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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
夜桜編
254/261

253話 夜桜戦争・攻防

ギャリ! ガチャガチャ!!


魔王2人の攻撃を受け流せるとか本当にどんだけ強いんだよ!


「ふぅ……覇突流、龍式牙突!」


パシュッ!


手で軌道をズラされた! 1度槍を戻――


パシッ


「ばっ!」


槍を掴むんじゃないっての!!


サッ!


槍を掴んださくらの腕目掛けてノーチェが刀を振り下ろす。しかし化け物、さくらはそれを見てからゆっくりと槍を手放した。


「まだ!」


バコンッ!!


槍を離して刀を持ち替える一瞬を狙い腹部に蹴りを入れたのか! とにかく今がチャンス!


「覇突流! 天崩し!」


ガシャン!


防がれた!


「そのまま!」


後ろからノーチェの声がする。僕はさくらの攻撃を腕で防ぎノーチェの言う通りそのままの体勢で待ち構えた。


バンッ!


「当たれ!」


槍を後ろから蹴ってリーチを伸ばした。僕の腕は伸びきっててこれ以上来ないって油断しているからできる不意打ち攻撃!


サシュ!


頬に当たった! ようやく攻撃と言える攻撃が当たっ――


ドンッ!


「かっ!」

「ッ!」


さくらの攻撃の威力が高くて防ぎきれなかった! 後ろにいるノーチェも巻き込んじゃったし最悪!


「大丈夫!?」

「何とか!」


少し呼吸する時間が――


「セナ!」


避けられない……当たる!


「血炎斬!」


後ろから!?


「トロリアット!」

「私だって戦えます! お2人程じゃなくても!」


鎌を持った女がさくらに突撃する。


「紅閃光!」


カチャン!


「そんな簡単に止めないでくださいますか!」

「……」


やっぱりあのままじゃあの子が死んじゃう!



「氷天影芒」


トロリアットが作ってくれた時間は無駄にしない!


サシュ! サシュサシュサシュサシュサシュ!!


「全く当たんない!」

破魂喰(ブレイクイーター)!」


大きな顎!? セナの破滅魔法か!


「ッ! 上!!」

「アクア・ホーク!」


まぁ避けるよな……あんな遅い攻撃。でも遅いのは……


パァンッ!!


「ッ!?」

「中の魔法のせいだよ!」


中に入れた氷結魔法は水の飛沫を凍らせてその場に檻を作り出す!


「今だ!」

「待ってたよ……飽食王フェレライ!!」


飽食王フェレライ……能力は起こった事象を吸収して好きな時に放出できる!


「さっきの攻撃返すから!」


バコンッ!!


「ッ!」


自分の放った攻撃だ! 効くだろ!!


「まだまだ!」

「血染花!」

「私も戦うためにここに来ましたので! シルバー・ロック!」

「ドラゴン・ブレス!」


みんながさくらに向けて攻撃をする。しかし……あの感じ、最初の飽食王フェレライ以外は特に効いてないな。


「アイス――」


ザシュッ! パキンッ!!


「この距離を!?」


危ないなぁ! 斬られたのが反対だったら腕もう一本無くなってたぞ!


「くっそ!」


振った刀は当たり前のように避けられる……いくら捕まえてもあれだけ攻撃が効かないとどうするべきか。


「我々も戦わせてもらいます」

「ソル!?」


ソルだけじゃない……他の子達まで。


「元々我らはノーチェ様を守る盾、敵を討ち滅ぼす槍」

「まぁ私達は私達でやるからよろしくねお嬢」

「殿は腕を回復なされい」

「トロちゃんばっかりにいい思いさせられないからねぇ」

「主様は後ろで休んでいるといい!」


お前ら……


「ははっ……誰の心配してんだよ。俺はフィデース信栄帝国の王! そして魔王……ノーチェ・ミルキーウェイだぜ!」


どうやら心の奥底で少しだけ意志が折れかけてたみたいだ……みんなのおかげで持ち直せた。まだ俺は戦える!


「リキッド・ポイズン!」


広範囲の毒攻撃! これならどうだ!


「……研究部屋(マイワールド)


まぁだよね!


「いい目眩しだったよノーチェ!」


あぁ俺は……サポートだよ。


「主様に仕えられる最後の時間……しっかりと戦わなければ。バブル・ポップ!」

「よし! いい感じだよヨーレス! バウンド・ショット!」


泡を跳ねながら大量の矢がさくらに向かっていく。あれなら撃ち落とすことは難しい。しかしまだその間にはソル、ガス、フローリアが立っていた。


「アクセラレーション!」

「フローズン・クラスター!」


ガスの加速、フローリアが硬さを補っている。最後は


「ゼーデルヒープ!」


ソルが攻撃力をあげる訳か。


怨嗟王ツォーン


……かかった。


「今だ!! セナぁぁぁぁ!!」

「覇突流! 刃乱龍!」


最初からわかってた。どの道さくらが攻撃を避けるってことは……方法はなんにせよ必ず隙が生まれる。そこをセナが全力で突く!


