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聖女の成り下がり  作者: 森宮寺ゆう
第一章 『希代の革命者』
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第6話 切断者

 ベティに背中を押されたビリーは建物の中へと入って行った。

「痛ッ。危うく転ぶところでし…たなぁ」

 ビリーはこの場に居ないベティに向かって悪態をつくと部屋を見渡す。

「電気はついてねぇ。敵さんは下の階にいるのか?」

 床には衣類が散らかっていたり、机の上には食べ終わった料理が放置されている。

「戦闘とかはせずに情報だけ貰えたらいいんだけどなぁ」

 ビリーが部屋に盗まれた情報がないかを探る。

「あ~、つってもオレ。どんなものかも知らねぇんだよな」

 ビリーに課された仕事はクードゥの始末。盗まれた情報については何一つ聞かされていなかった。

「オレら捨て駒には見せれないのかねぇ」

 ビリーはそんなことをつぶやきながら、棚の中を物色していると、背後から物音が聞こえてくる。

「ッ!?」

 誰もいないと思って安心していたビリーはバッと振り返る。音のした方向を見ると、ソファの上にある布団がモゾモゾと動き出す。

「…だ~れぇ?さっきから、うるさいんだけど~」

 布団の中から、スラッとした女性が現れる。

「ん~?君、本当にだれぇ?窓割って入ってくるなんて非常識だよ~」

 女性は頭をガシガシと掻きながらビリーの顔を凝視する。

「なーにしに来たの?」

「オレはキングリーパーの情報の返してもらいに来たんだ」

「そぉじゃあ、この私、キャナ・ベグテンツのぉ、敵ってことだねぇ」

 キャナはソファに立てかけてあるバールを握り、ビリーの顔面に叩きつける。

「いっきなりかよ!」 

 攻撃を受け止めたビリーは蹴りをキャナに放つ。

「うわぁ」

 ビリーの蹴りをモロに食らったはずのキャナにダメージがあるようには見えなかった。

「うっりゃ!」

 ビリーに近づきバールを勢いよく刺突する。ビリーはバールを両手で掴んで止めようとするが、勢いをわずかに抑えただけで、そのままみぞおちへと入っていく。

「うぐぅ」

 情けない声をあげ、思わず膝をついてしまった。キャナはそのチャンスを逃さず、追撃を浴びせる。

「バカスカ殴りやがって…」

 何発もの攻撃を受けたビリーは痛みに耐えながら反撃の機会を伺う。

「おっらぁぁ!」

 ビリーはキャナがバールを振り上げたところに、重いパンチがキャナの顔面に直撃する。

「よし!キマった!」

 そりなりの手ごたえを感じていた。しかし、キャナの様子は至って普通であった。

「やっとまともな一撃を食らわせれたと思ったんだがな」

 キャナは立ち上がると、バールをフルスイングする。

「さっきのは~、痛かったよぉ!」

「残念だけどよぉ、その攻撃は当たれねぇぜ!」

 キャナの攻撃を受け流したビリーはそのまま顎を蹴り上げる。まだ防御の姿勢に入っていなかったキャナは攻撃をモロにうけ、フラフラと倒れていく。

「おーし、やっと倒れやがったぜ」

 ビリーはキャナにトドメを刺すために拳銃を構えて近づく。

「え~いっ!」

 ビリーが引き金に指をかけた瞬間、キャナはバールで体を押して、跳び上がった。

「くっ。狸寝入りだったのかよ!」

 銃弾はキャナの体に当たることはなく、そのまま床にめり込む。

「さっきのは、だーいぶヤバかったよ」

 キャナはビリーの背後に回り込んで、バールを叩きつける。

 ビリーは振り返り、拳銃を乱射する。しかし、キャナはそれを全弾弾き、カウンターの一撃を放つ。

「キレが…増した!?」

 さっきまでとは別人のように機敏に動き、ビリーに攻撃を命中させる。

「どーしたの~?普通、最初から本気でやるわけないじゃーん」

 キャナはニヤニヤと笑いながら、ビリーの顔に渾身の一撃をぶつける。そして、それを受け止めたビリーは口角を上げ、キャナの頭を鷲掴みにする。

「そう…だよな。お互い、こっから本気だよな」

 ビリーは空いているほうの腕からガションガションと音が聞こえる。

「わーお、えぐーい…」

 腕が真っ二つに割れ、中から大きなチェンソーが姿を見せる。

「ぶった切ってやるよ!」

 その言葉と同時にチェンソーの刃が勢いよく動き出す。

「うやっ!?」

 さすがにヤバいと思ったキャナはもの凄いスピードでビリーの手から外れていく。

「おいおい、逃げてちゃ勝てねぇぞ」

 ビリーはチェンソーを前に突き出しながらジリジリと歩み寄っていく。

「おらっ!百倍返しだよ!」

 ビリーはチェンソーを振り回しながら、走り出す。

「おわっと!」

 的確に首を狙ってきたビリーの攻撃をかがんで避ける。

「逃げ場なんてねぇぞ!」

 そのまま真下に振り下ろす。キャナは避け切れず、バールでガードする。

「武器の差がありすぎんだよ!」

 チェンソーが鉄でできたバールを火花を散らしながら徐々に削っていく。

(わわわっ!?ヤラれる)

 バールでは対処できないことを悟ったキャナはバールを床に捨て、転がってビリーから離れる。

「さぁさぁ、お終いよぉ!」

 少々興奮してきたビリーは勝利を確信して、唸るチェンソーを振りかざす。

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