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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
瓦解編
205/261

204話 実力差

ガチャン!!


俺の後ろで鳴り響く金属音、この音は短剣……ってことは。


「間に合ったよノーチェ!」

「フィー」

「ッ! 朽ち果てた龍達よ! この会場を燃やし尽くせ!」


会場上空はいつの間にか大量の龍が飛び回っていた。それも色は全て黒……死体を操っているのか。まぁそれは後でていい。それに……。


「結界……解いて良かったのか?」

「え?」

「ライトニング・アロー!!」


空を飛び回っていた龍は大きな黒い鳥とその背に乗る可愛らしいエルフに全て撃ち落とされた。


「なっ!」

「お待たせ〜」

「オールコンプリート!!」


エレナが優しく微笑みエリーナはその背でブイサインをしながら得意げに笑っている。


「国は?」

「うちの大将2人が無双中」


ケルロスとクイックか。


「それと……」


ビチャ! べチャ!


「これは……」


フィーが投げつけたのは獣人と思われる者の首とエルフの首だった。


「国の周りにいた死体はしっかり埋葬しといたから」

「ば、馬鹿言うな! 4万は死体を集めたんだぞ! たった3人でここまで!」


バコンッ!!


国の外側から大きな音ともに煙が上がる。


「なに……が」

「誰も3人で来たなんて言ってないぞ……こっちの兵力は最上級ダンジョンの化け物5万匹だよ」


トロリアットかぁ。



「お前たち! ノーチェ様にいい所を見せなさい!!」


異形の化け物たちは死体を食い荒らし踏み潰し蹂躙する。


「スリープ」

「相変わらずやる気ないね君は」

「ウォルト……あんたどんだけ食べたの」

「沢山」


ウォルトがニヤリと笑う。口元は真っ赤な血がベッタリと付いている。


「あ〜あのエルフちゃん元気かなぁ〜」

「ボコボコにやられたんですってね!」

「シバくぞクソ蟲」

「やんのか蛇ババァ」

「はいはい、言い争いはその辺にしてしっかり戦いますよ」

「「「「お前が言うな!」」」」



「そんな……馬鹿なこと、ううん! まだ負けてない!」


ハレンがそういうと勇者が剣を握り直しフィーを攻撃する。


「任せたぞ」

「……任された!」


フィーは照れくさそうに顔を赤くして……でも嬉しそうに勇者に突っ込んで行った。


「バール」

「はっ」


俺が呟くとバールは刀と扇子を持って現れた。


「それは!」


ハレンが扇子を待て叫ぶ。


「これは魔法を使う時にその使用量を減らして効率化する魔道具だ。でもこいつは魔力の消費量自体を減らしてるんじゃない……魔力の流れを効率化して普段の魔力量で倍以上の威力にすることが出来るってのが正しい認識だ。要はお前の魔力崩しの天敵とも言える魔道具だな」


説明が終わる寸前に魔力崩しが飛んでくる。俺はそれを刀で半分に叩き切った。


「魔力崩しが!」

「そっちばかり見てていいのか?」

「ッ! 黒天守核!」


研究部屋(マイワールド)


「闇魔法が消え!」


ザシュッ!!


「あぁぁぁぁ!!」


ハレンは切られた腕を抑えながら叫ぶ。髪を乱し大粒の汗が地面にたれるがそれは血に紛れて分からなくなったしまった。


カチャ


「はぁ……はぁ……ッ!」


切っ先を向けられても睨めるなんてさすがは魔王だな。少しだけハレンを見直したところで俺は刀を振り下ろした。


ガチャン!!


「……」

「……」


会場に刃がぶつかる音が鳴り響く。……そして俺の刀を止めたのはよく知っている、今すぐに俺が殺したい男だった。


「退け」

「断る」


それ聞いて俺は刀を離しもう一度振り下ろす。ゼロは剣を構え直し先程よりも強いはずの俺の一撃を受け止めた。


「先に手を出したのはハレンだ」

「だがハレンの目的は六王の殺害、六魔王がどちらの味方をするかはわかるだろ?」

「……」


ゼロの手に力が入ったのを確認して刀を引く。


「フローズン・スター!」

「メテオ・スペース!」


俺とゼロの間で煙が発生する。その煙を利用して俺はゼロの足元を狙い切りつける。しかし刀は煙を切っただけでゼロもそこから消えていた。


「ッ! 上か」


ガチャン!!


空から落ちてくる斬撃を刀で弾き拳銃を取り出す。


バンッ!


「スノウ・トラップ!」


ゼロの着地地点を雪に変えた、こいつを踏めば魔力を一気に吸い取れる!


ザクッ!


「剣を!」


昔俺がリーベさんとの戦いでやったやつか!

剣で雪を防いだゼロに隙を与えず刀を振る。


「吸い取れ! フローズン・ゴージ」


このまま体力と魔力を根こそぎ抉りとる!


