32話 スキル自動化
……今日は税を回収する為に兵士達が来る日だ。
結局あれから散々悩みに悩んだが……全くいい案が思いつかなかった。
「はぁ……どうしよう」
「もうここまで来たんだから諦めなよ」
クイックぅ〜。
「それにしても良いんですか? 俺が対応して」
「はい、もうこの村の長はノーチェ殿ですから」
……胃が痛い!
なんかの手違いで来ないとかないかな。
「我々はサーレス様の兵士である! 約束通り税を受け取りに来た! 門を開けてもらおう」
……そんなこと考えてる時が俺にもありました。
門番は不安そうな顔で俺を見つめる。
……門を開けて兵士達が流れ込んでは対話なんてできない……か。
「……」
「早く門を開けるのだ!」
シュッ
俺は門を飛び越え兵士がいる方に向かった。
まぁ……フードしてるししっぽも隠してるから人外だってバレはしないと思うけど……少し頑張るかぁ。
「ん? なんだ貴様は」
「……申し訳ないがあなた方にお支払いする税は持ち合わせておりません」
「何?」
明らかに機嫌が悪くなったなぁ。じゃあこっちもそれ相応の対応をさせてもらおうか。
「だいたいここは王国領では無いはずだ、その土地を己の領地として運用し税を回収するのは問題があるのでは?」
「何を言い出すかと思えば、そのような戯言を」
「戯言? ではこの土地がいつから王国の物となったのか聞かせてもらおうか」
「……それは」
「もしも本当に王国の物であるとされているのであれば記録くらいは残っているはずだ」
兵士達が少しだが狼狽えたな。
「ここが王国の領土でなかった場合、王国に報告せずに税を回収していることになるが……それは問題ではないのかな?」
貴族は領民から税を回収する、なら王は貴族から税を回収するはずだ。それが正しいならこの納税は脱税となる可能性が高い、正直賭けではあったが……この反応は間違って無さそうだな。
「もしもこの村から税を回収したいのであれば、正式な書状を持ってきてもらおうか!」
決まったな。
「黙れ!」
ガシャン
「……これはなんの真似だ」
「貴様ら愚民は我々の搾取対象だ! 黙って税を納めていればこのような事せずに済んだが、いいだろう! 我々に恥をかかせたことその命で償ってもらおう」
「それは……宣戦布告と受け取っていいんだな」
俺は首元に剣を差し向けた兵士の顔を静かに見た。
「何を偉そうに! お前の次は村の住民だ! 男は労働力として女は」
導く者を発動。スキル自動化を習得しました。
「わかったから……それ以上喋らないでくれ」
「……! …….! ……!? ……!!!」
研究部屋
「隊長!?」
兵士達がザワザワし始めたな、まぁそりゃそうか口が使えないどころか口ごと無くなってるんだから。
「貴様! よくも隊長を」
先に剣を向けたのはそっちだろ。
逆恨みもいいとこだ。
ブォン!
兵士が振り下ろした剣は俺に当たることはなく空を切った。
そして俺は兵士達の攻撃を全てよけ全員を拘束した。
「こんなものか」
……あれ?
今俺スキル発動してたか?
「まさか!」
ステータス!
ノーチェ・ミルキーウェイ
始祖蟒蛇Lv3
耐性
痛覚耐性Lv1、物理攻撃耐性Lv4、精神異常耐性Lv5、魔法攻撃耐性Lv3、状態異常無効Lv10
スキル
知り尽くす者、混沌監獄、研究部屋
魔法
回復魔法Lv8、幻影魔法Lv5、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv5、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、闇魔法Lv6
???
計算Lv9、強欲
------
神に出会った者/神を救った者/導く者
……やったぁ! なんでだ! なんでか知らんけどやったぁ!
いや……そういえばスキル自動化がなんとか言ってたっけ?
