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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
邁進編
162/261

161話 嫌われた教師

エルド先生には申し訳ないけど自分の国の愚痴言われて少しだけ煽りたくなってしまった。しかしさっきの感じを見るに煽り耐性は低いのかな? あと気になったのは結構年齢バラバラじゃないかなあのクラス。高校生くらいから小学生くらいまでいた気がする。いやまぁ背の高さだけで年齢を予測するのは良くないけど。

「あの子たちの情報位は頭に入れとくかぁ」



教師用の部屋があるのは知ってたけど俺個室なんだ……。理事長のはからいかシャネルが気を使ってくれたのか。まぁ無駄に仲良しごっこをするつもりはないのでありがたい限りだ。

ふむ……綺麗だな。いや今日から使う部屋が汚かったら困るんだけどね。そして、これが生徒の情報が載った紙か。

ペラッペラッ

「12人クラス、年齢は1番低い子で10歳高い子は16歳か……いやエルフいるから3桁もあるけどそれは無視しよう」

ん? パッと見た時居たのは11人だった気がするけど。これは不登校かなぁ〜って普通に休んでいる可能性もあるか。

さっきの赤髪の子はレオって言うのか、人間で強さもそこそこ喧嘩っ早い性格で先生に攻撃したのもこの子かぁ。さっきの煽りでどのくらい頭にきてるか……教室入った瞬間攻撃魔法飛んできそう。

コンコン

「? はーい」

「失礼します」

声は女性聞いた事はないな。

「ラインザクセン学園教頭パシュトです」

黒い髪を後ろで結んだ美人さんだ。でも気が強そうだなぁ。

「臨時講師の……あっレイバーです」

「? まぁいいです。理事長に頼まれて書類を持ってきました」

なんだか疲れた様子だ、やっぱり教頭にもなると忙しいのだろうか?

「ありがとうございます」

「……9人目です」

「はい?」

「特殊クラスの戦闘訓練を担当した教師は貴方が9人目です」

苛立った様子で話すパシュトは俺の事をじっと見つめて話を続けた。

「まぁ頑張ってください」

吐き捨てるようにそういうとパシュトは部屋から出ていった。

「値踏み? されてた?」

期待されてないんだろうなぁとか思いつつ俺はパシュトの持ってきた書類に目を通した。

戦闘ステータスか? これは助かるいじめるって意味でも育てるって意味でも。

ペラッ……ペラッ



「鐘の音?」

そうか……1時間目が終わったのか。

俺は書類を置き固くなった体を伸ばす。凝り固まった体はゴキゴキと大きな音を立てた。

「ん〜、また今度クイックにマッサージでも頼もうかな」

これがまた上手いんだよなぁ、あっけど1人嫉妬しそうなのがいるなぁ。

2人の言い争う姿を想像して笑みがこぼれる。2人は今頃何をしているんだろうか? そんな疑問を抱きつつ書類を脇に挟み特殊クラスへと向かった。



教室の前まで来たが室内は静かだ。エルド先生も既に居ないっぽいな。

「授業開始は後30秒」

俺は個人的に授業時間より早く先生が来るのが好きじゃない。だって遊んでいる時に先生が来たら気まずいし騒げないだろ? それに先生がいると授業が始まってないのに始まっていると思い謎に慌ててしまうしな。そこら辺も考えて時間ぴったりに教室に入るよう考えた訳だ。まぁ……こんな配慮したところで俺の評価は最低だろうけど。

誰に聞かれる訳でもない心の声を存分にばらまいていると2時間目開始の鐘が学校中に鳴り響いた。

「さて……授業開始だ」

ちょっとワクワクしながら扉に手をかける。……その瞬間だった。

バシュ!

弓か。そういえばエルフがいたな、名前はウィグだったから。恐らくはその子の仕業だろう。

犯人はさておき扉を貫通して俺の真横に刺さる矢を折り扉を開く。中に入った瞬間教団の上にいた獣人が爪を立てて突進してきた。そして見えないようにスキルを使っているが上からも短剣を持ったレオが降ってきている。

「さっきのは警告か」

獣人の攻撃を軽く左腕で受け流し空から降ってくるレオにぶつける。ドンッと大きな音が鳴ったのを確認してレオが離した短剣をキャッチする。そしてそのまま弓を構えているエルフの頬を掠める形で短剣をぶん投げた。

