80話 死体回収
会議も終わり俺達は今ケルロスとクイックが倒した魔獣の回収に向かっている。エレナとイヴィルの話によればそこそこ強かったとの事……何かで強化されてると見て間違いは無さそうだけど。
「ここだぞ〜」
これがケルロスの倒した魔獣……サソリだな。でかいサソリ。
その後クイックの方も確認したが……こっちは蟻地獄か?周りの地面の具合からそんな感じだか。
「とりあえずこの2体を運ぶか……バスでも持ってくるんだったかなぁ」
そんなことを言っていると2人が巨大な魔獣を持ち上げ歩き始めていた。
「2人共……重くないの?」
「いや……このくらいなら」
「安心しろノーチェこの程度今の俺なら問題ない」
クイックもケルロスも余裕そうだなぁ……いやまぁ俺も持てないことはないだろうけど国まで運ぶのは疲れる。
てかいつの間にこんな力付けたんだろ……この2人と腕相撲して勝てるかなぁ。
「あっ! 門から入ったらみんなびっくりするから壁の上登って歩いてくよ」
「「おー」」
驚きもしないのね……「えぇそれは流石に」とか言うリアクション期待してたんだけど。
そして俺たちは壁の上を歩いて自宅まで戻って行った。
「さてと……研究部屋」
1回小さくして……。
「これで地下室に連れて行けるね」
クイックは納得した様子だがケルロスはちょっと不思議そうだ……。あっ地下室あるの言ってなかったか。
地下室の存在をケルロスに説明しながら2体の魔獣を運んで行った。途中で封印していた魔弾砲をケルロスが見つけてしまい説明が大変だったけど……。
「それじゃあ元のサイズに戻すから2人とも離れててね」
俺の研究部屋は分解が主な能力……けど俺が分解したものであれば治すこともできる。
「研究部屋」
やっぱりこう見てみてると大きいな。
「2人ともありがとう……今日はもう疲れたでしょ、寝てていいよ」
「いや……俺はここにいるよ」
「ケルロスが残るなら俺もここにいる」
2人とも本当に仲良しになって……今回の問題を2人で組ませたのは正解だったかな。
それじゃあ……始めようか。
ノーチェの魔獣解剖は次の日の朝まで続くのであった。
「ん〜……まぁこんな所かなぁ」
外の様子が分からないけど……朝になってるかなぁ。
「2人ともごめんね……って寝てる」
そうだよな……2人とも山登って魔獣と戦ってこのでかいの運んでくれたんだもんな……。
「あっ……よしよし……2人ともありがと〜」
俺は血でぐちゃぐちゃになった手袋を外して優しく2人の頭を撫でる。
「ちょっと笑ってる?」
なんだが表情が柔らかくなった気がするけど……。まぁいいかそれにしても2人をどうやって上まで運ぼう。
「うーん……」
色々と考えたノーチェは水流魔法で2人を上に運ぶことにした……途中眠気が襲ってリビングがびっちゃびちゃになったのは秘密。
ノーチェは自室の机で何やら考え事をしている。
あの魔獣……ゼーレが作った合成魔獣と似た何かかと思ったが少し違うな。
気になる能力としては3つ
凶暴化と筋肉強化そして魔力強化。
凶暴化と筋肉強化に関しては合成魔獣にも微かだが含まれていた……しかし魔力強化に関しては直接操っていた形跡がある……ということはあの2体の魔獣は誰かが操っていたという事になる。けど探索には引っかかってなかったし、エレナの後日報告でも誰かがいたという情報は入ってない。
「とはいえ……あんなでかいのを俺の探索外からいじるなんて相当な魔力と集中力を使うはずなんだけどなぁ」
まぁ今この問題の鍵になってくるのは霊人達かもしれない。バールの情報では普通に過ごしている様子だし……ただ利用されているだけの可能性が高いな。けど一つ目の女の子には個人で話を聞いた方がいいかもしれない。
「朝6時……エレナやエーゼルは起きてるかな? エリーナは朝弱いからまだだと思うけど。バールは日課の訓練中か……フィーは一昨日から別の件で国にいないし」
2人は疲れきって寝ちゃってるしなぁ。
「久しぶり……ダンジョンでも行こうか!」
「おー……これはこれはノーチェ殿。なんの御用でしょうか」
「久しぶりだなハルト。随分と早起き……という時間でもないけど朝は早い方なのか?」
ハルト……5人のドワーフのうち発掘担当で1番年下らしい。とは言っても37だけど。
「発掘やダンジョンの調査はいくら時間があっても足りません。また新しい鉱石が見つかると考えれば……へへへ」
ヨダレ垂れてるよ……。
「それで、ここにはなんの御用ですか?」
「あぁ」
正直なんとなく来たんだけど……それだとカッコつかないしなぁ。
そうだ!
