221話 天闇戦争・戦火
「セナの部下と共に動くことになるとはな」
「こちらも驚いております。しかし今は同盟関係仲良く戦いましょう」
よく言う……さっきから殺気が漏れているぞ、まぁいい。今回の戦争が終われば全て片がつく。
ガシャン!
「ん?」
「そこから先は通さないけど」
「悪いが相手をして頂こう」
「トカゲ飽きた〜!」
……。
「いやフィーさん! そこはもっと雰囲気を考えてですね」
「だって飽きたんだもん!」
「そうですな……そろそろ違う敵共やり合いたいです」
「エーゼルさんまで!」
あれはプリオル連隊の総隊長か……ノーチェ自ら来ないとは随分舐められたものだな。
「爆轟!」
ドゴンッ!!
「塵も残さん」
あまりゆっくりしているとノーチェをセナに取られるからな……さっさと。
ガチャン!
「ブラッド・ツォルン」
血? 足が動かん。
「豪突!」
風で飛ばした斬撃か。
エーゼルの攻撃は真正面から弾かれてしまう。しかしその弾かれた攻撃は大きな砂埃を作り出して視界を潰してしまった。
「ん?」
「落弩!」
上からの不意打ちか。
完璧なタイミングで攻撃をしたフィー、しかしその斬撃はクレアシオンの横の地面を抉りとっただけであった。
「外したな」
「……」
短剣を地面に突き刺したまま動かないフィー、抜けないのか逃げないのか。しかしそんな疑問は次の瞬間吹き飛ぶことになる。
「血の洪水!」
ドパンッ!
「ッ!」
バサッ!!
「あと少しだったのに!」
「極火千波!」
「夜鳴き!」
射程外に逃げられた……こらじゃあエーゼルさんとフィーさんじゃ対応出来ない。
「フィー殿……トカゲが飛びましたよ」
「撃ち落とすかぁ〜」
……いやこの2人なら大丈夫かも。
左翼正面
「全員撤退しろ!」
「急いで!」
ここに来て……ここに来て魔王が出てくるなんて。
「……」
「どうする!」
「どうするもこうするもやるしかないでしょ!」
リーベ様と同じ強さ……私達で勝てるの? いいえ、悩んでいる暇は無い今はとにかくみんなの時間稼ぎ――
ガチャン!
「……」
「挨拶もなしで女の子に斬り掛かるなんて魔王ってのは品がないんだね」
ドコンッ!
「ノーチェくらいだろ? 戦う前に挨拶するの」
「それもそうか」
真っ白な髪と金と赤の混じった髪……ノーチェ様の両翼、ケルロス・ミルキーウェイとクイック・ミルキーウェイ。
「よく耐えた、撤退は賢明な判断だったな」
「は、はい」
「ここは俺達がやるから下がってろ」
「任せてね」
レリアの攻撃を防いだ剣を引き抜き歩むクイック、腰から刀を抜きながらレリアに向けるケルロス。今のふたりはまるで魔王のような風格をしていた。
「お前たちはノーチェの」
「喋れたのかお前」
ケルロスが驚きのあまり普通のツッコミ入れてる。
「まぁいい……ここで死ねばノーチェのやる気も無くなるだろ」
パシュッ!
バキッ!
「舐められたもんだ……たった矢1本で俺たちを倒せると?」
「確かに少し舐めすぎていた……真剣に行こう」
レリアの雰囲気が変わった……来――
ブシュッ!
「なっ」
「くっ!」
全く見えなかった……ケルロスはギリギリで防御したみたいだけど肩に食らってるな。
「大丈夫かクイック」
「ケルロスより遠くにいたからなんとか……でも」
速さだけならノーチェ以上かも。
「どうした……」
レリアが弓をしまい髪をあげる。
「たった一撃だぞ」
そして狂ったような笑みを浮かべた。
「もっと楽しませてくれよ」
瞬神レリア・デッド……確かに恐ろしい速さだ。でも
「ノーチェの元には行かせない」
「お前はここで止める!」
俺とケルロスはそう叫びレリアに向かっていった。
ガチャン! カチャン! ギリギリッ!
「あっははははは!」
「ッ!」
力じゃ勝てない……しかも槍だからふせぎにくい!
「ほらほら! もっともっと!」
「フローズン・カッター!」
パキンッ!
手で全部弾きやった! ったく、龍てのはどこまでバケモンなんだよ!
「黒炎突!」
「氷陣華!」
防戦一方だ……どうにかして攻撃に切り替えないと。それに俺以外の所も余裕って訳じゃ無さそうだな……敵の軍隊もまだ残ってるし。
「カーティオ! ペスラ!」
「何〜」
「はいよ」
セナが動きを止めた? ……理由はわからんけどありがたい。
「2人は前線で戦ってるみんなの援護をしてくれ」
「ミルちゃんは1人でいいの〜?」
ペスラがふざけたようにそれでもって真剣な顔付きで聞いてきた。
「俺はセナをタイマンで倒す」
それを聞いた2人はニヤリと笑って前線に向かった。
「またせたな」
「……ううん! それどころかありがとう! ノーチェも僕とタイマンしたかったなんて嬉しいよ!」
狂った笑みがもっとやばいことになってるよ。
「1体1を望んでたのはわかってたさ……それに俺もセナとは戦ってみたかったから」
それを聞いたセナは満面の笑みで槍を突き出してこちらに突っ込んできた。
「ノーチェぇぇぇ!!」
「全力で来い! セナ!!」
ガチャン!!
