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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
邁進編
160/261

159話 新生活

普段は0時くらいに投稿していたのですが今回は普通に寝ておりました。本当にすみません

今日は国に帰る日なのだが、その前にシャネルと話さないといけないことがある。例の臨時講師の件だ。まぁ俺としては人に物を教えられるほど偉い奴でも凄い奴でもないし丁重にお断りするつもりだ。

「ノーチェ様が参られました!」

扉の前に経つと少し高そうな鎧を着た兵士が大きめの声で叫んだ。恐らく昨日の件があったから警備も増やしてるんだろう。

「どうぞ」

一昨日と違い少し疲れた声してるなぁとか思いつつ兵士に言われて俺達は部屋の中に入っていった。

「一昨日の件……って凄い書類の量だな」

「あははは、昨日の件で謝罪連絡などをですね」

結局シャンデラ国側の整備不良ということで昨日のシャンデリアは片付けられたらしい。被害者もなくこれといって大きな問題にはならなかったが各国のお偉いさんがたがいる為さすがに謝罪を入れるところには入れとかないとダメらしい。実際俺の方にも正式な謝罪文が届いている。

「まぁ怪我人が出なくて良かったな」

「本当ですね、あの氷は一体どこから来たんでしょう」

ね〜本当不思議なこともありますなぁ〜。

「どこからでしょうね〜」

と言いつつ俺を見つめるクイックさん、いや悪いことした訳じゃないし……あっはい目立つなってことですねすみません。

「それで臨時講師の件ですが」

「あっ、それなんですけどやはり俺には荷が重いというか」

「……そうですか、しかしそれではどうしましょう。このままあの子達が問題を起こし続ければ学校交流は難しくなりますしフィデース信栄帝国様にも影響が出てしまうかも」

……これは脅されてる? いやシャネルも結構マジで困ってるってことか。ここは折れてやるところなのだろうか?

困り果てた俺はチラリとクイックを見ることにした。

いい助言を頼むよ! と期待したのだが優しく微笑んでくれただけだった。

この顔はノーチェの好きにしていいよ的な感じだ……うわぁどうしよう断りずらくなって来ちゃったよ。

「お願いします!」

「……うっ」



「いやぁ良かったぁ。これでラインザクセン学園は安泰です」

くそ! こんなところで押しに弱い性格が仇に!!

でもまぁこれだけ喜んでくれるなら悪くないか。

「ちなみにどのくらい先生やればいいの?」

「あっ……期間は決めていません。ノーチェ殿にも予定があるでしょうから本当に臨時講師という形で」

「……いや、やると決めた以上しっかりやらせてもらおうか」

臨時講師という立場に甘えたくは無い。それにシャネルが俺の実力とか諸々を見て講師として働いて欲しいと頼んできたんだ。なら! その期待に答えるのも俺の役目だ。

「ということでしばらく俺はこの国いるからよろしく」

あとはさっき助けてくれなかったクイックへの仕返し!

「えっ!?」

「いやいや、やるならしっかりとやらせてもらう。性根の腐った子供達を綺麗で真っ直ぐにして見せようじゃないか!」

いやぁやる気が出てきたなぁ! それに考えてみればケルロスとクイックを育てたのは俺だし! 教師ってのも割と向いてるのかもなぁ!



見事に言いくるめられた俺は明日からラインザクセン学園の臨時講師として働くことになった。国の方はケルロスとクイックがいるしもし何かあればすぐ転移で帰れる。それに連絡できるように簡易的な非常ボタン? みたいのも作ったし大丈夫大丈夫!

あとついでに俺の家はシャネルの素早い行動により当日のうちに用意された。荷物という程の物もなかったのでクイック達と夕方辺りに別れてからしばらくお世話になる部屋を見に行った。



「ふむ……ただの教師にしては家広くね?」

てかマンション的な感じだと思ってたら普通に一軒家、しかも高そう。

いやまぁ大きさだけから俺の家の方がでかいけど。

「生活に必要なものはある程度揃えてくれてるみたいだ」

なんかシャンデラ国からのバックアップが凄すぎる。

「……まぁいいや! これからしばらくよろしくね〜」

謎の掛け声と同時に新居に入る。中は綺麗でホコリひとつ落ちていない。まぁシャネルが綺麗にするよう言ってくれたんだろう。 それにシャネルの話によると別荘としてこの家はくれるらしい。ちょっと色々優しすぎて何か裏があるんじゃないかと疑ってしまいそうだ。

「あっしばらく1人か」

静かな部屋を見渡してケルロスとクイックが居ないことを理解させられる。ずっと居た人が居ないというのは心に来るが……これも子離れの一環か。それに2人も親離れをそろそろ。

「いや1人じゃないから」

「あっ! 忘れてた」

「酷いなぁ全く」

ここ数日凄い静かだったからいること忘れてたよ。

「これからは3人で暮らすことになるのね」

ペスラがキッチンの方に向かい水回りを確認している。カーティオは大きなソファにダイブして早速くつろいでいる。

「自由だなぁ君たち」

少し寂しい思いしてたから騒がしくなって少し嬉しいんだけどね。

「好きに過ごしてくれて構わないけど壊したり他人に迷惑かけたりはダメだかね〜」

「「はーい」」

返事だけは1人前だな。

俺は好き勝手にくつろぐ2人を置いておき自室へと向かった。



「俺の部屋と同じくらいかな」

小さな独り言を呟き俺は机に置かれている1枚の紙を手に取った。

これが俺の身分か。

フィデース信栄帝国からきた教師で蛇の獣人。

「これだけ!?」

あまりのシンプルさに声出して驚いちゃったよ!

