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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
ノーチェ編
261/261

260話 転生先は蛇さんでした。

ザリッ


土の味……口がジャリジャリしてる。てかここは


「火山……から少し移動したところか、5年も経てば森もできるよな」


俺は重たい体をゆっくりと持ち上げて空を見る。今は夜で星空がとても綺麗だった。


「本当に戻ってきたのか」


地面の感触とすこし冷たい風を感じながら戻ってきたことを実感する。


「確か国は」


戻るために国の方向を確認していると足元に何かが当たった。


「これは」


折れた刀、それに扇子……


少しだけ錆びた刀を手に取りまだ使えそうな扇子を広げる。


「うん……そうだな、ノーチェは古の刀と美しい扇子を手に入れた! テッテレー」


悲しいだけだ……やめよう。


「それにしても腕も目も治ってる。でもステータスは若干下がってる? 進化は変わってないけど称号がなくなってる。風系統の魔法もなくなってるし……ん?」



ノーチェ・ミルキーウェイ

天月姫Lv10

所持アイテム星紅刀、楼墨扇子

《耐性》

痛覚耐性Lv6、物理攻撃耐性Lv10、精神異常無効Lv10、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv10

《スキル》

導く者、貪慾王ガイツ堕落王ファールハイト悋気王ナイト高慢王ホッファート愛慾王ヴォルスト支配者、知り尽くす者、溺れる者、信頼する者、諦める者、選択する者、混沌監獄(ユニオンプリズン)研究部屋(マイワールド)永久保存(アイスロック)欲望破綻(ダイエット)不達領域(リーチキャンセル)完全反転(フルフリップ)極限漲溢(ルプトゥラ)魔法無効(アンチエリア)好感度変換(ラブパワー)奴隷宣言(マリオネット)

《魔法》

火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv10、火流魔法Lv5、水泡魔法Lv10、水斬魔法Lv10、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、土石魔法Lv10、土斬魔法Lv9、土流魔法Lv9、回復魔法Lv10、破滅魔法Lv4、幻影魔法Lv10、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10