「20点」

俺の点数付けを聞いて不思議そうな顔をしている3人、倒れ込んでいるレオの腕を取り服を整えてやり点数の詳細を言い聞かせる。

「殺したいなら警告はいらない、獣人に意識を向けさせたいなら扉を開けてから攻撃するんじゃなく扉を開けたと同時に突っ込んでこい。スキルがお粗末で全く隠れられてない。そして2人の攻撃が外された時点で迷いなく弓を引け。というか遠距離攻撃に長けたエルフが敵にすぐバレる位置で構えるな、殺してくださいって言ってるようなもんだ」

全てを言い切ったのだがそれでも3人はポカンと口を開けている。

「……怪我をさせたいだけならこんなくだらないことやめろ半端な覚悟で俺に挑んでも勝てないからな。もし俺が気に食わないなら殺す気でかかって来い」

ここでようやく自分達がバカにされていると気付いたのかレオが怒りに身を任せ殴りかかってきた。

「一直線だな」

大ぶりの拳を軽く躱し腹に手をかけ足を払う、レオはそのまま突っ込んできた力で扉の外へ体を放り投げられてしまった。

「さて、バカ3人は置いといて。俺が自己紹介した時に出した課題を答えてもらおう」

何食わぬ顔で授業を始めるとレオがドカドカと教室に入り声を荒らげながら話し出した。

「ふざけんな! お前何したんだ!」

何をしたんだって、ただ避けて吹っ飛ばしただけだけど。

「俺達をバカにすんなよ! この教室で1番強いんだからな!」

いかにもガキ大将のようなセリフにフフっと笑いがこぼれる。

それを見たレオは顔を真っ赤にしながら叫び散らかす。

「馬鹿にすんじゃねぇ!俺は最強なんだぁぁ!」

火球を俺に向けて投げつける。威力はそこそこ、14のガキが作ったと考えればとんでもない威力だ。

「ふっ」

感心しつつまぁこんなもんかと落胆もし倒れは軽く息を吹きかけレオの火球を打ち消した。

「なっ!」

「いつまでも攻撃繰り返されると授業にならないんだよね黙って席に着いてくれないなら俺も考えがあるけど」

あくまで笑顔、真面目な顔や怒った顔をすれば相手が調子に乗るからな。

「ッ!! 殺してやる!」

レオがもう一度魔法を発動しようとするのを確認した俺は水泡魔法で水の牢を作り出した。

「ゴボッ! むぐぐぐぐ! んん!!」

水の中で息が出来ないレオばバタバタと手足を動かし一生懸命にもがこうとしている。エルフと獣人はそんなレオを見て慌てた様子で水を叩いたり殴ったりしている。

「まぁもう少しあのままでいいかな」

そんな3人を横目に先程の質問の答えを聞くことにした。

「答えがわかった人は手を挙げてくれるかな?」

手を挙げてるのは1人か……まぁ誰もあげてくれないか理解してないと思ってたし全然いいけど。

「じゃあ君」

俺は元気よく手を挙げるショートカットの女の子を指した。

「バーンってやったから!」

こりゃダメだ。

「あ〜まぁ知らなくてもいいからこの課題はいいや……君達には難しかったみたいだし」

そう言って作り出した水の牢を解除する。

「ゴッホ! ゴホッゴホッ、ゼェゼェ」

子供にはキツかったろうか? あれ? てか俺やったらダメなことしたのでは? いや普通の奴じゃ権力に潰されるから俺が選ばれたんだもんな。じゃあいじめ放題だ。

いや違う! 俺は生徒をいじめるためにここに来たんじゃない。

自分のやるべきを思い出しレオの側へと駆け寄る。

「大丈夫かい? ごめんね少しやりすぎちゃったみたいだ」

手を差し出して優しく微笑むしかしレオはその手を払い除け苛立ちと恥ずかしさを隠しながら叫んだ。

「ふざけんな! てめぇは絶対俺が倒してやるからな!」

タッタッタッタッタッタッ

「あっ! レオ!!」

「待ってよ!」

取り巻きの獣人とエルフは教室から出ていったレオを追いかけてそのまま居なくなってしまった。

「……まぁ続きをしようか」

俺は服を直してもう一度クラス全体を見渡す。

「改めてこれから君達の戦闘訓練を担当するレイバーだ。よろしく頼む」

反応はそれぞれ。しかしレオのように攻撃を仕掛けてくる子はいなかった。

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