49話 接触
「はぁ〜……昨日は酷い目にあった」
あの後一緒に水浴びして……体をまさぐられ何故か持ってきていた大量の服に着替えさせられ。
「似合ってたわよ」
「そりゃどうも」
それはそうと気になることがある。俺の今来ている服全体的に黒いのだ。そしてなんか知ってる柔らかさなんだよなぁ。
「なぁ……この服ってもしかしてだけど……」
「え? 何かしら」
……聞くなってことか。
「なんでもないよ……ありがとね」
服のデザインは置いといてそこまでしてくれるのは嬉しい。
……いやけどこれはちょっと露出多すぎない?
お腹出てるし半ズボンだし上に羽織ってる服もなんか全体的に小さいし。
「この服で怪鬼のとこ行くの……」
「あら? 問題ないと思うけど……だいたいあんな服の方が失礼じゃない?」
着やすいからいいんだよ!
「ん〜……ふはぁ〜2人とも早起きだなぁ」
「いやフィーが遅いだけだよ」
眠そうに目を拭くフィーに水を渡す。
「ありがと〜」
「さてそれじゃあ作戦通りに」
「了解」
「わかったぞー」
今回はこの森を攻略するためにある作戦を立てた。
上空には幻魔法が掛けられてないことがわかっているのでエレナを上空に配置見える距離で怪鬼の位置を支持してもらう。それを見た俺がフィーに方向を指示くっ付いた状態で移動する。
そうすれば迷うことなく辿り着くってことだ。
「行くぞ」
作戦は概ね計画通りに進み森の奥にある怪鬼が住んでいるだろう場所に辿り着いた。
「上手くいったわね」
エレナが降りてくる。
「そうだな……で、ここがその村……なんだろうか?」
見た感じ木や草を合わせて作った家が何個か点々としているだけなんだが。
その時だった後ろから声が聞こえた。
「貴方達! どうやってここに来たの!?」
声の主はツノが生えた女の子だった。
「この子が怪鬼?」
「そうね」
エレナが耳打ちする。
「ここもバレてしまったか……なら仕方ない!」
怪鬼の女の子がそういうと周りから複数の怪鬼が出てきた。
「あら〜……囲まれたぞ」
随分と呑気だね君。
「ちょっと待って! 私達はあなた達と話をしに来ただけで」
「そんな嘘が通じると思うな! 私達怪鬼を散々殺しておいて!」
どうやら大きな誤解があるみたいだ……どうにかして落ち着かせないと。
「ま、まぁ落ち着いてくれ俺はここの近くで」
「黙れ! お前のその姿……龍人だな! 今度は迫害ではなく私たちを皆殺しに来たのか!」
……あっしっぽ! いや確かに鱗あるし……見えなくもないかぁ。
いやけどよく見ろよこの目、この歯! どう見ても……龍人に見えますねぇこれは。
「いや俺は龍人じゃなくて蛇でして」
「うぉぉぉ!」
怪鬼の1人がこちらに突っ込んでくる。
「あっぶな!」
問答無用で斬りかかって来たぞ!
いや確かにさ龍人に見えなくもないけど物事をひとつの視点で見たらダメだよ、まずは俺の周りに獣人が2人いることとかそう言う状況をねゆっくりと。
「って! 反撃してないんだから攻撃すんの待てよ!」
「はぁ……はぁ……お前たちは同族を殺した!」
その後も俺は何とか説得を試みるが全く話を聞いて貰えず……。
困り果てた末……無理やり説得した。
「で! 俺はこの近くの! フィデース信栄帝国ってところで盟主をやってる! ノーチェ・ミルキーウェイです!」
「「もうわかったよ」」
エレナとフィーが呆れた様子で答える。
「……お前達が敵では無いことは理解した。では逆に何の用だ、私達は世界から忌み嫌われた怪鬼だぞ」
気の強そうな女怪鬼が睨む。
いや……そんな顔されてもなぁ。俺はただ仲良くしましょって言いに来ただけなんだけど。
「俺達は怪鬼と仲良く」
「はっ! 嘘だな……お前もあいつみたいに私達を実験台にするつもりなんだろ!」
怪鬼が吐き捨てるように言う。
「実験台?」
「そうさ! 前にも居たんだ! お前のように味方と言って近付いて来たやつが……しかしそいつは私達の仲間を監禁し改造して合成魔獣を作り……」
さっきの勢いは完全になくなりその場で俯く怪鬼。
「……仲間達は全員死んだのか?」
「多分まだ生きてる……合成魔獣を完成させるには生きた怪鬼が必要だから」
この世界は本当に……。
「わかった。俺がお前達を救ってやる」
俺に襲いかかってきた怪鬼が胸ぐらを掴む。
