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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
六魔王編
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73話 信淵戦争・刹那

王城扉前


「誰か止めろ!」

「なんなんだこの女は!」


俺の後ろでは大量の死体が転がっている。

多分……こんなに殺したのは初めてだな。


「王城に入れるな!ここで食い止――」


先程まで威勢よく話していた妖精の首が跳ねる。


「逃げたきゃ逃げていいぜ……まぁ逃がす気はねぇけどな」


ダークオブランス!

貫け闇の槍よ……妖精達の息の根を止めろ。



これが扉か……妖精の割に結構デカイな。

俺は腰につけている刀を抜き扉を両断する。


「なっ!?」


中には兵士や民間人の妖精だろうか?ここに避難していたのか。


「貴様! どうやってここに!」

「ここはクロン・ラントエール様の城であると……」

「俺の前でその名を口にすんじゃねぇよ」


あっ……耐えきれず殺しちゃった。

まぁ……いっかこいつら全員殺す予定だし。


「ひぃ! 貴様はなんなんだ! 何者なんだ!」


俺? 俺かぁ……。


「俺の名前はノーチェ・ミルキーウェイ! お前たちの主を殺し! この国を破滅させる者だ!」


そう言い終わると同時に無数の闇で作られた槍が妖精を貫いていく。

辺りは血で塗られ……もう息のあるものはいない。



俺は足元にできた血の海をなんとも思わずに進む。

いや……少し汚いって思ったけど。

……この国に生存者なんて残さない。誰も生かして帰さない。



しばらく歩き続けると豪華に飾り付けをされた扉が見えた。

こういうのはあれだ……きっと玉座だ。てかなんで俺はこんなに玉座で戦うことが多いんだろうか。王に反逆する者とでも言いたいのだろうか。


「アイス・ランス」



「おやおや……王の部屋に入るというのに随分と酷い開け方をするじゃないか」

「手で開けるのが面倒だったんでな」


あれがクロン・ラントエール……羽は昆虫のそれだな妖精と同じ。大きく差があるとすれば黒い目と角か。


「それで……何しに来たんだ?降伏を願いにでも来たか?」

「はは! 冗談が下手だなぁ……そんなもんのためにここまで来るわけねぇだろ」


舐めた野郎だ……それとも余裕か? まぁどっちでもいいさどの道こいつは死ぬんだから。


「そうか……それは残念だよ」


クロンが立ち上がり武器を持つ。

鎌……死神の鎌かよ……デカすぎだろ。


「せいぜい楽しましてくれよ!」

「いいぜ! 遊んでやるよ!」


クロンの鎌と俺の刀がぶつかり合い火花が散る。

鎌を器用に回転させてやがる。

下手に刀を刺せばそのまま腕ごと持ってかれるな。


「氷牢!」

「ブレイク・スラッシュ!」


破壊魔法!?いやそんな威力じゃねぇぞ今の!


「どうした! そんなもんか!」

「ちっ……」


破壊魔法の上か。まぁいいさそれなら魔法を使う暇なんて与えない。

接近戦だ!

この鎌……よく見てみればなんとなく攻撃の軌道がわかる。1度鎌に刀を引っ掛けるか。


パンッと大きな音がなり俺の刀が弾かれる。


「ん?」


変な手応えに一瞬だが目を逸らしたな。要するにかかった! ってやつだ。

俺は人化を解除してクロンの持つ鎌を取り上げる。


「なっ! お前」


取り上げた鎌を投げ捨て落ちてきた刀をしっぽで上手くキャッチする。


「まだだ! 氷龍!」

「大火災!」


辺りは真っ白な煙に包まれ両者の姿は見えなくなってしまった。

蛇だからできる熱感知さ……これでこっちは位置がわかる。

俺は刀を振り下ろしクロンの――


「ブレイク・デスダンス!」


水蒸気が!?


「見つけたぜ……!」

「闇裂け!」


危ねぇ……まさか周りの水蒸気すら消せるとは。


「今度はこっちから行かせてもらう」


鎌を!? いつの間に!


