書を続けている。
本なんか前は高級品だったのに、今では家庭にまで普及しているようだ。
「あなた、カインがまた、恋愛小説を...」
「......まだ、文字までは教えてない、よね?」
「ええ...その、はずだけど...」
「こっ、怖っ...」
そして、...なんか、怖がられるようになった。
まず、言葉を話し始める時期が早すぎた。歩くのなんて、マジで数週間でできるようになってしまった。
今でも、ちょっとやりすぎだったと思う。
まあ、こんな赤ちゃんがいたら普通に恐怖だよな。俺もそう思う。
それにしても、本は結構好きになった。この頃は、二人の目なんて気にせずに読みまくっている。
前世じゃ、忙しすぎてまともに本が読めなかったからな。読み始めてみたら、意外といいものだと思った。
一つ難点があるとすれば、この家には恋愛小説しかねぇことだ。もう少しいろんな本があってもいいだろ、おい!
これでは、まともに今の世界のことなんて分かったもんじゃない。
.........でっ、でも、まあ恋愛小説も、悪くはないんじゃ、ないか? うん。別にいいかもしれない。
「こっ、この展開はすごい...!」
「なんて子なの...」
◇
そしてもう一つ、俺の大好きなことがあった。
「ーーやっぱり、ここはきれいだな」
それは、村の灯台から、この景色を見ることだ。
夕日が、輝きながら山の方へ落ちてゆく。
そよ風は俺のほおを優しく撫で、髪も俺のテンションと同じようになびいていている。
ここからは、村とその周りを一望できる、俺的ナンバーワンスポットだ!
ちなみに、この村の周りには、とんでもないものばかりしかない。
前には"地獄の海"ことミスリルの海、右には龍の潜む"龍の山"、そして左にあるのは大量の魔獣の住処、"死の森"だ。
聞いただけで終わってるだろ?
ミスリルの海は、世界でも数少ない魔魚の生息地である。誰も近づけない。
龍の山は、世界に数個しかない龍の巣のある山々、だからそのまま"龍の山"だ。
"死の森"は...もう、言わなくてもいいだろう。危険な魔獣共が溢れかえる、どうしようもない森だ。
こんなクソみたいなところなのに、この村の人口は5万を超え、大繁盛しているらしい。
頭がおかしいのか? 下手すれば全員いなくなる可能性だってあるのに、こんなところに住み着くなんて。
大体な、まず住もうと思ったのがすげぇわ。先人は、きっととんでもないキチガイだったのだろう。
先が思いやられるぜ、全く。
◇
そんな、本を読む日々を過ごしているとき、その静寂は母さんの一言で破られた。
「ねぇ、あなた。カインのために、家政婦さんでも雇った方がいいのかしらね? 休職期間が終わったら、二人とも仕事に行っちゃうし...」
「確かに、それはそうかもな」
待てよ、今、家政婦さんって言ったか? まっずい、それは非常にまずい。
大体、今だって二人がいるからまともに魔法なんて使えねぇってのに、家政婦なんていたらもう無理じゃねぇか!
どうにかして、回避しなくては!
「ああ〜、ぼく、なんだか家事をてつだいたい気分だなぁー。あー、やりたくって仕方がないなー」
「カイン、そうだったのか?」
「家族想いに育ってくれたなんて、私......カインっ!」
思いっきり、抱きつかれてしまった。ああ〜、幸せぇ...
「じゃあ、今日から家事を手伝ってもらっちゃおうかしらっ!」
「や、やったぁ」
これも、俺の魔法ライフのため。仕方ない、仕方ないっ。
こうして、カインは、一生家事を手伝うハメになったのだった。
「いやぁ、助かるなぁ」
「いや、あなたは家事なんて何もしてないじゃない」
「うぐっ」
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