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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
国づくり編
33/261

33話 最善の手段

ちょっとだけグロい...かも。

「……早くに攻めてくるとは思っていたが」


まさか次の日とはな。

ハーピーの報告ではあと3時間程でこちらに着くそうだ。

今は周囲に罠を設置したりと策は講じてあるが……。


「報告された数は3000、兵士をほとんど導入したのか?」


村ひとつ滅ぼすにはオーバーすぎるだろ。


「多分だけどノーチェを警戒してるんだと思うよ」


クイックがそう言って罠設置完了を伝えに来た。


「俺の選択は間違えてただろうか、クイック」

「……いやどの道こうなってたさ。俺達はただ、迎え撃つだけだ」


……それを聞いて俺は緩んでいた気を引き締め直した。


「ノーチェ殿!」

「ガロリアか……どうした?」

「弓兵準備完了しました」


そしてガロリアは門の方を指さした。

ズラリと並ぶエルフたち、その中にはエリーナもいた。

エリーナは俺と目が合うとと手を高くあげてグッドマークをしてくれた。

上空ではエレナ達が様子を見てくれている。


「エレナ! 別働隊や奇襲部隊がいる様子はあるか?」

「今のところない!」


上空から偵察ができるのは大きい、これで相手の動きがよくわかる。

そして……とうとう3000の兵士達が村の近くに現れた。



「いいか! あの村はサーレス様に盾をつき挙句の果てに隊長に奇妙な魔法を使用した! これは卑劣極まる行為であり、我々は蛮族共に鉄槌を下しそれらを踏み潰すのだ!」

「「「「「「「おおおおぉぉぉぉ」」」」」」」



兵士たちの雄叫びが聞こえる。


「せいぜい叫んどくといいさ……しばらくすればそんな元気も無くなる」



「全軍突撃せよ! 門は硬い! 周囲の柵を破壊して村に侵入するのだ!」



兵士を乗せた馬たちはものすごい勢いでこちらに突っ込んでくる。

それと同時に爆薬を持った兵士達は柵に近付いてくる。

しかし……それは叶わない。



「な、なんだこれは!」

「何が起こっているんだ!」

「お、落とし穴です! しかも大量に」

「落とし穴ぁ!? そんな子供騙しになにを!」

「そ、それが穴が深くそこには粘着質の糸が大量に仕込まれている様子で」



「クイックさすがだ」

「お易い御用だな」


落とし穴ってのは深く掘れないから子供騙しになってしまうんだ。

けどこれは子供騙しじゃない、穴掘る専門家が作った本物の落とし穴だ。



「クソ! なにをやっている、土石魔法で土を埋めて進め!」

「馬は無理です! 落とし穴もそうですがこの辺り地面がぬかるんでいて馬がバランスを崩してしまいます」

「ぬかるみだと!? その程度馬は!」

「ですが! 本当に倒れてしまうのです」



そろそろ気付いたか、あのぬかるみは俺が作った泥沼だ。

しかもただの泥沼じゃない、不規則に流れを変える泥沼トラップだ。

馬だけじゃない、人間もあそこではクモの巣にかかった獲物だ。


「これは弓兵達を使う必要ないかもな」


正直エルフたちは最後の砦だ、あの罠ふたつで動きが止まらなかった時に……あいつらを殺して止めるために用意した。


「さて……みんなここで待っててくれ、俺とクイックで片付けてくる」

「ノーチェ殿! 我々は戦う覚悟を持って!」

「……これからやることは見られたくないんだ。みんな来ないでくれ」


多分……これから俺がやることは人を殺すことよりも、残酷だ。



「クッソ! なんだこのザマは!」

「やぁ……どうやら楽しんで貰えたようだ」

「お前はあの時にいた!」

「どうだ……こんな単純な罠に引っかかった気分は」


俺はあえて煽った口調で言う。


「お前は我々をどれだけ!」


その時だった。


バコンッ!


なっ……!

死角からの攻撃……こいつはあの時の!


「……! ………….!!」


俺は背後からの攻撃をスルリと避ける。


「なんだ……口がなくなって泣いてるかと思えばこんな所にまで来てたのか」

「…….!! ……!」

「表情的に怒っては居るんだろが……悪いな、全くわからん」


怒りに任せた剣筋……こんなもの。

あのダンジョンでの攻撃に比べれば。


「どうした?」


俺は隊長が放った全力であろう攻撃を手で受け止めた。


「……!!」


斬撃の衝撃でフードがズレる。


「悪いな……この程度俺からすれば止まってるのと同じだ」

「お前……その姿」

「あぁ……見られてしまったな。だが安心しろお前たちがこれから思考をまとめられることは無い」

混沌監獄(ユニオンプリズン)


