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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
国づくり編
28/261

28話 強欲

「2対1……まぁそれでやっと対等か」


男はそう言うと服を整えて咳払いをした。


「私の名前はバーン・ローベンス!ゼーレスクダンジョンの主だ」

「……ご丁寧にどうも。攻撃する前に言ってくれるとありがたいんだけどな」


クイック……待ってろすぐ助けてやるからな。


「弱い者に名前を教えても意味が無いだろう」

「そうかい……じゃあ俺も名乗ろうか」

「俺はノーチェ・ミルキーウェイ!ゼーレスクダンジョンを攻略する者だ」


しっぽでバーンのことを指しながらそう叫んだ。


「ふふ……あははははは! 愉快!」


ぜんっぜん愉快ってトーンじゃなかったけど!

そんなこと考えてる暇もない速度でバーンが向かってくる。

早い!


「落炎爆!」


上からは炎の塊が、前からはバーンが突っ込んでくる。


「上は任せろ!」

「わかった」


風の斬撃で炎をかき消したのか。


「水陣・五流水天」


魔法は想像力だ、バーンの周りに水の陣をイメージ。

そこに入った瞬間5方向から最高威力で水槍をぶつける。


「炎上炸破」


蒸発したか……けどそれは計算通り。

さっきの風の斬撃の時にケルロスは高く飛んでるんだ。

さらに蒸発した煙で周りも見えない。

タイミングは完璧だ!


「限界突破! 神速斬撃。」

「そんなもの!」

「させるか!」


岩石縛陣

動きは封じた!


「ケルロス!」

「あああぁぁ!」


ケルロスの斬撃はバーンの腹に大きな傷を付けた。

どうだ、これで倒せたらありがたいんだが。



「ふふ……ははは、いいぞ。お前たち思っていたよりも強いじゃないか」


……やはり一筋縄じゃ……は?

傷がもう、回復魔法か? いやそれにしては早すぎる。

それにあの姿はなんだ、さっきとは違う羽?獣王国であった奴と同じ。


「戦闘中だぞ、考え事すんな」


体の真ん中辺りに強い衝撃が走る。


「は……っ」


ドゴンッ!


「……ノーチェ!?」


何が……痛っクッソ攻撃された? 見えなかった。

さっきの……いや視界がぼやける。脳震盪か?


「はっ……ゴフッ……ばっか……何が……」

「うーんあの状態の俺に攻撃を与えられたんだ、この姿でも多少は持つと思ったが。少しやりすぎたらしい」


さっきまでいた……所からなんで……体が動かない。


「……興醒めだなぁ。もういいや、この辺で終わりにしとこう」


バーンの腕が振り下ろされる……回避だ避けないと。

ま……ずい、体が本当に……全く。


「限界突破! 要塞」

「ケ……ル」

「うるさい! 今は逃げるぞ、勝てる相手じゃない!」


ダメだよ……クイックを助けないと。


「限界突破ねぇ……そのスキル確かに便利だけどさ」


ミシミシッ


「なっ」


要塞は嫌な音を立てながら無惨に砕け散っていった。


「自分の力を超えた所にある物を使ったらどうなるか……分からないことないよね」


バキッ


「神速!」


ケルロスが俺の事を口で掴み逃げようとする。


「ダメ……まだクイックが」

「無茶だ! こんな状態で助けられるか!」


ケルロスの言っていることは正しい……このままじゃ本当に全滅する。でも仲間を見殺しになんて……。


「逃げる判断は正しいけど……そんな速度で逃げられると思ってるのは少し……腹立つな」


そんな声が聞こえた瞬間俺はまた吹き飛ばされた。

……意識が飛びそうだ。それに今何が起きた。

ケルロスはどこに、さっきまでそこにいたはず。


「ケル…………」


目線の先には血の海で浅い呼吸を繰り返すケルロスが居た。


「はぁ……ここの掃除大変なんだよね、あっこいつ雑巾にするか」


そう言うとバーンはケルロスのことを踏みつけた。


「やめ……」

「あっ何? まだ生きてたんだ、頑丈だね」


あの目……あれは俺を見てない、興味を無くした目だ。

本当に殺される……ケルロスをクイックを助けられない。

嫌だ……。


「大体さ、君達がこんな所に来るから悪いんだよ!」


ケルロスを踏みつけていた足で俺の体を蹴りあげる。


「がっ……」


痛い……。蹴られて……。


「高々! 動物風情が! 俺の! 住処に! 汚ぇ足で! 入ってきやがって!」


先程までの丁寧な対応は何処へやらバーンは汚い言葉で俺の事を罵る。


「はぁはぁ。まぁいいさお前達はここで全員死ぬんだ。それで俺に働いた無礼を帳消しにしてやろう」


……。


助けるんだ……護るんだ……救うんだ……俺は……村の人たちを、エルフのみんなを……クイックを……ケルロスを!