《七獄》

強欲、暴食、嫉妬、傲慢、色欲

《資格》

管理者-導く者



暴食がハナさんで色欲がリーベさんだな。さくらは悋気王ナイトにしてくれたってところか。


「はは、化け物出来た」


風系統の魔法は完全に使えなくなってるけど……これならプラマイプラスって感じだよな。


「本当になんでもありだなあの人たち」


敵わないや。


「とにかくみんなに会いに行くか」


色々気まずいけど。


錆びた刀と扇子をしまい国に向かって歩いていく。転移をすれば早いがこっちに来たばかりだからか魔力はほとんど空だ。


「まぁ……今までの生活を振り返りながらゆっくり行こうか」


俺はそう呟いて暗い森の中に消えていった。



ノーチェ復活から3日


「はぁ」

「またサボってる」


クイックが扉を開いて俺の事を注意する。しかし俺は多分何度注意されてもこれは辞められないと思う。


「……ノーチェがいなくなって5年だよ? そろそろ立ち上がるべきなんじゃない?」

「立ち上がってはいるよ」


立ち上がってる……傷も癒えたしノーチェのことを引きずってる……わけじゃないとは言いきれないけど多少は元に戻っている。


「でもやっぱり一つだけ思うことがある」


クイックはそれを聞いて顔を逸らした。


「あの時……ノーチェはさくらと2人きりで戦った。自分のことを殺させることで責任とか色々背負わせないようにって思ってくれてたのはわかる。わかるけど」



ケルロスの悔しそうで悲しそうな顔を見て俺はあの時のことを思い出す。



「ノーチェ! 早くノーチェを探せ!」


大量のさくらが消えてノーチェが向かった場所に行ったがそこに居たのはボロボロになったセナとレリア……そして涙を流しながら叫んでいるケルロスだった。


「ケル……ロス」

「クイック! ノーチェの魔力反応を探すんだ!」

「何! 一体何があったの!」


慌てた様子のケルロスの肩を掴みエリーナが聞く。


「ノーチェがさくらのことを連れて転移した! 多分2人きりでケリをつける気だ! 早くしないと手遅れになる!」


俺はそれを聞いた瞬間全てを理解して魔力の残っているものを集めノーチェの探索を行おうとした。しかし


「やめなさい」


俺たちのことを止めたのはエレナだった。


「エレナ……お前何言ってるんだ」


ケルロスの反応に俺も同意だった。やめなさい? ノーチェを探すのをやめろって言っているのか?


「何言ってるのエレナ! 早くノーチェを探さないともう!」

「わからないの!? ノーチェは私たちのことを思っていなくなったのよ!!」


エレナの叫び声が辺りに響く。後ろからは戦いが終わり合流したフィーやシャル、ゼロなどが居た。


「何……が」


フィーがシャルの肩に捕まりながら質問する。


「……今は負傷者を集めて、被害の確認は後。息のあるものは回復魔法を持っているものでなんとか――」

「待って! 待てよエレナ! まだノーチェは戦ってるんだ! 今俺たちが助けないと」

「助ける? 今の私たちに何ができるの、そんなボロボロでセナだって瀕死、魔王2人で息を止められなかった怪物をどうやって殺すのよ」


酷く冷静な意見……エレナの言うことは正しい……正しいからこそ今の俺達にそれは残酷すぎる現実だった。


「ふざけるな!!」


ケルロスが俺でも追えない速度でエレナの胸ぐらを掴む。


「ノーチェを探す! そして助けて――」

「助けてどうするのよ! さくらを殺した後にノーチェのことを殺すの!? ノーチェはそれを……それを私達にさせない為にここから離れたのよ!! 私たちはノーチェに守られたの!! そんなこともわからないの貴方は!!」


エレナの勢いに押されてケルロスが手を離す。


「……私だって、私だって助けられるなら……助けてあげたかった……」


声を殺しながらエレナが涙を流す。後ろにいるエリーナもきっと泣いている。


「……テグ、負傷者を集めてくれ。あと回復魔法を使える者も、応急処置をした後フィデース信栄帝国に帰国する」


テグは何も言わず頭を下げたまま動き出した。


「クイック」


俺はケルロスに呼ばれて近寄った。


「どうした」


地面に伏して手で土を抉る。そのケルロスの手からは血が流れていた。


「俺は……俺はノーチェに会った時から何も、何もしてやれなかった!」


その時に見せたケルロスの表情を俺は生涯忘れられないと……そう思った。



「……」

「いや、こんな話何度しても仕方ないよな。多分ノーチェなら泣いて、沢山泣いて、全部吐き出した後前を向くだろ。そう考えるといくら弱音を吐いても前に進んでいたノーチェってのはとてもすごい存在だったんだなって……そう思うよ」


机に置いてあるペンを見ながらケルロスが言う。


その後俺たちは仕事に戻るため家を後にした。



……結局夜になってしまった。クイックは仕事場で泊まるって言ってたし家は1人か……ノーチェがいなくなって家で仕事することも少なくなったからな。


「はぁ」


息から出る白い息で遊びながら寂しい帰路につく。



「寒い! 手寄越せ!」

「はぁ〜? 俺の手は冷たいから嫌だ? ……じゃあいいもんクイック〜」

「ってなんだよお前ら……結局2人で繋ぐのかよ、これじゃあ子供みたいじゃん俺! てか身長的にそんな感じだから!!お前らもっと縮め!」

「あっ! なんだその勝ち誇ったような顔! 腹立つなぁ〜」

「くふっ……はは、あははははは!」



もう……俺の手を握ってくれる人は居なんだろうな。


ガチャ


懐かしい思い出に浸りながら家の扉を開ける。しかし俺は玄関を見た時にひとつの違和感を覚えた。


「ん?」


靴の位置がズレてる……カーペットも。


俺たちが家にいたのは昼頃、その時はこんな風にはなっていなかった。それにテグは家の掃除を完璧にこなす。これを見たら確実に治すはずだ。もしこれがクイックだとしても綺麗好きだからこれは許せないはず。



