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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
下克上編
21/261

21話 白狼

現在俺達は海に来ています。


「この水塩っぱい!」

「クイック〜あんまり飲むなよ〜」


何故こんなことになったのか……それは1日前に遡る。



「酷い雨だ……」

「ノーチェ! こっちだここなら雨風を凌げる」


ケルロスに連れられ大きめの空間がある岩の切れ目に避難することにした。


「はぁ……なんだあの雨は急に降ってきたぞ」


先程の快晴は何処へやら今は吹っ飛ばされるかと思うくらいの豪雨だ。


「いやぁケルロス助かったよ、あのままだと俺達はともかくクイックは吹き飛んでたかもな」


そんな冗談を言って背中に居るはずのクイックを確認する。

……


「居ねぇ!!」

「ちょっ! えっ!? クイック! クイックが居ない!」

「えぇ!吹っ飛ばされたのかあいつ!?」


探索!

どこだ……どこで飛ばされた。

いや居たぁ!


「割と近い拾いに行くぞ」

「俺も行く!」


そう言って俺とケルロスは反応がある場所まで走って行った。


「クイック〜」

「クイックー」


俺とケルロスはクイックを探し回った。

しばらく走り回っていると。

ボコッと下の方から音が聞こえた。


「ん?」


地面の下からクイックが出てきたのだ。


「あっノーチェ」


……は?


「え? ごめん何してんの?」


俺はポカンとした顔で問い質す。


「いや俺の事落として忘れてたから土の中に隠れようかと」

「あ〜……」


それは俺のミスだごめん。


「ノーチェ見つけたのか?」


ケルロスがこちらに向かってきた。

多分その時だ……崖際というのもありさらにクイックが掘った穴に水が入って地面が緩んでいたんだ。

ピキピキと地面が嫌な音を立て始めていた。


「ん? ノーチェこの音」


ケルロスがそこまで言った時だった。


バコンッ!


大きな音と共に俺達は川に落ちた。

そして流されるままに流され。



「で……海に来てしまったと」

「はいそうですケルロスさん」


先程までクイックと遊んでいたケルロスがこちらに来ていた。


「これは……まぁ事故だし仕方ないね」


ケルロスが俺の背中を叩く。


「いやまぁ……海好きだし」


俺は精一杯と強がりをした。


「それにしてもここはどこだろうか」


そういうとケルロスは辺りを見渡した。

正直元いた場所からだいぶ流されてるから全く検討つかない。

近くに何か人工物がある感じもないし。

いやてか人なんかに見つかったらそれこそ大騒ぎだよははは。


「わ〜ワンワンだ!」


はい終わりました〜。

聞こえたのは小さい女の子の声だった。

その声の主は駆け足でこちらに向かってくる。

どうやらケルロスしか見えていないようだ。

そして


「ワンワンさん! どこから来たの?」


ケルロスに話しかけた。

ケルロスは少し困った顔をして俺に聞いてきた。


「え? 殺しますか?」


いやいやいやいや何言ってんのあんた!


「ばっ! ダメだよ殺したら」

「いやしかし舐められてるような」


野生か! いや野生だったわ。


「とにかくこれは殺したらダメ、人間は仲間や家族を殺した存在を絶対に許さないんだよ」


こんな所でこの子を殺したら後でどうなるか……考えるのも恐ろしい。


「あっ蛇さんもいる〜」


そう言って俺に近付いてきた。

いや度胸あるなおい!

こんだけでかい蛇と犬いたら普通ビビるだろ。

盛大にツッコミを入れていたその時だった。


「その子から離れろ!」


遠くから低い声が聞こえた。

その声の持ち主はガタイのいい……じいさん?

なんというかすげぇガタイいいじいさん出てきたんだけど。

鑑定


人間Lv30(漁師)

耐性

なし

スキル

釣りLv10、探索Lv10、体術Lv8、槍術Lv3

魔法

水流魔法Lv1


いや漁師にしてはガタイ良すぎだろ!

ムッキムキやん!


「お前たちその子から離れんかい! じゃないと!」


はぁ……っておぉい!


「ケルロス落ち着け! 落ち着け!」


なんか臨戦態勢じゃねぇか!


「だけど戦う気満々だぞあいつ!」

「いいから離れるぞ」


そう言って少し強引にケルロスを引っ張る。


「あぁ……ワンワン」


少女はそういうとケルロスに掴まった。

なぁにしてるのこの子!!!


「そうか……離れる気はないのか……」


いやいやどう見ても掴んでるのそっちじゃん!


「もういいですね殺りますよ」


ケルロスさんは馬鹿だし!

いや待て……。


「あっ……あ〜んん。分かりますか?」


そうだよ……総合把握で既に人の言葉は理解してるんだ。こっちも話せるはずだ。


「蛇さんが喋った〜!」


わっかりやすい反応ありがとう。


「いいかい? この子から離れてあげて」


俺は少女に静かに伝える。


「や!」


ダメだこりゃ

そんなことをしていると爺さんはもうすぐそこまで来ていた。


「いや、ちょ! 待ってストップ!」

「じゃあその子から離れんかい!」


よく見ろって掴んでるのあんたの子や!


