第14話 ラナ、やっべえぞ
ずっとやってみたいことがあった。
それは、森で魔法の訓練をすることだ。
正直、このまま悠長にしていると、成長しても結局前の俺と変わらない強さになってしまう。
それじゃだめだ。幼くなったと言う事は、これからさらに強くなれると言う事。
ここじゃ、大きな魔法なんて使えたもんじゃない。家が木っ端微塵になっちまうわ。
森に行けば魔獣もいるし、もっと大きな魔法を使う事もできる。
千年前よりずっと頑張って、さらに上に行ってやる!
ってな訳で、父さんと母さんが出ていって早々、準備をして森へ行こうと思う。
「お兄ちゃん、どこいくの?」
ラナは、ちょっと起きるのが早かったようで、出かける前の俺に話しかけてきた。
「俺か? 森に行くんだよ」
「森! じゃあ私もいく!」
...さすがに、ラナを森に連れて行くのはいかがなものだろうか。
見た感じ魔物も多かったし、危険すぎやしないか?
でも、ここに一人ぼっちにさせるっていうのも...うーむ。
まあ、それなら森で魔法を練習させるか。この前はさんざんだったからな。
そのせいで、あれ以降ラナには魔法を教えられていない。あんなの、もう一回やったら遂に全てをぶっ壊しかねないからな。
森なら、誰にも迷惑にはならないだろ。
「いいぞ、それなら早く用意しなさい」
「やったぁっ!!」
かっ、かわいいなぁちくしょうめ。これは、逆らえそうもない。
部屋から笑顔のラナが戻ってきた。服は外出用の可愛らしいものになっている。
「準備かんりょーう!」
「ちょっ、あんまりくっつくなって...」
「じゃあ、出発しようか!」
森までは、できるだけ他の人に気づかれないように進んだ。騒ぎになると、もう森には行けないから。
◇
森に着くと、頑張ってひらけた場所を探した。
ここには嫌な思い出があるからか、ラナは少しだけ不安げなおもむきだ。
「ラナ、本当に来て良かったのか? ここは、魔獣もたくさんいるし」
「うん、大丈夫っ。だって、おにぃちゃんがついてる、からっ!」
...うれしいことを言ってくれるじゃないか。それほど信頼してくれているのか。
それなら、ちゃんと応えないといけないよな。
ちょうどいい場所が見つかると、俺らは荷物を置いて、訓練を始めた。
「まずは、ラナからだ」
「何するの?」
「ラナは、まずは魔法に慣れることからだ。魔法のイメージに慣れないと、魔法は使いこなせない。とりあえず、沢山魔法を使おう」
「わかった!」
「じゃあ、まずは昨日と同じだ。でも、力をできるだけ抑えるんだ。水の玉は小さく、魔力も使うのは少しだけだ」
ラナは頑張っているようだ。顔に力が入っている。
今回はどうだろうか。少しは良くなっているといいが、果たして。
「『うぉーたー・ぼーる』!」
ずどーーーーん
「・・・・・・ブフッ」
結局、調整失敗!
これは、尋常じゃない大きさだ。俺はかろうじて魔力障壁を貼れたが、それはなんとなくこうなることを予測していたからだ。
急にこんな魔法やられたら防ぎようがない。
こんなの見たことねぇよ...。
玉は昨日とほとんど変わらない威力だし、さては力を入れすぎたな。
「もう一回やってみようか。俺が見本を見せるから」
そう言って、俺は再び見本を見せる。
「こうだ。いいか、頭の中で今のをイメージするんだ。魔力も抑えるんだ、力を抜いて!」
「わ、わかった!」
「本当に! 力を抜いて!」
「ーー『うぉーたー・ぼーる』!」
ちゅどーーーーん
再びの水の玉は心なしか小さくなった気はするが、二度目でついに周りの木々は半壊。ドミノ倒しみたいに崩れていく。
もう、笑いが止まらん。いや、笑うしかない。
「っっ...だからな......」
その時、ラナはバタッと音をたて、静かに地面に倒れた。
「お兄、ちゃ、ん...」
「だ、大丈夫か?!」
「体に、力が入らなくって・・・」
これは...魔力の使いすぎの時によくなるやつだな。流石にあの魔法を二回も撃ったら、どれだけ魔力が大きくてもそりゃ限界は来るだろう。
とりあえず、休ませなければ。
カインはラナを抱き上げ、近くの木にもたれ掛からせる。
「ここで休んどいて。大丈夫、休めばすぐに治るから」
「うん...」
ラナは、木にもたれてぐったりとしてしまった。これは、俺の監督ミスだ。
まさかここまでのことになるとは思わなかった。...悪いことを、したな。
「おにぃちゃんっ、いいよ、魔法やっててもっ」
「いや、さすがにそれは...ラナのそばにいておかないと」
「わたしは、大丈夫だからっ。それにねっ、おにぃちゃんの魔法を見てるとね、元気になれるのっ! だから、お願いっ」
「......わかっ、た」
これでいいのか? まあ、でもラナがいいって言ってるし...うーん...。
「よし、じゃあ訓練するか」
まっ、まあ、ラナは心配だが、俺の見える範囲にいれば問題ないだろう。
そういえば、さっきまで周りで感じてた魔力を感じなくなったな。なんでかは知らんけど。
ラナにビビったのか?
「『神炎』」
木に向かって撃った炎は、一瞬にして木を包み、周りへと燃え広がる。
あっ、これ石壁じゃなくて木だったわ。しかも聖王級魔法だし...
やばいやばいやばいぃ、火が、ど、どんどん広がってく。
うぎゃゃぁ、頭いっったぁ...
でも、とりあえず水で鎮火するしかないっ!
俺はできる範囲で最もデカい水の玉をイメージして叫ぶ。
「『ウォーター・ボール』!!」
な、なんとか止めれたぞ。さっきラナが木を倒しておいたおかげだな。危ねぇ。
てか、全力でやってもラナより小さかった。
俺よりイメージ力が上って事か? いや、それは無いはずだ。こればっかりは才能じゃない。
だったら、俺のイメージを上回るほどのバカ魔力を持ってる、ってことか。
何はともあれ、ラナはやっべぇってことはよく分かった。
「とりあえず、もう一回だな。全然威力調整できなかったし。 ー『神炎』」
うーん、まあ悪くはないんだけど...穴空いちゃったし。
やはり、上位の魔法は下位のものと違って調整が難しいな。これは、もっと訓練が必要なようだ。
まだまだぁ!