「デス・スラッシュ!」


魔法の斬撃! これは避けないとやばい。


「ほらほらほらほら! 避けてるだけじゃ俺に攻撃は出来ないぞ〜」


腹立つ言い方しやがるクソ野郎!


「岩落とし!」


クロンの真上にある天井を崩したが……。


「ブレイク!」


この程度効かないよねぇ。

仕方ない切り札をひとつ使うか。


「横溢!」


横溢は使用する魔法とスキルの魔力量を極限まで増やす技。威力は増すが消費魔力が増えるんで魔力切れが早くなる!

さらに!


「絶無!」


これで相手は魔法を使うのに俺には全く効かない最悪の状態が完成!

まぁ……相手の魔法が効かない代わりに俺も使えないけど。



「……お前なにかしたな」


あれから10分ほど避けまくってたけど……正直やばかった。

スキルの自動使用がなかったら30回くらい死んでだと思う。


「気付くのが遅かったな……お前の残り魔力はどのくらいだろうなぁ!」


こいつの敗因は慢心だ、俺が避けに徹しているからギリギリだと思ったんだろう……まぁギリギリだったけど。


「ちっ……それが狙いだったか。まぁいい」


はやっ!?

クロンの鎌をギリギリで回避する……しかし俺の頬は少しだけ切れている。

まじか……目で追うのもギリギリだったぞ。


「これが魔王だ……お前程度が勝てる存在では無い」


今までは力を隠してたのか……。


「だとしても! 俺はお前を殺すと決めたんだ!」


鎌と刀が目にも止まらぬ速さで交差する。

早い! 明らかにこっちが押されてる。正直戦っているように見えるが俺は相手の攻撃を受けるのが精一杯だ。


「ほら! どうした! もっと攻撃してこいよ!」


舐めやがって……くっそ! こんな時に背の高さを呪いたくなるなんて!

体格差もあり俺は防戦一方だった。それもそうだクロンと俺じゃあ大人と子供今この状況で耐えている俺の方が異常だわな!


やばい……このままだと。


……弱気になるな! クイックの……仇をうつんだ。……そうだ。クイックを助けるために!


「あぁ!」


俺の一撃ただ思いを乗せただけの軽い一撃鎌は少し離れるが俺の刀も弾かれる。体をガードする武器が両者共に離れる。そんな時何が勝敗を決するか……単純な速さである。


グシャッ!


俺の肩から腰にかけて大きな切り傷ができる。そこから血が勢いよく吹き出した。


「ははははは! 高々蛇風情が調子に乗るからこんなことになるんだ!」


クロンの笑い声が俺の耳を貫く。


くっそ……。

血の気が引いていく……これはよく知っている感覚。化け物蜘蛛で……ゼーレスクダンジョンで味わった死の感覚。


「はっ……はっ……はぁ」


呼吸が苦しい……傷が肺まで到達してる。


「はははは! 愚かだなぁ! 仲間を助ける為にここまで来たんだろうが無駄骨になってしまって! そして! これから見るのは共に来た仲間たちの死体だ! ノーチェ・ミルキーウェイ……お前はここで終わりなんだよ!」


終わり?……この俺が?


「もうどうせ仲間は救えないんだ! 諦めて早くくたばれ!」


ケルロスが……居ない。クイックも救えない。俺がここで。

手に力が……。



「もういいんじゃない?」


これは……。


「頑張ったでしょ」


この声は。


「諦めなよ……大体さ俺は普通の高校生だよ? よくここまでやったって」


俺が1番嫌いな奴の声。


「ほら……もう全部捨てちゃお」


全部……もう全部。



「……絶望した目! あっははははは! いいなぁその目だ! 俺はその目が見たかった! 最後にお前は最高の贈り物をしてくれた!」


クロンの汚らしい笑い声が俺の耳に響く。

けどもうそんなことどうでもいい……や。



謀る者の条件を全て満たしました。

謀る者が進化しました。

見下す者を会得。

見下す者の条件を全て満たしました。

見下す者が進化しました。

傲慢を会得。

横溢、絶無が諦める者に進化しました。

諦める者の効果は知り尽くす者を会得しているため発動しません。

強欲と傲慢を会得。

特殊スキルを解放。

支配者を会得しました。



「……」


支配者……発動。



支配者スキルを発動しました。

空間支配完了。周囲の魔力を回復に使用します。



俺の周りに光が集まる。その様子を見たクロンは何が起きているのか全く理解出来ていないようすだ。


「なんだ! ……何が起こっている!?」


そして俺の傷口は……塞がっていた。



始祖蟒蛇から進化可能です。

--------に進化しますか?



