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聖女の成り下がり  作者: 森宮寺ゆう
第一章 『希代の革命者』
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第22話 もう一人の復讐者

「くっそ。逃げられた!」

 悔しがるベティの隣で目を凝らしてビリーが車を観察する。

「あれは…キラードライブ、だな」

「「キラードライブ?」」

 ビリーの言葉に二人が同時に訊き返した。

「あぁ、あの車の横っちょについてるマーク。あのトラックが流星のように炎を纏ってるマークはキラードライブって組織のだ。七大国家までとはいかねぇがデケェ組織だ」

「そう?デケェって言うわりには聞いたことないんだけど」

「本来なら、ブラッドフード領か、ゴールド・ラッシャー領の辺りで名を上げてたはず…いや、二年前からブラッドフードから消えたんだったっけ?とにかくこの辺じゃ見ねぇな。ゴドのヤツのためだけにここまで来たのか?」

「なるほどね。しかし、よく知ってるじゃない。ビリーは捨て駒兵として拉致られる前はその辺に住んでいたのかい?」

 クウコがビリーに問いかけると一瞬だけ目を見開き固まったが、即座に同意の言葉を口にする。

「あ、あぁ。そうだな。俺は…ゴールド・ラッシャー領周辺で暮らしててよ」

「ふーん。随分と遠くから運ばれてのか」

「まったくだぜ。ヒデェよな」

 二人は物騒な内容とは思えないほどほのぼのとした雰囲気の中で言う。

「てゆーかさ。フールの部下は二人なんでしょ?一人で攻めてきたね」

「そういえば。もう一人は何してるんだろうか」

「さぁな。ま、さすがに二人がかりでやられたらキツいし良かったじゃねぇか」

「んー。それもそうかもね」

 どこか腑に落ちていない様子であったものの、ベティは歩み出し、帰路を戻った。

 ◇◇◇

「ひゅー。きもちわりいぃお~」

 ベティたちがゴドと激戦を繰り広げている数十分前、別の店で飲み直していたミースが、机に突っ伏した状態でつぶやく。

 その様子を見ていたアティアは呆れた様子でため息をつく。

「はぁ、もー。飲みすぎるから~。ほら、吐いてくればいいじゃん。トイレあっちだよ」

 アティアの周りには空のビール瓶が大量に散らばっており、机に乗りきらず地面に転がっているものもある。

 アティアは店内の奥にあるトイレを指さす。そんなもの見ていないミースはアティアに向かって手を伸ばす。

「アティア~。ちゅれてってくれ~」

「はぁ、弱いクセにバカ飲みしたのが悪いじゃん。介抱する気はないよ」

 ミースの周りに転がっている空の大瓶を見ながら再度ため息を吐く。そのため息を聞いたミースは助けてもらえないことを悟り、渋々立ち上がって千鳥足のままトイレへと向かう。

「トイレそっちじゃなーい。右だよ」

 アティアはそう叫びながら机の上に置かれた満杯のビール瓶をイッキ飲みする。アティアはミースと共に飲んでいる割にはまだまだシラフである。

 そして、次のビール瓶に手を伸ばした時、上から下へと一本の白い線が視界を横切った。

(ん?なんか…)

 アティアがそんなことを思った瞬間、喉元から急な圧迫感が生まれる。

「おっとっと。危なーい」

 アティアの首を一本の細く丈夫な縄が巻きついていた。だが、なんとか首と縄の間に指を入れ込むことで、糸が完全に首を巻きつかずにに済んだ。

「キミは…あのバカの側近君だったよね?名前は…なんだっけ?」

 アティアの背後に、大きな布で口元を隠している黒髪のスラッとした男が立っていた。男は縄で強く引っ張っている。

「ペッチ・ローロンだ。そして、貴様はよく余裕を持てるな。状況を理解できているのか?」

 指を入れ込んだことでなんとか息をすることが出来ているが、危機的状況にいることには変わりない。

「余裕?当たり前じゃん。ボクたち姉妹は最強だよ。ねっ、ミース!!」

 アティアがそう叫んだ直後、ペッチの背後でビール瓶が割れる音が聞こえてくる。その音を聞いたペッチは縄を持つ手を離してその場から離れる。

(ミースッ!もう帰って来たのか!?)

 ペッチはミースの攻撃を警戒して構えた。しかし攻撃がくるどころか、ミースの姿すら見当たらない。

「あの酔い酔い状態のミースに戦闘ができるわけないでしょ!」

 アティアはポカンとしているペッチの腹に肘を打ちつける。

「なら…さっきの音はなんなんだ!?」

「チョードね、君から見えない位置に転がっているお酒があったんだよね。それを蹴り飛ばしただけ。手を離してくれてありがとね」

 危機的状況から脱したアティアは手のひらを広げ、アティアにそれを見せびらかせる。

「じゃーん。獣の爪~!」

 アティアの全ての指から細長く爪を模した十五センチ程度の刃が飛び出す。

「刻んじゃうよ」

 悪戯っぽく笑ってながらペッチに急接近し、顔を切りつける。その後、高速で全身を引っ掻いていく。

(くっ。しかし、この程度なら…)

「今さ。この程度~とか、思った?舐めないでよねっ!」

 体に傷が増えていくが、大したダメージが無いことから僅かに油断してしまった。その様子をしっかりと見ていたアティアが叫ぶ。

 アティアの指から飛び出している刃が指ごと繋がり、大きな一本の刃となる。

「なっ!?んなこと…!」

 アティアは驚いているペッチに接近する。大きな爪での攻撃は致命傷とはならなかったが、深くペッチの腹部を切りつけた。

「ふふん。すごいでしょ」

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