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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
狂愛編
139/261

138話 悪友

「ん〜……んっ、朝かぁ〜」

体を伸ばし眠気を取ろうとするが、まぁ朝の弱い俺がこの程度で目が覚めるなんてことも無く眠たいままだ。

「昨日は寝たの遅かったしなぁ〜」

そんな事を呟きながら布団をどかして着替えようとした時だった。

ゴソッ

「? なんだ?」

布団かなにかに掴まれているのか全く動かない。動かない原因を探るため俺は隣に目をやった。

「おはよ」

「……!? おまっ!」

叫びそうになった俺の口をカーティオが手で覆った。

「ここで騒いだらもっと面倒な事になるぞ?」

……。

俺はカーティオの言う通り静かに状況を聞くことにした。

「お前! 俺の中で待機してるって話だったろ!」

「いや、途中で寝ちゃうからさぁ〜俺暇で」

だからって普通乙女の布団で一緒に寝るか!?

いや違う! 俺は男だから問題ないのか? あ〜もう! 最近マジで訳わかんなくなってきたぁ!

「まぁ落ち着け、ほら気持ちをまったりとさせるんだ〜」

「頭撫でんな!」

昨日今日で思ったけど完全に女たらしだこいつ! まぁ顔もそこそこだし色んな女喰って来たんだろうなぁ。

「人聞き悪いこと考えんなよ、俺は食べてくださいって言ったやつしか喰ってねぇよ」

「やっぱりド畜生じゃねぇか」

「ミッちゃんも頼んでくれれば」

「アイス・フィールド!」

「今のは俺が悪かった! 許してくれ!」

ダメだね! お前は俺を怒らせた!

コンコン

「ノーチェ?」

!? その声はクイック!?

「おいお前!早く中に入れ!」

「? いつか俺の事紹介するなら今でも良くないか?」

だとしても今はダメだろ! 絵面考えろ! 朝! 布団の中! こんなの誰が見てもアウトだわ!!

「入るよ〜」

あわわわわわ!

「いいからはよ入れ!」

「あ〜よく寝た」

マジでコイツぶった斬るぞ!

「おは……よ?」

「……あっ」

胸ぐらを掴まれたカーティオ、クイックを見て固まる俺、その様子を見て停止したクイック。

ど、どうしよう。てかどうすればいい?

「あっどうも! ミッちゃんの親友カーティオです!」

「いつ親友になった!?」

「首! まじ決まってる! 死ぬ死ぬ!」

そんなやり取りをしているとクイックがゆっくりと近寄って来た。

「あっ! いやクイック……これは違くて」

「とりあえず警備隊に引き渡そうか」

あっ……武器まで取り出してガチですねこれ。

「落ち着けクイック! こいつは俺の――」

「親友……いや心の底から通じあってるしこれはもはや夫婦と言っても過言では」

バコンッ!

「お前は黙ってろこのバカ!」

ほらぁ! さっきの一言でクイックさんの目が本気になっちゃったよ!

「違うんだクイック! こいつは魔物召喚で呼び出された魔物なんだよ! 特段変な関係とかないからさ! ね!」

ジリジリと近寄ってくるクイックを止めようと頑張るが全く止まってくれない。

「おいカーティオ! お前このままだと殺されるぞ! 一旦逃げ……気絶してんじゃねぇか! お前なんか世界最高の5人の1人とか言ってなかったか!? な〜んで俺如きの攻撃で落ちてんだよ!」

ってそんな事言ってる場合じゃない! このままだとカーティオが殺される!

「ストップ! 少し待って! 本当にこいつは怪しい奴じゃなくて!」

もうダメだと諦めた瞬間扉の方から声が聞こえた。

「落ち着けクイック」

……ケルロス!!

「……はぁ。でもこの状況で落ち着いてられる?」

「さっきからノーチェが説明してた通りなんだろ。そいつはノーチェが召喚した魔物だ。召喚に関してはトロリアットから聞いてたしな」

ナイストロリアット!

「そういう事なら早く言ってよ」

大きなため息を着いて篭手を外すクイック。

いやこれケルロス来なかったら本当にカーティオ死んでたかもな。

「まぁそれはそれとして」

扉の方にいたケルロスが俺に近付きにっこりと微笑む。

「あ、あれぇ〜なんか怒ってる?」

俺の声はガン無視でケルロスが口を開く。

「なんで同じ布団に居たの?」

あっ……その話は終わってないのね。

「いやぁ〜これは事故というか? なんて言うかぁ〜」

目を泳がせて言い訳を続けているとケルロスが俺の頬をつまみぐりぐりと動かした。

「いひゃい! いひゃい、いひゃい! ちが! こひつはもひょもひょ別くうひゃんにいたんひゃって!」

「……ふーん」

なんで力入れるのぉ!!