俺はガッツポーズを決めたりまぁ体で喜びの感情を表した。
……拘束した兵士の前で。
あっごめん煽ってるわけじゃないんだよ。
「さて……取り乱してしまって申し訳ない」
「……! ……!! ……!?」
隊長と呼ばれていた男が体をバタバタと動かす。
「はぁ……何言ってるかわかんないなぁ」
「隊長を元に戻せ!」
隣にいた兵士が吠える。
「断る」
それ聞いた兵士は鋭い目をして俺の事を睨みつけた。
「けど安心して欲しい、君たちは全員生きて帰ってもらう。何を報告するかはわかってるよね」
こいつらがここに手を出さないように言ってくれれば万々歳、そうならなかった時は……まぁどうにかなるだろ。
「隊長さんは口が使えないみたいだから……君が報告するんだよ」
俺は隣にいた兵士を指さして言った。
その後全員の拘束を解いて解放してやった。
去り際に色々と言われたが隊長と同じようにしてやろうかと聞いたら黙って居なくなった。
「ふぅ……終わったよ」
「ノーチェ良かったのか? あのまま帰して。」
地面からクイックが出てきた。
まぁ探索で分かってはいたが。
「あの兵士たちの反応からここは王国の外だ、王国が攻めてくるには理由が必要なはず。それなら国がここを攻めることはないと考えていいだろう」
「あと何か理由があるのか?」
「……形はどうあれ貴族が黙ってる訳が無い、手を引くように報告して逆上し攻めてくるでも侮辱されたから攻めてくるでも結末は同じだ」
なら……その貴族が手出し出来なくなるようにすればいい。
「ノーチェ……悪い顔してるよ」
「いや……大丈夫さここは護ってみせるよ」
村に戻ったら俺は色々な人から賞賛された。
しかしこれからまた戦いになることを予測して気は抜かないように注意しておいた。
「次はいつ攻めてくるかわからない、見張り役を森に配置して逐一確認を取るように」
「私達も協力するわ」
そう言ってくれたのはハーピー達だった。
「エレナ……」
「大丈夫よ、ハーピーは素早いの偵察なら任せて」
そういうと羽をバサバサと動かした。
「わかった見張りは任せる」
「……みんな! これから起きることがこの村の命運を分けることになる! だが安心して欲しい」
「俺がこの村にいる限り! 全員の安全は保証する!」
俺の一言でみんなが鼓舞されたのか村全体が声を上げた。
その声は大きく響き俺にも伝わってくる。
ポカポカした暖かい気持ちとゾクゾクとした喜びが溢れる。
さぁ貴族野郎……かかってこい。
我々は例の村から貴族直轄の領地に戻った。
「との事でしてこれは明らかなる反抗であると判断し」
隣では私の部下がサーレス様に報告をしている。
「ふむ……それで、負けて逃げてきたと」
「そ、それは」
「はぁ……高貴なる血を持たぬ愚民は全く使えんのぉ」
「更には口を奪われ喋れぬ愚か者までおるとは」
サーレス様が私を見て言う。
「隊長殿は謎の魔法により」
「言い訳は聞いていない! 貴様らには失望したと言っているのだ! たかだか辺境の地にある村1つ! そこから税を取り損ねるなど大失態では無いか!」
そういうとサーレス様はワイングラスを投げつけた。
「もうよい! その村は使えん……潰せ」
「しかしあそこは王国領の外です! 大軍で攻めれば近くにある獣王国などが反発する可能性が」
「黙れ! お前たちは私の命令をただ聞いていれば良いのだ! 明日すぐに出立しろ! 村を滅ぼし使えるものは奴隷として確保するのだ。最近狩ったエルフ共もそろそろ捨て時だしな。はははははははは」
「……わかり、ました」
俺たちは静かに退出した。
しかしそんなことはどうでもいい。
俺は……あいつを、あのクソ野郎を次会ったら絶対に……絶対に殺してやる!
「……..!!」
復讐に燃える兵士はそう心に深く刻んだ。
現在のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ
始祖蟒蛇Lv3
耐性
痛覚耐性Lv1、物理攻撃耐性Lv4、精神異常耐性Lv5、魔法攻撃耐性Lv3、状態異常無効Lv10
スキル
知り尽くす者、混沌監獄、研究部屋
魔法
回復魔法Lv8、幻影魔法Lv5、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv5、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、闇魔法Lv6
???
計算Lv9、強欲
------
神に出会った者/神を救った者/導く者
クイック・ミルキーウェイ
レッドモールLv9
耐性
物理攻撃耐性Lv5
スキル
探索Lv8、隠密Lv6、採掘Lv8、高速移動Lv9、回避Lv1、体術Lv2、集中Lv2、空間把握Lv1
魔法
火炎魔法Lv1、風斬魔法Lv1、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10
???
食事Lv2