19話 不屈
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……目の前には真っ二つになった化け物が転がっていた。
せめて鑑定してから攻撃するんだった……。
少しだけ後悔は残るものの、まぁ倒せたからいっか。
それにしても相次ぐ敵の攻撃……これは偶然か?
「ノーチェ?」
「ん?」
ケルロスが静かに声をかけてきた。
……てかケルロス小さくなった?
「あれ視野が高い」
体を高くして周りを見渡す、今まで見えていた時よりも高い印象だ。
「ノーチェ、背がめちゃくちゃ伸びましたね」
クイックが首を上に向けて言う。
俺は全身を確認してみる。
確かに……3、いや4mはあるだろうか、前と比べればとてつもない変化だ。
「でかくなった 」
そういうとケルロスが口を開いた。
「……また進化か……」
「え? 進化ってそんなホイホイできるもんなんすか?」
確かに……俺は産まれてからまだ1ヶ月経ってるか経ってないか辺りだ、なのにこれだけ進化できるものなのか?
それに比べてケルロスとまぁクイックは置いといて会ってから結構経ってるのに進化する気配は無い。
単純に強敵ばかり倒してるからか?
「……まぁその辺の謎は後でだな、とりあえずここから出よう」
そう言って俺は周りを見渡す。
出口と思えるのは魔物が大量に居た奥の穴。
しかしこれが偶然でないなら罠の可能性も有り得る。
そんなことを考えているとクイックが先に行ってしまった。
「ありました〜ここから出られます」
……何も考えてないのかな、とは思いつつそこから出る以外の道はなさそうなので向かうことにした。
道は割と広い、しかし下に向かって進んでいるのが少し不安だ。
そんな不気味なことを考えつつ1本しかない道を進んで行った。
しばらくすると開けた場所に出た。しかしここは見覚えのある……記憶に嫌なほど染み付いている場所だった。
「ここは……」
蜘蛛と戦った場所だ……けどどうして。
そして俺はあることに気付く。
「……ケルロスお前足に」
「え? 足? なんだこれ……糸?」
俺はその糸を見た瞬間恐ろしいことに気が付いた。
俺達は見逃されてたんだ……そしてずっと呑気に歩き続けて居た……この巨大な蜘蛛の巣の中で。
その時探索に巨大な反応が映った。
間違いない奴だ……。
「全員避けろ! 下だ!」
その声を聞いたケルロスは大きく上にジャンプする、クイックは俺が掴み少し高いところに避難した。
その直後地面がバコン! と大きくうねり中から巨大蜘蛛が現れた。
「なんだこれぇ!」
クイックが叫ぶ。
「これが……この洞窟の主だ」
確信を持てる、あの大群も炎を纏った化け物もこいつが差し向けたんだ。
そう、最初から俺達を逃がすつもりなんてなかったんだ。
「ケルロス! クイック! 死ぬ気で倒すぞ」
俺はこの時どんな顔をしていただろうか、不安になっていたのか……勝てないと絶望していたのか……それとも。
「ノーチェ……いやわかったやろう! こいつをぶっ倒す!」
「……ノーチェとケルロスがやる気ならいいよ俺も戦う」
それぞれが臨戦態勢になったのを確認したかのように化け物蜘蛛が糸を吐いてきた。
「あっぶな」
咄嗟に回避スキルを使い避ける。
図体がでかくなったが速さに変化はないらしく躱すだけならなんとなくなりそうだ。
鑑定!
カオススパイダー
耐性
物理攻撃耐性Lv3、精神異常耐性Lv8、状態異常無効Lv9
スキル
測定不能……
魔法
測定不能……
???
???
なっ特殊スキル持ちだと!?
俺と同じ何かか? それとも別の……。
いや考えてる場合じゃない。
耐性がわかっただけでもありがたい。
「分解!」
魔法力は削られるがこれが一番手っ取り早い!
!? なっ!
分解スキルが発動しない、いや発動した時に吸い込んだ?
何をした? 特殊スキルの何かなのか?
そう考えている時だった。
蜘蛛は何かを吐き出す仕草をしたのだ。
……なんだかわからんけどやばい!
咄嗟に回避する、その瞬間後ろにあった岩がバラバラに砕け散った。
なんだ……なんの能力だ。
俺のスキルを跳ね返した?
