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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
崩壊編
215/261

214話 浮かんだ疑問

たまに……本当にたまにだけど俺という存在に疑問を抱く時がある。


何を言っているのか分からないかもしれないが俺も何を言っているのか分からない。いやこんなこと言ってないで……ようするに話をまとめると俺は3000年前に12柱をまとめていた龍で名前はさくらって言うらしい。でもその12柱から裏切り者が出てきて仲間が殺されその復讐で世界を燃やした。


そう……世界を燃やしたのは俺なんだ。そしてその後世界への贖罪のために何十回、何百回と転生を繰り返し生き続けた。その時の記憶はなんとなくだけど残ってる。


じゃあそれが真実たとしてそうなった時俺という存在はなんなんだという疑問に辿り着くわけだ。


俺は世界を焼き尽くしたさくらなのか、世界を救い続けた転生者なのか……それとも春坂 風乃というただのつまらない高校生なのか。今回はたまたま俺という存在が世界への贖罪を終わらせただけで昔転生した人達は残酷に殺されていったのか。それとも春坂 風乃という高校生自体がさくらだったのか?


考えても結論は出ないからいつもこの辺りで終わりにするんだけど俺は1つ恐ろしい考えが浮かんでしまう……それはさくらという存在と俺という存在がこの体にはあってさくらが目を覚ました時に何かが起きるのでは無いかというものだ。


本当にあるとは言いきれないがクレアシオンに何か物を投げつけられた時自我を失いケルロスやクイックに怪我をさせてしまったことがある。もしも……俺のこの考えが合っていたなら今これを考えているのは俺なのかさくらなのか全く分からなくなり仲間に危害を加えてしまう可能性がある。どの道真相は分からないけど用心しておくことに越したことはない。


……こういうことは昔から生きているカーティオとかペスラに聞いてみるか



「というわけで来ちゃいました」

「いやごめん深夜2時なんだけど」

「知ってるよ、じゃあお邪魔します」


遠慮なく部屋に入ろうとするとペスラが扉の部分をつかみそれ以上開かないように止められてしまった。


「わかった……とりあえずこの時間に来たことは許すから少し待って!」


……部屋中からガチャガチャと音が聞こえるこんなこと少し前にあったな。


「いいよ、てかカーティオには聞かないの?」

「……カーティオはいいんだ」


あいつは色々知ってるけど俺に話すつもりはないみたいだから。



「さてと……ペスさんも眠いからサクッと行くけど、その疑問は私じゃあ解決出来ないよ」


話が終わったんだけど。


「……でも恐らく今回は特別なんだと思う」

「特別?」


ペスラが魔法で透明な水子入ったコップを何個か出した。


「そう、何度も転生していた頃のミルちゃんは透明な水……ううん正確には透明な水に色をつけた存在だった」


なるほど?


「だけど今のミルちゃんは色のついた水にさらに色をつけた状態なの」

「……なるほど」

「わかってないよねそれ」


図星をつかれた俺は苦笑いをした。


「……ミルちゃんの中にはさくらとしての一部が残ってる。そして転生者としての魂も」


さくらが水で俺が色ってことか……ん? てことはもう1つの色はなんなんだ?


