160話 レイバー
今日から俺はラインザクセン学園の臨時講師として子供達に勉強を教えないといけない。まぁ正直? 何をするのかとか何を教えればいいのかとか? 全くわかってないんだけどね! シャネルの話だと俺は実践、主に戦闘訓練を行って欲しいとの事だったけど……さて俺に手加減という言葉があるかどうか。あんまりクソガキだとてい! ってやっちゃうかも……国際問題になりそうだからしないけど。
そして俺はラインザクセン学園に来たわけなんだが。
「でか」
建設のサポートはクイックに任せてたし規模とかも全然知らなかったけどこんなに大きいとは思わなかった。あ〜……でも小学生くらいの子から大学生くらいの子までここにいるから小学校、中学高校、大学を入れてるって考えればこの大きさでも納得かな。
「あなたがシャネル王の言っていた臨時講師の方ですね」
俺が学園の大きさに驚いていると門の奥から眼鏡をかけたスーツ姿の男が現れた。
ビシッと決めてるな。できるサラリーマンみたいだ。
「それにしても女性の方と聞いていたのですが……こちらがの情報に不備があったようで」
……ん?
「え?」
「はい?」
あ〜勘違いしてるこの人、確かに今の服装は男っぽいもんね。……調子乗って白衣とか着るんじゃなかった。
「自分は……生物学的には女です」
「あっ……」
この後理事長室までこの方に連れていってもらったのだが道中ものすごく気まずかったのは言うまでもないだろう。
「あはははは! そうかそうか男性と間違われたのかぁ」
大声で爆笑しているのはラインザクセン学園の理事長ロキスクさん。異世界に来て色々な女性と会ってきたけど俺と同じくらいの背丈……いや認めたくなかったけど多分ロリ判定の方を見た気がする。ロキスクさんをロリ判定にしてしまうと俺もロリ判定なのがきつい。信じたくなかった事実を信じることになってしまう。てか俺のことが好きな2人はロリコンってことに……いやこれ以上考えるのはやめよう。2人の名誉のために。
「先程は大変失礼なことを」
「いやまぁ……こんな服装できた俺も悪いので」
頭を下げながら白衣を脱いで持ってきたカバンにしまう。白衣の下はショートパンツと半袖シャツなので女に見えなくはない……と思う。
「あっ」
エレナに貰った服着ればいいんじゃない!? この服はいかにも女の子っぽいから来てみてねって言われてたし! 一応カバンにも入れて……。
「……くっ……くくく、あはははははは」
理事長は爆笑、眼鏡君も顔を隠して笑っている。
「……あの野郎」
ピンクのうさ耳服とか聞いてねぇよ!
「いやいやいや! 是非それで! もう本当にそれで授業してくれないかな!」
「する訳ないでしょ!」
俺は取り出したとんでも衣装をカバンにぶち込み普段から来ているパーカーを取り出した。
「ったくあいつはこんなのばっかりなんだから」
「はぁ〜シャネルが連れてくる奴だから期待はしてたけどそれ以上だった」
王様呼び捨てかよ、この人も何がコネとかあるタイプか?
「さて、ふざけるのもこのくらいにして名前を聞いていなかったな」
「あっ……」
どうしましょう……ノーチェ・ミルキーウェイって答えるわけにはいかないし。
「ん? どうした?」
「えっとぉ……」
目を全力で泳がせていると奥に置いてある本が目に入った。
「レイバーです!」
「レイバーか、なんか働く為に産まれてきたような名前だな! あははははは!」
助かったぁ。てかどこぞの有名アニメみたいなことしたけど大丈夫だよね色んな意味で。
「それではレイバー、これからよろしくな」
ロキスクは立ち上がり俺の前までトテトテと可愛らしい歩いて小さな手を差し出した。と言っても俺とさほど身長は変わらないが。
「よろしくお願いします」
レイバーの手を強く握り返事をする。後ろにいる眼鏡君の名前も今度聞こうと思いながらここで働く決心を付けたのだった。
「先程は理事長が失礼しました」
「いや、やらかしたのは君の方だけど」
「あ、あははは。本当にすみません」
真面目な人らしいこれ以上性別間違いの件でいじるのは可哀想かな。
「着きました、こちらがレイバーさんの担当する教室です」
ほう、世紀末みたいな教室かと思ったら割と綺麗。でもここまで来て思ったけど他の教室が周りに一切ないのはここが問題児のクラスだからだろうか?
