第11話 超正面強行突破
オルスとメイブンが正面門の前を通過しようとすると、門番に銃を突きつけられた。
「おい。何をしている!」
「ちっと、ここのボスに用事があってな」
「それなら、私が上に伝えておく。要件を言え」
「そうか」
メイブンは一息つくと、門番の持っているトランシーバーを奪い叫ぶ。
「こちら、正面玄関。侵入者が二名入り込んだ。とっとと増援を送れ!」
そして、メイブンは門番も腹を爪でえぐる。
「…戦争だ」
メイブンの静かで、張りのある声が響く。
「な、なんだ!あいつが侵入者か!?」
兵士はアサルトライフルを構えるが、気づいたころにはもう距離を詰められていた。
「なっ!?」
兵士が小さい悲鳴をあげる。
「歯ごたえが無いぞ」
兵士の首を掻っ切りながら欠伸をする。
「オルス。ここからはお前一人でこの辺を一掃しろ。俺はでかいの釣りに行く」
そう言うとメイブンは塀を飛び越え、向こうに消えていった。
「え!?おい!嘘ですよね!?俺、ボスほど強くないんですけど!」
しかし、メイブンの返事が返ってくることは無かった。
「くっそ!」
オルスはオーバーバーナーを点火し、銃を乱射する。
「チッ!これも訓練だ。チクショウめ!」
◇◇◇
「ま、頑張るんだな」
オルスの叫びを聞いたメイブンは笑みを浮かべながらつぶやく。
「しかし、幹部クラスはどこにいんだ?なぁ、お前さんは知ってるか?」
メイブンは忍び寄る兵士の持っているアサルトライフルの銃口をへし折りながら問いかける。
「何を黙っておる。知ってるのか?」
「し、知らない…」
兵士は声を震わせながら、恐怖に満ちた表情で答える。
「そうか。全くどこにおるんだか」
メイブンは兵士の腹を貫くと近くにあった小さめの扉を蹴り破る。
「建物内はあいつらが爆発させるが…まぁ、爆発は良ければいいだけの話か」
メイブンがガランとした建物を進む。
(誰もおらんな。しっかりとオルスが引き付けてるようだな)
メイブンは通路を歩きながら、ゆっくりと首を前に倒す。その直後、斧がメイブンの頭上を通る。
「…一つ聞くが、ここの警備体制はどうなっておるんだ?」
メイブンは背後に立っていた男の斧の持ち手を掴み引っ張る。そして、近づいてくる男の顔面を殴り飛ばす。
「あぁ、イ、イテェ。てめぇ、俺の攻撃を避けてんじゃねぇぞ」
鼻から血をダラダラと流す男の髪引っ張り顔を上げさせる。
「ずいぶん甘ぇこと言うんだな。この温室育ちが」
男から斧を奪い取り、腕を切り落とす。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「本気でうるせぇ。おい!幹部はどこだ?」
「お、俺が…ここの基地の幹部だ」
「冗談じゃねぇ。なら、お前さん以外の幹部はどこだ?」
メイブンは男の胸ぐらを掴み、爪を突き立てる。そして、怒気を含んだ声で静かに問う。男は体をビクッと震わせながら蚊の鳴くような声で答える。
「ほ、他にはカーナンとマリリとガドガがいる」
「特徴を言え。名前だけで分かると思ったのか」
「ひぃ!えっとカーナンとマリリはいつも二人でいる。ガドガはでけぇアームをつけている。お願いだ。殺そうとしたのは謝る!情報だってやったんだ。許してくれよ!」
男は胸の前で手を組み懇願する。
「はぁ、俺はお前さんの何を許すんだ?こっちは侵入者だぞ。お前さんは正しいことしかしておらんぞ」
ため息をつきながら、男の頭を握りつぶす。
「これで幹部か。陥落はすぐだろうな」
呆れたようにつぶやきながら、階段を上っていく。




