プロローグ
初登場、初投稿ですんどんぞヨロシンク
パチパチと燃える講堂―――――
夏の終わりを告げる始業式の日、壇上に立った僕はガソリンをまき火をつけた。
火災報知器のベルとともにその場にいた生徒や教師たちの悲鳴や怒号が鳴り響き、講堂から逃げ出そうとするだけで押し合いになり怪我人も出ている。
壇上と床の高低差を利用しその場に座る。
何でこうなったんだろう
考えても考えてもどうにもならない。本当にどうにもならない。
「お前がいるからみんな不幸になる――――」
かつて僕にかけられたその言葉は正しかったと今は思う。
実際に今大勢の人を不幸にしている。この騒動が収束してもなお、後始末のために多くの人間が不幸になることだろう。
「――――――――――!!!」
目の前で僕に何か言っている人が3人。しかし、言うだけで決して僕に近づいて来ようとはしない。
分かるよ?僕が怖いからでしょ?僕だってそうだったから。
でも、いや、だからこそ僕は許せない。君たちはいつだってそうやって安全なところからそれっぽいことを言ってるだけじゃないか。たった一歩近づいてくれれば―――いや、もう考えてもしょうがないことだ。
さて、どのみち今日ですべてが終わる。賽は投げられた。この世を見納める前に最後まで残ってくれた3人の事を目に焼き付けようじゃないか。
制服を着た男女が一組とスーツを着た仕事のできそうな女性が一人。
若い二人はなぜか涙を流していた。泣きたいのはこっちの方なのに...
悲しい――――その二人の事を見ても何も感じなくなっている自分が悲しい。理性では悲しいはずなのに感情は全く動くことが無い。本当の意味で最後の時だってのに涙だって出てこない僕はきっともう何も感じることは出来ないのだろう。だからこそ、今日で終わらせる。そうじゃないと本当に壊れているんだから。壊れたおもちゃで遊ぶのは危ないでしょ?
スーツ姿の女性が一歩前に出てきて何かを言っている。
悲しいかな、煙を吸いすぎたせいか頭痛と耳鳴りが凄くて何を言っているのか聞き取れない。視野も狭まってきたし、体も維持できないから横に倒れこむ。
と同時に駆けよってこようと走る音が聞こえる。結構距離があったみたいだ。
しかし、このまま近づかれてそのままもしも助かることなどあってはならない。故に僕はポケットの中で忍ばせていたライターを点火する。
ガソリンをまいた時についでに服とズボンにもかけておいた。ガソリンを吸ったズボンの中でライターを点火すればどうなるかなど考えるまでも無い。一瞬にして全身が炎に包まれる。
浄化は炎の業だ。古今東西遥か昔より大罪を犯した人間や汚らわしい物などは炎により焼き捨てられて来た。炎によって穢れが浄化されると信じられてきたからだ。
だからだろうか―――――肌を焼く痛み、炎の熱さを感じてもなお僕にはその熱さが、その痛みがとても心地よく感じた。自分のすべてが浄化されていくようでようやく消えてなくなれることが実感できて、炎の抱擁こそが一生のうちで最も温かく、優しく感じた。