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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
革命編
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57話 残酷な事実

「で? この子が例の?」

「そう資料を奪った子」


ガロリアとエリーナに知り合いか尋ねたが2人共見た事はないらしい。


「てことは本当にルリアの森から来た敵? ってことになるのかな」


会議室の空気が一瞬変わる。


「まぁ最悪ルリアの森を焼きに行くか」


クイックさん!? ガロリアとエリーナも居るんだよ!?


「風向きの指示なら任せて」


ダメだエレナまで。


「お前達なぁ」

「そうですな……どこに火を放ちますか」

「ガロリアさん!?」


あなた故郷ですよね!?


「ダメでしょそんなことしたら」


あっ良かったエリーナはまともだ。


「誰が逃げ出したら対処出来ないわまずはここで包囲網を」

「もうええわ!」

「なんだお前ら事前に打ち合わせでもしてんのか!」

「何言ってるの? ノーチェ……私たちは至って真面目よ」


……えっ!? 俺がおかしいの? なんでそんな目で見るの!?


「とにかくそんな物騒な事はしないから。ひとまずはこの子が目を覚ますのを……」


そこには短い剣で腹を切ろうとしてるエルフがいた。


「アウトォォォ!」


俺はその剣を慌てて取り上げる。


「何してんの!?」

「敵に捕まれば辱めを受けるのは世の常! そんなことをされるくらいなら自ら命を!」


エルフは2本目の剣を取り出す。


「馬鹿馬鹿馬鹿! ちょっと待とうか! 誰も何もしないから! お話したいだけだから!」


このエルフ力強くね!? クイック程じゃないけど俺と五分五分なんだけど!


ドンッ……。


エレナの蹴りがエルフの顔をスレスレで通った。


「はい回収……それじゃあ席に着いてちょうだい」


……回収って蹴り飛ばしてましたよね、ほら見てそこの壁に剣突き刺さってるから!

エルフさんもびっくりして固まってるよ……もうどうすんのこれ。



「えっと君の出身は?」

「……」

「あ、あ〜名前はなんて言うのかな」

「……」

「なんで資料盗んだの……かな?」

「……」

「よしノーチェ殺そう」

「待て待て待て!」

「けどこう一言も話して貰えないと困っちゃうわねぇ」


うーん……どうしたものか。


「……なぁ大将テレジア呼べばいいんじゃねえか?」


会議室が静まり返る。


「それだわ」



「はい、大体分かりました」

「なっ! なんだこいつは!? 俺の心を読んだのか!? この卑怯者め!」


俺はエレナに視線を合わせた。


「わかったわ〜……はい僕ちゃんちょっと静かにしててね〜」


……あれは拷問というよりご褒美では?


「それであの少年はルリアの森に住むエルフで5人の長老からの命令でこの国に侵入したようです」


5人の長老?


