第27話 水面下の思惑
「…どうやってその総指揮長を引きずり下ろすの?」
話に食いついてきたベティを見たクウコは静かに頷く。
「オーケー、私の話にのったってことね。それじゃ教えてあげるよ。と言っても単純な話、革命を起こすのさ。ただそのためには兵士が足りてない」
「兵士?どれだけの人が欲しいの?ここのメンバーじゃ足りないの?」
クウコは自分の想像を超える質問をしてきたベティをギョッと見つめた後に大きく笑い飛ばす。
「バーカ言ってんじゃないよっ。この人数で何が出来るってんだい?本拠地の兵士だけでも数万、各地にある支部から増援が向かってきたら敗北が確定してしまう。ゆえに短期決戦しか道がない」
そこまで言えばベティも理解したらしくクウコの言葉を要約する。
「なるほどね。そのために兵士が欲しいってわけね。けど、その兵士ってどうやって集めるの?」
「そうねぇ。総指揮長を殺そうとすれば、まずルッテル、アニナの団長組がやってくる。それを突破したとしても総指揮長を守る総指揮長専属部隊がいる。アイツらは機械のように総指揮長の言葉のみを従う。団長組のような実力はないけど厄介だよ。ソイツらをぶっ潰すには五万…いやもっと欲しいかな」
到底集まれる数とは思えなかったベティは困惑の表情を見せる。
「どっから集まるのよ、そんな人数。無理よ」
「手立てはあるに決まってじゃないの。まずは奴隷兵をコチラの手駒にする。奴隷兵たたは拉致られた人で構成されてる。反撃のチャンスと自由をチラつかせば手に入れられるさ」
しかし、クウコの話では奴隷兵の数は二万程度、欲しい兵士の数には半分以上足りていない。
「もう一つは、他の組織に支援を受ける。そして、運がいい事にゴールド・ラッシャーに恩を売れるチャンスがある。そこで兵士を借りるのさ」
「それって成功するの?向こう視点私たちは任務で来ただけの人間よ。総指揮長に手柄を持ってかれない?」
「そうなったら今回の任務は仲良くキッカケにする。最善は今回で気に入られることなんだけど。ま、そこはその場に決めるさ」
クウコは一通り話し終えたのか車のスピードを上げる。窓から見えてたビルなどが高速で通り過ぎていく。
「向こうまでは時間がかかる。体を楽にしておくことだね」
クウコはそれだけ言うと、車内に流れる音楽に合わせてリズムを刻み始めた。
◇◇◇
「ボス。ユンカンさんとローロンさんが死亡したと報告を受けました。ユンカンさんが動かしていた組織は自然に瓦解に向かうでしょう」
ベティたちの向かっているゴールド・ラッシャー領周辺の地下深く、下水道の横に無理やりな穴を掘って作った空間があり、そこでは数十もの人間がいて、談笑したり拳銃を使った軽い的あてなどをしている。
スラッとした女性はそんな者たちを横目に通り過ぎ、ただ黙々と大きなトラックを磨いている男に近寄る。
「そらはつまり、ゴドの奴は生きてると言うことか?」
「はい、カリメさんを回収したコロットさんの報告です。カリメさんもかなりの重傷を聞いています」
男はトラックのタイヤを整備する手を止めて、立ち上がる。男の顔からは困惑、怒りがにじみ出ている。
「コロットさんはあと数日でこちらに辿り着くでしょう。その後の作戦はどうしましょうか?」
「コロットたちが戻ってきたらゴールド・ラッシャーを攻める。フールたちを殺した奴らへの報復はその後だ。ゴールド・ラッシャーを潰して空いた七大国家の席に俺ら、キラードライブが入り込む!」
男は目の前の女にそう述べた後、周りにいる者たちに聞こえるように声をあげる。
「お前たちぃ!注目だ。俺らは数日後、大きな戦争を仕掛ける。お前らも当日に詳細な行動を伝える。それまでに覚悟を決めとけ!」
さっきまで笑って喋っていた者たちの顔は一気に顔が引き締まっており、全体に戦場のような緊張感が走る。
「…ボス、貴方は何を言っているのですか?ここにいる者は皆、覚悟なんて決まっています。とっとと潰して祝杯をあげましょう」
女が淡々とそう言うと、チラホラ兵士たちから声があがっていき、最終的には兵士たちのけたたましい歓声が響く。