「離れるのはこの子だよ! よく見てみろって!」


そういうと爺さんは少しだけ視線を逸らす。


「じいじ!」

「あっ……全くコラお前は本当に好奇心旺盛で困るなぁ」


爺さんはありゃりゃといった感じで少女を抱き上げた。


「いやこりゃすまん、勘違いしとったわ。ははは!」


なんて言うか……すげぇなこの爺さん。

俺が喋ったことにも大きさにもビビってねぇ。

なんだ? 俺達は小さい方なのか?まだまだ化け物がいるってことか?


「ま、まぁわかってくれたならいいんだ」


とりあえずここに長居する必要はないさっさと居なくなろう。


「……白狼か、珍しいな」


俺はその言葉を聞いた時、本能的な何かが爺さんから話を聞くべきだと訴えた。


「白狼……知ってるのか?」

「ん? あぁ知っておるぞ」


爺さんは少し不思議そうな顔をして答えた。


「詳しい話が聞き出そうだな、この子が迷惑をかけた謝罪も兼ねて色々教えてやろうか」


俺は静かに頷いた。


「ケルロス、クイックを呼んできてくれ」

「わかった」


ケルロスは直ぐにクイックを連れてきた。


「ここじゃ何だ、家に来い」


そういうと爺さんは歩き出した。

……正直罠の可能性もあるが、何かあった時は分解でどうにかするか。

そう思い俺達は爺さんについて行くことにした。



爺さんの家は海沿いを歩き続け少し高いところにあった。

何故こんなところにと思うところはあったが今は白狼や他のことでも聞きたいことが沢山あったので後回しにした。


「さてと……どうやら人の言葉が話せるのは蛇だけのようだな……名前はあるのか?」

「……ノーチェ・ミルキーウェイ」

「ノーチェかわかった」


爺さんは一瞬目を逸らして直ぐに元に戻した。


「ケルロス、クイック」

「何?」

「どうした?」

「その子と遊んどいてくれ」


さっきから鬱陶しい! 首周りをぐるぐるされるとなんだか……嫌だ!


「えっ……」

「わかったぞー」


ケルロスはすごく嫌そうな顔をしたがクイックはそんなこと気にせず元気よく返事をしてくれた。


「あっ怪我させたりしたら怒るからな」


一応釘刺しとこ。

そう伝えると少女と2匹は外に出ていった。


「さて話を中断させて悪いな、あとあんたの名前も教えてくれ」

「俺か? 俺はゴーンだ」


ゴーン……苗字は無いのか?と聞きたかったがまぁ……ここは異世界だ、こちらの世界とは違うのだろう。


「そうか、じゃあゴーン……さん」

「ええい、さんなんて付けなくていい気持ち悪いわ」


えぇ……ま、まぁ付けなくていいなら。


「……白狼のこと教えてくれるんだよな」

「あぁいいぞ教えてやる、俺のわかる範囲でだがな」


白狼のことを知ればケルロスが今後どうなっていくのかもわかってくるはずだ。


「白狼は伝説の存在とされている。まず白狼になれるのはホワイトドックと呼ばれる個体だけだ」

「そうだな、確かにホワイトドックって名前だった」


そうか……特殊個体だったのか。


「そしてホワイトドックが白狼に進化する条件だが……それは未だにわかっていない」

「わかっていない?」

「そうだ……王国はホワイトドックを見つけるとそれを捕獲、進化させるために様々な実験を行った」


ゴーンは近くにあった本を取った。

実験……そうかこの世界でもそういうことが。


「結果全て謎に包まれたままだ。大体白狼なんて数百年前の書物で名前が上がっていただけ。進化前が本当にホワイトドックなのかすら怪しいとの声も上がってな」


なるほど……しかしここで疑問点が現れる。


「じゃあ爺さん……なんであんたは知っていた」

「……」


単純な疑問だ。大体そんな実験、表に出てくるはずがない。


「なかなか鋭いな」

「野生を舐めるなよ」


爺さんは少しだけ上を向いて話し出した。


「俺は今こそ漁師をやっているが昔は王国でそこそこの地位にいたんだ。まぁ詳しい話は省くがその時耳にしたことがあった特徴と一致していたからつい口に出してしまったんだよ」


……まぁこれ以上は話さないだろうな。


「わかった、それで白狼の情報はそれだけか?」

「いや書物の記述には続きがある。白狼は牙の王と呼ばれる存在になることがあるらしい」

「牙の王?」


王様? 国王的なもんか?


「牙の王は世界にいる王の1人だ。」

「世界にいる王……その様子だと複数人いるのか」

「あぁ人を治める王、理の王。獣を治める王、牙の王。エルフを治める王、自然の王。妖精を治める王、元素の王。ドワーフを治める王、力の王。龍を治める王、原初の王」

6人の王がいるのか。ん? 魔物治めてる奴いないの?

「魔物って結構数いると思うんだけどそれを治める奴はいないのか?」

「魔王か……いるぞ」


あっやっぱりいるんだ、そんで名前は魔王なんだ。


「魔王はな……6人存在する」

「6人?」


どういうことだ……?