「ペス――」


ガチャ


「あれ? こんな時間に何してるの」


カーティオが本を片手に部屋に入ってきた、いや君もこんな時間に女の子の部屋に入るのは問題だと思うよ。


「いやちょっと――」


俺がそこまで言うとペスラが遮るように話し出した。


「恋愛相談よ」

「ふーんミッちゃんもいよいよ結婚とかするの?」


ニヤニヤと笑みを浮かべたカーティオがこちらに近寄ってくる。


「違うわ! ったく……まぁいいや2人とも早く寝るんだよ」

「「はーい」」


だんだん眠くなってきたし早く寝よ。

そんなことを考えながらペスラの部屋を後にした。



「なんの話してたんだ」

「……恋愛相談」


ノーチェが居なくなった部屋に嫌な空気が流れる。


「そうか、まぁいいけど」


カーティオの威圧は解かれ机に優しく本を置くと何も言わずに部屋を出ていった。


「……はぁ」


もうすぐて全部が終わる……終わってしまう。窓の外が真っ暗でこれからの世界を表しているみたい。


「ううん、ミルちゃんなら……あの子ならもしかしたら」


私はそう思いながらゆっくりと眠りについた。



「獣王国についての情報は結構集まったな」

「そうだな、でも俺は獣王よりこっちの方が不安だ」


龍の国……ルーグント帝国が傀儡国を併合か。何をするつもりなのかは知らないけどここに来て色々な所で動きが出ている。


「大きな何かが動いてる」

「恐らく……最近じゃカーヴェ地下帝国でも軍隊強化が行われているしな」


そっちも表舞台に出てくるのか。


「……プリオル連隊の方はどうなってる」


ケルロスは待ってましたと言うように懐から紙を取りだした。


「各部隊で人員増加を行った。特に増えたのは夜桜大隊で8万の化け物を集めてある。それ以外にも傀儡大隊が10000から30000に増えたりと全て合わせて124500人の大軍勢さ」


うわぁ……すごい量。みんなのおかげだな。


「これだけいれば他の国にも引けは取らないよ」


いやむしろ相手は泣きたいくらいだと思うけど。

そんなツッコミは胸にしまい別の書類に目を通そうとした時。


コンコン


「どうぞ〜」


ガチャ


「クイックか、どうしたの?」

「準備ができたよ」


俺はそれを聞いてニヤリと笑った。



「じゃあ行ってくるよクイック」

「気をつけてね」


いつものように門で挨拶をするのではなく今回は部屋の中だ。なぜなら獣王国には1度行ったことがある為転移できるからだ。それに王城に侵入するから人数もいらない。今回はケルロスとのデートですわ。


「変なことすんなよケルロス」

「わかってるよ」


いや真剣ですねこの感じは。


「まぁ何かあったら連絡するから。それまで国は任せたよ」

「安心して」


グッドマークを作り笑いながら俺達は転移した。



「あれ? ここは?」

「ん? あ〜随分前に獣王国に来た時ケルロスが待機してたとこだよ」

「あ〜」


懐かしいな……あの子は蛇の姿で入ったっけ。いや人の姿になれないんだった。


「それはそうと俺達の見た目はバレてるかもだから変装してくぞ」

「変装でごまかせるかな」


ケルロスが俺の体を見ながら言った。


「髪の事か? それとも背の高さか? それともここのサイズか!?」


少し怒りながら言うとケルロスは苦笑いをしながら誤魔化した。……今度もふもふの刑だ。


「まぁ幻影魔法を使えばバレることは無いだろ。まぁ体の形を完全に変えることもできなくはないけどめんどくさい」

「え? できるの?」


驚いた様子でケルロスが聞いてきた。


「まぁね、でも貪慾王ガイツ使うしちょっと大変」

「ならいっか」


それに体の形を変えるって言ってもただ変えるんじゃなくて感覚的には新しい別人を作るみたいな感じだからなぁ。本当にバレたくない時以外は使わない方がいいと思う。


「さてと……魔法も掛けたし行こうか」

「おー」



「王様が死んだってのに賑わってるね」


屋台の様子は変わりなし、住民も特段変な様子は無いな。


「みたいだね、それにしても人が多いね」


ケルロスが俺の横にピッタリ着いて離れない、寂しいのか不安なのか。


「多いって言うけど俺達が来た時は持っといたぞ」

「蛇の姿だから問題なかったんだろ?」

「まぁね」


しばらく歩いていると屋台が多い場所を過ぎて飲食店や服屋が並ぶところに着いた。


「ここは?」

「この辺に図書館があったんだよ。あ〜あれかな」


指を指した先には昔行ったことのある図書館が見える。懐かしいなクイックは理解できなくて眠ってたっけ。


「ふーん……俺は行けなかったからな」

「悪かったって」


まだ気にしてたのか。


「……」

「ん? どうしたケルロス」


周りを見てちょっとイライラしてる?


「ノーチェ……普段はフード付きのパーカーなのに今回はなんでそんな服にしたの?」

「え? いや変装も兼ねてかな」


そこにツッコミ入れられるとは思ってなかった。


「……早く行くよ」


ケルロスはちょっと機嫌悪そうに俺の手を握りしめて街の奥へと歩いていった。


「どうしたんだよケルロス〜」

「別に」


こういう服は気に食わなかったかな……いつもの方が好きだったとか?

そんなことを考えながら俺達は夜の闇に消えていった。

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