……。



「ノーチェ大丈夫か?」

「いやクイックこそ助かったよ伏兵がいると思ったけど案の定だったろ?」

「あぁ、その通りだった」


俺の事を危険視してるならもちろん伏兵を用意すると思っていたが……当たっていた。

スキル、混沌監獄には範囲制限があり外にいる者はどうにか対処する必要があったんだ。


「汚れ仕事をさせてしまったね」


そう……スキルを使ったことを報告させない為に、対処させてもらった。


「いいや、こんな程度なんてことない。それに」

「クイック?」


そういうとクイックは顔を上げて言った。


「進化できるようになったからな」


クイックはブイポーズをして微笑んだ。


「さて……エレナ!」


俺は上空で様子を見ていたエレナを呼んだ。


「どうしたの?」

「悪いが俺達は今からサーレスとかいう貴族がいる場所に向かう。道案内を任せていいか?」


事前にエレナがサーレスの場所を知っていると聞いていたからな。


「いいけれど……何しに行く気?」

「……エレナは道案内だけしてくれると嬉しい」


そういうとエレナは何かを察したのか黙って頷いた。


「ジェーン! 私たちは今から少し出てくる! 村のみんなには話を合わせといてちょうだい!」


エレナは上空にいる仲間にそう伝えて俺達と共に進み始めた。



「結構距離があるから神速を使って移動してるが2人とも大丈夫か?」

「俺は慣れてるから。」

「わ、私は少し怖いかもぉぉぉぉ!」

「そうか! 我慢してくれ!」

「ノーチェの馬鹿ぁぁぁぁ!」



そんなことをしていると大きな建物が見えてきた。


「エレナ、あれか?」

「ええ、そうねあれがサーレス・オルベスの城よ」

「……そうか、ありがとう。エレナとクイックはこの辺で待っててくれ。直ぐに戻る」


俺はそう言うと2人の返事を聞く前に走っていった。

領地や城の中にはほとんど兵士が居なかった為侵入は容易だった。



「遅い! あのクズ共何をしている! 村ひとつ潰すのに何を手間取っているのだ!」


机を強く叩く。

私はこの地を統治する大貴族だ。なのに何故こんなにも使えんヤツらばかりなのだ!

私はこんな地ではなくもっと中央の地で統治をする器であるというのに!

苛立ちが増していく、酒も安物ばかり。唯一の快楽と言えば最近捕まえたエルフを使うことだ。


「しかし……あれももうすぐ壊れそうだしなぁ。まぁよい……新しい奴隷が今日手に入るのだからな、あはははははは!」

「そりゃいいな、俺にも紹介してくれよ」

「何者だ!」


私は声がした方向に目をやった。

そこには小さな少女? が立っていた。


「貴様……どうやってここまで侵入した」

「ただ歩いてきただけだが」

「嘘をつくな! 衛兵たちが居たはずだ」

「あ〜……まぁ気付かれなかったからなぁ」


何を言っているのだこいつは……いやそんなことはいい。

それよりも重要なのはこいつが何者であるかということだ。


「貴様……一体何者だ、どうやって来たかも気になるがこの大貴族サーレス・オルベスを前に名乗ることを許可してやる!」


すると目の前のこいつははぁとため息をついた。


「なっ! 貴様! この私が名乗ることを許可してやっているというのに何たる……」

「ごめん、そういうのいいんだわ」

「俺はあんたが潰そうとした村の長だよ」


あの村の長?……あの村は変なジジイが長だったはずだが。


「……それで! 何の用だ、謝罪にでも来たのか! 自分がどれだけ愚かな行為を」

「あ〜、もうほんとに頭悪いやつと話すのって辛いなぁ」


こやつはどこまで無礼なやつなんだ!この私に向かって頭が悪いなどと!


「貴様! 先程からその態度! ふざけるな! もうよい! お前など直ぐに捕まえて縛り首にしてやる!」


私はそう言って無礼な愚か者を掴もうとした。


「へぇあ?……」


ベチャッ

腕? 何故私の腕が下にあるのだ……血? な、な、


「なんだこれはぁぁぁぁ!」

「いだい! いだい! いだい! 医者だ! いじゃを呼べぇ!」

「……はぁ、お前さぁこんな程度で泣き出すなよ。気持ち悪い」


なんだその見下した目は! 私は!


