表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
霊人編
93/261

92話 歪な人形

ヘラレスが消息不明となった……あいつは性格に多少難ありで問題ばかり起こしていたが実力に関してはこの国でも随一であった……そんな奴が……例の国へと侵攻して消息不明……新しい魔王であることから早めに潰しておこうと考えたゼールリアン聖王国の判断はあっていたのか間違っていたのか……。

「シャネル王! 会議のお時間です! 議題はフィデース信栄帝国の対応について!」

「……わかった今行こう」

銀色の髪をなびかせた美しい王は起き上がり優しく扉を開いて会議の場へと向かって行った。



「ノーチェ! 取れたぞ!」

「ノーチェ? これは平気なやつ?」

「ノーチェ! ノーチェ! こっちもこっちも!」

今俺はテグやエレナが希望して作った学校に所属している生徒達と森で薬草採取をしている。本来であればエルフが管理している盛りなのでエリーナが案内するべきなのだが……急用で来れなくなってしまったらしい。その後も何かと都合が良い人が現れず国も安定して暇を持て余していた俺が立候補したんだけど。

「子供って元気だなぁ」

「? ノーチェだって子供みたいな見た目じゃん」

見た目だけだよ……あれ? 元々高校生だからまだ子供でいいのか俺は?

「しかし……人間やエルフは知ってたけど獣人、更にはドワーフや妖精までいるなんてね」

まぁ……半人半鳥と霊人の子達もいるけど。

「テグ……先生が種族の差なんて大したことはないって言ってたよ!」

あっそうか……テグは学校で教師やってるんだっけ?

「うんうんテグ先生の言うことしっかり覚えてて偉いね」

「あったりまえだろ!」

カイル……あった時は痩せてたけど随分元気になったな。

「そういえばセルは元気かい?」

「兄ちゃんは学年違うから今頃難しい勉強してると思うぜ」

「それは応援してあげないとね」

……セルとの出会いがなければ今こうやってみんなと話すこともなかったんだから人生って不思議だよなぁ。人生? 蛇生? まぁどっちでもいいか。

「ノーチェ! これは?」

「大丈夫なやつだよ〜……火傷に効く薬草だね」

呼び捨ては構わないんだけど……クイックとかが聞いたら少し怒りそうだな。

それにしてもエルフが管理してる森ってのはこんなに綺麗なものなのか……ルリアの森も1部を除いてすごく綺麗だったし。

「ノーチェ? ノーチェ!!」

「あっごめん! どしたの?」

「そろそろ終わりの時間だよ」

もうそんな時間か……。

「じゃあみんなを集めて学校に帰ろうか」

「「「「はーい」」」」

その後は特段何も起こらずみんなで学校に帰っていった。



「ノーチェ様……本日は子供たちを見てくださってありがとうございます」

「いえいえ、たまには元気な子供と遊ばないとね」

今話している方はテレア学園の学園長トト・ペルラさん。 元々はルリアの森の小さな村で子供達を集めてものを教えていたのだが反乱が起きてからこちらの国に移住、テグの提案でテレア学園の学園長として働くことになった。

「この学校は良い所です。ルリアの森にあった学校よりも幅広く偏りのない知識を教えることができます」

「それは良かった。最近ではルリアの森とコロリアン妖精圏から本も送られるようになったから学習の幅がもっと広がるよ」

めっちゃニコニコしてる……この人子供に勉強教えるのも好きだけどそれ以上に知識を増やすのも好きなんだよな。

「それじゃあ俺はこの辺で」

「はい……あっそうだ1つ気になることがあるのでご報告を」

? なんだろう。

「実は…………」



俺は自室のある椅子にもたれ掛かり先程ペルラから聞いた話について考えていた。


「実は親のいない子供達が孤児院ではなく学校に入り浸ることがあって……昨日も学校で寝泊まりしている子がいて問題になったんです」


孤児院の環境は何不自由のないように設計したんだけどなぁ……ご飯だってしっかりしたの出してるし、何より孤児院の委員長は自動人形達がローテーションで回してるし。

「自動人形が変なことをしているとも考えずらい」

「私達が何かご主人様の迷惑となることを致しましたか?」

「テグ!?」

今日は学校の授業で居ないはずじゃ。

「驚かれる理由は分かります。本日の授業は先程終わりました」

さすがロボットと言うべきなのか怖いと恐れるべきなのか。

「それで……何かお悩みの様子ですが」

「あ〜」

テグは学校の関係者だし言っても大丈夫かな……それに孤児院の運営はテグ含める最初の5人が立場的に1番上だし。

「ご主人様?」

不安そうに俺を見つめるテグ……うーんそんな顔されると言いたくなっ……て?

