表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
夜桜編
246/261

245話 少女の闇

「はぁ……あぁ……」


目が痛い、頭に血が集まってる感じだ。このまま能力を使い続ければ倒れるってのが感覚でわかる。


「上だレオ!」

「風咲!」


って言って今倒れる訳にはいかないけどな。


「リリュクの右! ガッシュはカガリのフォローだ! シュクラも来てるぞ!」

「キャンディ・ボール!」

「貫!」

「羽根落とし!」


大丈夫……まだ、まだ!


「ナツ! 地面だ!」


バコンッ!!


「ッ!」


少し遅れたか


「サウンド・ショット!!」

「ありがとう!」

「お易い御用さ」


だんだん見える時間が短くなってる、このままじゃ。


「……アゼル!!」


シュクラ?


「次私が攻撃できそうなタイミングがあったら教えてくれ! あと……出来ればみんなは私のサポートをして欲しい」


シュクラの一言に全員が頷く。俺は魔力を全て目に集めて見える限りの未来(きぼう)を確認した。


「あと12秒でチャンスができる! そこまではどうにか耐え抜いてくれ!」

「任せろ!!」


レオの声とともにシュクラ以外の全員が魔法を放ち攻撃する。


「飴沼!」


べチャ!!


化け物の足元に飴を置いたのか。


「ウィグ後ろから来てるぞ!」

「ラッシュ・アロー!!」


動きが止まった!


「今だ! ナツとガッシュ、カガリは全力で攻撃をぶち込め!!」

「了解レオ!」

「任せろ!」

「人使い荒いっての!」


攻撃チャンスまであと8秒!


カタッ……


「集まれ魔力……研ぎ澄ませ感覚!」

「ぐるるるるるる」

「すぅぅぅぅぅぅ」


ガチャ!!


「曇雷白夜!!」

「牛鬼・發乱!」

「曲楽天!!」


バリバリバリバリ!

バコンッ!!

ギィィィィィィィ!!


「アゼル!!」

「あと……3秒だ」


バシュン!!


「ッ!? まずい! 避けろアゼル!!」


攻撃がこっちに! さすがに気付いたか!


「リリュク!!」

「わかってる!!」


この距離……リリュクの魔法でも間に合わないな。まぁいい3秒は俺の命で何とか……。


諦めようとしたその時、下から巨大な砂の手が現れた。


「サンド・ハンド!!」


バコンッ!!


「なっ!」

「危ない!」


ヴィオレッタ?


「お前! ウィラーは!?」

「俺なら……生きてる。それで? あと3秒だったか……いいぜ俺が持たせてやる」

「そんな怪我で――」

「キャネル!」


ウィラーが叫ぶとキャネルはウィラーの手を掴み紫色の魔力を注ぎ込んだ。


「それは……」

「説明はあとだ」


黒い塊は全力でウィラーに攻撃を仕掛ける。しかしウィラーはいつも持ってる本すら取り出さずに立っていた。


「……先生から教わった魔法、使うぜ。アレンジ入ってけどな!」

「ワープ!!」


ウィラーが消え――


「上だバケモン!!」

「ウィラー!?」


いつの間にあんな高く。


「はは……氷結魔法! アイス・ランス!!」


パキッ!!


「あれは」

「先生の……」


無数の氷の槍が化け物に向かって放たれる。


ドス! ドスドスドスドス!!


「……命中」


バサッ!


限界を迎えたウィラーは空で力なく崩れたがそれをカガリが受け止めた。


「ったく……無茶しやがる」

「わりぃ」

「今度なんか奢れな」

「……あぁ好きなだけ食わせてやるよ。クラス全員でな」


ポタッ……ポタポタ


あとはもう……叫ぶだけだ。


「今だぁぁぁ! シュクラぁぁぁぁぁぁ!!」


俺は今まで出したことのないような大声でシュクラのことを呼んだ。


「おっけぃ……準備は出来た」



みんなが稼いでくれた12秒……私はこの攻撃に全部を賭ける!


「私はシュクラ! シュクラ・サレリア!! 友達を絶対に助ける獣人だぁぁ!!」


ザリッ!!

バッ!!


「なんだよあいつ攻撃してこないんじゃないのか!」

「違う! あくまで攻撃のチャンスができるってだけだ……今この数秒間のチャンスはあいつが唯一完全な防御ができなくなる箇所ができるってことだよ! 場所は!」

「脳天!!」


アゼルが言い切る前に私が叫ぶ。もう分かる! 匂いでわかる! 感覚でわかる! 今! あいつの弱点は脳天だ!


「ああぁぁぁぁぁぁぁ!! がぁ……がぁぁぁぁぁ!!」


叫べ! 叫べ! 私はそれしかできなんだから!!


「白い……魔力」

「今はいいから補助するよ!」

「あっ! おう!」

「キャンディ・ロード!!」


足元に飴が!


ザッ!


「ありがとうリリュク!!」

「礼はいらないわ……あの化け物ぶん殴ってきて!!」

「任せて!」


ザッザッザッザッザッザッザッザッ

バチン!!


「ッ!」


攻撃が! あたっ――


「一旋風!」

「サンダー・ショット!!」

「インビジブル・アロー!!」


みんな


「前見て走れシュクラ!」

「行けるよシュクラ!」

「あのバカ連れ戻してこい!!」


……


「わかった!! うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


叫べ! 叫べ! 声が枯れても叫び続けろ! 今しかない! もっともっと出るだろ! 声!!