「わだじは貴族だぞ! お前のような愚民がだでついていいぞんざ!」

「ぶばぁべ!」

「うるさい」

「今からお前を許してと懇願するまで殴って蹴るからさそうやって叫んでると直ぐに疲れちゃうよ」


愚民は酷く冷血な目で私を見るとまた蹴りを入れた。

……

……

……

……

……

……



「やべで……もうゆるじでぐだざい……」


こいつを殴り初めてから30分……割と根性あったな。


「で、何? さっき俺を縛り首にするとか言ってたけど」

「ずびばぜんでじだ! もうぞのようなごどいいまぜん!」

「そっかぁ……じゃあそれ許してあげるから俺の言うこと聞いてくれないかな?」


俺はそいつの髪を掴み殴られて倍以上に膨れた顔を上げた。


「はいぃぃぃなんでございばじょうか」

「俺達の村のことさ黙ってて欲しいんだよね、王国とかに報告するのやめてくれるかな?」

「わがりばじだ! 報告いだじまぜん!」


……心理掌握で一応こいつが心から屈服してるのはわかってるから……大丈夫か。


「偉い偉い……じゃあその傷治してあげるね」

「へ?」

「ほら治ったよ」

「わ、私の顔が……腕が! 治っている!」

「……約束? 覚えてるよね。」


俺は治った腕を掴みながら確認する。


「は、はい! わかっております! このことは絶対に言いません!」


まぁ……もう平気だろうけど念の為。


「これあげるよ」

「これは……ひぃ!」


俺が渡したのは全面が目で覆われている三角柱の箱だった。


「この中には俺達の村を攻めてきた馬鹿達が入ってる。君もこの中に入りたくないなら……わかるよね」


サーレスは首を凄い勢いで縦に振った。


「よし! じゃあ俺は帰るから色々よろしくね〜」



……あれは化け物だ、人の形をした化け物だ。

サーレスは切り落とされたはずの腕を見ながら二度とあの村に関わらないと決めた。



条件を満たしました。

計算が謀る者に進化します。

進化完了。

謀る者の条件を満たしました。

スキル横溢、絶無を会得しました。



……。


「クイック……出てきなよ」


俺は領地から出てきて直ぐに止まって声をかけた。


「いつから?」


クイックが少し後ろで姿を現す。


「最初からだよ。だいたい俺は隠密のさらに上透明化を持ってるんだ。クイックを見つけられない訳ないだろ?」


俺は振り向きながら言った。

それを聞いたクイックははぁと溜息を着いて俺を見た。


「なんであんなことを?」

「あれが1番確実だから」

「違うでしょ……俺達が弱いからだろ」


その言葉を聞いた俺はどんな顔をしていただろうか……。


「そんなことは」

「俺達が強ければあんなことしなくていいはずだ」


……。クイックはとても賢い子だ。多分何を言っても無駄だろう。


「ノーチェはあんなこと本当にしたいと思ってしてるようには見えない。ノーチェがあの場所からいなくなった後に見せた顔……あんな顔して平気な訳ないだろ」


わからない。だってあれが最善で。

……。

その会話は沈黙のまま終了した。



その後俺達はエレナと合流して村に戻った。

村に戻ってからの記憶はない……多分少し疲れたからと言って直ぐに部屋に籠ってしまった気がする。



「クイック!」

「セルか、久しぶりだな」

「そうだね! ダンジョンに行く前だもんね最後は」

「それで、こんな所で何してるの?」


……。


「ここか、ここはなみんなでこの村の行く末を見守ろうって誓った場所なんだ」

「え? 何それ知らないんだけど。」

「……3人で誓ったんだ」

「……そっか」


セルはなんだか悲しそうな顔をして黙ってしまった。


「まぁ……悲しんでも仕方ないわな!」

「俺は……悲しいよ」


……。そうだ、ケルロスはこの村でも中心に


「クイック達の元気がなくて」

「え?」

「ケルロスが居なくなってから……2人とも凄く元気がなくて」

「そんなことは」

「クイックだって本当は心細くて辛いはずなのに」


……子供の勘ってのは鋭いな。


「あぁそうだな、確かに辛いと思う時もある」

「けどそれはケルロスがいなくなったからってだけじゃないんだ」


それ聞いたセルは首を傾げた。


「俺は……ケルロスの代わりにはなれないから、ノーチェを助けられないんだ」


たぶん……俺がケルロスならノーチェにあんなことさせなくてすんだはずなんだ。


「ううん! そんなことない! クイックはみんなに優しくて助けられてる! ノーチェだってクイックがいなかったらずっと出てきてくれなかった!」

「……」

「みんなそう! クイックに感謝してる!」

「はは……なんだよそれ。ったく」


……そうだ、俺はケルロスじゃない。だからクイック・ミルキーウェイとしてノーチェの隣に立つんだ。


「ありがとなセル、随分と元気を分けて貰えたよ」

「え?あっうん! どういたしまして!」


そうだ! 俺はクイック・ミルキーウェイだ。ケルロスには出来ないことをしてやる!


現在のステータス

ノーチェ・ミルキーウェイ

始祖蟒蛇Lv3

耐性

痛覚耐性Lv1、物理攻撃耐性Lv4、精神異常耐性Lv5、魔法攻撃耐性Lv3、状態異常無効Lv10

スキル

知り尽くす者、混沌監獄(ユニオンプリズン)研究部屋(マイワールド)、横溢Lv1、絶無Lv1

魔法

回復魔法Lv8、幻影魔法Lv5、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv5、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、闇魔法Lv6

???

謀る者Lv1強欲

------

神に出会った者/神を救った者/導く者


クイック・ミルキーウェイ

レッドモールLv9

耐性

物理攻撃耐性Lv5

スキル

探索Lv8、隠密Lv6、採掘Lv8、高速移動Lv9、強化Lv1、回避Lv3、体術Lv2、集中Lv4、追跡Lv3、空間把握Lv4

魔法

火炎魔法Lv1、風斬魔法Lv1、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10

???

食事Lv2

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