表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女の成り下がり  作者: 森宮寺ゆう
第一章 『希代の革命者』
54/55

第33話 和解?

 クウコの勝利宣言に大きな違和感を覚えたが、引き金を引いた以上、相手が死ぬまで撃ち込んでいく。

 弾丸が至近距離まできているというのにクウコは微動だにしていなかった。

「負けを認めたか」

 しかしクウコの顔の余裕は未だに残っており、自信満々に叫んだ。

「アンタァ!アタシがただ突っ立ってるだけのアホだとでも思っていたのかい?だとしたらその考え方は危険だってことを教えてあげるよ!」

 クウコの足の裏から炎が噴き出す。しかし、さっきまでとは勢いも、スピードも、炎の量も格段と違う。顔の近くまで来ていた銃弾を真上に飛んで避け、数十メートルの距離を一瞬で詰める。

「まさか、ここまで速いとは思わなかっただろう?」

 ティンクルと鼻がつきそうな位置まで近づいてニヤリと笑みを作る。ティンクルは慌てて引き金を引こうとするがもう遅かった。クウコの拳がティンクルの頬をへこませる。

「うっがはぁ!?」

 真上に打ち上げられたティンクルが地面から離れていく。三メートル、四メートルをこえたところで減速し、頭から落下していく。

「…ッ!ヤバい、アンタらの誰でもいい!コイツを受け止めてくれ!」

 ティンクルはクウコの二メートル先におり、明らかに自分で受け止めに行ったほうが早く確実だ。

「な、何がなんだか知らないけど…アイスウォール」

 ティンクルの真下から氷の壁が出現し、宙にいるティンクルを受け止めた。

「あいつをキャッチするんじゃなくて、地面をあいつに近づけて落下距離を縮めたのか」

 氷の壁の上でバウンドしたティンクルを乗せたままゆっくりと氷の壁を地面の中に沈ませていった。

「とりあえずは、生きてるけど…意識は薄れていってるね」

「そうだね、ただこっちにはどんな怪我も治せるのがいるよ」

 アティアがそう言いながらベティに目配せをする。

「ん、ヒールね」

 ベティがティンクルに手をかざしながら魔法を唱えると体が癒え、意識が徐々に回復していく。

「このまま意識が戻ってもまた殴り込まれるんじゃないかい?」

「そうかもね。アイスランス」

 ベティは四本の氷の刃をティンクルの頭の前後左右に浮遊させる。攻撃のためではなく、牽制を意を持たせた魔法であった。

「んっ、くそ…が!」

 予想通り起き上がったティンクルは攻撃を仕掛けるが、周りにある氷の刃を見て思わず手を引っ込めた。

「これは…何をするつもりだ?」

「何もするつもりないよ。私たちはあなたたちを助けるために来たの。だからあなたのボスに会わせて」

 ベティが優しく諭すように言うが、ティンクルは怪訝そうな表情でベティを睨みつける。

「あなたの傷だって治してあげたんだよ?少しは信じて欲しいんだけど」

 その言葉にティンクルは体の痛みがないことに驚き、ベタベタと殴られた箇所を触る。ベティの言葉通り傷は無かった。

「本当だ…まだ怖いが、少しは信じてあげる。お母さんのとこに連れて行ってあげる」

 ティンクルはゆっくりと立ち上がり、落とした銃をしまった。

(クウコが作った怪我をベティが治して僅かな信頼を勝ち取ったか…ひどいマッチポンプだな)

 宮殿の中へと案内するティンクルを見ながらミースは一番後ろをついていった。

「ねぇ、クウコ~。キミも早く来なよ」

「さっきのブーストで足の動力全て使ったのさ。後…そうだな、五分だけ待ってくれ」

「燃費悪いね」

「しょうがないじゃないか。あんな爆発力を出すのにはそれなりのパワーが必要さ」

 アティアとクウコの会話を聞いていたティンクルは宮殿の方へと歩を進めていく。

「それは置いていってもいい」

 殴られた恨みからか、クウコの事を睨みつけて先に向かおうとする。

「んじゃあ、先行っておくからな」

 皆がクウコのことを置いていき、先行するティンクルの背中を追っていく。

「私の怪我を治してくれたらしい貴方。名前は?」

「ベティ・ジャッタリーよ。あなたは確か…ティンクル・スマイルマイリ—だったっけ?ここのボスと同じ名前ね」

「ええ、お母さんに拾われたから」

 まだ警戒している様子だが、ベティとの会話に抵抗はないようであった。ちなみにミースとアティアは無視で、クウコにいたってさっきの通りだ。

「ここだ」

 目が痛くなるほど眩しい黄金の宮殿の最奥までやってきたティンクルは自分の指紋を扉のロックにかざして開錠する。

「お母さん、客を連れてきたよ。私たちを助けてくれるって」

 扉の先には大きな机とそこで作業をしている女性がいた。

 女性の髪の一本一本がそれぞれ違う色だった。しかし、その頭は謎に統一感があり、ゴチャゴチャとした雰囲気は感じなかった。左の眼球は黄金でしっかりと機能しているかは怪しい。そして、体中にハートマークが彫られており、大小も配置もバラバラだった。

(これがゴールド・ラッシャーのボス…マザー・キュート)

 ベティがキュートの顔を見つめていると、ゆっくりとキュートが近づいてきた。

「ふふっ、お客?それはそれは…盛大に歓迎しようかー」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