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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
革命編
54/261

54話 譲りたくないもの

少しイチャイチャしてます。

戦闘とかを見たいからこういうの望んでないなぁ〜みたいな人も居るかもだけど...書きたくなっちゃたから...すみません!

はぁ〜……戦いのあとは温泉だなぁ。

……もう少し静かだといいんだけど。


「わー!」

「こらフィー走り回らないの!」

「湯船はこっちよ」

「す、すみません私達も御一緒させてもらって」

「お〜大将……って何してんだ?」

「犯罪者にならないようにしてる」

「はぁ? まぁいいやほら大将身体洗ってやるからこっち来いよ」


ん……柔らかい何かが顔に。


「イヴィルさん……抱きしめて移動するのはやめてください」

「けど目隠した状態で移動すんのは危ないだろ?」


まさか目隠しがこんな状況を引き起こすとは。

けどあれだな……男の時の俺なら鼻血くらい出しててもいいと思うがそこまで動揺してない。


「ほら座れ」

「あっ」


目隠しが。

……大きな山が2つ、俺はまだ健全な男子でした。


バタンッ


「大将!?」



「あ〜……」


俺は風呂場でのぼせてぶっ倒れてしまった。


「いや悪い悪い、てか具合悪いなら先に言えよな。」


具合が悪かったわけじゃないんです。


「全くイヴィルは何をやっているんですか」


いやテレジアさんこそ何してるんですか……膝枕しながらうちわで俺の事仰ぐとかまじ最高のシチュエ……なんでもないです。


「ノーチェ? 大丈夫か〜?」


大丈夫だから手を曲げるのやめようか変な方向にいってるよ今。


「落ち着いてきたよ……心配かけて悪かったね」


頭の上に置かれた冷たいタオルを取って起き上がる。


「無理しないでくださいね」

「うんもう平気それに今日はみんなを労わないとね」


せっかく温泉旅館に来たんだからということで今回は宴会部屋を貸切にさせてもらった。



「みんな座ったな〜」

「座ったぞ〜」


返事ありがとねフィー。

俺は1度咳払いをしてから口を開く。


「今回は皆の働き見事だった。死者もなく戦いに勝てたのはここにいる全員の力があったからだ」

「今日は沢山食べて沢山楽しんでくれ!」

「乾杯!」

「「「「「「「「「乾杯」」」」」」」」」


本来なら戦いの処理とか色々やんないとダメなんだろうけど、今日位はいいよね。

その日の夜温泉旅館からは大きな笑い声と楽しそうな声が響いていたという。



……。


「ねぇエレナ……これから服買いに行くのにこんなお洒落する必要あるの?」

「何言ってるの……こんなのまだまだよ」


いやスカート履かされてる時点で軽く死にたいんだけど。


「ほらこれで行ってきなさい」

「こんな格好で街中歩くの!?」


肩とかちょっと出てるし! てかスカートだし! あの何この申し訳程度で被ってる帽子!


「この格好は無理だってぇ! 男としての尊厳がぁぁ」

「何言ってるのよ……あなた女の子でしょ。それにこれはクイックへのご褒美、まさかあれだけ頑張った部下をタダ働きさせるつもりじゃないでしょうねぇ」

「だ、だから後でお金を!」

「あらぁノーチェはお金で解決させちゃうんだぁ〜悪い盟主ねぇ」


それじゃあ一体どうしろと!


「ほら覚悟決めて行ってらっしゃい!」


エレナが俺の背中を無理やり押して外に連れ出した。


「あっ……あ……あぁ」


やばい恥ずかしい! てかなんで俺こんなに格好してんの!はもうこれデートじゃん! ……デートじゃん!

買い物の約束して!? こんなお洒落までして!! デートじゃん!


「と、とにかく1度転移で……家に」


いつから見ていたのだろうかあれは……家の中からエレナがこちらをジッと見つめている。

このまま行けと! このまま!


