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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
革命編
55/261

55話 嵐前

「わかった……クイック俺服屋入るからここだけはやめよう」

「え? エレナのおすすめだよ」


もうその時点でアウトだけど店の名前が……。


『ハッピーハーピー』


全然上手くねぇし、隠せてもいねぇし!

そんなことを考えていると店の扉が開く。


「あら〜いらっしゃい」


知ってたよ! 何その自慢げな顔! バレてるから!


「エレナ? なんでここに?」


嘘だろクイック……。


「私ここでお店開いたの、今日が初営業よ」

「すみません……胃が痛いんで帰っていいですか?」

「はい2名様ご案内〜」


今度絶対にこの借りは返すからな。

……中は落ち着いた雰囲気でいいんだけどなぁ。


「そのニヤニヤした顔やめろ」

「え〜だってぇノーチェちゃんが私の作った服来てくれるんだもん!」

「ノーチェちゃんって……それ他の人の前で言うなよな」


威厳的に駄目な気がする。


「なになに〜人がいなければ言ってもいいの〜?」

「ん? まぁその位はな」


一瞬店内が静まり返る。


「そ、そう。いえ……てっきり怒られると思ってたから」


じゃあやるなよ最初から。


「まぁいいわ雑談はこの辺にして」


エレナが指を鳴らすと他のハーピー達が大量の服を持ってきた。


「……え? これ全部着るの?」


返事こそなかったが俺はエレナの顔を見て全てを察した。



「全く酷い目にあったわ……」


あの後俺は散々着せ替え人形にされていた。

てか何? 後半の方水着選びだったけど……夏が近いから〜じゃないわ! あんな格好絶対しないからな!

そして気掛かりなことはもう1つ。


隣を歩いているクイックが一言も話さないこと。

最初の方は色々と反応していたのに後半の方は目すら合わせてくれなくなった。

引かれた? 俺引かれた? いやけどあれは俺悪くないでしょ……エレナの選んだ服着ただけだし。

っていくら御託並べても着たのは俺か……。


「その……付き合わせて悪かったな」


……なんも言ってくれない、どうしようこれのせいで口聞いて貰えなくなったら!

あっ無理……想像したら軽く死ねる。

もしそうなったらあの黒鳥焼き鳥にしよう。

……さすがに冗談だけど。


「ノーチェ」

「な、何!?」

「あっち行こう」


クイックが指をさしたのは約束の場所だった。



「あ〜……ここからの景色もだいぶ変わったなぁ」


クイックはあの一言からなんにも言わなくなってしまった。

まぁあの感じ俺に失望してるとかじゃないと思うんだけど。


「ノーチェ……」

「……どうした?」


クイックの顔……めちゃくちゃ真剣だ。



これ以上はダメだ……これ以上言ったら……きっとノーチェを困らせてしまう。

いつも優しくて強いノーチェはきっと俺を傷付けないように一生懸命考えてしまう。


「……クイック」


優しい声……。


「言ってみ」


ノーチェはいつもそうだ……洞窟で俺が敵なのかも分からないのに助けてくれた。ゼーレスクダンジョンでも俺なんか見捨てて逃げれば良かったのに助けに来てくれた。あんなボロボロになって死にかけてまで。


「俺は……!」

「ん? 何してるんだ2人とも!」



「フィー? どうしたのこんなところまで」

「いやノーチェの匂いがしたからここまで走って来たんだ」


全くこの子はしょうがないなぁ。


「はぁ……全くエリーナ! フィーのことはしっかり見とくように言ったでしょ!」

「だって! さっきまでお団子食べてたから平気かなぁって」


奥からエレナとエリーナが出てくる。


「お前ら何してんの?」


……なんか企んでたな! はぁクイックの様子がおかしかったのはこのせいか。


「全くお前らクイックに迷惑かけすぎんなよ」


それを聞いた2人の目は本当に冷たかった。


「……はぁここまでしてもダメとかちょっと心折れてきたわ」

「私も今のは来たわ」

「えっ? えぇどういうこと」


2人は呆れた様子でいなくなってしまった。

ってあれ? フィーも居なくなってる……エリーナが連れていったのかな?

俺は後ろで固まってるクイックに声を掛けた。


「クイックもあれだな本当にたいへ…….」


……。


「……」

「……」

「じゃあ俺先に帰るから! 後でな!」


……。

……。

へ? あれ今何され……。



ノーチェが触った唇はまだ少し熱を帯びていた。



「さて……」


俺たちは魔獣達との戦いで本格的に軍の整備をすることにした。


「と言っても部隊名の変更と人数調整なんだけどね」

「まぁいいんじゃない?例の戦闘で進化した子達も結構いるし」


そう前の魔獣達は最新兵器を試すだけでなく経験値まで食べさせてくれたのだ。

いやぁ……あの男は好きじゃないけど戦力強化に協力してくれた事は感謝しないとなぁ。


「ハーピー部隊は5人が進化、エルフは8人合計で16ね。あとは怪鬼さん達が」

「私とエーゼルです」


テレジアもエーゼルも見た目結構変わったなぁ。

テレジアはツノが2本になって薄い青色の髪が前と比べて腰あたりまで伸びている。瞳の色もちょっと赤くなったかな? エーゼルの方は身長が2m……50cmくらいになったか? あとは筋肉量も増えたように見える。これは新しい大剣が必要かなぁ。


