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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
革命編
64/261

64話 ルリアの森革命・勝利

ジェイの首が地面に転がる。

ついに自然の王を打ち倒したのだ。

アルは安堵と勝利の喜びを噛み締めて空を仰ぐ。

これで全てが終わった。エルフの国も将来もここから新しくなっていくんだ。



ルリアの森……都市部から外れた森の中。


「はぁ……はぁ。予想外だあそこまで強いとは」


恐らくあいつらは私の仮の姿を倒して安心しているはず。

1度体制を建て直してからフィデース信栄帝国とやらを滅ぼし反乱分子を皆殺しにしてやる。



ジェイの薄気味悪い笑い声が森の中に響く。

その声は誰にも聞かれることなく……。


「なぁクイック、あそこにしゃべる肉食植物がいるよ」

「うんうんそうだねいいから早く街に戻る道探してくれないかな」


何だこいつらは……敵の別働隊か? いや、見た目はただの人間だ。そうかこいつら長老共が寄越した奴隷商人だな! なら問題あるまい! 少し俺の憂さ晴らしに付き合って貰おう。

私は苛立ちからか大きな足音を立てながら2人に向かっていく。


小さい女の子と少しガタイが良いだけの男なぞ私からすれば敵では無い。慢心? いや違うこれは余裕だ、人間なんてただの玩具。いや人間以外だって私からすればただの玩具だ。もちろんこいつら2人もイライラとする気持ちを晴らすだけの道具でしかない。


男の方はさっさと殺して女の方は少し楽しむとするか……まぁ少し小さいがこの腹立たしい気持ちを落ち着かせるまでは付き合って貰うとしよう。

私のこの考えもただの余裕だ。こんな2人いくらでもどうとでもなると……心の底から思える。


「んっ!」


スパンッ


大きな音が鳴った。女の方が腕を少しあげた途端になった気がした。なんの音だ? 獣を驚かす笛か何かを持っていたのか?


まぁそんなことは関係ない早くあいつらを。

私はそこで初めて自分の体の違和感に気が付いた。

前に進んでいるはずなのに進めない、それどころか視点が随分と下がったような気がする。


不思議に思った私は地面に何かあるのかと思い下を見た。


「は?」

衝撃的な出来事だっただろう。先程まで付いていた美しい足が無くなっているのだから。


「足は? ……私の……足がぁぁぁぁぁぁ!」

「うわっうるさ!」

「叫ぶタイプの雑草は初めてだな」


いつもなら侮辱以上の言葉を掛けられていることに激怒し今すぐにでも首を切るために動くであろう私はそんなことどうでもいいくらいに自分の足が無くなっているという現実を直視出来ていなかった。


「お前達! お前達は何者なんだ!」

「おっ! クイック! 喋ったよ! あれレアじゃない!?」

「レアだったらどうするのよ」

「育てる!」

「あほか」


なんなんだあの無礼な奴らは! しかし今はそんなことよりも!


「いいから早く回復を掛けろ! 殺すぞ!」



こうなればジェイも必死である。回復魔法を持っていないジェイは自分の体を治すことが出来ない、となれば目の前にいるゴミ共に回復を願うしかない。



「そうだ! 今ここで私を治せば必ず礼を!」


ゴミ共にこんなことを言うのは癪だが仕方あるまい! これで私のことを。

しかしここで私は大きな間違いに気付く。


「え? 雑草助けてお礼とか何くれんの?」


こいつら……私の事を雑草と。



そう……この2人ジェイ・ティンバルンを見たことがないのだ。それどころか肉食植物と同じと思っている。そしてジェイは自分がしていた勘違いにもう一度気付く。


「もう時間も無駄に出来ないからとっとと帰るよ」

「え〜……じゃこれ燃やすから待って」


ノーチェの外したフードから獣の目が見える。

そうこの2人はか弱い人間などでは無いのだ。最初からジェイはこの2人を見た時に逃げるべきであった。それがジェイ・ティンバルンの人生最後で最大の間違いであった。


「大炎神!」



うーん変な植物だったなぁ。


「てかあっちから声聞こえるけど全部終わっちゃったんじゃないの?」

「えっ……」


やば……俺なんもやってない。


「……ノーチェ、今回俺たち雑草退治しかしてないけど」

「ん〜……」


けど雑草退治も大切だしぃ……。


「今回ばっかりは……やらかしたでしょ」

「いやぁ……雑草っていうのは周りの木の養分を吸い取ったり」

「次言い訳したらどうなるかわかってるよね」


あっ目がガチだ……。


「……ほんとすんませんした」


俺達はその後アル達と合流してそのまま宴を開くことになった。



「ちょっとノーチェどこにいたのよ?」


エレナが心配そうに駆け寄ってきた。


「へ? 俺!? 俺はえっと」


どうしよう……何もしてませんでしたなんて言えないよ。


「俺とノーチェはジェイが他の王と強力して攻めてる可能性を考えて森の周りを警戒してた。直接戦闘に参加できなくてすまない」


クイックぅ〜なんだかんだお前は優しいなぁ。


「あらそうなの……せっかく私のファイヤーアロー見て欲しかったのに。」


エリーナの純粋な目が痛い!


