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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
国づくり編
36/261

36話 舌戦

「はぁ〜そこ、そこ気持ちいよ〜」


拳銃を作り終えて疲れた俺はある場所でクイックにマッサージをしてもらっている。


「いや……なんで俺……」

「だってぇ〜エレナは俺の事揉めないし、エリーナはガロリアと一緒に狩り行ってるからさぁ〜セルとカイルは小さくて力入らないしねぇ〜」


はぁ〜疲れが取れるクイック普通に上手いなぁ……マッサージ師にでもなればいいのに。


「だからって俺に任せること」

「クイックの事信頼してるからさぁ〜。それに本能的なものなのかわかんないけど体触らせるのに少し抵抗あるんだよね〜」


俺は欠伸をしながら答えた。


「いや、だったら余計に」


今日のクイックはしつこいなぁ〜そんなに嫌なのかなぁ。

まぁ……俺頑張ったし! 今回くらいは我儘に付き合ってもらおう。


「だ〜か〜ら! クイックはいいの〜信頼してる相手には触られても嫌な感じしないんだよ〜」


その時クイックの力が少し強めになった気がした。


「ん? どした?」

「いや! なん……でもない」


クイックは顔を逸らしながら言った。

? ……変なクイック。


「いやぁ……しかしこんなに早く温泉が完成するとはなぁ、それに俺の要望聞いてこんないい感じの旅館作ってくれるとは」

「旅館?」

「あぁ、クイックはわかんないか。まぁ客人を持て成す場所? 休憩とか宿泊できる施設のことだよ」


クイック達がお風呂を作ってくれると言った時になんとなくだけど障子とか露天風呂だとかを絵で書いたり口で一生懸命教えた甲斐があったよ。


「それで? こんな施設を作らせたのには理由があるんだろ?」


クイックはマッサージをやめてうつ伏せになった俺を見下ろしながら聞いてくる。


「ん〜そりゃねぇ。エレナや村の人、エルフ達の話によればこの世界お風呂と呼ばれる文化自体はあるもののそれは高級で誰でもホイホイ入れるものじゃないらしいんだ」

「なるほど……それを利用して簡単に誰でも入れるようにしちゃおうって魂胆か」


俺はうつ伏せだった体を起こして全身を伸ばしながら返答する。


「ん〜……半分正解、もう半分はこれをこの村の名所にして人を呼び込む」


温泉に入れて珍しい料理が食べれる。しかも泊まることまで出来るとなれば誰だって来たいと思うはずだ。


「いいけどこれをどうやって人に伝えるんだ?」

「ふっふっふっふっそれは明日になったらわかるよ」


それを聞いたクイックは不思議そうな仕草を見せた。



「さて!」


俺は今開いた門の前にいる。

隣には元村長であるゼンが立っている。


「そろそろ来るんだよな?」

「はい、もうすぐいらっしゃると思います」


そういうと奥の方から小さく馬車が見えてきた。

しばらくすると馬車は門の前まで来て静かに止まった。


「あ〜どうも〜いつも品揃えバッチリ! コード商会のアランです!」


そんな声が聞こえると同時に青年が馬車から降りてきた。


「いつもありがとうございます、アラン様」

「いえいえ、こちらこそ毎回お出迎えして頂けて光栄です」


青年は被っていた帽子を外し深くお辞儀をする。


「それで……そちらにいらっしゃるフードを被ったお嬢さんはどちら様でしょうか?」


……!

凄い観察眼だ。この姿の俺を一瞬で女と見抜くなんて。


「こちらの方は」


ゼンが紹介してくれようとしたが俺はそれを手で止める。


「失礼しました、俺はこの村で新しく長を務めさせて頂いているノーチェ・ミルキーウェイと申します」


俺はそういうと静かに頭を下げた。


「……そうでしたか! お初にお目にかかります。わたくしコード商会の商人、アラン・エーゼルクと申します」


青年はもう一度頭を下げた。


「それでは中にお入りください」


俺は村の方を手で指してアランを招待した。

その後アランは村の人達と防具や武器、生活道具に至るまで様々な物を売買した。



「さて、本日もご利用ありがとうございました。次回は」

「その前によろしいでしょうかアラン様」


俺は帰る準備を始めようとしているアランに話しかけた。

アランは一瞬目を逸らしたが直ぐに俺を見て微笑んだ。


「はい、なんでございましょうか?」

「……2人でお話したいことがあります」


そして俺は少し家の方に目をやった。

アランはそれにすぐ気付き俺の後を着いてきた。

家に入るとアランは直ぐに口を開いた。


「それで……お話とはなんでしょうか?」


アランは手でわざとらしくジェスチャーをしながら聞いてくる。


「……まず質問ですが、この村が今どのような立ち位置に居るかをご存知ですか?」


それを聞いたアランは少し驚いた顔をした。


「……そうですね。サーレス様の貴族領と認識していますが」


アランは話が長くなるとわかったのか椅子に座った。


「それは少し前の話です。今はサーレスからの支配を受けていません」

「なるほど……それで村長が変わっていたのですか」

「ということはこの村はサーレス様の領地からはずれ……王国領でも無くなったと?」


……さすがに理解が早いな。


「……その通りです」


緊張する……本物の商人とはここまで迫力があるものなのか。

背中に冷たい汗が吹き出る。


「それでは……王国に属する我々コード商会はこの村と外交することになりますね」


そういうとアランは椅子に寄り掛かった。


「そうなりますね。」

「……外交とならば今後の契約は1度見直しの必要性が」


俺はそこまで言ったアランの言葉を遮る。


「アラン様……見た事の無い武器。そして全くもって新しいこの村のビジネスに興味はありませんか?」


その言葉を聞いたアランの口角が少しだが確実に上がった。


「詳しく聞かせて頂きましょう」


そして俺は温泉旅館という新しい商業を紹介した。


「なるほど……本来であれば貴族や王族が独占するお風呂をただの市民でも楽しめる施設にしてしまおうと」


アランは話を聞いて机に出した水を静かに飲んだ。


「確かに……ここは王国領ではありません、そのような施設を作ったからと言って問題は無いでしょう」


俺はその言葉を聞いて安堵の表情を浮かべる。


「ですが……そのビジネス我々に利が少なすぎる。その告知を行ったとしてこの村は栄えますがただそれだけ商売相手が栄えるのはいいことですが、こちらの商品を買って貰えるとも限らない」