「エルフの森を仕切ってるのは六王の1人じゃないのか?」


クイック、ナイス質問


「そこに関しては俺が説明しよう」

「確かにルリアの森の最高権力者は六王の1人自然の王ジェイ・ティンバルンだ。しかしジェイはルリアの森の統治はしていない」

「統治をしてない?」

「あくまでジェイ・ティンバルンはエルフの頂点と言うだけで政治は長老達が行っている」


なるほど……要するにジェイはトップであるけど政治には関与してないのか。てことはエルフを差し向けたのは六王では無い……か。


「というのが表向きの話、裏では5人の長老はジェイの操り人形で政治も何もかも全てを操っていると言われているわ」


ん〜……エルフ政治複雑すぎぃ。


「ぷはぁ! 違う! ジェイ様は崇高な御方だ! お前達エルフこそこんな地で何をしている!」


ジェイという男は随分と慕われているんだな。


「あなた……都市部の産まれでしょ。それならまぁ仕方ないか」


棘のある言い方だ……多分故郷でも何か……。


「都市部も田舎もあるか! 我々エルフはジェイ様の意思に従い全てを捧げて!」


そこまで言うとエリーナがエルフの胸ぐらを掴んだ。


「全てを捧げるって言うのはねお互いがお互いの全てを捧げてくれる相手に言うのよ!」

「……」

「ジェイが何をしてくれた!? 私の故郷が人間たちに攻められて長老達に助けを求めた時になんて言われたか分かる!?」



「南部の森? あ〜あの田舎か……ジェイ様はそんな所に興味はない。そうだこれを機に使えない住民は人間に売り払うか!」

「それはいいですね!」

「「「「「あっははははははは」」」」」



「そんな……。いやそんなことあるか! ジェイ様がそんなこと!」


エリーナ……泣いて。


「じゃあ私達はなんで助けて貰えなかったの!? あの後村に大量の人間が来たのはなんで!? ルリアの森は……安全だったんじゃないの……?」


泣き崩れてしまったエリーナをガロリアが抱きしめる。


「……ジェイ様はそんな」


気まずい空気を破ったのはテレジアだった。


「……続きですがこの少年はフィデース信栄帝国の新型武器や産業について調べるように命令されており……」


そこまで言うとテレジアは口を閉じてしまった。


「どうしたんだい?全部言ってくれていいよ」

「……危険な国であると判断された場合は早急に軍を派遣し殲滅するとの事らしいです」


はぁ〜……国ができて挨拶もなしにもう滅ぼすの? ちょっと気が早すぎじゃない?

頭痛くなってきたわ。


「ノーチェ……」

「いやぁ……どうするかなぁ、この子をルリアの森に帰さないと監禁してるのバレちゃうし。けど危険って言われたら俺達が滅ぼされちゃうし」


いやもうここは開き直るか?


「……エルフの少年……君の名前は?」

「……アル」

「そうか……じゃあアル、この国を見てどう思った?」


……この反応によっては対応が変わってきてしまう。最悪心理掌握で無理やり。


「……どうせ嘘ついてもそこの目だらけ女にバレるからな。まぁ発展力だけで言えば正直尊敬すらしている。ルリアの森の食料事情や階級による貧富の差なんかもこの国に比べるとものすごく酷く感じるよ」


おっ……割と好印象これなら。


「けど! あの商業地区にあった兵器、あれは危険だ」


はぁ〜やっぱり上手くいかないよなぁ。


「それで? 君の最終的な評価は?」


俺は半分諦めた様子で聞いてみる。


「危険だから滅ぼす」

「よし殺そう」


それと同時にフィーの爪がアルに向く。


「やめろフィー」

「えぇ〜なんでだぁ〜国が滅ぼされちゃうだぞ〜」


わかってるよ……ってじわじわ爪を近付けないの。


「だ、大体! こんな化け物みたいな奴らがまとめる国なんて! 危険じゃない訳が無いだろ!」


その言葉を聞いた俺以外の全員がアルにものすごい殺気を向ける。


「ひぃ!」

「はいはいお前ら落ち着け。こんな小さい子脅かしてどうすんだよ」

「いやノーチェ……この人私より年上よ」


エリーナより上なのかよ!


「ふっ! どうせ俺が帰ってこない時点で国から兵士が呼ばれるんだ! お前達なんてあっという間に滅ぼされるんだからな!」


なんだろうこの滲み出る小物臭。

攻めてくるか……いや待てそうか! 先手を打てばいいのか。


「よし! いい案が浮かんだ!」


それを聞いた全員がこちらに注目する。


「テレジア、アルがルリアの森に帰るのはいつになっている?」


テレジアはアルに近付き腕の目を開く。


「明後日ですね」

「よし。ガロリア! エリーナ! ルリアの森の都市部まで案内できるか?」

「お任せ下さい」


よしよし……これで上手くいくはずだ。


「ノーチェ? 何するつもりだ?」

「大丈夫すぐにわかるさ」


エルフの国に戦争を起こさせずさらに仲良くする方法がな。

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