31話 人になる
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増えてくとも〜嬉しい!
まだまだ続きまーす。
「ノーチェ〜サイズはどう?」
「いや、ごめんなさい! サイズは完璧なんですけどこの服は勘弁してください!」
「嫌よ〜ノーチェったら女の子の癖に全くオシャレしないんだもの」
「あっ次はこれにしましょう」
「もう許してぇ」
何故こんなことになっているのか時は数日前に遡る。
俺とクイックはハーピー達が村に来てからも毎日のように森で狩りを続けていた。
人の体にも慣れてきて俊敏な動きができるようになってきたことで作業効率も大幅に上がったのだ。
クイックも進化こそしていないが新しいスキルや魔法を何種類か覚えることに成功した。
とはいえまだまだ人とは言えない見た目をしていたのだが。
人化がLv8になりました。
そのアナウンスが聞こえた時に大きな変化が見られたのだ。
「ノ、ノ、ノ、ノーチェ!」
まず驚いたのはクイックの叫び声だった。
「え? 何?」
俺は何が起こったのか分からずそのまま振り向いてしまった。
元々人化に変身している時は全身が蛇の鱗に覆われて人らしい肌なんて全く見えていなかったから裸で動き回っていたのだが。
「体! 体が!」
クイックは目をつぶって俺を指さす。
「ったく……なんだ……よ?」
視線を落とした先には、素っ裸で佇む少女がいた。
「なっれ……えっ!」
「ええぇぇぇぇぇぇ!」
「あっちょ! ノーチェ落ち着いて!」
「いやだって変わりすぎじゃん! ついさっきまで性別すらあれだったのに! 完全に女の子じゃん!」
…….。
「俺女の子じゃん!!」
いや……はぁマジかぁ。
……いやさお姉ちゃんって言われてたからそうなんだろうなぁって思ってたけどさ。
「ノーチェ?」
「いや……なんでもないです」
こう現実をぶん投げられるとショックだなぁ。
「錬成……鏡」
完全に人間と同じになったと思ったが……蛇特有の歯、なんか黒いしっぽみたいのも生えてるし。
あとは目がちょっと蛇よりの目だな。
髪は黒、いや白い髪が一筋だけあるな。
まぁ他のところは普通の人間っていうか……てか前世は男だったからな、髪が長くて邪魔だ。
「ノーチェ! 確認は後でしてさ早く服きてよ!」
「あ、あぁそれもそうだな」
錬成、服
まぁとりあえず短パンと半袖でいいだろ。
「これでいいか?」
「う、うん。全く前々からノーチェは色々自覚ないと思ってたけどここまでとは」
そんなこと言われてもなぁ……。
「まぁ、そう言わずにさ。ほらあそこにもいるよ倒しに行こ〜」
「あーもう! ノーチェ待ってよ〜」
とまぁ人化スキルがいい感じに使えるようになって来たのだが。
今までの人化と比べご飯を食べる量が少なくなったり本を読むなど細かな作業は人の方がやりやすかったりと何かと便利なことも結構あって。
村でもちょくちょく人の姿で動くことが多くなったのだ。
しかし長い蛇生活の影響でつい服を着忘れたり、無意識に体をくねくねさせてしまったり。
一昨日も家から裸で出てきてエリーナを驚かせてしまった。
あとついでに俺は美的感覚がほとんどなくたまに来ている服も適当に錬成した適当な服だった。
それを見かねたエレナが俺の服を用意してくれることになったと言うわけだ。
「これとかいいんじゃない?」
「何そのフリッフリな服! 女の子が着るやつじゃん!」
「ノーチェは女の子でしょ〜」
そうだけどそうじゃないの!
「あっエレナ、これとかもいいんじゃない?」
エリーナまでもうやめてよぉ。
「うぅ……うぅ……もう知らない!」
俺は人化を解いて蛇の姿で逃げることにした。
「あっこら! ノーチェ待ちなさい!」
エレナとエリーナが追いかける。
「着せ替え人形はもう嫌だぁ!」
「クイック殿……」
「これは村長……いやゼンさん」
「全く、クイック殿もわたくしをゼンさんなどと」
「年配者には敬意を払えとノーチェが言うので」
「ははは」
「ノーチェ殿……元気になられましたな」
「……」
ノーチェはここ数日で確かに随分と元気になった。
村を任され、ハーピー達と仲良くして、今ではああやって村の人達と……形はどうあれ楽しく遊んでいる。
けどたまに寂しそうな顔をする時がある。蛇の姿では分かりにくかったが人の姿を使うようになってからは落ち込んでいる時がわかりやすい。
……ケルロスか。
なんとなくわかる、ケルロスはノーチェに着いていけないからなんて理由で居なくなるやつじゃない。
多分……自分が不甲斐ないから、そして何よりノーチェ自身がケルロスに依存してしまっていることに気付いていたから。離れる選択肢を取った。
ノーチェに何も言わなかったのは……そういう理由があるんだと思う。
「それでも」
「? 如何されましたか?」
「……いやなんでもないよ」
ノーチェを泣かせたことだけは許せない。
「はぁ〜! 酷い目にあった。しばらく人になるのはやめとこうかな」
「それもいいけど、貴族対策はどうするの?」
家に入るとクイックが本を読みながら聞いてきた。
「そうなんだよねぇ〜」
クイックの言う通りあと一週間で来る貴族の兵士たちをどうにかしなければならない。
1番いいのは独立を認めてくれることなんだけど。
「最悪人の国全部を敵に回す可能性もあるよなぁ」
貴族の地位や人柄が分からない以上どう対処すればいいのやら、だいたい王国はこの土地について知ってるのか?