「いひゃい!」

ケルロスは伸ばした頬を急に離してビチッと皮膚が悲鳴をあげた。

「全く、酷いなぁ」

「で? こいつは別空間にいたのにノーチェの布団に入ってきたのね?」

「え? いやまぁその通りか」

それを聞いたケルロスは小さなため息を付き俺の耳元に口を近づけた。

「じゃあこいつは何時でもノーチェの近くに現れるってことだね」

うぅ! ケルロスの声が耳元でぇ! むっだにいい声してんなおい! なんか負けた気分だわ!

「少し違うな。こいつがこっちの世界で別の部屋に住んでれば俺の近くには居られない……多分」

「なるほど。よしクイックこいつの家、俺達の家から1番遠いところに作ろう」

「さんせー」

少し待てと口を開こうとしたら俺の背中に暖かな重たいものがのしかかってきた。

「はんたーい。俺はミッちゃんの従魔だよ? あんまり遠くにいたらご主人様を守る役目を果たせなくなっちゃう〜」

「守るべきご主人様潰してどうすんだお前!」

俺は勢いよく立ち上がり覆いかぶさっていたカーティオを弾き飛ばした。

てかお前さっきまで伸びてたんじゃないの?

「悪いけどノーチェの従魔だとしてもこんなのを傍に置いとくほど俺達は出来てなくてね」

こんなのって言われてるよ。クイックさんの言葉使いがいつもより酷い!

「てかさぁ従魔って言う割に距離感近いよな?」

それは俺も思ってた。

「え〜? てか2人こそそんなんでいいのぉ〜あんまり油断してるとこうやって」

「わっ!? 何すんだお前!」

いきなり腕掴んで抱きしめてくんな気持ち悪い!

「気持ち悪いは酷くね!?」

「いいから離せ〜ってわぁ!?」

ドスッ!

バコンッ!

「危ないわ2人とも! 何すんじゃ!!」

俺とカーティオの間にパンチと斬撃放って来るとか正気か!? カーティオが離さなかったら腕切れてたぞ……カーティオのだけど!

「まぁ、けどそうだな。ミッちゃんの従魔としてあんまり距離離されたくないのは真面目に言ってる。不安ならあんた達の部屋に住むのもよし、地下室に置くのもよし。どんな場所でも扱いでも許すからこの家には置いてくれ」

少し上から目線で腹立つけどこいつにしては真剣に言ってる感じだ。まぁ……あんまり離れるといい事ないってのは本当なのかもな。

「そうだな……まぁそれならいいんじゃないかな? あっ俺とこいつが一緒に寝るのが不安ってんなら明日から2人が俺と一緒に」

「何馬鹿なこと言ってるの!?」

「わかった……とりあえずそいつは地下に入れとこう」

即決!? そんなに一緒に寝るの嫌だった!? いやけど、2人とも思春期とかなのかな? 親元離れたいとか少し反抗する時期ってことか。それなら最近俺に対して当たり強かったり冷たいのも納得いく。

「そっかぁ……2人ともしっかり成長してるんだね」

2人は俺の言葉を不思議そうに聞いていたが俺はそれがどうしてなのか分からなかった。

隣ではカーティオがくすくすと笑っていてなんか……なんか知らないけど腹に来たので今日のご飯は抜いておいた。



その後カーティオの事は国全体に報告して正式に俺の従魔となった。1部反論の声があったけどまぁその辺はケルロスとクイックが抑えてくれたから大丈夫だった。トロリアットは「私がペットになります!」とか意味のわからんこと言ってたけどエレナとエリーナ連れられてどこかえ消えていった。

「めでたしめでたしだな」

「いやあんたのせいで無駄にやること増えたんだけどね?」

「まぁそう言うなよミッちゃん。それに超強いボディガード出来て嬉しいだろ?」

カーティオが自慢げに自分を刺して言うが俺は別の方向を見つめていた。

「優秀なボディガードならもう間に合ってるよ」

前にいる2人を見つめて優しく答えた。

「……もう少し早けりゃな」

「? なんか言った?」

「え? あっいや、今日のミッちゃんも綺麗だなって」

「今日の晩飯は氷かぁ〜、良かったなご主人様直々に作ってやるぞ?」

「許してください」

なんだか悪友ができたみたいで少し楽しいとか思ったけどこいつには絶対言ってやんないと思ったのでした。

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