ったくこれも進化先不明かよ。まぁいいさ……進化。



……

深淵蟒蛇に進化しました。

情報不明。

深淵蟒蛇に進化した影響で支配下にいる生物のステータスが大幅に上がりました。



そうか……まだ諦めるなってことかよ。

いいぜ、ケルロス……クイック。俺はもう少しだけ頑張ってみることにするよ。



見た目が変わった……少し髪の白い部分が増えたか……それに背丈も145cmいや150cmくらいか? とにかく確実に伸びている。


「何が起こったかは知らないが……そんなもので私を越えられると思うな!」


クロンが俺に向かって鎌を構えて突撃する。速度は変わらない。俺を追い詰めた全身全霊、全力の攻撃。先程の俺はこの攻撃によって敗れた、よって勝ちは確定事項だと……思っていた。


カチャン……。


鎌を……止めた。しかも片手で軽く……。

俺はまるで赤子の攻撃を手で防ぐかのごとく柔らかく丁寧に鎌を止めたのだ。


「……もうその攻撃は見た」



背中に氷を詰め込まれたような寒気に襲われる。

これはなんの感情だ……これは一体。

魔王として君臨し忘れていた感情……本能的な恐怖。

頭では理解出来ていないけれど体は過去の恐怖体験を思い出し震えている。


「は……ははは! 武者震いか! お前を同等と見たという訳だな!」



俺の目は酷く冷たい。同格?もう……お前は格下なのだ。


「叫べ! 呪え! 呪怨交奏曲!」


鎌を大きく振り気持ち悪い色の斬撃飛ばす。

しかしそんな攻撃……今の俺には……。


「……斬」


春に吹くそよ風と同じだ。


「……!」


言葉にならない驚愕……魔王はやっと理解した。これは俺を超えたのだと。


「クイックの件お前の命で許してやるよ。」


俺は力を込めて刀を下ろす。魔王の命はここで……。


「待て! 今ここで俺は殺せない!」


命乞い……そんなものが今更。


「俺を殺せば呪いは暴走する! お前の大切な仲間が……国の民を殺す姿は見たくないだろ!?」


俺の刀がクロンの髪を切った所で止まる。

どうせ戯言だ……嘘に決まっている。しかしそんなことは憶測でかない。こいつを殺して本当にクイックが暴走したら……。

そう考えると俺は刀を振るえなくなってしまったのだ。


現在のステータス

ノーチェ・ミルキーウェイ

深淵蟒蛇Lv1

所持アイテム星紅刀

《耐性》

痛覚耐性Lv5、物理攻撃耐性Lv9、精神異常無効Lv7、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv8

《スキル》

支配者、知り尽くす者、諦める者、混沌監獄(ユニオンプリズン)研究部屋(マイワールド)極限漲溢(ルプトゥラ)魔法無効(アンチエリア)

《魔法》

火炎魔法Lv8、水斬魔法Lv8、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、回復魔法Lv10、破壊魔法Lv8、幻影魔法Lv9、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10

《???》

強欲、傲慢

《資格》

導く者

《称号》

神に出会った者/神を救った者


クイック・ミルキーウェイ

冥紅土竜Lv1

《耐性》

物理攻撃無効Lv1、精神異常耐性Lv9、魔法攻撃耐性Lv1

《スキル》

吸収Lv1、放出Lv1

《魔法》

火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv1、風斬魔法Lv8、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv7

《???》

喰らい尽くす者Lv1

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