いや……と言うよりは取り込んで放出したの方が正しいか。
これでむやみにスキルや魔法を使えなくなってしまった。
「風斬魔法、ウィンドブレーカー」
ケルロスの魔法が蜘蛛に向かって放たれる。
「ケルロスダメだこいつは!」
しかし蜘蛛はその攻撃を吸い込むことはなくそのまま直撃した。
……そうか! クールタイムだ! 分解スキルも連発ができないのと同じであれが特殊スキルならクールタイムがあるはずなんだ。
それなら戦いようがある。
「全員! 同時に魔法を放って!」
「「わかった」」
「水切り」
「牙岩竜」
「ウィンドスピア」
蜘蛛は俺の水切りを取り込んだ。
やっぱそうだよな、俺のを吸い込むよな!
だけどそれも計算済みだ。
「分解!」
分解がLv4になりました。
分解スキルが蜘蛛に直撃した。
蜘蛛の体が少しだが崩れていく。
顔に関しては半分近くが壊れていた。
「よし! これなら勝てる」
分解スキルもあと2発なら使える。
Lvも上がってさらに威力も増した。
「このまま畳み掛け……」
そう言おうとした時だった。
蜘蛛が嫌な音を立ててこちらに向かい何かを放ってきた。
「風! 風系統の魔法だ! 避けろ!」
俺は回避スキルがあるから避けられる……クイックも高速移動があるから大丈夫だ。
「ケルロス!」
ケルロスは俺の一斉攻撃の合図のせいで宙に浮いた状態だった。
咄嗟にケルロスを弾いて回避スキルを発動する。
しかし……コンマ数秒遅かった。
風魔法による斬撃は俺の胴体を深く切り裂いた。
「ノーチェ!!」
やっば……てかさっきから死にかけすぎだろ。
この洞窟に来てから全く……本当に、俺って馬鹿野郎だ。
何とか体力は残っているが体が動かない、痛覚耐性会得しとくんだった。
痛覚耐性を会得しました。
……そりゃどうもけど今じゃ遅いなぁ。
にしても……やばい蜘蛛が目の前に。
分解スキルは……クールタイムか。
渾身の力を入れて体を起こす。
「泥沼」
少しでも時間を稼ぐんだ……分解スキルのクールタイムが抜けるまで。
「また! またノーチェに庇われた! クッソ!」
「ウィンドスピア」
ケルロスの攻撃が当たる……しかし致命傷にはならないようだ。
「クイック! 攻撃しろ! 早く!」
上から声が聞こえる。一生懸命戦ってくれている。
正直意識を保つのすら厳しい。
分解スキルが使えるのが先か俺の意識が飛ぶのが先か。
そう思っていた時蜘蛛が魔法を発動した。
……これは土流……いや土斬魔法か。
土で作られた刃が向かってくる。
致命傷になった傷から血が大量に流れ出す。
避けられる距離じゃない。
死を悟った訳じゃないが……無様に足掻くのはなんだか違う気がした。
ドンッ
何かがぶつかってきた。
「ケル……ロス」
「諦めるな! これからだろ! これから3人で楽しい旅を始めるんだろ!」
ケルロスもギリギリだ……もうこれ以上無理をさせたくない。
「時間を稼ぐ……逃げろ」
俺ができる最後の事だった。
これ以上ケルロスとクイックが傷つく所を見たくなかった。
「嫌だ! 僕はいや……俺は諦めない」
ケルロスは俺の前に立ちはだかり蜘蛛を睨みつける。
クイックは上から攻撃魔法を放っている。
もう……これ以上は。
……ケルロス・ミルキーウェイが不屈を会得しました。
特殊スキル努力を会得。
努力の条件達成済みのため進化します。
憧れる者を会得しました。
憧れる者解放のため新スキル孤独、共鳴を会得しました。
共鳴スキル発動、ノーチェ・ミルキーウェイの傷がカオススパイダーに共鳴されました。
傷が無くなってる……何が起きた?