「いやぁ……さすがに手抜き過ぎない?」

明日どうやって生徒に話すればいいんだ。だいたいフィデース信栄帝国から来ましたって時点で怪しすぎる! てか魔王の俺蛇の獣人って知られてないのか? あ〜! もう少し世間での俺の知名度調べとくんだった!

俺がどれだけ深く後悔しても時間は進む。明るかった外も暗くなりつつある。今更悩んだり考えてもどうしようもならないことは目に見えて明らかである。

「はぁ……とりあえずご飯食べるか」

俺の事を全く書いていない紙を置き下の階に向かう。

「ん?」

まず違和感を覚えたのは匂いだ。乳製品特有の香りと小麦の匂いが部屋を優しく包んでいる。

「何か作ったの?」

俺がキッチンにいると思われるペスラに向かって聞くと奥からエプロンを付けたペスラが出てきた。

「思ってたより降りてくるのが早かったわね。せっかくだからご飯作ってるの」

そうか……普段はケルロスとクイックが作るからペスラとカーティオはキッチンに立たないもんな。

「そりゃ楽しみだ」

俺の反応が意外だったのかペスラがボーッと突っ立っている。

固まったペスラをそのままにしてソファに座る。さっきまで寝ていたカーティオは奥の部屋でなにかをしているようだ。

「……あの優しい笑顔」

「ん? なんか言った?」

「いえ! なんでもない」

ペスラが何か言った気がするけど……気のせいかな?

「あとはシチューが温まれば出来上がりなの」

「じゃあ手伝うよ」

ソファから立ち上がりお皿を探す。いつものキッチンじゃないから違和感がすごいな。

「あっ! そっちじゃない! 右側の……そうそうそこ」

上か……道理で見えなかった訳だ。こういう時に身長が高いといいよなぁ。とか考えながら魔法使って取り出すんだけどさ。

「これでいい?」

「大丈夫〜」

皿を受け取ったペスラが慣れた手つきでシチューを入れていく。

普段料理しないのに美味しそうだし慣れている感じだ。従魔としてこういうスキルも持ってるのかな? いや……カーティオがエプロンつけて料理してたら少し面白い。

「そろそろカーティオを呼ぶか」

「お願い〜」

カーティオの奴こんなに可愛い女の子2人と暮らせるとか最高じゃん。いやまぁペスラはともかく俺は可愛いかどうか知らないけど。

「カーティオ〜、ご飯だぞ〜」

「……わかったー」

2人とも聞き分けがいい。珍しいな。いやまて従魔なら普通なのか? 完全に毒されてるなぁ俺。

「ん? どうしたのミッちゃん」

「いや普段の君たちは異常なんだなって思ってた」

「何それ酷くなーい」

ふざけた態度で俺の頬をつつくカーティオ、まぁそういうところよ。

「仕方ないなぁ、じゃあ従魔らしいことしてあげるよ」

そう言って背中を丸めたカーティオ、俺は何をしようとしているのかわからずただ待っていると自分の視点がめちゃくちゃ高くなったのに気付いた。

「うぇ!? ちょっ! 何してんの!!」

「肩車〜」

少し機嫌の良さそうなカーティオが肩車をしたまま俺の事を机まで運んだ。

「天井スレスレなんだけど」

「当たらないように気を付けてるから」

そういう問題じゃ……てかこの歳で肩車されるとは思わなかったよ。

「ほら2人とも馬鹿なことしてないで、ペスさん特製ご飯だぞ〜」

「お〜美味しそうだ」

「料理出来たんだなお前」

カーティオ……お前なんて失礼なことを。

「カーティオはご飯いらないのね〜残念」

そういうとペスらはカーティオの皿を取り上げキッチンの方へ向かっていった。

「ちょ! ごめんごめん!」

慌てたカーティオは俺を急いでおろしペスラに近寄る。こう見ると姉弟みたいだ。

「はいはい、じゃあ早く座って」

「はいよ」

2人が席につく。俺はそのタイミングで

「いただきます」

と手を合わせて挨拶した。

「これからしばらくよろしくな」

独り言でボソリと言ったつもりだったのだが2人には聞こえていたらしく。

「任せろ」

「ミルちゃんのお世話頑張るわ〜」

とそれぞれ意気込んでいた。色々不安もあったけど……これだけ楽しいなら問題ない、かな?

不安と期待を胸に俺は先生としての日常を明日から送るのだった。

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