……戦いのご褒美と言われては俺も強気に出ることも叶わず……結局歩いてクイックのいる商業地区まで向かったのだった。



「いい? クイック……今この瞬間ケルロスは居ないわ。ノーチェを落とすなら今のうちしかないのはわかってるでしょ」

「え……いやそんなこと言われても。大体ノーチェとケルロスは俺なんかよりも」

「あのねぇ! 1番大変な時にノーチェを支えたのはクイックでしょ!? いつまでウジウジしてるのよ! それでいいの? ひょいと帰ってきたケルロスに全部持ってかれちゃって!」

「いや帰ってくるかなんて……わかんないし」


エリーナが頭を抱える


「はぁ〜呆れたあのケルロスがノーチェの元に帰ってこない訳ないでしょ! そんなの貴方が1番わかってるんだから!」

「う……うぅん」

「せっかくここまで繋いだんだから! 絶対に今日! ノーチェをものにするの! わかった!?」

「まぁ……頑張りはするけど」

「……そうねぇまぁせめて意識させる位は目指しなさいよね!」



「って言われてもなぁ……ノーチェはその気ないだろうし。てか別に恋愛感情というより家族愛の方が……ってそんなことないか」


はぁ……俺は一体どうすればいいんだ。確かにノーチェとは一緒に居たいけどそこにはケルロスも含まれてるしきっとそれはノーチェも同じだろうしなぁ。

大体ノーチェが俺とケルロスどっちかを選ぶかなんて……。


「どっちも選ぶ! 俺はどっちかを選ぶなんてこと絶対にしない!」


……いやそうだったなノーチェは優劣を付けるやつじゃない、それに俺だって。


「あっ……えっとクイック……お待た……せ」

「い、いや! これはだな……その……エレナが無理やり……だから笑わないで欲しい……なぁって」


……。

それはそれ、これはこれ。いやケルロスだって昔から独占欲強かったもんね! なら俺だって多少は仕方ないようん!

ケルロスが取られる前に取れって俺に言ってきたこともあったし! 多分こういう意味じゃないけど……まぁ何が言いたいってごめんケルロス。ノーチェだけは譲れません。



クイックが俺を見て固まってしまった。

いつも旅してる奴がこんな格好してたら誰だってこうなるよな……こんな女の子みたいな服着て。


「……そ、そうだよな引くよな……ちょっ転移で着替えてくるからもう少しだけ」


クイックが俺の肩を掴んできた。


「ノーチェ!」

「は、はい!」


怒られる……!


「そのままでいいよ、ほら行こ」

「えっ?」

「どうしたの? 早く行くよ」


お、思ってたのと違う反応……気を使ってくれたのかな。



「いやノーチェ確かに武器を新調するって言ったけどこれは何?」

「…….う、うーん」


いやぁ……どっからどう見てもレールガン。


「これ持ちながら戦うの俺?」

「ん〜……本当はもう少し小さいというかもっと違うもの頼んでたんだけど」


視線をガンドに向ける。


「これか!? これは魔弾砲! この部分に魔力を込めることでとんでもない爆発力を持つレーザーが充填される。その威力は一国を滅ぼすことすら!」

「封印で」

「……今なんと言った?」

「こんなもん存在するなんてバレたら全世界から侵略されるわ!」

「何故じゃ! 一撃必殺は男のロマンじゃろうが!」

「作っていいもんとダメなもんがあるわ! なんだ魔弾砲って! 一国滅ぼしてどうすんだよ!」


ドワーフの国本当に大丈夫かこれ……合成魔獣なんてこれに比べたら蟻と同じだぞおい。


「それで俺の武器は」

「じゃからこの」

「ガンド……作り直しだ」


……。

その後魔弾砲は俺の家の地下室に封印した。



「ドワーフってのはとんでもねぇな!」

「いや正直あそこまで来ると怖い」


さすがのクイックでも恐怖を覚えたか。


「まぁ……武器に関しては悪かったよ今度また取りに行こ」

「そうだな」


うんうんいい具合に話がまとまったな。


「よし! それじゃあ今日はここまでだな! 楽しかったぞありがとう! また明日……」


……。


「クイックさん?その手を離して貰えませんか?」

「いやいやノーチェ……まだやること残ってるよ」

「嫌だぁ! これ以上恥ずかしい服着たくない〜!」


クイックが俺を掴んで離してくれない。

てかクイック力強! また筋力上がったな……いや成長は嬉しいけど今は困る! てか俺魔法力はあるのに筋力だけ少なすぎません!? いや違う! クイックとエレナが化け物なだけか!


「離せぇ! クイック! 俺を地面に下ろすんだぁ!」


クイックはそのまま俺を担いだ状態で服屋に連れて行った。

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