「ちぇー私も進化できると思ったのになぁ」


イヴィルとバーンは進化できなかったのか……まぁそれも時間の問題だろ。


「鍛錬の差だな!」

「やんのかゴラァ!」

「はいはい落ち着いて」


いやぁエリーナも立派になってぇ感心感心。


「それはそうと怪鬼は進化するとなんて名前になるんだ?」

「あぁそうですね、私が羅漢鬼。エーゼルが熊鬼です。」


ふむ……名前を聞いた感じさとり妖怪から来てると思われる羅漢鬼、熊鬼は怪力ってところで鬼熊か? 怪鬼の怪は怪異って意味だったのかもな。

てかさとり妖怪ってことは第3の目とかあるのかな?


「ねぇテレジア進化で何か変わったこととかある?」

「変わったこと? あぁ腕に目が出来ました」


ギョロギョロギョロギョロギョロギョロ


お、おぉこれはなんともグロテスク……てかこれは百々目鬼ってやつじゃないのか? うーんちょっとズレてるのは異世界だからなのか?


「えっと……お見苦しいものをお見せしたようで」

「いや! 大丈夫! 大体そんなこと言ったら俺の方こそ化け物だし」


会議室が一気に静かになる。

あ、あれぇ笑いを取りたかったんだけど……なぁ。


「ノーチェさんはその姿が本来のものでは無いのですか?」

「え? あっそうか! テレジア達には見せてなかったね!」


俺は本来の姿である蛇に戻る。


「これが俺の本来の姿。まぁこの図体じゃ会議室を圧迫しちゃうから」

「普段はこっちの姿で生活してるんだけどね」


テレジア達が固まってしまった……まぁ普段は150cmの幼女が6m超えの蛇になったら誰でもビビるか。


「大将本当に龍じゃなかったんだな」

「まだ疑ってたのかよ」


他の3人はまだポカーンとしてるし話進めるか。


「まぁわかった戦力アップはいいことだからな取り敢えず部隊編成の見直しからやろうか」


そしてその後に決まった編成はこんな感じだ。

総隊長はクイックでその下にエレナ率いる黒翼大隊、ガロリア率いる黒森人大隊、フィー率いる牙獣大隊、テレジア率いる百鬼大隊、テグ率いる傀儡大隊と5つの大隊が配置されることになった。


「黒翼大隊が50人、黒森人大隊が500人、牙獣大隊が5人、百鬼大隊が40人、傀儡大隊が100人。総勢695名か」


大隊と呼ぶには数が少ないな。まぁこれでも迷子のハーピー達を国に招待したり奴隷商人に捕まっていたエルフを解放したりして結構増えた方なんだが。


「大丈夫さノーチェ。これからもっと増えていく、ノーチェ1人に辛い思いはさせないさ」


クイックが俺の肩に手を乗せて力を入れる。


「……あぁそうだな。まだ始まったばかりだったな」


俺はこの国をもっともっと強くしていくんだ。



エルフの国……ルリアの森。

長老会


「それで……最近起きた大きな出来事はこんなもんかのぉ」

「そうですね、人の国で勇者発見。妖精の国で大規模な改革。これだけの事件が立て続けに起きれば我々としても対処の仕方を考えねばなりません」

「それはそうと最近出来たフィデース信栄帝国とかいうのはどうなったんじゃ? 獣王国が魔王に攻撃されたとして世間が混乱している際にいきなりできた国じゃろ?」

「それに関しても調査中じゃ……今のところノーチェ・ミルキーウェイとかいう謎の人物が盟主を務めていること以外何もわかっておらん」


5人の長老たちが溜息を着く。


「その者が世界に繁栄をもたらすか破滅をもたらすか……慎重に見極める必要があるのぉ」


現在のステータス

ノーチェ・ミルキーウェイ

始祖蟒蛇Lv8

所持アイテム星紅刀

《耐性》

痛覚耐性Lv3、物理攻撃耐性Lv7、精神異常無効Lv7、魔法攻撃耐性Lv6、状態異常無効Lv10

《スキル》

知り尽くす者、混沌監獄(ユニオンプリズン)研究部屋(マイワールド) 、横溢Lv6、絶無Lv6

《魔法》

回復魔法Lv8、幻影魔法Lv6、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv6、氷結魔法Lv10、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、闇魔法Lv6、深淵魔法Lv10

《???》

謀る者Lv7、強欲

《資格》

導く者

《称号》

神に出会った者/神を救った者


クイック・ミルキーウェイ

赤岩土竜Lv5

《耐性》

物理攻撃耐性Lv6、精神異常耐性Lv8

《スキル》

探索Lv8、隠密Lv7、地面操作Lv7、神速Lv1、強化Lv8、回避Lv6、体術Lv7、斬撃Lv6、集中Lv7、追跡Lv5、空間把握Lv8

《魔法》

火炎魔法Lv5、風斬魔法Lv6、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv7

《???》

食す者Lv2

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― 新着の感想 ―
[一言] BL展開だけはマジで辞めてくれ。ゲボ出る
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