アランの言っていることは最もだ。タダでこの村のことを紹介して欲しいなんてこちらに有利すぎる条件だ。


「ですが……そこで新しい武器の話が来るわけですね」


……。


「さすがアラン様」


見透かされていたか。


「その通りです」


俺は懐に隠していた拳銃をそっと取り出した。


「これは……」


アランが拳銃を見て驚いた顔をする。


「どうぞ手に取ってください。あっ!引き金に手はかけないでくださいね」


一応安全装置はかけてあるが何が起きるかわからない。

それを聞いたアランは拳銃を静かに持ち上げた。


「確かに……このような武器は見たことがありません」

「その武器を作れるのは現在私だけです。ですがこれをドワーフの国に持っていきこの村で量産体制を築こうと考えています」


アランはその言葉を聞いて少し不思議そうな顔をした。


「ドワーフにこれを見せれば確かに興味を持って頂けるでしょう、しかしこの村に来てくれるとは限らないのでは?」

「もちろん、そう考えています」


だいたい、こんな武器を見せられれば自国で分析して大量生産するはずだ。


「それでは量産は出来ませんが」


アランが持っていた拳銃はコトリと音を立てて机に置かれた。


「アラン様、今この村に必要なのは人です。温泉旅館を使い世界から移住民を募る。ドワーフをこの村に招き銃を量産する」


俺はアランの目を一点に見ながら話す。


「この武器をドワーフの国で告知して我々の村に招いて頂きたいのです」


アランはその言葉を聞いて口を開いた。


「我々としては安定しているドワーフにこの拳銃を売って生産体制を整え情報提供料として武器の買取を優先してもらう、これが最も利益になると思いますが」


もちろんそう来るのも計画通りだ。


「えぇ、アラン様の言うことは正しい。ですが……それは出来ません」


アランの目が少し鋭いものになった。


「アラン様……この武器見た目は綺麗ですが、中身は頭が痛くなるほど複雑です。ドワーフと言えどこれを作るのには多少時間がかかるでしょう」

「確かに……ベテランドワーフが生成スキルを活用しながら作っても2時間ほどかかるでしょう」


……2時間で作れんのかよ!

俺はそんなツッコミを心の中にしまいこんだ。


「俺はこの武器を鉄製の金具で10秒もかからないうちに作成できます。さらに俺の頭の中には他にも様々な種類の銃が記憶されています」

「……なるほど、確かにそれではこの武器をドワーフに売っても大した利益にはなり得ませんね」


アランはそう言って笑いながら席を立った。


「分かりました。ノーチェ様の話に乗りましょう。ですが、その拳銃が量産体制に入った時は我々に買取優先をお願い致しますよ」

「もちろんそうさせていただきます」


アランは渡した拳銃を持ってお辞儀をして家から出て行った。



「はぁぁぁぁ〜」


俺は長い溜息を付きながら椅子に座り込んだ。


「お疲れ様だな、ノーチェ」


隠密で隠れていたクイックが姿を現す。


「本当だよぉ〜これだから商売人って嫌いなんだよねぇ」

「温泉行くか?」

「行く〜連れてって〜」

「いや転移使えよ」


クイックはそう言いながらも俺の事をおぶってくれた。


「優しいなぁ〜クイック」


俺は暖かいクイックの背中に揺られながら温泉に向かって行った。



「ふぅ……今日の交渉はさすがに疲れましたね」


アランは馬車を走らせながらぽつりと呟いた。

それにしてもあのノーチェ・ミルキーウェイという女性、村を貴族から解放しただけでなく新しいビジネスの構築そして……。

アランは手に持っている拳銃を見つめる。


「このような武器をなんの躊躇いもなく渡す……この程度のものならくれてやるということですか」


全く底の見えない恐ろしい人だ。

……いや人では無いな、商人としての勘ではあるが何か違う私達とは違う存在であると言っている。


「これからあの村……いや国とは有効な関係を築いた方が良さそうですねぇ〜」


そう言ってアランの馬車は次の目的地であるドワーフの国に向かって行った。


現在のステータス

ノーチェ・ミルキーウェイ

始祖蟒蛇Lv5

所持アイテム星紅刀

耐性

痛覚耐性Lv1、物理攻撃耐性Lv6、精神異常耐性Lv6、魔法攻撃耐性Lv3、状態異常無効Lv10

スキル

知り尽くす者、混沌監獄(ユニオンプリズン)研究部屋(マイワールド) 、横溢Lv2、絶無Lv1

魔法

回復魔法Lv8、幻影魔法Lv5、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv6、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、闇魔法Lv6

???

謀る者Lv2、強欲

------

神に出会った者/神を救った者/導く者


クイック・ミルキーウェイ

赤岩土竜Lv1

耐性

物理攻撃耐性Lv6

スキル

探索Lv8、隠密Lv7、地面操作Lv4、高速移動Lv9、強化Lv3、回避Lv4、体術Lv2、斬撃Lv1、集中Lv4、追跡Lv3、空間把握Lv4

魔法

火炎魔法Lv1、風斬魔法Lv3、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv3

???

食事Lv5

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