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聖女の成り下がり  作者: 森宮寺ゆう
序章 『転生』
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第17話 不利すぎる戦い

「どうする?キュルワちゃん。ボンドリーくんが吹っ飛ばされたけど。助ける?」

 エーリはゴツイ義手をつけた女性に問いかける。

「心配いらんわ。アディとクリィの隊を行かしといたで。あいつらもそれなりに強いハズや」

 キュルワが腕を真上に挙げてから、勢いよくベティたちに指さす。

「発射ぁ!」

 キュルワの号令に合わせて雑兵たちが引き金を引く。

「アイスウォール!」

 ベティは周囲に氷の壁を生成して銃弾を防ぐ。

「チッ。多勢に無勢だな。どうしたもんか?」

 拳銃の弾丸を装填しながら、氷の壁越しに様子を伺う。

「なぁにボーッとしているの?脱走者くん」

 氷の壁を飛び越えてきたエーリがバースの顔を踏みつける。

「アイスランス!」

 エーリの足を狙って魔法を放つが、ジャンプで避けられてしまった。そして、エーリと入れ替わりでキュルワが突撃してくる。

「吹っ飛びぃ!」

 キュルワの手の甲にあるランプが赤く光り出す。そして、自身の手をガッチリと組んで、思いっきり地面に叩きつける。

 地面とキュルワの腕がぶつかった瞬間に凄まじい爆発が起こった。衝撃で揺れ、地面がひび割れ、コンクリートの破片が宙を舞う。

「驚いとる暇はないで!」

 リンシャの顔にキュルワの拳が飛んでくる。クールダウンがあるようでさっきのような爆発は起きなかった。しかし、それなりの威力があるようでリンシャはその場に倒れ込んでしまった。

「リンシャ!」

「よそ見はだめだよ」

 エーリはリンシャを助けようとするバースの首根っこを掴む。そして、その掴んだ腕から電気を放出する。

「うっ、くっそ!痛ぇんだよ!」

 バースは痛みに耐えながらエーリの腕を掴むと、体を捻り大きく回転し、エーリの腕を離す。遠心力によってエーリは遥か遠くまで飛んでいく。

「どこいくねん!ウチ一人やとだいぶキツイんやけど!」

 キュルワは頭上を飛んでいくエーリを見つめながら叫ぶ。

「反撃よ」

 ミアナがキュルワの頭部目掛けて銃弾を放つ。キュルワは打ち抜かれた頭を押さえ痛がるが、なんとか持ちこたえ反撃の蹴りを思いっきりきめる。

「視界がノイズ混じりや…どないしてくれとねん」

 頭をガンガンと叩きながらミアナを蹴り飛ばす。

「うわぁ、キュルワちゃん頭やられちゃったね」

 戻って来たエーリがキュルワの頭部を見て少し引き笑いする。

「ワロとる場合か!とっとと潰しぃや」

 キュルワは自身の拳と拳をぶつけると、手の甲のランプが光り出す。そして、怒りに任せて思いっきり振り下ろす。そして、さっきの爆発以上のが爆発が起こる。

「大変です!地面が崩れます!」

 キュルワが拳を振り下ろした地点に亀裂ができる。道路と言えたような道がさっきの爆破で地面が砕け散り、コンクリート片が舞う。

「隙ありや!」

 コンクリート片の陰から現れたキュルワがミアナとバースに向かって渾身の蹴りを放つ。

「ッ!アイスラン…」

「はーい。後ろだよ」

 詠唱中のベティの背後からエーリが現れる。そして、振り返る暇も与えず電気ショックを食らわせる。

「やめろ!」

 リンシャがエーリに向かって銃を構える。しかし、発砲した頃にはもう懐まで入り込まれていた。

「ビリビリ攻撃だよ!」

 エーリはリンシャの頭を持ち、そのまま頭部に電気に流し込む。リンシャは声にならない悲鳴をあげてその場に倒れ込んでしまった。

「自分ら、見てる暇あんならさっさと撃たんか。でも、あいつらの頭は避けぇや。脳はイイ値からな」

 キュルワの号令を聞いた雑兵たちが慌てて銃を構える。そして、発射された弾丸はオルスの腹部の中へと消えていく。

「めんどくさいねん。とっとと死にぃ!」

 キュルワが雑兵から銃を受け取ると、近くに倒れているミアナに銃口を向ける。

「や、やめて!」

 立ち上がったベティが内臓されていた鎖をブンブン振り回し、キュルワに向かって投げる。手の甲を打たれたキュルワは痛みで思わず銃を手放す。

「アイスランス!」

 キュルワは一瞬だけ痛みで怯んだ隙をつき、氷の刃で右腕を狙う。キュルワの右腕は使い物にならないことが一目で分かるほどの損傷を受けていた。

「はぁ!?嘘やろ!」

 驚き硬直しているキュルワの事なぞお構いなしに詠唱を始める。

「アイスウォール」

 キュルワの真下から氷の壁が生成される。勢いよく隆起していく氷の壁はもう片方の腕と激突する。キュルワの残っていた腕はバラバラに破壊され、部品がその場に散乱する。

「調子に乗りすぎだよ!」

 キュルワに気を取れれていたベティは背後に回り込んでいたエーリの存在に気付けなかった。

 エーリが引き金を引く。しかし、ベティは反応に遅れて向かって来る銃弾を目で追うことしかできなかった。

(ダメだ。皆さん、ごめんなさい)

 どんどん顔に近づいてくる銃弾を見て死を悟ったベティは目をつぶり心の中で謝罪をする。

 目をつぶって死ぬのを待っていたベティだが体のどこにも痛みがないことに違和感を覚え、恐る恐る目を開ける。

「何を諦めておるんだ?」

 ベティの目の前にはエーリを睨みつけて立っているメイブンがいた。

「よく持ちこたえてくれたな」

 メイブンはベティの肩をポンポンと叩くと、エーリたちに向き直る。

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