82話 ミス
ガッツリ眠ってしまった……。寝るつもりとか本当はなかったのに。思っていたよりも疲れが溜まってたんだろうか? 温泉の後でポカポカしてたからなぁ。まぁいいやとりあえず1回起きて……何しようか。ヘラレスとか言うやつがどこにいるか分からない以上なんも出来ないしなぁ。霊人からは取れる情報はもう無さそうだし。
「産業地区も元通りだしなぁ……警戒レベルだけ上げといてしばらく待ちか、後手に回るのは嫌なんだけど仕方ないか」
リビングには置き手紙があり……。
ノーチェの分だよ。
「クイックだな……てかどこで料理なんて覚えたんだろう。しかも割と美味い」
俺……ここまで美味しい料理作れるかなぁ。
そんなことを考えながらクイックの料理を食べ終えた。
あ〜……久々に自由だなぁ。書類仕事は寝てる間に終わってたし、なんかなぁ。
そういえば観光地区って温泉以外にも施設増やしたって言ってたよな……ちょっと気になるし見てみようかな。
観光地区
「……好きにしていいって言ったけど、こんなに賑わってるとは思わなかった」
観光地区の入口地点でこんなに人か……奥の方はもっといるし。前に言った獣王国よりもいるなこれは。
「さて……どんなのがあるのかなぁ」
ふむふむ……出店がちらほら、大きな建物はご飯屋だったり特産品だったり……繁盛してるようで何より。
奥には温泉エリアと……まじか。
「遊園地あるんだけど……なにこれ。俺知らないんだけど」
いやまて……そういえばエリーナが。
「ねぇノーチェ! 子供が沢山遊べる場所ってどんなのがあるかしら!」
「子供が沢山?」
子供が沢山ねぇ……公園でもいいけどそれじゃあ少しつまんないし他の国と変わりないよなぁ。
子供が沢山遊べて新しいもの。
「遊園地とか?」
「遊園地?」
「そう……遊園地って言うのはね……」
あ〜……教えてるわ。けどこんな規模になってるとは。
でも子供たちの楽しそうな声が聞こえるし、悪いことじゃなかったかな。
暇つぶしも程々に商業地区でドワーフ達と新武器の話をしようと歩き出した時だった。
1つ目……霊人か、観光地区は好きに出歩いていいと言ったが何か人目を気にしている様子だな。
「ちょっとつけてみるか」
しばらく後をつけているが……観光地区から出て国の外に向かってるのか何が目的か分からない以上手出し出来ない。けど不可視化まで使って……。まぁあの女の子は居ないし最悪。
「ここまで来ればいいじゃろうて」
「そうだな……」
1つ目の老人……何をする気だ。
「ピー!!」
なんだあれは……笛か?
笛の音が鳴ると空から大きな鳥が現れた。
鳥? ……それもでかいな、なんの為に。
「これを……」
鳥に何かを渡した……巻物? ったく忍者かよ。しかし内容は気になるなあの鳥がしばらく離れてから回収するか。
口に巻物を加えた鳥が空高くへと飛んでいった、霊人達は……戻って行ったか。あっちは顔だけ覚えて放置だな。
だいぶ離れたか……俺に空を飛ぶ能力はないが。
「極限漲溢」
これで俺の魔法攻撃威力を極限まで上げる……そうすれば。
「氷柱!」
空高い鳥を落とすだけの氷柱を作り出すこともできる……まぁちょっとやりすぎたけど……。
「これ溶けるのかなぁ……まぁ最悪研究部屋でバラバラにすればいいか」
今はそんなことより……。
「あった……」
鳥の口に挟んであった巻物を取り死体に座って巻物を広げる。
フィデース信栄帝国へ侵入致しました……本来であればサクは置いていく予定でありましたがやむを得ない理由により同行しています。ヘラレス様の作り上げた魔獣は2体とも倒されてしまいました。白い髪の男と肌の黒い男には要注意です。またサクの魔力は安定しており何時でも使うことが可能です。
その他にもフィデース信栄帝国の侵入経路、警備の薄い場所……組織図なども得ている。あの2人ネグの監視がありながらここまで……いや不可視化によるものか。
しかしこれでヘラレスがこの国を狙っているのは確定したな。
「いずれ攻めに来るとは思うがあのデカさで暴れらると厄介だな」
地中から来るとなればエレナの索敵も意味が無い。クイックに地面操作で警戒してもらうにもずっとって訳にも行かないし……。
「あれ? ……てかこの鳥倒したらやばかったのでは?」
しまった……この手紙を確認するだけで生かしておくべきだった……。
「あ〜……どうしよう、完全に警戒されるよなぁ」
鳥の複製を作るか? いやけどバレたらそれこそ警戒される……てかこの鳥がどこに向かってたのかも調べれば良かった。
あ〜……やってしまったぁ。
「よし! なかったことにしよう」
俺はその後鳥を限りなく分解して……土に還した。巻物は地下室の資料室に閉まっておいた。
「まぁ……鳥が誰かに殺されたとか! 可能性は有り得るもんね! 何も俺の仕業とか思わないよ! うんうん」