「魔力に反応する鉱石はないかな? ちょっと実験に使いたくて」
それを聞いたハルトが考え込む。
あれ……そんな石ないかな……。
「魔力に反応する石はあるのですがこのダンジョンからはまだ出て来てないなぁ……あっあれなら」
ハルトは何かを思い出した様子で走っていった。
数分後
「ノーチェ殿! これはどうでしょう」
ハルトの手に握られているのは黄緑に光る鉱石だった。
「これは?」
「こいつは識別石……魔力の種類を見分けることができるんです」
ふむふむ……要するに俺とケルロスの魔力を見分けられたりするってことか?
「使い方としてはノーチェ殿手を」
俺はハルトに言われて石の上に手を乗せた。
「そうして魔力を込めてください」
「わかった」
石は黄緑から緑に変化する。
「これで?」
「そこに俺の魔力を入れると」
おぉ……黄緑になった。
「緑と黄色の差は?」
「緑は水と風の魔法を表していて黄色は火と土を表しています。ちなみに緑同士の人が触れると濃い緑に黄色同士だと濃い黄色に変わります」
なるほど……まぁ要するに自分の適正と相手の適正がわかったりするのか……。
「これ……2人で手を合わせた意味あるのか?」
「基本的に適正がある属性には限りがあります。水に適性があれば風の適正がある可能性もあります。しかし火の適性がある確率は低いです」
「1人じゃ黄緑にならないってことを教えてくれたのか」
「さすが……理解が早いです」
ふむふむ……今度ケルロスとクイックにもやってみよ〜。
「ありがとうハルト……これは貰っても?」
「はい。この石であれば沢山あるので大丈夫です」
沢山……てかこれ何に使うんだろう。まぁいっか。
「それじゃまた今度ね!」
「はい!」
識別石か……あっあの化け物にも使ってみるか、死んでるから光るかわかんないけど。
コツコツコツコツ。
「まぁ多分無理だろうなぁ……光ったら逆に怖いし」
俺は2体の魔獣の前に立って石を置いた。
蟻地獄みたいな方は反応無し……サソリは。
適当にホイッと置いた石が黄緑に光った。
「!? なんでだ?」
死体でも魔力を宿している……? というか……この魔獣が4属性全ての適性を持っている存在だと? もしくはありえない適性を持っているっていうのか?
これを作った奴は何者だ……魔力強化で魔力を与えていたとするなら操っていた奴がありえない適性を持っているという事になる。
ありえない適正に超遠距離からの正確な攻撃……。
魔王クラスのヤバいやつである可能性を考慮するべきだな。
現在のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ
深淵蟒蛇Lv2
所持アイテム星紅刀
《耐性》
痛覚耐性Lv5、物理攻撃耐性Lv9、精神異常無効Lv7、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv8
《スキル》
支配者、知り尽くす者、諦める者、混沌監獄、研究部屋 、極限漲溢 、魔法無効
《魔法》
火炎魔法Lv8、水斬魔法Lv8、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、回復魔法Lv10、破壊魔法Lv8、幻影魔法Lv9、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10
《???》
強欲、傲慢
《資格》
管理者-導く者
《称号》
神に出会った者/神を救った者
ケルロス・ミルキーウェイ
赫々白狼Lv3
《耐性》
痛覚無効Lv5、状態異常耐性Lv9、物理攻撃無効Lv2、魔法攻撃無効Lv8
《スキル》
信頼する者、不達領域、完全反転
《魔法》
風新魔法Lv10、風斬魔法Lv10、風流魔法Lv8、稲妻魔法Lv8、創造魔法Lv6、光魔法Lv10、神聖魔法Lv7
《???》
嫉妬
クイック・ミルキーウェイ
冥紅土竜Lv3
《耐性》
物理攻撃無効Lv1、精神異常耐性Lv9、魔法攻撃耐性Lv1
《スキル》
吸収Lv2、放出Lv2
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv1、風斬魔法Lv8、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv7
《???》
喰らい尽くす者Lv4




