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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
六魔王編
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72話 信淵戦争・開戦

フィデース信栄帝国はアル・フォレストに頼み込み俺がいない間守護してもらうこととなった。さすがに2万のエルフ連れてきた時はもっと少なくていいよって言ったけど。


そして……コロリアン妖精圏の協力により敵の戦力把握もできた。ローチェス深淵国は大陸の東に位置する国で兵隊の数はそこまで多くないとのこと、まぁそれでも1万超えてるらしいんだけどね。正直な話真正面から戦うつもりはない。

作戦としてはフィー率いる牙獣大隊、黒森人大隊と傀儡大隊を国の正面に配置時間稼ぎをする。その間に黒翼大隊と百鬼大隊で街に侵入、俺がクロンを殺す。単純だが速度重視の戦いだ……油断はできない。



「こちらフィー・サレリアル。準備できた」


これはドワーフに何とか作ってもらった無線距離的にはまだまだ問題があるとはいえ今回の戦闘では十分だ。

フィーの大隊はあえて見えやすい位置に配置した敵も既に気付いている。


「いいの? ノーチェ結構高いけど」

「今はそんなこと言ってる場合じゃない」


俺はエレナの背に乗ってローチェス深淵国の様子を見ている。

魔王と思わしき奴はいないな……王城で呑気に待機中か?


「よしエレナ俺達もそろそろ行こう」


エレナと俺はローチェス深淵国の少し外れで隠れていた仲間と合流してゆっくりと進軍を開始した。



「うわぁ……うじゃうじゃ出てきた」

「今回私達の目的は足止めだ! 攻めすぎるなよ!」


フィー・サレリアルはいつもの軽装に比べると少し重たそうな装備をしている。これはサレリアル家に伝わる鎧らしく並の獣人であれば重くて素早さを失ってしまう。しかし進む者で力を増しているフィーには使いこなすことは容易である。



「それで? フィー・サレリアル殿……私たちはどうしますか?」

「その言い方やめてよエリーナ」

「はいはい」


まず敵の戦力把握から……。


「テグ!」

「かしこまりました」

「ホョル! ドロブ! 壊された痛みを返す時です。」

「「了解」」


ホョルとドロブが全軍の最前列に移動する。


「幻覚魔法。落転」

「稲妻魔法。ライトニング・スピア」


2人の放った攻撃は魔物達の3分の1程を削ることに成功した。


「おぉ〜これは凄い魔物たちがみるみる落っこちてく」

「それだけじゃない、あっちはみんな丸焦げよ」


まぁ……知能のない獣は敵じゃない問題は。


「全軍突撃」

「「「「「「おおおおおお!」」」」」」


「本丸が来る! テグは支援! エルフは弓で牽制だ。牙獣大隊は近付いた敵を殲滅する!」


地面を揺らす音……大きな波が近づく。しかし私は笑みを浮かべていた。


「ノーチェの改良版さ!」


あえてこっちは水流魔法で水浸しにしてあるんだ。何をするのか? それは単純。


「ネグ!」

「氷結魔法。アイシクル・ワールド」


「足が!」

「火炎魔法で早く溶かせ!」


動きが止まった。


「エリーナ! テグ!」

「全員放て!」

「全体発射」


矢と弾丸の雨……それにこのふたつはただの矢と弾丸じゃない。ノーチェはこんな戦い方好きじゃないだろうけど矢には毒を弾丸は炸裂弾? とか言うのを使ってる。


まぁこの攻撃で半数位は削れたけど。


「奥のでかいヤツは出てこないわね」


恐らくあれが指揮官。なにかしてくる様子はないけど警戒しておかないと。


「とにかく今は数を減らす! 手を緩めるな!」



ローチェス深淵国裏門


「なんだお前たち!」

「あらぁ……見たことないかしら〜?」


裏門は黒翼大隊が切り開く。そして兵士を殺した後……。


ドゴンッ!


「なんだ!?」

「裏門が壊されたのか!?」


百鬼大隊で中の兵士達を一掃する。


「テレジアの仇!」


エーゼルもイヴィルもバールも正しく鬼の形相だな。


「お前! 何者だ!?」


ったく人がわざわざ軍服みたいなの着てやってんだから見た目でわかってくれよ。


「敵だよ」


氷柱破刃


「さぁ……殺戮を開始しよう!」



街は地獄絵図だ百鬼大隊と黒翼大隊の連携によって家は壊され動くものはことごとく破壊されている。

まぁだからって同情とか全くないけどね。


「そろそろ王城にでも向かうかぁ」

「それを許すはずないだろ!」


少し強そうな3人が俺に向かってくる。

威勢がいいのは結構だけど後ろはよく見た方がいいよ


「「「ノーチェ(大将)(主殿)の! 邪魔しないで(すんな)(です)!!」」」

「ありがとう3人とも……それじゃあ俺はクロンとか言うのぶっ飛ばしてくるから」


3人は背を向けたままこちらを見ない。多分それが1番やるべき事だと理解しているから。


「さぁ……こっから先は通さねぇぜ」

「ノーチェの頼みだもの」

「主殿……守ります」


全く……頼もしい奴らだよ。



「フィー……どうする?」


動かない……なんでだこっちは相当削ってるはずなのに。


「……まぁ私達は足止めだから、無理に攻めることは無いよ」


その時だった。


バコンッ!