「さっき言った6人の王は魔王と戦うためにまとめあげられた種族のリーダーだ」


……なるほどそれが今の世界で均衡を保っているのか。


「なんとなく理解できた」


6人の王に、6人の魔王。まぁ俺がこの世界に来た理由は分からないが、称号に神と名が着くものがあるならその存在も否定できない……か。


「あとはそうだな、魔法についてだ」

「魔法か……何が聞きたい」

「俺は魔法に関する知識が全くない、それなのに魔法が使えるのは何故だ」


嘘は言っていない、魔法に関する知識なんて前世で読んだ異世界系統の漫画くらいだ。


「魔法か、あれは要するに想像力だな。まぁ使える魔法はLvによって異なる、裏を返せば魔法は同じLvでも想像力の差によっては全く違うものになる可能性がある」


ふむ……ではケルロスとクイックが使う魔法が俺と全く違うのもそこが原因か。


「わかった、あとはそうだなスキルとはなんだ?」

「スキルにも種類があってな、得られるスキルには制限がある。それは種族の違いだったり色々だ。まぁ……例外は存在するが」


なるほど……じゃあ咆哮スキルなど人には習得できないとかがあるのか。

いや可能性の話だけど。


「……ノーチェは随分と賢いんだな」

「いやまだまだ、俺の知らないことは沢山ある」


情報は力だ……無知でいるよりなんでも知っている方が有利に働くことはある。


「最後にひとついいか」

「いいぞ」

「……特殊スキルとはなんだ?」


その時少しだけ空気が凍った。


「特殊スキル……もしかしてだが、持っているのか」


ゴーンの様子が明らかにおかしい、これはやらかしたか。

どう答えるのが正解だ、持っていないと嘘をつくべきか? いやしかしそれでは情報が得られない可能性もある。

もしこいつが襲ってきたら。

……その時はその時か。


「持っている」


それを聞いた時ゴーンは椅子に寄りかかりふぅと深い息を吸った。


「そうか……道理で賢いわけだ」


……この反応はどっちだ……。

俺は静かに魔法を展開する。


「安心しろ、このことで特段何かしようってわけじゃない」


そういうとゴーンは魔法を展開している方向に目を向けた。


「気付かれていたか、まぁ危害を加えないならそれでいい」

「それで、その反応何か知っている様子だな」


俺は魔法を解除しゴーンと目を合わせる。


「そうだな、特殊スキルっていうのはまぁ何個か種類はあるが圧倒的強者になるための必須条件のようなものだ」


……なるほど。


「……」

「……」

「え? それだけ?」


俺はつい素で聞いてしまった。


「あぁそれだけだ、俺が知ってるのはそれだけだ」


えぇ……なんかもっとその世界を揺るがす! みたいなの期待してたんだけど。


「え、えぇ。まぁいいや色々ありがとうな」

「いや俺こそ久しぶりに楽しい会話だった」


俺はゴーンと握手……いやこちらはしっぽだからなんとも言えないが、固い握手を交わした。

その後はケルロスとクイック、そして少女を呼び戻しゴーンが作ってくれた料理を食べることになった。


現在のステータス

ノーチェ・ミルキーウェイ

始祖蟒蛇Lv1

耐性

痛覚耐性Lv1、物理攻撃耐性Lv4、精神異常耐性Lv2、魔法攻撃耐性Lv1、状態異常無効Lv10

スキル

総合把握Lv2、錬金術(毒特化)Lv8、心理把握Lv1、鑑定Lv9、拘束Lv8、中型輸送Lv6、思考Lv4、集中Lv5、隠密Lv5、取引Lv1、探索Lv9、追跡Lv1、操作Lv1、回避Lv4、中速移動Lv5、探索阻害Lv4、悪食Lv4、不死Lv2、分解Lv4、融合Lv1

魔法

回復魔法Lv8、幻影魔法Lv5、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv5、土石魔法Lv6、土流魔法Lv4、闇魔法Lv5

???

計算Lv7、渇望する者Lv6

------

神に出会った者/神を救った者/導く者


ケルロス・ミルキーウェイ

白狼Lv2

耐性

痛覚耐性Lv5、状態異常耐性Lv3、物理攻撃耐性Lv9、魔法攻撃耐性Lv5

スキル

隠蔽Lv8、分身Lv10、探索Lv4、鑑定Lv6、限界突破Lv1、咆哮Lv8、威圧Lv2、要塞Lv2、斬撃Lv9、貫通Lv2、神速Lv1、結界Lv3、孤独Lv1、共鳴Lv1

魔法

風新魔法Lv10、風斬魔法Lv3、光魔法Lv10、神聖魔法Lv1

???

憧れる者Lv1


クイック・ミルキーウェイ

レッドモールLv9

耐性

物理攻撃耐性Lv4

スキル

探索Lv8、隠密Lv3、採掘Lv8、高速移動Lv9、体術Lv2、集中Lv2

魔法

土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、風斬魔法Lv1

???

食事Lv1

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