ケルロス・ミルキーウェイが条件を達成しました。
ホワイト・ドックから進化します。
進化完了
白狼Lv1になりました。
「ケル……ロス?」
……。
「ノーチェ……これで俺も君と一緒に戦える」
そこにはめちゃくちゃ立派な白い狼が立っていた。
美しい毛並みは雪を彷彿させる。
何人にも侵しがたいその姿は神をも思わせる佇まいであった。
蜘蛛は何かを察知したのかケルロスに向かって攻撃をする。
しかしケルロスはそれを軽く躱す。
……いくら強くなったからって倒し切れるとは限らない。
俺はそう思いクイックに声をかける。
「クイック! ケルロスの援護に入るよ!」
クイックは黙って頷き攻撃魔法を放った。
「土岩舞」
「闇喰い」
大量の岩どっちがうねりながら蜘蛛にあたる、バランスが崩れた蜘蛛は闇喰いにより足を固定さてしまった。
「ケルロス!」
美しく大きく成長したケルロスは高く飛ぶ。
「神速斬撃!」
そして目にも止まらぬ速さで斬撃を複数飛ばす。
もちろん蜘蛛はそれを取り込もうとする。
そんなもの
「計算済みだ」
クイックが斬撃を放つ少し前土斬を放っている。
吸収したのは土斬だぜ、バカ蜘蛛。
大量の斬撃は全て蜘蛛に命中した。
「ケル」
俺が名前を呼ぶより先にケルロスが突っ込んできた。
「ノーチェ! でかくなったぞ! これでノーチェを護れるようになった!」
どうやら……中身は変わってないようだ。
大きさ的には俺とあんまり大差ないな。
「ノーチェ! ケルロス! まだだ」
上で見ていたクイックが叫ぶ。
まだ蜘蛛は生きていた。
腕による攻撃がもう近くまで来ていた。
俺は慌てて防御に入ろうとする、しかしそれよりも早く
「要塞」
ケルロスがスキルを使用した。
どうやらこのスキルは防御スキルの中でも最上位に位置するらしい……なぜなら蜘蛛の攻撃止めたし。
「死に損ないが……ノーチェとの時間邪魔すんなよ」
うわぁ……ケルロスが怖い。今まで小さかったからなんか子供と戯れてるみたいだったけどこの大きさになると少し怖い。
これから癒し担当はクイックかな……。
「分身……神速斬撃!」
巨大蜘蛛はバラバラになって崩れていってしまった。
……あれ? 俺より強い?
「何とかなったな、いや正直魔力がほとんどなかった……ノーチェの分解スキルがなかったら進化しても勝てなかったと思うよ」
心を読まれたのかケルロスが気を使ってくれたのか、説明をしてくれた。
まぁ……ケルロスは進化したし、はぁ。
「生き延びたぁ……」
俺はそう言って静かに倒れ込んだ。
現在のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ
始祖蟒蛇Lv1
耐性
痛覚耐性Lv1、物理攻撃耐性Lv4、精神異常耐性Lv2、魔法攻撃耐性Lv1、状態異常無効Lv10
スキル
総合把握Lv2、錬金術(毒特化)Lv8、心理把握Lv1、鑑定Lv9、拘束Lv8、中型輸送Lv6、思考Lv4、集中Lv5、隠密Lv5、探索Lv9、回避Lv4、中速移動Lv5、探索阻害Lv4、悪食Lv4、不死Lv2、分解Lv4、融合Lv1
魔法
回復魔法Lv8、幻影魔法Lv5、破壊魔法Lv8、火炎魔法Lv8、水流魔法Lv10、水斬魔法Lv5、土石魔法Lv6、土流魔法Lv4、闇魔法Lv4
???
計算Lv7、渇望する者Lv6、???
ケルロス・ミルキーウェイ
白狼Lv1
耐性
痛覚耐性Lv5、状態異常耐性Lv3、物理攻撃耐性Lv9、魔法攻撃耐性Lv5
スキル
隠蔽Lv8、分身Lv10、探索Lv4、鑑定Lv6、強化Lv8、咆哮Lv8、威圧Lv2、要塞Lv2、斬撃Lv9、貫通Lv2、神速Lv1、結界Lv3、孤独Lv1、共鳴Lv1
魔法
風新魔法Lv10、風斬魔法Lv3、光魔法Lv10、神聖魔法Lv1
???
憧れる者Lv1
クイック・ミルキーウェイ
レッドモールLv9
耐性
物理攻撃耐性Lv4
スキル
探索Lv8、隠密Lv3、採掘Lv8、高速移動Lv9、体術Lv2、集中Lv2
魔法
土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10