「テグ……なんか表情変わってない?」

不気味な沈黙が部屋に流れる……。

「テグ?」

俺は不安と若干の恐怖を飲み込みながらテグに声をかける。

するとにっこりとした顔でテグが答えた。

「表情機能を元の数からさらに多く追加して頂いたんです。あっ今まではご主人様の前で表情を変えなかっただけで多少の変化はできたんですよ」

そうだった……のか。けどこれじゃあ本当に女の子と大差ないな。

「それでお話を戻しますが……何か悩み事などがあるなら私に申し付けて頂ければ御力添え致しますが」

「そうだね……テグも無関係って訳じゃないから聞いてもらうよ」

その後俺はペルラさんから聞いた内容をそっくりそのままテグに報告した。

「……なるほど。そのようなことがあったのですか」

テグはそう言って少し考え込んだが直ぐに顔を上げて口を開いた。

「分かりました。その件は自動人形達で対処致します。1週間経ってもまだそのような問題があればもう一度仰ってください」

「……? わかった」

俺の了承を得たテグは頭を深く提げて部屋から出ていった。

「……なんか、雰囲気変わった?」

表情を変えるようになったからか……けど声に感情の起伏があったような。

「まぁ今度ガンドにでも聞いてみよ」



1週間後

俺はペルラさんから話を聞いて学校に子供が泊まったりしていない事を確認した。さすがは自動人形……それくらいはお手の物って訳か。

「というわけでご苦労だったねテグ」

「はい」

いつも通りのテグ……やっぱり前のは俺の勘違いだったみたい。

「それでご主人様、1つお願いしたいことがございまして」

テグのお願い? 珍しいな……前は学校を建てたいだったけど今回はなんだろうか。

「その……頭を撫でて頂いても」

テグの顔が少しだけ赤くなった気がする。

「頭?」

何も言わずにコクリと頷くテグ……。

まぁ減るもんじゃないし……それくらいは。

俺は特段何も考えずにテグの頭を優しく撫でる。

お〜……こう触ってみると本物の人間みたいだな。髪の感触と同時に温かさも感じる。そういやガンドのやつ人間と限りなく近く設計してるって言ってたもんな。

「……なにしてんのノーチェ」

ビクッと驚きながら声のした方に目を向ける。

「えっ!? あっいやこれは!」

「そんなに撫でたいなら言ってくれればいいのに」

シュンとするクイック……。そして黙ったまま犬になって近付くケルロス。

「いや! ちょっと待っ!」

ケルロスがなんにも言わずに俺に覆い被さる。

「シャレになんないから! おっも! いやせめて人の姿で! あんた犬の状態だと何キロあると思ってるの!?」

「それでは私はこれで」

今出てくの!? 助けて! 主のピンチだよ!

「ちょっと! テグ!」

そこまで言う前にテグは部屋から出て行ってしまった。

「ほら撫で放題だぞ」

「撫で放題の前に俺が圧死するわ! クイック助けて!」

「俺も入れろ」

お前らどうしたの!? 2人でボケられるとツッコミ追いつかない!

「てか……ほんとに重い……」

「さぁ撫でるといい」

その前に……意識が……あっ。

「お前らよくもやってくれたな」

人間の状態では2人に筋力で勝てない……しかし動物の姿になればこの3人の中で1番筋力があるのは俺だ!

「2人とも締めつけ攻撃じゃ!」

「いったたたたた!」

「痛い! ノーチェ! 痛いって!」

「安心しろ! 獣状態のケルロスは結構頑丈だしクイックも死なない程度に加減してる!」

「そういう問題じゃ!」

「やめ! いやこれもこれで!」

ケルロスは謎の性癖に目覚めてんじゃねぇよ!

俺たちのじゃれ合いはしばらく続いたがクイックが気絶してしまったので慌ててやめた。



「子供たちの恐怖や安堵……そして子供だけの時見せる感情などを調べていたのですが……難しいものですね」

「ご主人様に言われては仕方がありません」

「テグだけずるいです……ご主人様に撫でて貰って」

「それよりも例の件が私達のせいであるとバレないか不安です」

「大丈夫だと思いますよ……ご主人様は僕達を信用してくださっていますから」

少し暗い部屋で集まる最初の5人……ノーチェに忠実で頼もしい部下であることに変わりは無いが……感情という新しい悦びを見つけた自動人形は今後どうなっていくのか、それはまだ誰にも分からない話であった。


現在のステータス

ノーチェ・ミルキーウェイ

深淵蟒蛇Lv4

所持アイテム星紅刀

《耐性》

痛覚耐性Lv5、物理攻撃耐性Lv9、精神異常無効Lv7、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv8

《スキル》

支配者、知り尽くす者、諦める者、混沌監獄(ユニオンプリズン)研究部屋(マイワールド)極限漲溢(ルプトゥラ)魔法無効(アンチエリア)

《魔法》

火炎魔法Lv8、水斬魔法Lv9、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、回復魔法Lv10、破壊魔法Lv8、幻影魔法Lv9、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10

《???》

強欲、傲慢

《資格》

管理者-導く者

《称号》

神に出会った者/神を救った者


ケルロス・ミルキーウェイ

赫々白狼Lv3

《耐性》

痛覚無効Lv5、状態異常耐性Lv9、物理攻撃無効Lv3、魔法攻撃無効Lv8

《スキル》

信頼する者、不達領域(リーチキャンセル)完全反転(フルフリップ)

《魔法》

風新魔法Lv10、風斬魔法Lv10、風流魔法Lv8、稲妻魔法Lv8、創造魔法Lv6、光魔法Lv10、神聖魔法Lv8

《???》

嫉妬


クイック・ミルキーウェイ

冥紅土竜Lv3

《耐性》

物理攻撃無効Lv5、精神異常耐性Lv9、魔法攻撃耐性Lv2

《スキル》

吸収Lv2、放出Lv4

《魔法》

火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv2、風斬魔法Lv8、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv8

《???》

喰らい尽くす者Lv7

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