「そういえば眼鏡さんはここのクラスの担任なんですか?」
「はい。あと私はエルドです」
エルドさんねまぁこれから同じ生徒を持つもの同士仲良くやっていけるといいけど。
「それでは入りましょう」
そう言ってエルドさんが扉を開けるとバコンッ! という大きな音と同時にエルドさんの体が宙に浮いた。
「エルドさん!?」
「あはははははは! 引っかかったな!」
中から聞こえる騒がしい笑い声、どうやら魔法による攻撃らしい。
「ちょ! 大丈夫ですか!?」
「すみません……油断しました」
油断って……ここ学び舎ぞ? いきなり戦闘BGMとか流れてもびっくりだろ。
「とりあえず中に入りましょう」
ボロボロになった服を整えてエルドさんが再び中に入る。2回目の攻撃はなかったが先が思いやられる出来事であったのは間違いない。
「え〜……本日から君達の戦闘訓練を担当するレイバー先生だ」
「レイバーです。よろしくお願いします」
とりあえず営業スマイル。
「質問〜」
1番後ろの列赤い髪の男の子がチャラチャラした様子で手を挙げた。声的にさっき魔法を放った子だと思われる。
「なんでしょう」
まずは優しく丁寧に、しっかりとした受け答えをしてあげよう。
「先生は獣人ですよね〜じゃあ出身はガレオン獣王国ですかぁ〜?」
あの言い方、態度、そしてニヤけた面、確実にわざと聞いているな。
「違いますよ」
「えぇ〜じゃあどこから来たんですか〜?」
教室全体からクスクスと笑い声が聞こえる、なるほどフィデース信栄帝国の評判はあんまり良くないのか。
「フィデース信栄帝国ですよ」
「魔王の国じゃないですか〜!! 驚きだなぁ〜! てか魔王の国なのに信じて栄えるとか馬鹿みたいな名前だよなぁ。あははははは!」
……。
赤髪が大声で笑い出すと教室全体で笑い声が響き渡る。よく見れば笑っていない子もいるが我干渉せずと言った感じだ。
「じゃあ自己紹介も終わったので俺は授業の時にまた来ますね〜」
いちいち反応するのは三下。ここは大人の余裕を見せて差し上げよう。それに俺の国の建国までの道のりを知ってる訳じゃないしあんな子供に本気でキレてもメリットないしな。
俺はエルドさんにぺこりと頭を下げて扉に向かう。その態度が気に食わなかったのかどうかは知らないけれど赤髪の生徒が俺に向かって火炎魔法を放ってきた。
火炎魔法か水泡魔法で相殺するのもいいんだけど……そうだこれはみんなへの課題問題にしよう。
そう考えた俺は火炎魔法を破滅魔法でぶち壊すことにした。
赤髪生徒の放った火炎魔法は俺のすぐそばまで来るとなんの音も立てずにスっと消えてしまった。一瞬教室がざわついたのを確認して俺はもう一度クラス全体を見渡す。
「今俺のやった事……ってまぁわかるよなぁ〜何せここは優秀な奴らを集めたクラスなんだし。あっでも、もしわからなかった人は……頭の足らない能無しってことで心から笑ってあげるよ。あははははははは」
煽り口調でわざとらしい笑い声を上げながら教室を後にする。その後教室からバコンッ! と大きな音が鳴ったが俺はそれを無視して教師用の教室へと向かった。
……ごめんねエルド先生。なんかあったらしっかり治すから許して。
現在のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ【反逆の刃】
天月姫Lv2
所持アイテム星紅刀、楼墨扇子
《耐性》
痛覚耐性Lv6、物理攻撃耐性Lv10、精神異常無効Lv9、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv8
《スキル》
導く者、貪慾王、高慢王、支配者、知り尽くす者、信頼する者、諦める者、混沌監獄、研究部屋 、不達領域、完全反転、極限漲溢 、魔法無効
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv6、火流魔法Lv1、水泡魔法Lv10、水斬魔法Lv9、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、風新魔法Lv7、風斬魔法Lv3、土石魔法Lv10、土斬魔法Lv8、土流魔法Lv9、回復魔法Lv10、破滅魔法Lv3、幻影魔法Lv10、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10
《七獄》
強欲、嫉妬、傲慢
《資格》
管理者-導く者
《称号》
神に出会った者/神を救った者/呪いに愛された者/病に愛された者
ケルロス・ミルキーウェイ
星帝白狼Lv2
《耐性》
痛覚無効Lv6、物理攻撃無効Lv3、精神異常耐性Lv5、状態異常無効Lv3、魔法攻撃無効Lv9
《スキル》
知り尽くす者、信頼する者、混沌監獄、研究部屋、不達領域、完全反転
《魔法》
水泡魔法Lv5、水斬魔法Lv6、風新魔法Lv10、風斬魔法Lv10、風流魔法Lv8、稲妻魔法Lv9、創造魔法Lv7、光魔法Lv10、神聖魔法Lv9
《七獄》
強欲、嫉妬
クイック・ミルキーウェイ
冥帝土竜Lv2
《耐性》
物理攻撃無効Lv5、精神異常無効Lv4、状態異常耐性Lv5、魔法攻撃無効Lv5
《スキル》
貪る者、永久保存、欲望破綻
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv8、火流魔法Lv3、風新魔法Lv6、風斬魔法Lv10、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv10、闇魔法Lv3
《七獄》
暴食