「あっ……あ〜今度見せてね」


「ノーチェ……これ貸しにしとくから今度返してね」


……。


「はい」


クイックに借りが出来てしまった。まぁ無理な事とかはやらせないだろうし近いうちに返そう。


「ノーチェ様!」


この声は


「アルかどうしたんだい?」


アルは目をキラキラさせながら俺を見ている。


「是非こちらに! エルフのみんながお礼をしたいと言っています!」


そういうとアルは俺の事を無理やり引っ張って行った。



「それで……どこほっつき歩いてたのよ」

「さすがにエレナにはバレてたか」


上手く隠したつもりだったんだが……まぁノーチェは嘘が下手だしな。


「いやまぁ……ちょっとノーチェの勘が外れただけだ」


……間違ってはいない。


「そう……珍しいわね」


けどなんて言うか少し安心したんだ……ノーチェはノーチェだった。昔もこうやってやらかすことあったから。


「……なんだか満足そうじゃない」

「そうか? ……いやそうかもな」


奥でノーチェが胴上げをされている。

あぁ……あの笑顔を見るためなら俺はなんだってできるよ。

だからノーチェは俺の為にずっと笑って居て欲しいんだ。


「……本当に馬鹿で真面目で……優しいんだから」

「なんか言ったか?」

「なんにも言ってないわよ」



そんなノーチェと貴方だから私達はついて行ってるのよ。なんて口が裂けても言わないけどね。


「クイック〜! エレナ〜! 何してんだよ〜! お前らもこっち来て騒ごうぜー!」


ノーチェの元気な声が森に響く。


「大将! ありゃ邪魔しちゃダメなやつですよ!」

「ん〜? 2人は付き合ってるのか〜?」

「はぁ……イヴィル、フィーやめなさい」


エリーナが呆れた様子で注意する。


「うっす。」

「はーい」

「はは、今行くよノーチェ!」


……ありがとう。こんな私を助けてくれた2人にこんな生活を与えてくれたみんなに……ありがとう。


「どうしたんだ〜? エレナも来るんだろ〜」

「えぇ! 当たり前でしょフィー」



エルフの国……ルリアの森は今日新たな王としてアル・フォレストが選ばれた。称号は森の王から自然の王に変更されこれから貧富の差のない素晴らしい国が作られていくだろう。


また……今回の革命直後フィデース信栄帝国とルリアの森の同盟関係が発表された。

今まで辺境の地にある国として世界各国の目は向けられなかったが新しい王が決まってすぐの成立であった為注目が集まった。


これらの事件に他の国の六王は無反応でありフィデース信栄帝国の評価も賛否が分かれている。

しかし1つ言えることがあるとすれば、今まで影で静かに動いていた国が表舞台へと姿を現したということ。


これが一体何を意味するのか……それは誰にもわからない。



現在のステータス

ノーチェ・ミルキーウェイ

始祖蟒蛇Lv8

所持アイテム星紅刀

《耐性》

痛覚耐性Lv3、物理攻撃耐性Lv7、精神異常無効Lv7、魔法攻撃耐性Lv7、状態異常無効Lv10

《スキル》

知り尽くす者、混沌監獄(ユニオンプリズン)研究部屋(マイワールド) 、横溢Lv7、絶無Lv7

《魔法》

回復魔法Lv8、幻影魔法Lv9、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv6、氷結魔法Lv10、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、闇魔法Lv8、深淵魔法Lv10

《???》

謀る者Lv9、強欲

《資格》

導く者

《称号》

神に出会った者/神を救った者


クイック・ミルキーウェイ

赤岩土竜Lv8

《耐性》

物理攻撃耐性Lv6、精神異常耐性Lv8

《スキル》

探索Lv8、隠密Lv8、地面操作Lv8、神速Lv2、限界突破Lv1、回避Lv8、体術Lv8、斬撃Lv8、集中Lv7、追跡Lv5、空間把握Lv8

《魔法》

火炎魔法Lv8、風斬魔法Lv7、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv7

《???》

食す者Lv5

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