「助けるって…….」

「あ?」

「助けるって……決めたんだよ!」


それは小さな……小さな蛇の小さな叫びだった。


「助ける? あはははははははは! お前がか! こんなボロボロで何が出来る! お前はこのまま何も出来ずに、誰も救えずに死ぬんだよ!」


それでも俺は……みんなを。



渇望する者の条件を全て満たしました。

渇望する者が進化しました。

強欲を会得。

分解、融合が知り尽くす者に進化しました。

知り尽くす者の効果発動所持スキルの進化を開始します。

総合把握→全知全能

心理把握→心理掌握

中型輸送→転移

隠密→透明化

中速移動→神速

悪食→魔力保管

進化完了。

全知全能を使用しました。

神速、透明化使用。



ドンッ


バーンの足が俺に向かって降ろされた。

しかしその足は俺の体のどこもを潰すことはなく床を踏んだだけとなった。


「……あ?」

「回復」

「お前……今の一瞬で何があった」


……体が動く、全知全能のおかげであいつの攻撃から逃げる1番いい手段が思い浮かんだ。


「強欲か……確かに俺は欲深いのかもしれないな」


今の俺の手には命が乗っている……それを心から感じている。


「……お前の変化、それもそれで気になるが。その程度俺の敵にはなり得ない!」


……新しく獲得した強欲のスキル。


「お前で実験だ」

研究部屋(マイワールド)!」


周囲が暗くなる、しかし俺には俺だけには全てが見えている。


「な、何だこの空間は!」


どうやらバーンには見えていないようだが。


「ここは研究室さ、俺は今からお前を体の隅々まで調べさせてもらう」

「はっ研究だと? この俺を? 何を馬鹿なことを言っているんだ!モルモットと言うならそれこそお前たちの方が……」


その時バーンの体は左に大きく傾き倒れていった。


「は?」


バーンは自分の足を見て驚愕する。


「足……足が……俺の足がぁぁぁぁぁぁぁ!!」


バーンの左足が無くなっているのだ。


「安心しろ痛みは無いはずだ」

「ふ、ふざけるな! 俺の足はどこだ! どこにやった!」

「その様子ならまだまだ行けそうだな」


右腕、左耳、右足、右目、左腕、左目、口、鼻、右耳

バーンは時折叫び声を上げて、反抗し続けたが口を取った頃には静かになりその後は肉塊がピクピクと動くだけだった。

俺は結局バーンの四肢や顔のパーツ……内蔵まで全てを解剖していった。


「研究終了」


バーン……いや実験材料だったものは肉の塊に成り果てもはやなんだったのかもわからない。

回復

俺はケルロスとクイックに回復魔法をかけた。

2人とも息はあるが疲労や瀕死であったからか意識は戻らない。

不安はあるけどこれ以上何もしてあげられない……。



上級ダンジョン

ゼーレスク攻略完了

報酬があります。受け取りますか?


……はい。


スキル

人化

斬撃

分身

神速

透明化

強度変化



これから2つか……人化と斬撃。


人化、斬撃を会得しました。

アイテムドロップ

炎尖刀会得。

所持者をノーチェ・ミルキーウェイに移行完了。

名前を付けてください。


今はそんな気分じゃないんだ……後にしてくれ。


……名前変更は何時でもおこなえます。

変更時は刀を持ち名を唱えてください。


勝った……勝ったはずだ。

ケルロスとクイックも助けられた。

……なのになんで。こんなに、涙が出るんだよ。


現在のステータス

ノーチェ・ミルキーウェイ

始祖蟒蛇Lv3

耐性

痛覚耐性Lv1、物理攻撃耐性Lv4、精神異常耐性Lv5、魔法攻撃耐性Lv3、状態異常無効Lv10

スキル

全知全能Lv1、錬金術(毒特化)Lv8、心理掌握Lv1、人化Lv1、鑑定Lv9、拘束Lv9、転移Lv6、透明化Lv1、取引Lv1、探索Lv9、追跡Lv1、操作Lv1、回避Lv8、斬撃Lv1、神速Lv1、探索阻害Lv4、魔力保管Lv1、不死Lv2、知り尽くす者

魔法

回復魔法Lv8、幻影魔法Lv5、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv5、土石魔法Lv8、土流魔法Lv6、闇魔法Lv6

???

計算Lv9、強欲

------

神に出会った者/神を救った者/導く者


ケルロス・ミルキーウェイ

白狼Lv5

耐性

痛覚耐性Lv5、状態異常耐性Lv4、物理攻撃耐性Lv9、魔法攻撃耐性Lv5

スキル

総合把握Lv3、隠蔽Lv8、分身Lv10、探索Lv4、鑑定Lv6、限界突破Lv1、咆哮Lv8、威圧Lv2、要塞Lv6、斬撃Lv9、貫通Lv2、神速Lv6、結界Lv3、孤独Lv1、共鳴Lv2

魔法

風新魔法Lv10、風斬魔法Lv3、光魔法Lv10、神聖魔法Lv1

???

憧れる者Lv6


クイック・ミルキーウェイ

レッドモールLv9

耐性

物理攻撃耐性Lv5

スキル

探索Lv8、隠密Lv3、採掘Lv8、高速移動Lv9、体術Lv2、集中Lv2

魔法

土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、風斬魔法Lv1

???

食事Lv2

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