「だから! 俺達はもう誰も信用しねぇって決めてんだよ!」
……。
「信用? そんなもんしなくていいよ。俺は今の話聞いて最高にイラついてんだ」
怪鬼の腕を掴む。
「お前達が俺達のことをどう思おうが関係ない。場所を教えろ俺が……俺の仲間たちがそいつを殺してやる」
胸ぐらを掴んでいた腕が離れる……怪鬼達が静かに俺を見つめる。
「……分かりました。貴方達を信じましょう」
「テレジア!」
「どの道私達だけではあの男に敵いません。それにもし私達を利用しようとしているだけなら居ない仲間を助けに行く必要性はないはずです」
エレノアが頭を下げる。
「どうか……私達の仲間を助けてください」
その声は少し震えていた。
俺達はその後隠れていた老人と子供の怪鬼を集めて1度フィデース帝国に転移しようとしていた。
「よし! いつでも転移できるが……忘れ物ないか?」
「大丈夫です。それにしてもこの人数を一気に転移なんて……貴方は素晴らしい魔法使いさんなんですね」
いやぁ……そう褒められると照れるなぁ。
って言っても前に運んだ獣人達より数少ないんだけどね。
「じゃあ行くよ」
「はぁ〜疲れた〜ノーチェ! 温泉行こうよ!」
「今から怪鬼達と作戦会議だよ!」
ったくこっちに着いた途端それかい。
いや待てよ……。
俺は振り向き怪鬼達を見る。
なんていうかみんなボロボロだ、怪我してる人もいる。
この状態で話し合いってのはなんか可哀想だなぁ。
それにいつも敵を警戒しながら過ごしてたんだから少しはゆっくりする時間があってもいいか。
「気が変わった……温泉いこうか。エレナ怪鬼の皆様を旅館まで案内してあげて」
エレナは静かに微笑んで怪鬼達を連れて行った。
みんなのこと見送ってたら俺もお風呂入りたくなって来たな。
「よーし俺も温泉入ろ〜」
俺はこの時油断していた。普段であれば深夜の時間帯誰も居ないのを確認してから男湯に入っていたのだが疲れもあり完全にそのことを忘れて男用の更衣室に転移してしまったのだ。
「あっ」
「えっ」
そこにはちょうど温泉から出たクイックが居た。
「「うぎゃゃゃぁぁぁぁ!!」」
「ちょ! なんでここにノーチェが居るの!?」
「いやクイックこそなんでここに!」
「こっちの方が温度高いんだ! てかそんなことよりなんで居るのさ!」
「いやごめん! ほんとごめん! いつもは夜遅くに」
「いつも!? 夜遅く!?」
「いやいやいや! 違う違くて! 今日は間違えて転移しちゃって!」
「いつもって何!? いつも男湯入ってんの!?」
「いや! そうだけどそうじゃなくて! てか女湯は女の子が入るもので!」
「ノーチェは女の子でしょ!」
「はいそうですね! すみません!」
その後騒ぎを聞きつけたエリーナに2人ともぶん殴られて俺は男湯進入禁止を食らった。
ちなみに俺は男湯に入っていたことをクイックにも怒られて次やったら1週間エレナが選んだ服を着させられることになった。
現在のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ
始祖蟒蛇Lv8
所持アイテム星紅刀
《耐性》
痛覚耐性Lv2、物理攻撃耐性Lv7、精神異常無効Lv2、魔法攻撃耐性Lv6、状態異常無効Lv10
《スキル》
知り尽くす者、混沌監獄、研究部屋 、横溢Lv6、絶無Lv5
《魔法》
回復魔法Lv8、幻影魔法Lv5、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv6、氷結魔法Lv10、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、闇魔法Lv6、深淵魔法Lv10
《???》
謀る者Lv7、強欲
《資格》
導く者
《称号》
神に出会った者/神を救った者
クイック・ミルキーウェイ
赤岩土竜Lv4
《耐性》
物理攻撃耐性Lv6、精神異常耐性Lv6
《スキル》
探索Lv8、隠密Lv7、地面操作Lv4、高速移動Lv9、強化Lv4、回避Lv4、体術Lv4、斬撃Lv5、集中Lv5、追跡Lv4、空間把握Lv6
《魔法》
火炎魔法Lv2、風斬魔法Lv5、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv6
《???》
食事Lv9