「ノーチェ……もっと綺麗に靴脱ぎなよ」

「えぇ〜」

「それではご主人様、この靴は私たちが預かりますので」

「待て待て! どこに持ってくつもりだ!」

「では次からは丁寧に置いてください、あとカーペットもしっかりと」

「わかったよ〜」



……


俺は少しだけ急ぎ足でノーチェの部屋に向かった。


「……」


もしかしたら、もしかしたら!


ガチャ!!


……


部屋の扉を勢いよく開く。俺の期待とは裏腹にそこには空の机と椅子が動かずに置いてあった。


「……はは、そんな訳ないよな」


何を期待してるんだか……もうノーチェはこの世には


「ケルロス?」


俺の後ろからした声……この優しくて落ち着く声、そして大好きな人の声……この声は。


「ノーチェ……?」


ゆっくりと後ろを振り返る。そこには綺麗な白い髪を靡かせて嬉しそうに笑う……俺が、世界で1番愛した人がいた。


「ノーチェ!!」


ガバッ!


「わ! ちょ! ケルロス!?」

「本当にノーチェだ! あぁ! 本当に本当に!」


温かい、生きてる。鼓動が聞こえる。息遣いがわかる。声も全部全部! 全部ノーチェだ!


「あぁ! あぁ!!」


もう何も出てこない。嬉しい! 本当に嬉しい……。


「ノーチェ」

「……そうだよ、ノーチェだ」


慌てていたノーチェもそっと手を回してくれた。


「生きてる……ノーチェが生きてるよ」


涙が止まらない。気持ちが湧き上がる。生きててこんなに嬉しかったこと、幸運だったことはノーチェに出会った時以来だ。



「……生きてるよ、ごめんね心配させて」


沢山心配させたよね……ごめんねケルロス。とっても辛かったよね。でも大丈夫、これからは俺がいるから。


「はぁ……全く、今までどこに」

「わかんない……どこに居たのかは、でもこっちに戻ってきたのは数日前だよ」


涙を流しながらケルロスが続ける。


「もっと早く……戻ってきてよ」

「ごめんよ、魔力がなくて転移できなかったんだ。あとは……久しぶりだったから少し……会いずらくて」


それを聞いたケルロスはくすくすと笑っていた。


「あっ! いや笑うなよ……というかびっくりしたんだから、会議室見てたら階段を登ってくる音が聞こえてさ」

「あ〜、玄関ぐちゃぐちゃだったからノーチェいるかなって」

「なんだよその判断基準!」

「……ふふ」

「はは」


あ〜やっぱり最高だな。生きてるって。


「ははははは」

「あははははは!」


ひとしきり笑って涙を拭いたあとケルロスは乱れた服を直して改めて言ってくれた。


「おかえりノーチェ」

「……ただいまケルロス」

転生先は蛇さんでした。を見てくださった皆様、大変感謝です。投稿を始めたのが去年の7月、話が上手くまとまらずにぐちゃぐちゃになって困り果てたことや納得できないと思い全て書き直したことなど色々ありましたが260話(ステータス除き)を書き終えたことに今は満足しています。内容や書き方も初心者丸出し下手な話であったと思いますがそれでも読んでくださった皆さんに改めて感謝をさせてください。


え〜話がすぐに変わって申し訳ないのですが次作は既に考えております。またすぐに……すぐじゃないかもしないですが毎日投稿が始まると思うので次回作にご期待……まぁまた読んでやるか位の気持ちでいてくれると嬉しいです。

要するにまた別の話書くので読んでくれると嬉しいです! ってことです。


では皆さんまた会う日まで!

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