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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
革命編
51/261

51話 ロマン

「……ノーチェ・ミルキーウェイという女、欲しい! この女がいれば俺は最高の魔獣を生み出せる! 怪鬼共が居なくなってどうしようかと考えていたが、これは思わぬ収穫! 素晴らしい! 神は俺に味方している!」

「落ちていた羽の持ち主があの街にいると思って攻めたのは正解だったな。ふふふ……あっはっはっははは!」


ゼーレは気味の悪い笑い声を発しながら歓喜に心を震わせる。

気持ちの悪い男の視線は画面越しにノーチェへと向けられていた。



「これは……」


エレナとフィーは居住区の様子をみて言葉を失った。

死者こそ出ては居ないものの腕がないエルフや目を失っているエルフ達が病院から溢れ出している。


「なぁエレナ。これはどういうことだ?」


フィーがエレナの翼を掴む。


「どういうことって……」

「どうしてエルフ達が……私の友人達が怪我してるんだぁ?」


フィー……?


「あの……魔獣がやったのかぁ……?」


フィーの様子がおかしい……これは一体。


「私の友人達を傷付けたゴミはどこにいるんだぁ……今すぐ殺してやらないとなぁ!」


これはまずいと思ったエレナがフィーを掴もうとしたがそれはノーチェの一言で止められた。


「エレナ、フィーよく戻った。詳しい話はあっちでしよう。怪鬼達を連れて来てくれ」


あの様子……落ち着いてはいるけど完全にキレてる。目が怒った動物の目……。


「そんなことよりも早く魔獣共を!」

「フィー……聞こえなかったか? 怪鬼達を連れて来いって言ったんだ。2度は言わないぞ」


先程まで興奮状態だったフィーが一瞬で……。

本能的に勝てないと理解したのね……。

いつもふざけているから忘れてたけどノーチェはクイックを超える化け物……怖くないはずがないわよね。


「わかったわノーチェ今呼んでくるから先に言ってて頂戴」


ノーチェは静かに頷き歩いていった。


「ふぅ……本当に恐ろしい蛇さんだわ」


余裕な態度を見せるエレナだったがその手には大量の汗が握られていた。



「みんなよく集まってくれた。そしてクイック、エリーナ。俺の不在中国を守ってくれて感謝する」


クイックとエリーナが頭を下げる。


「今回の戦闘による死者は0、しかし負傷者は200人以上だ。この件を受けてフィデース信栄帝国は戦争状態に移行する。クイックを主軸にエレナ率いる上空支援部隊、フィーが率いる地上攻撃部隊、テレジアが率いる怪鬼部隊、そして……」