「ブレイク・ショック!」


その体制から動けんのかよ! バケモンが!

……ゼロは本気だ、このままだとまじで殺される。


「炎滅撲――」

高慢王ホッファート


3秒間体力と魔力を極限まで引き上げる! もうこれで最後だ! あとは死ぬ気で刀を振るえ!


三首白狼(ケルベロス)!!」


バコンッ!!



魔力は使い切った。足に関しては力が入らない。でもこれなら跡形もなく。


堕落王ファールハイト


後――


「ノーチェ!!」

「フィー!?」


俺に振り下ろされた剣はフィーの短刀に受け止められた。しかしジワジワとゼロの剣がフィーのことを押している。


「離れろフィー!」

「嫌だ! 私はノーチェを守るんだぁ!!」


ギリギリ!


「私の友達に手出すなぁ!!」


エレナが高速で地面に突撃してくる、エリーナは叫びながら途中で離れて弓を引いた。


「雷光!」


1本の矢が真っ黒な電気を纏いながらゼロに落ちる。速度も早いし威力もいいこれなら致命傷くらいには。


「操演者」


ゼロが呟くとエリーナの放った攻撃は当たることなく近くの地面に逸れてしまった。


「嘘!」

「ッ! 飛刃鳥!!」


ガチャン!!


「羽根を固くしたエレナでも届かないのか」


フィーが短剣を握り直しながら言う。正直俺もここまで圧倒的とは思っていなかったよ。


ガチャン! ガシャン!!


もう魔法は使えない……あとはこの体だけが頼りだ。


「牙咲き!」

「サンダー・フォール!」

「羽根風!」


3人も援護してくれてるけど焼け石に水状態だ。


「きゃ!」

「ッ!」

「避けられる!」


このままじゃ全滅も有り得る……仕方ないか。


ザシュッ!


「ノーチェ!?」

「肩を切ったの……?」


痛い……でもこれでまだ戦える。


「星紅刀……お前に貸してた魔力と交換だ」


腕をつたい血が流れる、左手に握られた星紅刀に血が触れると刃の部分から真っ白な魔力を放出して俺の中に流れてきた。


「星紅刀の能力は戦った相手、切った相手の魔力を保存できるって代物でな……でもこれを使うのにはそこそこに代償がいる。今の俺はこいつに血を与えれば与えただけ魔力が帰ってくる」

「死ぬぞ」

「仲間見捨てるよりマシだ」


ガチャン!!


動く! まだ体が動く!!


「炎天!」

「氷弩!」


蹴りを入れれば防がれる、刀を振るえば受け止められる。魔法を放てば相殺される。戦ってわかった……今の俺じゃあこいつには勝てない。


「フローズン・チェーン!」

氷で作られた鎖は空気を凍らせながらゼロに向かっていく、速度だって十分だ……なのに!


バキッ!


「ライトニング・ショット!」


エリーナの遠距離攻撃も


「破突風!」


エレナの魔法も


「天衝き!」


フィーの直接攻撃も全部……全部効いてない。


「はぁ……はぁ」

「どうするノーチェ」

「3人までなら飛んで逃げられるわ」


確かに……逃げるってのが1番まともな判断なんだろう。でもここで逃げればここにいるみんなは殺される、避難だってまだ終わってない。


「みんなが逃げる時間を稼ぐ……それまでは持ちこたえるぞ」

「「「了解!」」」


3人はなんの文句も言わずに直ぐに返事をしてくれた。


「紫羅々風!」


エレナが高威力の風魔法を放つ、それに合わせてエリーナとフィーが攻撃を始めた。


「天雷!」

「哭き牙!」


タイミングは完璧、それに死角作りもよくできてる!


「雪崩し」


刀に乗せた氷結魔法、この技は雪崩と同じ勢いで相手の首を崩し斬る!


ドコンッ!!


避け――


「ノーチェ!」

「ッ! アイス――」


反応が遅れた!


ガチャン!


「あっぶなぁ……ご無事ですかノーチェ様!」


血の盾、それにこの声はトロリアット。


「木実刃!」

「波海鷂魚」


それに六大獣蟲まで。


「殲滅完了です、あと遅れてすみません」

「いいや、ナイスタイミングだ」

「六大獣蟲は会場内にいる人たちの避難させて! 私とシュティアはこいつの足止め!」

「お任せ下さい」


奥から女羅蜘蛛のシュティアが現れる、右手にはレイピア、左手にはなんか波打っている剣を持っていた。


「とんでもない武器持ってるね!」

「ドワーフさんに作って頂きました!」


てことはトロリアットが持ってるめちゃくちゃでかい鎌もか。


「こちらが気になりますか? なんか吸血鬼と言えばこれだ! って渡されました」


わかってるわぁ。


「よし! 俺達は足止めに全力を注ぐ! 行くぞお前ら!!」


俺の掛け声と共に5人はゼロに突っ込んで行った。

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