右側から爆音のようなものが聞こえた。


「何が起きた!?」

「こちらテグです。敵が岩を投げてきました」


岩!? そんなもの届く距離じゃ……さっきのデカブツか!

このままじゃ全員岩に潰される……。

どうする……どうする。こんな時クイックなら……ノーチェなら。



「仲間を信じろ」



……仲間。


「エリーナ! ここで敵を抑えてて!」

「えっ!? あっうん! わかった!」

「牙獣大隊! あのデカブツを3分で叩く! 全員付いてこい!」


獣達の吠える音と共に私は敵陣へと走っていった。


「やっぱりフィーはああじゃないとね」



「周りにいる雑魚は気にするな! 私たちには追いつけない! 前だけ見ろ! あのデカブツを切り刻むんだ!」


私の言葉に鼓舞されて獣人たちの速度はさらに上がる。

周囲の魔物達は私を目で追うのがやっとで動くことも出来ない。それどころか上から降ってくる矢、大量に発射される弾丸をどうにかしようと考えて私所では無い。

とはいえ敵陣の大将が居るとなればそこには当然護衛も存在する。


「フィー様! ここは我々が!」


馬の獣人がそう言うと部下を何人か連れて敵陣に突っ込んでいった。


「後ろを見るな! 前を見ろ! あいつを倒さなければ全滅だぞ!」


1人……また1人と私を進めるために消えていく。


みんな……。くっそ!


私はそれでも止まらない……いや止まれない! 倒さなければならない敵を目の前に止まることは出来ない。

私がもっと強ければ! ……私が! 私が!



条件を満たしました。

猫王から進化可能です。

----------に進化可能。



……進化? ひとつしかない。それに名前も。けどそんなこと……私はみんなを守るんだ……クイックが出来なかったことを私がやる!



----------に進化しました。



私の周りに風が吹く。その風は土を舞いあげて戦場に大きな竜巻を作り上げた。

何が起きたのかと敵も味方も私が居た方向に目を向ける。



そこには長く伸びた赤い髪を輝かせながら佇むフィー・サレリアルが居た。


「フィー!? 何が起きたの……」

「恐らくですが……あれは進化だと思われます」


進化……フィーが進化した。あんな髪が伸びて背も高くなって綺麗……。



「暗帝赤虎……」



暗帝赤虎に進化しました。

毛並みの王を取得しました。



「……これでノーチェやクイックに。いや今は目の前に集中しないと」


恐らく直感的に理解したんだろう……魔物達が一斉に私へと向かって来た。


「斬撃……虎爪!」


魔物達は何が起こったかも理解出来ずに切り刻まれていった。


「……これなら戦える。これなら……勝てる!」


私は先程とはうってかわりゆっくりと歩みを進めていく。もはや私の威圧に攻撃をしようとする魔物は現れない。


「……進化かそれにしても圧が随分と変わったな」


デカブツは重い腰を上げて私に向かっていく。

そして……私たちは一定の距離を保って静止した。


「……プリオル連隊総隊長。フィー・サレリアル」

「ローチェス深淵国守備部隊、隊長アイン」


戦闘が止まる。互いの大将がぶつかり両者と共にその行く末を見届ける。これで決まる。この戦いがこの勝敗を分ける時だ。



先に攻撃を仕掛けたのは私だった。神速と斬撃を合わせた大胆な攻撃真正面から向かっていく。


「甘い!」


アインはその攻撃を軽くいなして宙に浮いた私へと拳を突きつける。


「黒炎・爆!」

私が新しく得た能力……獄炎魔法。その力の特徴は圧倒的な火力と破壊力だ。


「獄炎魔法!?」


私の攻撃がアインの腕を破裂させる血は炎により蒸発して肉の焼ける匂いが漂う。


「そうか……お前牙の王への資格を、ははは俺もついてないな」

「関係ないさ……そんな資格あってもなくても私はお前を殺してる」


アインは豪快に笑い持っていた大剣を抜いて私に突撃する。


私は腰に着けていた短剣を抜いた。


ノーチェが戦う前に渡した短剣……。


「これは俺とクイックからだよ。フィーは武器がなかったから2人で1本ずつ作っておいたんだ。本当はもっと後に渡すつもりだったけど……今のフィーなら渡せるから」



「空切り!」


アインが空高く剣を上げ私に切り掛る。


「牙折り!」


私の放ったふたつの斬撃はアインの剣を両断し……そのままアインの体を真っ二つに斬り裂いた。


その様子を見た魔物達は我先にと逃げ惑う。


「……ノーチェからの命令なんだ。足止めが容易なら、全員殺せって」



「さぁみんな! 魔物達を狩り尽くすわ! 矢を放って!」

「全員引き金を引いて……害虫駆除の時間です」


指揮系統の混乱……魔物はわけも分からず巨大な波に飲み込まれて……死んでいった。

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