パキッ!


「飴の……道が」


バキッ!!


「ッ!!」


仕方ない1度魔力を解放して――


そう思った瞬間私の体はふわりと持ち上げられた。


「前見て走れって言っただろ」


レ――


「やっぱり連れてきて正解だったな……ヴィオレッタ!」

「はいさ! サンド・ボム!!」


ボンッ!!


「ヴィオレッタ!?」

「ごめんねシュクラ……私がもっとハレンの思惑を知ってればこんなことにも」


……


「大丈夫! 問題ないから!!」


このまま……上まで!! ってあと少しだけ足りな――


パシッ!!


「うへ!?」

「変な声出してんじゃないの! いい!? 1回だけだからしっかり行ってきなさいよ!!」


キャネル……


「任せて!!」


頂上……この化け物の脳天!!


「やれ!! シュクラぁぁぁぁ!!」


アゼルが完璧なタイミングを教えてくれた。リリュクが道を作ってくれた。ナツ達が私を守ってくれた。ヴィオレッタとキャネルが背中を押してくれた。私はこの……みんなの思いだけで戦える! 全部を……命を……賭ける理由になる!!


「叫ぶ者解放!! 私の声を! みんなの声を! 魔力に変換する!!」


ギュルルルルル!!


拳に集まった魔力は相手を粉砕する!


「冥咆! 獄炎堕!!」


ボゥ! バコンッ!!


「燃えろ! 全部燃えろ!! 何もかもを焼き尽くせぇぇぇぇ!!」


バッ!!



大量の魔力反応!! しかも未来であの量の触手? を……まずい!


「シュ、ガホッ!」


ビチャビチャビチャ!!


限界……そんかことない! やれる! いや違う!!


「やるんだよ!!」

「最後の攻撃だ! 全員シュクラを守れ!!」


俺の声に反応したみんながシュクラを守るため攻撃を始めた。


「早く倒れろっての! サウンド・ホーン!!」

「式神! 呪詛混淀!」

「千手……六殺天!」


だいぶ削れてるがまだ攻撃が止まらない……どんだけ余力があるんだよ!


「嵐午突!!」

黒式雷破(ブラックショット)!!」

「デザート・ランス!」


あと少し……あと少しなんだ! ってあれは……レオとリリュク!?



「やっぱりここだっただろ?」

「勘だけはいいのね……恋愛ごとは苦手みたいだけど」

「何の話だ」

「さぁ」

「2人とも!? いつの間にここまで!」


全然気付かなかった。私が攻撃をする直前に追いついたの?


「いや……サポートしに来たんだ」


バシュ!!


「危な――」

「キャンディ・ショット!!」


パキッ!!


あの攻撃を全部撃ち落として……


「最後の勝負どころだ……邪魔はさせない!」

「ふふ、カッコつけちゃって」


カチャ!


氷下風(ブリザード)!!」


レオの魔法により周囲を取り囲んでいた攻撃は全て凍らされた。


パキッ! バラバラバラ!!


「……ありがとう2人とも!!」


私は感謝を述べてからもう一方の腕を振り下ろす。


「ダメ押し! 喰らえ!! 月渦熊(ツキノワグマ)!!」


私の一撃は黒い化け物の脳天を貫いた。


グシャ! バコッ!!


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ドゴンッ!

パラパラパラパラ



「……何が起きた」

「わかんない……とりあえずシュクラとチグリジアを探さないとってあんたは乗せてるウィラーを下ろしてあげなさい」

「お、おう」


土煙が当たりを包む黒い塊はシュクラの攻撃で崩れたように見えたが……油断はできない。


「レオ」

「なんだヴィオレッタ」

「まだ魔力を感じる」


ヴィオレッタの一言を聞いてリリュクに合図を送る。それを確認したリリュクは魔法を使ってまだ戦いが終わっていないことを全員に連絡した。


「ゆっくり行こう……」

「わかった」


悪い視界の中、シュクラとチグリジアを探すためになるべく目を開く。時々砂が目に入り痛みを感じるがそんなことを気にしている場合じゃない。


「……ん? あれは」


俺が呟くとヴィオレッタが魔法を使いそっと近くに引き寄せてくれた。


「シュクラか」

「そうね……本当によくやってくれたわ」


ヴィオレッタの言う通りだ……シュクラの服はボロボロ、攻撃に使用した腕は怪我だらけだ。


「……あっ! レオ!」


ヴィオレッタが軽く叫ぶ。そしてその指差す先にはボロボロになって倒れているチグリジアがいた。


「チグリジア」


俺は安堵の声をあげる。しかしその安心感は一瞬で消されることになった。


ザリッ


「ッ!!」


ガチャン!!


「レオ!?」


突然の金属音に驚いたのかヴィオレッタがこちらを振り返る。


「大丈夫だ……ヴィオレッタは早くチグリジアとシュクラを!」

「……わかった!」


すまない……ありがとうヴィオレッタ。


「それで……お前は何者だ」

「……」


黒いモヤのかかったような人型は俺の質問に答えないで斬りかかってきた。


カチャン!


「そうかい……黙ってるならそのままでいいぜ! 名前も知らないまま倒してやるよ!」


そう叫び俺は全力で刀を振り下ろした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