表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
霊人編
90/261

89話 届かない恐怖

仲間を殺してしまった……そんな罪悪感を感じながら布団の中で後悔を繰り返す。けれどもう謝る人も許してくれる人もいない私はなんであんなことを……。

「大丈夫だよサク……俺は君の味方さ」

ノーチェさんの声……確かにノーチェさんは私を助けてくれた。けどヘラレスさんが私たちを裏切ったなんて信じられない……。

「サクは間違ってない……けどまだ俺を信用出来て居ないんだよね? それじゃあ前にも言ったけど君の目で実際に確認すればいいよそして考えるんだ。俺とヘラレスどっちが信じられるかを」



「ヘラレスさん……私はもうあなたには従いません。そして霊人達は誰もあなたの味方にはなりません」

「は、ははは! 何を言っている! お前がいくら霊人達を説得しようとアイツらの心は!」

なんだ……あいつが持っている石は……。

「気づいたか」

「まさか!」

「記録石……文字や言葉を記録できる石をドワーフに頼んで改良してもらった……お前が言った全ての言葉は記録されている」

「お前……何もかも全て」

「さっきからそう言ってるだろ?」

ギカントは動かない……霊人達は敵に回った……ハンとセツに関しては連絡が一切ない。

この危機を乗り越えるにはどうすれば……。

「そうだな……大人しく首を差し出せ、そうすれば楽に殺してやる」

……いやあと一手あと一手だけある。

「は……ははははは! これは使いたくなかったが仕方あるまい!」



注射器!?

「ケルロス!」

「わかってる!」

爆発……? いやただ土煙が舞ってるだけか。

「何が起きた!」

「分からない……ケルロス一度サクを運んで遠くに!」

ケルロスは何も言わずにサクを掴んで離れていった。

……お姫様抱っこ、イケメンがやると本当に絵になるなぁ。

「ノーチェ!」

「わかってるよ」

煙の中から現れたのは先程での姿からは想像もできない大きく気持ちの悪い生き物だった。

「なんだコイツは」

「恐らく特殊な薬品を打ち込んだんだろう……魔力を増やすとか筋力をあげるとか」

ただの筋肉バカなら敵じゃない!

「水面波斬撃!」

胴体を真っ二つにしてやったが……。

ボコボコと肉の塊が切られた上半身をくっ付けている。

「回復能力持ちか」

「ノーチェ下がって!」

「炎岩流れ咲!」

溶岩を様々な方向から流し込んで……これなら溶けて回復も。

「あぁぁぁ……がぁぁぁぁぁ!」

「溶岩が!」

弾かれたか……魔法耐性? それとも無効化か? こいつは厄介だな。

「くっそ!」

俺の研究部屋(マイワールド)で分解するか? いやしかし研究部屋(マイワールド)はあくまで分解……消滅させるわけじゃない。こいつを殺すには細胞1つも残さず消し去るしか……。

「魔法攻撃が効かないってことは物理攻撃であいつを消滅させないといけないのか?」

「ご名答だよクイック……けど手段がないわけじゃない、俺のスキルであいつをギリギリまで分解してそのまま削りまくればいつかは」

「けど逃げられる可能性も」

「その辺は俺に任せろ」

帰ってきたケルロスが周囲に結界を貼る。

「これで中からはもちろん外からも手出しできない」

「全くよくできた仲間たちだよ」

だけど気になるのは回復能力だけじゃない……あの得体の知れない魔力、2人とも何かを感じているからむやみに動けない。

「やるしかないよな! 研究部屋(マイワールド)!」

これで限りなくあいつを削る……できる限り小さく細かく……。

彫刻刀で石を削るように確実に少なくしていくんだ!

俺の圧倒的な集中力は戦闘時ものすごく役に立つ……しかしその集中力によって自分のスキルがおかしくなっていることに気付くのが少しだけ遅れてしまった。

「なんだ……部屋が歪んで……」

気付いた時には既に遅く……俺の研究部屋(マイワールド)はパキパキと音を立てて崩れていった。

「馬鹿な!?」

俺のスキルが破られた? どうなってる!

「どうしたノーチェ!」

弾かれた俺をケルロスが華麗にキャッチする。

さっきはお姫様抱っこなのに俺はしてくれないんだ……とかそういうくだらないことを考えてる場合じゃない!

「分からない……スキルが弾かれた、こんなこと初めてだ」

いくら弱いとはいえ魔王にも通用していたスキルだぞ……こんな奴に。

「あ〜……あぁあああああ。はぁ……はぁ……何とか主導権を握ったぞ」

自我のない化け物が言葉を発する。

「ヘラレスか……どうやって」

「ははは……さっき打った薬には初代勇者の血が入っていたのさ……あまりの力で意識を持っていかれたが……何とかこらえる事が出来た」

初代勇者……! じゃあさっきスキルが弾かれたのも。

「しかしなれるといいものだ……力がどんどん湧いてくる」

極限漲溢(ルプトゥラ)!」

「ロック・フィールド(氷の監獄)!」

「そんなもの効くか!!」

クソ! なんだあの力は……魔法が効かないなんて。

「流動打元!」

「白刃!」

「クイック!? ケルロスまで!」

「魔法に長けたノーチェじゃ分が悪い!」

「ここは俺たちでやるから援護お願い!」

2人とも……。

「わかった! 無理すんなよ!」

援護って言っても研究部屋(マイワールド)以外に直接攻撃系のスキルないし……いや相手の意識を逸らすだけでも……。そういえば最初に攻撃した時は魔法が当たっていた……なんでだ、どうして当たっていたんだ。

