第12話 閑話:その頃森では ★
カインが眠っている間、森はとてつもない混乱と大騒ぎに見舞われていた。
『おい、一体どういうことだ! 何が起こっている!!』
『今の衝撃はなんだ? だれか、何か知っている者はいないのか!!!』
『ーー王よ、私より報告致します。先ほど、三大魔獣の一人でいらっしゃいます、フェイ様の生体反応が消失致しました。ーーおそらく、既に死亡しているかと」
少しの間、沈黙が流れる。
「な、何の冗談だ? フェイが死ぬなど、信じがたい話ですね」
『しかし、完全に魔力を感じなくなってしまいました。それは、エルフである王でも感じていらっしゃるでしょう?』
「う、うむ...」
『しっ、しかしだ! フェイ殿は我らの中で最も速く、彼に逃げられては追いつける者はいるはずがありません!! きっと、その速度をもって別の場所に行っただけでしょう!!』
『それに、攻撃力だけで言ったら三大魔獣でもトップだぜ? 誰かに殺されるなんざぁ、到底信じられん』
『おお...!』
『た、確かに...』
周りからは、その意見に賛成の声が多く上がった。大半はフェイがどこかへ逃げただけだと、そう思っていた。
ーーしかし翌日、そんなところに、ある新しい情報が入った。
「何ぃ?! フェイの死体が見つかったですってぇ?!」
『はい。今日の早朝に調査隊を出したところ、動かなくなったフェイ様の姿があったと、報告がありました。魔力がとてつもなく莫大であり、腐敗しきっていなかったことから、姿で判別ができたとのことです』
「はぁ...そうですか。......では、20分後に会議を開く。幹部全員に知らせておいて」
『はっ! かしこまりましたっ!』
◇
「諸君。話は聞いているとは思うが、我らが同胞、フェイが死んだ。これは、紛れもない事実です」
『それは、確認が取れたということでしょうか?』
「その通りよ。先ほど、その尾を確認しましたが、フェイのもので間違いはないでしょう」
再び、ざわざわしだした。
フェイは、それほどまでに大きな存在だった。
「静粛に! これは由々しき事態であることは、みんな分かるでしょう。今回の議題は二つだ。一つはフェイの死因について。もし他殺であれば、その犯人を探し出すこと。もう一つは、三大魔獣の代わりを見つけることです」
『ち、ちょっと待ってくれ! フェイは、俺ら白狐族の王だ、簡単に受け入れてたまるか!!』
『あなたたち白狐族はいつもうるさいですね。少しは黙って聞いたらどうですか?』
『...あ゛? じゃあお前ら妖精族は、なんでそんなに落ち着いていられる? 俺らを脅かすような存在が、現れたのかも知れないんだぞ、おい』
『確かに、知らないものに恐怖するのは、当然でしょう。でも、そこで知ろうとすることが大切なのです。むやみやたらに騒いで、怖がるのは良くありませんからね』
『...てめぇ、喧嘩売ってんのか! ああ! ちょっと俺ら魔獣よりも強いってだけで、調子乗ってんじゃねぇ!!』
「そこ、うるさいですよ。次やったらここから追い出すわよ」
『『...もっ、申し訳ありませんっ』』
「...分かったわ。では、調査は妖精族に任せましょう」
『なんと...ありがとうございますっ』
「それで、三大魔獣の埋め合わせの件ですが...」
『ーーそちらの件でしたら、私に心当たりがあります。任せて頂けませんか?』
そこで声を上げたのは、戦闘では他種族と比べ一歩劣る、猪族だった。
「...任せてもいいのですか?」
『もちろんでございます』
「了解した。それでは、この件は猪族に任せることにしましょう。これにて、会議は終了よ。ただ、一つだけ注意点があります。ーーこのことは、絶対に他言無用よ。混乱を、住民にまで広げることは許されないわ。絶対によ!!』
...『『『はいっ』』』...
◇
「はぁぁぁ......さて、どうしたものかな」
裏では、カインの出現によって、混乱が広がってゆくのであった。