「……」


でもやっぱり……動きが早い!


「トロリアット!」

「魔力操作に時間がかかりました! すみません!!」

「行けるか!」


俺の問にトロリアットは嬉しそうな顔をしてから元気よく


「もちろんです!」


と答えてくれた。


「レッド・スティング!」


無数の血の針がさくらに飛んでいく。さすがにこの量を避けるのは不可能だ!


「行ける!」


俺がそう確信した次の出来事だった。


悋気王ナイト


槍を持ち攻撃をしようとしていたセナが首をガクンとさせて地面に激突したのだ。


「セナ!!」


くっそ!

しかし俺はここでミスを犯した。俺のここでの判断ミスは3つ。直ぐにセナの代わりに攻撃しなかったこと、さくらから視線を離したこと……そして。


無限暴力(エネルギッシュ)


さくらに距離を詰められてしまったこと。


「ッ!!」


雨みたいな連撃……刀で弾くのが精一杯だ。しかも……


「……」


あっちは顔色1つ変えてないのにこっちは呼吸すらさせて貰えない。


カチャ! カチャカチャ! カチャカチャカチャカチャ!!


「……」


ブシュッ! サシュッ! パシュッ!!


速さが増してる……だんだん攻撃が当たるようになってきた。さすがにこれはしんどいな。しかもみんなは攻撃喰らってしばらく動けそうにないし。


大量の斬撃を喰らいながら考える。どうしてこんなことになったのか……諦めれば楽になるのではないか。どうせ死ぬなら世界なんて。


ガシャン!!


「良いわけないだろ! 俺はあいつらに!! みんなに生きてて欲しいんだよ!!」


防御に入るな! てか怪我なんか気にするな! 攻めろ! 引いたら負ける!! 前だけ見て足を進めろ!!


ガチャガチャ! パンッ! カシャン! キンッ!!


死ぬ気の攻防戦。実力は相手が上……俺に出来ることはこの命を削りながら戦うことだけ!


「ッ!」


当てる! 攻撃を当てる!


ブシッ! ビシュッ!


「っう!」


痛い……身体中が痛い。でも致命傷は避けてる……腕は動くし足もある! 刀を振るえる!!


「どうしたさくら! こんなもんかよ!!」


あ〜テンション上がってるな……アドレナリン出てる。体の痛みもだんだん引いてきたし。


「ははは……ラッキーじゃん!」


今しかない! 今絶対に倒すんだ!


「くっ!」


明らかに当たってる攻撃量が違う。いくら致命傷を避けてるからってこのままだとジリ貧か。


「……」


もう命はおしくない。でもお前だけは倒す。だから!


ザシュッ!!


「……ッ!?」

「捕まえたぜ……さくら!」


ブシュッ!


慌てた様子のさくらが俺の腹部に指した刀を懸命に抜こうとする。しかし手を掴んでいるためピクリとも動かない……てか動かさせない!


「あぁぁぁぁ!!」


シュッ! ブシャッ!!


さくらの肩に刀を差し込む。それと同時に足から氷結魔法を出して足を氷結させた。


ブシュッ!


「もっぱつ!」


刀を引き抜きさくらの胸あたりにもう一度刀を刺し込む。


ギチッ!


「ッ!」


さすがに魔法で抵抗されたか。


「ふふっ……このまま死のうぜ」


高慢王ホッファート


「アイス・プリズン!!」


パキッ!! ……バコンッ!!


「一緒に死のうって言っただろさくら!」

「……」


魔法を発動する一瞬火炎魔法で相殺しやがった。


「はぁ……はぁ……」


確実にダメージは入ってる。でも……


「……」


俺の方が限界が近い。


「フローズン――」


バッ!!


距離を!! 接近戦をやるつもりか!


顔目掛けて飛んできた蹴りを腕で防ぎカウンターを狙う。しかし俺の拳もさくらの手で弾かれたしまった。


「……」


さっきから笑いもしないし怒りもしない……不気味だ。


パシッ! サッ! スッ!!


なんだ……どうしてさくらの動きについていける……というかさっきの刀同士の戦い、あれだってどうやって戦っていた? 知っている……俺はさくらの動きを知っていた。


「なら……まだ」


勝てる。


右……左、下から足……フェイントで右手を出して左足で攻撃をする。そして今!


さくらの手首をひねりあげて胸ぐらを掴む。そのまま体の重心を下げて前に放り投げる!


バコンッ!!


「デス・パレード!!」


背負い投げをかましたさくらに深淵魔法をぶち込む。しかし魔法を放ったのが少し遅かったのかさくらの火炎魔法が俺に直撃した。


「がっ!」


普段なら直ぐに立ち上がれる程度の火炎魔法だったが……ここまで戦いまくって腹に穴も空いてる。正直限界だった。


「はぁ……はぁ……」


ダメだ、体に力が入らない。……ってそんな弱音吐いてる場合かよ! 動かないんじゃない動かすんだ! 今すぐ刀を――


「……」


刀を拾おうと目を向けた先にいたのは冷酷な目をしたさくらだった。

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