地図では確かに外れた位置にあるが。
「はぁ〜どうしたものか」
さすがに殺しちゃまずいよなぁ、来た兵士に向かって正式な自治領では無いので納税はしないと伝えるか。
伝えれば兵を差し向けてくるだろうな、それを何とか無傷で撤退。
いやぁ撤退したら今度は王国に泣き付かれる可能性もあるかぁ。
「あ〜ダメだ、いい考えが全く思いつかない」
「まぁ、自分の身を守るのとは訳が違うからね〜」
圧倒的な力でねじ伏せたらそれ以上の武力で返される。どの道こんな小さな村が国ひとつと戦争できる訳が無いんだ。
「……もっと規模がでかければなぁ」
国に対抗できるのは国だけだ、国力があればもう少し安定もするのだが。
「よし! 森に行こう!」
「現実逃避ですか〜?」
「うるさい!」
クイックには見透かされてしまった……。そうだよ現実逃避だよ!
「人の姿での戦闘には慣れたんですよね?」
森に移動してる時にクイックが聞いてきた。
「まぁ多少はね、あとは何か武器があればいいんだけど」
武器は錬金術スキルを使って何とかしてる状態だ、けどどれも壊れやすくて長期間の使用はできない。
「……あれ?」
いや待てよ……武器俺貰ってるじゃん!
えっとなんだっけあのなんか火炎剣!みたいなやつ
炎尖刀です。
あっそうそうそれ!
「確かそれを持って名前を変えるんだよな」
まずは炎尖刀を出してくれるかな。
炎尖刀を読み込み中……読み込み完了。
そう聞こえた瞬間頭上から刀が降ってきた。
「おっ……あっぶな」
「ん? えっ!? なんだそれ」
クイックはいきなり現れた刀に驚いている様子だ。
「あーこれ? ……これは前攻略したダンジョンの報酬だよ」
とりあえず名前を決めないとな……。
名前……名前かぁ。
名前なんてケルロスとクイックに付けた時以来だな。
……ははは、懐かしいな。
「星紅刀」
そう言うと刀は白く輝き出した。
星紅刀認証完了、書き換え中。書き換え完了。
白い光が消えた後には1本の刀が残っていた。
「随分と見た目変わりましたね」
クイックが観察しながら言った。
先程までは真っ赤だった鞘は黒色が入り込み闇と光を表しているようだった。
柄の部分も変わっておりこちらは真っ黒になっている。
気になり刀身を抜いてみた、刀身は美しい白で……。
「まるで……雪だな」
「ノーチェ……」
いや、これが俺の武器だと言うなら有難く使わせてもらおう。だって多分……止まってたらダメだから。
「さぁクイック! こいつの性能を確かめに行くぞー!」
「……そうだな!」
俺とクイックは気合いを入れ直して森の中に消えていった。
現実のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ
始祖蟒蛇Lv3
耐性
痛覚耐性Lv1、物理攻撃耐性Lv4、精神異常耐性Lv5、魔法攻撃耐性Lv3、状態異常無効Lv10
スキル
全知全能Lv1、錬金術(毒特化)Lv8、心理掌握Lv1、人化Lv8、鑑定Lv9、拘束Lv9、転移Lv6、透明化Lv1、取引Lv1、探索Lv9、追跡Lv1、操作Lv1、回避Lv9、斬撃Lv1、神速Lv2、探索阻害Lv4、魔力保管Lv3、不死Lv2、知り尽くす者
魔法
回復魔法Lv8、幻影魔法Lv5、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv5、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、闇魔法Lv6
???
計算Lv9、強欲
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神に出会った者/神を救った者/導く者
クイック・ミルキーウェイ
レッドモールLv9
耐性
物理攻撃耐性Lv5
スキル
探索Lv8、隠密Lv6、採掘Lv8、高速移動Lv9、回避Lv1、体術Lv2、集中Lv2、空間把握Lv1
魔法
火炎魔法Lv1、風斬魔法Lv1、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10
???
食事Lv2