「……」
全ての工程が完了した……あとはあいつが上手くやるかどうか。
「しかしまさかあの体にさくらの意思だけでなくハナの意思まで入っているとは知らなかった」
それだけは教えてくれたあいつに感謝しなければな。
「ッ!」
「さっきから全く当たってないけど〜?」
「的が小さいのよ! 動くな!」
「何言ってるの貴女」
矢にも限りがある……無駄には使えない。でもいくら大技を使っても当たらないし一体どうすれば。
「戦い中に考え事とは余裕だね!」
しまっ――
「確かに……戦い中に考え事は良くないわねぇ〜」
「エレナ!」
「ルル様とアル様は後方に避難させたわ」
そういうとエレナはゆっくりとハレンの方を向いた。
「さてと……やりましょうか」
「いいけどこの量の兵士に勝つつもり?」
ハレンが指を鳴らすと後方から大量の足音が聞こえてきた。そしてその足音は地面を揺らしてまるで地震のようにエレナたちを襲った。
「2人でこれ倒すつもり? 本当にできるなら是非やってもらいたいけどねぇ!」
虫を観察するような目をしながら笑うハレン、しかし何故だろうエレナは余裕そうだ。
「なにか勘違いしているみたいだけどこの戦争は何も2人で戦ってる訳じゃないのよ」
「は?」
ドゴンッ! ドゴンドゴン!!
「何!?」
先程までエレナ達に向かって走っていた死体軍団はその手前で全てが炎に包まれてしまった。
「一体……何を」
「それはね」
「目標爆散」
「たーまやー」
「なんですかそれは」
「爆発を見たら言うものらしいです」
「なるほど」
「恐らく今使うものではないと思います」
「という訳、自動人形は今回の戦いで正面に配置せずサポートに回って貰ったの……だから今頃」
「武器庫が燃えています!」
「何をしていたんだ!」
「それがいきなり爆発して」
「そんな馬鹿なことがあるか!」
一体何が起きたんだ。
「ひぃぃ〜怖いよぉ」
「さすがはサク様です」
「前を通った時目が合った気がするよぉ〜」
「気の所為では?」
「後方で待機していた兵士達が全員死んでいます!」
「何を言っている! ここにだって敵は来ていないんだぞ!」
「ですが全員首斬られ――」
ボトッ
「な!?」
ボトッ
「……357」
「今回の戦い真正面から勝とうなんて思ってないわ……だって戦力差は絶望的だもの。だから卑怯な手でもなんでも使う。いいかしら? 私達は国を、仲間を救うためなら鬼でも悪魔でもなんにでもなるの」
こんなに怖いエレナ初めて見た。
「ッ! ダーク・パニック!」
「ライトニング・ダウン!」
「さぁ……ここからが本当の戦いよ」
エレナのその言葉に私は矢を取って弓を引いた。
「……えぇ、だって追い詰められてからが私達の戦いだもんね!」
現在のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ【星喰らい】
天月姫Lv7
所持アイテム星紅刀、楼墨扇子
《耐性》
痛覚耐性Lv6、物理攻撃耐性Lv10、精神異常無効Lv10、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv10
《スキル》
導く者、貪慾王、高慢王、支配者、知り尽くす者、信頼する者、諦める者、混沌監獄、研究部屋 、不達領域、完全反転、極限漲溢 、魔法無効
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv7、火流魔法Lv5、水泡魔法Lv10、水斬魔法Lv10、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、風新魔法Lv7、風斬魔法Lv3、土石魔法Lv10、土斬魔法Lv9、土流魔法Lv9、回復魔法Lv10、破滅魔法Lv4、幻影魔法Lv10、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10
《七獄》
強欲、嫉妬、傲慢
《資格》
管理者-導く者
《称号》
神に出会った者/神を救った者/呪いに愛された者/病に愛された者
ケルロス・ミルキーウェイ
星帝白狼Lv9
《耐性》
痛覚無効Lv6、物理攻撃無効Lv5、精神異常耐性Lv5、状態異常無効Lv4、魔法攻撃無効Lv9
《スキル》
傍観者、知り尽くす者、信頼する者、混沌監獄、研究部屋、不達領域、完全反転
《魔法》
水泡魔法Lv5、水斬魔法Lv8、風新魔法Lv10、風斬魔法Lv10、風流魔法Lv10、稲妻魔法Lv9、創造魔法Lv7、光魔法Lv10、神聖魔法Lv9
《七獄》
強欲、嫉妬
クイック・ミルキーウェイ
冥帝土竜Lv8
《耐性》
物理攻撃無効Lv7、精神異常無効Lv4、状態異常耐性Lv6、魔法攻撃無効Lv6
《スキル》
貪る者、永久保存、欲望破綻
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv8、火流魔法Lv3、風新魔法Lv9、風斬魔法Lv10、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv10、闇魔法Lv3
《七獄》
暴食