「刀……? 魔法を流したから……?」

それに魔法攻撃を発動すること自体は可能だ……あいつの間合いに入ると魔法が無くなってしまう……。まるで魔法無効(アンチエリア)の下位互換だな。

……いや待て! もしかしたら本当にその通りかもしれない! 勇者の血を使った薬……勇者が傲慢を持っていれば魔法無効(アンチエリア)を所有していた可能性は高い。そうか……あの圧倒的な回復能力と魔法無効化は勇者のスキルだったのか……そして俺のスキルを弾いたのは極限魔力(ルプトゥラ)で魔力消費量を増やしたんだろう……道理でいつもより疲れたわけだ。

謎は解けた……後はあいつをどう倒すか……。

支配者スキル……空間や物体を一時的に思うがままにできる力……これを使えば一瞬ではあるけど魔法無効(アンチエリア)を解除出来るかもしれない。

「ケルロス! クイック! 俺があいつの魔法無効(アンチエリア)をどうにかする! 合図したら全力で魔法を叩き込め!」

「「わかった!」」

支配者スキルを使うにはあいつの間合いに入らないと……。

スキルの自動使用と全知全能のおかげで俺が出せる最高速度でヘラレスに突っ込んでいく。

ヘラレスには認識されていない……だけど。

勇者の能力か? 自然と攻撃が向かってくる。

「断絶!」

あと少し……あと少し……。

ボコン!

地面から!?

「ノーチェ!」

叫びながらケルロスが俺を弾く……地面から出てきた鋭利な武器はケルロスの腹部を軽く抉りとった。

「ケルロス!」

「気にするな! かすり傷だ!」

俺は後悔する気持ちを胸にしまいヘラレスに突っ込む。

「支配者発動!」

その声がした瞬間ケルロスとクイックの魔法が全力で叩き込まれる。

「ライデン!」

「砕き龍炎!」

「バカか! 俺に魔法は!」

よほど自信があるのか腕を大きく開き魔法を受け入れるヘラレス……しかしその慢心は打ち砕かれる。

2人の放った魔法はヘラレスの体の中心を大きく抉り後ろか見えるような穴を開けた。

「は、……は!? 馬鹿な……」

「だ、だが……俺には回復能力が」

研究部屋(マイワールド)

勇者の血はヘラレスと強くくっ付いていたが大きな怪我と動揺がその繋がりに隙を見せた。

「ネタさえ分かればこっちのもんさ……勇者の血だけを取り除く」

「あっ……あぁ! 俺の体が!」

勇者の血を抜き取ったからかヘラレスの体が腐りながら崩れていく。

「あぁ……こんな、こんなところで」

恨み言を唱えながら消えていくヘラレス。

3人はヘラレスの消滅を確認してから国へと歩いて行った。

「ケルロス……ごめん」

唐突の謝罪に驚くケルロス。

「俺がもっと慎重に動いてればあんな怪我させずに済んだのに」

「あっ! あぁ! 大丈夫だよ! あんなのかすり傷だしもう治ったから!」

ケルロスは傷のあった場所を強めに叩き無事であることを証明する。

「ダメなんだ……俺がこんなんじゃ……」

ケルロスとクイックは立ち止まった俺を見て不安そうに声をかける。

「あの攻撃は不意打ちだったし速度もあった……あれを避けるのは難しいと」

「けどこれじゃあまたみんなを失ってしまう!」

静かな大地に俺の声が響く。

「俺達がいる。ノーチェが足りない分はみんなが補っていく。今回はしっかり敵を倒した。寧ろあの少しの時間で全てを理解したんだ……褒められてもいいくらいだ」

クイックが俺の事を励ましてくれる……でも今は。

「今回はたまたまなんだ」

あの攻撃で全てがダメになっていたかもしれない……そう考えると怖くて怖くて。

そんなことを考えているとケルロスが俺の顔を上げて真剣に聞いてきた。

「……昔から思っていたことがあるんだ、なんでノーチェは自分のことを認めないんだ?」


現在のステータス

ノーチェ・ミルキーウェイ

深淵蟒蛇Lv4

所持アイテム星紅刀

《耐性》

痛覚耐性Lv5、物理攻撃耐性Lv9、精神異常無効Lv7、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv8

《スキル》

支配者、知り尽くす者、諦める者、混沌監獄(ユニオンプリズン)研究部屋(マイワールド)極限漲溢(ルプトゥラ)魔法無効(アンチエリア)

《魔法》

火炎魔法Lv8、水斬魔法Lv8、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、回復魔法Lv10、破壊魔法Lv8、幻影魔法Lv9、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10

《???》

強欲、傲慢

《資格》

管理者-導く者

《称号》

神に出会った者/神を救った者


ケルロス・ミルキーウェイ

赫々白狼Lv3

《耐性》

痛覚無効Lv5、状態異常耐性Lv9、物理攻撃無効Lv2、魔法攻撃無効Lv8

《スキル》

信頼する者、不達領域(リーチキャンセル)完全反転(フルフリップ)

《魔法》

風新魔法Lv10、風斬魔法Lv10、風流魔法Lv8、稲妻魔法Lv8、創造魔法Lv6、光魔法Lv10、神聖魔法Lv7

《???》

嫉妬


クイック・ミルキーウェイ

冥紅土竜Lv3

《耐性》

物理攻撃無効Lv1、精神異常耐性Lv9、魔法攻撃耐性Lv1

《スキル》

吸収Lv2、放出Lv2

《魔法》

火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv1、風斬魔法Lv8、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv7

《???》

喰らい尽くす者Lv5

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