「何独り言してるの?」
クイックがいつの間にか俺の部屋に入っていた。
「えっ!? いや! なんでもないよ!! てかいつの間に!」
「何度もノックしたよ、反応無いから入っちゃったけど」
……全然気付かなかった、まぁあれはちょっとやらかしちゃったからなぁ何かいい案を見つけないと。
「……また1人で悩み事?」
クイックの悲しそうな声……。
「ううん、今回は大丈夫だよ」
これ以上不安にならないよう優しく微笑んでみたけど……これで合ってるかな。
「……それならいいや」
あっ良かった大丈夫みたい……てか騙してるみたいで少し悪いな。
クイックは扉を開けていなくなる直前に振り返った。
「嘘ついてる事くらいわかってるから……けどノーチェが言わないなら俺は聞かないよ。だけど次1人で抱え込んで前みたいなことになったらどうなるかわかってるよね」
「……大丈夫。本当に辛い時は言うよ」
「そう、ならいいけど。夜ご飯もうすぐで出来るから降りてきてね」
ガチャリ
……バレバレだなぁ。まぁけど今回は本当に俺が悪いし相談する程でもない……というかクイックは俺の事理解しすぎでは?
「まぁ……結構近くに居たもんな」
思い返せば色々……って過去の思い出に浸ってる時間はねぇ!
とは言ってもすることもないんだよなぁ、テグに頼んで例の2人の監視は強化するように頼んだし。
「はぁ……情報不足は本当に悩みの種だな。今度外部探索用の部隊でも作るか」
「そろそろ連絡が来てもいい頃なんだが……」
金髪の男が謎の薬品をいじりながら言った。
「霊人の奴ら裏切りましたかね?」
そう言って奥からメガネをかけた小さい老人が出てくる。
「けどあの子たちも馬鹿じゃないでしょ〜。鳥さんに何かあったんじゃないの〜」
暗くて顔こそ見えないが女性の体つきをしたネイルを確認している。
「まぁいいさ、どちらにしても問題は無い。新しく出来た国の主……ノーチェ・ミルキーウェイは魔王になったとの情報もあるしな」
「それでは……本格的に動けるようになったわけですな」
「あらぁ……楽しみねぇ」
気味悪く笑う2人。そんな2人を無視して男は話を続ける。
「それに……勇者も保護した。我が国は着々と準備を整えている」
「勇者ってあの小娘だろ? 私は好きになれないねぇ」
「小さくても勇者は勇者だ。それにあんな見た目をしていて歳は15らしいぞ」
「へぇ……成長を止めてたのかい?」
「恐らく禁忌魔法のひとつでしょう。しかし我が国の魔法力にかかれば直ぐに解除できます」
老人がニヤニヤと笑う。
「まぁ別いいけどさ。それじゃあ勇者が完成するまで私達は待機?」
「待機? ……ははは我らは勇者なんかに引けを取らないさ。進軍は5日後……ギカントも使う。あの国は正式に……敵と認定された訳だしな」
3人の周りには様々な動物の死体や薬品が大量に転がっていた。
現在のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ
深淵蟒蛇Lv2
所持アイテム星紅刀
《耐性》
痛覚耐性Lv5、物理攻撃耐性Lv9、精神異常無効Lv7、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv8
《スキル》
支配者、知り尽くす者、諦める者、混沌監獄、研究部屋 、極限漲溢 、魔法無効
《魔法》
火炎魔法Lv8、水斬魔法Lv8、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、回復魔法Lv10、破壊魔法Lv8、幻影魔法Lv9、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10
《???》
強欲、傲慢
《資格》
管理者-導く者
《称号》
神に出会った者/神を救った者
ケルロス・ミルキーウェイ
赫々白狼Lv3
《耐性》
痛覚無効Lv5、状態異常耐性Lv9、物理攻撃無効Lv2、魔法攻撃無効Lv8
《スキル》
信頼する者、不達領域、完全反転
《魔法》
風新魔法Lv10、風斬魔法Lv10、風流魔法Lv8、稲妻魔法Lv8、創造魔法Lv6、光魔法Lv10、神聖魔法Lv7
《???》
嫉妬
クイック・ミルキーウェイ
冥紅土竜Lv3
《耐性》
物理攻撃無効Lv1、精神異常耐性Lv9、魔法攻撃耐性Lv1
《スキル》
吸収Lv2、放出Lv2
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv1、風斬魔法Lv8、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv7
《???》
喰らい尽くす者Lv4