俺はエリーナに視線を向ける。しかしエリーナは一瞬目を合わせてすぐに下を向いてしまった。


「エリーナ率いる遠距離攻撃部隊の4部隊に分けて戦闘をする」

「ノーチェ……私は」


エリーナが口を開く。

しかし俺はそれをさえぎり話を続ける。


「……俺はガロリアからエリーナのことでゆっくり話をことがある」


それを聞いたエリーナが顔を上げる。


「エリーナは俺達の中で1番泣き虫で1番弱虫で1番怖がりで……そして1番強い子だって。あの子は努力家で諦めないで誰よりも仲間を思っている優しい子だって」

「俺はガロリアがそこまで言うエリーナに隊長として立ってもらいたい。俺とガロリアはお前の強さを信じてる」

「あっ……あぁ……うん……うん! わかった……! 私が……遠距離攻撃部隊の隊長を……やりきって見せる!」


エリーナの目付きが変わる。

良かった……あの目なら託せる。ガロリア安心しろお前の仇は必ず俺たちが返してやる。


「ノーチェはどうするの?」


エレナが質問した。


「俺は怪鬼達を半壊させた魔獣と戦う、怪鬼達が言う見た目の魔獣は居なかったからな……恐らくまだ殺せていないはずだ」


……この国に攻めてきた理由はなんだろうか怪鬼達が狙いなら国を攻めるんじゃなく俺達の方を攻撃するはずだ。

いやまぁ理由はなんにせよ今この国には怪鬼達もいる、もう一度攻めて来るはずだ。

いつでも来い……その時がゼーレ、お前の人生が終わる時だ。



「今日も異常なし……あれから3日、捜索範囲を倍以上に広げたけど結果はどこにも何も見つからず」


エレナが報告書を少し乱暴に置く。


「恐らく準備してるんだろうな……ゼーレが前にいたと思わしき研究所からは何も出てこなかったし」


ゼーレがどこにいるか分からない以上俺とクイックが国から離れる訳には行かない……しかしこの状態、めちゃくちゃイライラする。


「まぁ……苛立つ気持ちもわかるけど少し落ち着きなさい、今のノーチェを見たらセルやカイルが泣いちゃうわよ」

「……わかってるよエレナ」


俺は外を見ながら深呼吸をした。

ん? あれはガンド? しかも馬車まで使ってどうしたんだろうか。


「ガンドが来たみたいだからちょっと行ってくるね」

「わかったわ〜一応捜索は続けておくからね」



「ガンド、そんな大きな馬車を持ってどうしたんだい?」

「どうしたって……ノーチェ殿が自動人形を作って欲しいと言うから持ってきたんじゃろうが」


……あっ、そうかすっかり忘れてた。


「いやごめんちょっと立て込んでて忘れてた」


ガンドは大きくため息をついて馬車の荷台を見るように言った。


「えっと……これが自動人形?」


はぁ〜まるで人間みたいだな……数は五体、女物の服装をしてる子が3体に男物の服装は2体か。


「あとはノーチェ殿が魔力を込めれば動き出すぞ」


なんかちょっとワクワクしてない?


「ほら! 早く魔力を込めるんじゃ!」

「わかった、わかったって」


全く職人ってのは困ったもんだ。

……魔力を込める……魔力を込めるってこんな感じか?

俺は自動人形に触り魔力の塊を放出した。

自動人形達は起き上がり荷台から自動的に降りていった。


「おぉ! さすがノーチェ殿一気に五体全部稼働とは」

「凄いことなのか?」

「そりゃもう! ドワーフの国にある自動人形は一体動かすのにドワーフ10人分の魔力を使うんじゃ。まぁこの自動人形はその10倍以上魔力を食うが」


あんた笑ってるけど俺は今ドワーフ500人分の魔力を食われたのか。下手すりゃ魔力枯渇で死ぬぞ。


「名前はあるのか?」

「いやない。ノーチェ殿の好きにつけるといい」


うーん名前かぁ……ん?番号がふられてる。

0……1……2……3……4。

製作順か? 数字ねぇ。


「テグ、ネグ、ホョル、ゴラブ、ドロブ」

「それが名前か……まぁいいじゃろう」


モンゴル語の数字だ……なんで知ってるのかはまぁ俺にもそういう時期があったなぁとだけ言っておこう。


「それで? 確かに人間に似てるけど性能はどうなんだ?」


ガンドはその言葉を待っていたと言わんばかりに猛烈な勢いで解説を始める。


「まずこの自動人形はスライムを元に作られており姿、形を自由に変更できるのはもちろん物理攻撃完全無効も備えており、更には食事や運動による身体影響を人間とほとんど誤差なく行うことが可能で、挙句の果てには生殖機能まで……むぐ!」

「よーしその辺にしとこうかぁ!」


なんてもん作ってんだこのドワーフは!


「ぷはぁ! まぁ見ての通り最上級ダンジョンとドワーフの知識を全て詰め込み作った最高傑作がこの自動人形というわけじゃ。正直な話ドワーフの国にいる自動人形なぞこの中の一体を送り込んだだけで全てスクラップにできるほどの強さを持っておる」


は、ははははは。

ドワーフ怖ぇ。


「ご主人様。最初の命令をください」

「……ちなみにこの口調とメイド服は何?」

「あぁ、そりゃワシの趣味じゃ」


……ガンド、あんた最高だよ。

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