133話 質問攻め
「離れなさい!」
「嫌だね〜」
俺は今コゼットに抱きつかれています。フローリアはそれを一生懸命引っペがそうとしております。
「なぜこんなことに……」
龍人達の話を聞くとこのコゼットとか言う男の子は人の年齢で言うところの5、6歳程で父と母は病気で死亡してしまっているらしい。先代の王が死ぬ間際にコゼットを次の王に任命した為周りの龍たちがコゼットを支えながら内政や外交を行っている……との事らしい。
その年にしてはしっかりしてるなぁ。
「まぁいいや」
俺はドル達が来たのを確認して張り付いているコゼットを引き剥がし、龍たちに声を掛けた。
「お前達の処遇はこの子に任せる。1つの国に侵略したんだ……その罪は償ってもらう」
伝え終わるとドルに近づき囁いた。
「遠慮はするな、ドルがどんな選択をしても俺はそれを必ず実行する」
肩を優しく叩きドルの後ろへ回った。
「……この国は元々リーベ様の物で今は私の主であるノーチェ様の物です。そこへ土足で入り込み街を破壊した罪はとても許せるものではありません」
龍たちがゴクリと唾を飲む。
「……奪った物資と資材を全て渡してこの地から去りなさい! それが、貴方たちへの罰です」
それを聞いた龍たちは意外そうな顔をしたが何も言わずに奪った物資を運ぶための準備を始めた。
「これで良かったのか?」
少し俯いているドルに声をかける。
「いいんです、きっとリーベ様は私の選択を認めてくれるはずです」
ドルの拳に力が入ったのを確認したが俺は何も言わずにその場を去った。
「それはそうとノーチェさん!」
コゼットがトテトテと歩きながら近寄ってきた。
「? どうしたの?」
「ノーチェさんに番はいますか!?」
後ろのフローリアとガスが飲んでいた水を吹き出した。
「番?」
「はい!」
俺が首を傾げていると2人が俺を掴んで後方へ引きずり込んだ。
「なっに! すんの!?」
「ノっちゃん! ノっちゃん! 番ってのはあれっすよ! 夫婦みたいな感じのやつっす!」
……。
「えっ!? 何それ!」
「恐らくですが、殿は求婚されているのでは無いかと」
ガスが至って真面目な声で答える。
「……いやいや! 俺あんな小さい子は好みじゃないし! 」
違うそうじゃない! 俺は元男だろ!!
「それとなぁく断った方がいいっすよこれは!」
フローリアの言う通りここは優しく断っとくかぁ。
「えっと……番というか気になる人はいるみたいな〜?」
俺は何休み時間中のJKみたいなことを言ってるんだ!
「そうか……まぁそれでも俺は諦めないけどな!」
諦めてください!
「まぁ……男囲うのもいいんじゃないすか?」
なんてこと言うのこの子!!
「そんな事しないから!」
そんな事したらケルロスとクイックが怒……いや怒るより悲しむの方がしっくり来るなぁ。
「とまぁ、冗談は置いといて……終わったみたいだね」
「そうみたいです」
龍たちが物資を運び終えドルの前で……正確には俺に向けて頭を下げている。
そんなに怖いかねぇ。って最初にあれだけ威圧してクレアシオンの斬撃軽く弾いたら怖いわな!
「ドル?」
俺が声をかけるとドルは目を閉じて静かに頷いた。
「……これでお前達の罪は償われた。俺達が危害を加えることも今後ないだろう、だがそうだな。」
さっきクレアシオンと対立しちゃったし、何よりコゼットの命を奪おうとしたクレアシオンがオレオン国になんにもしないとは考えずらい。
「何かあれば連絡するといい、銀月帝国からあんまり離れてないなら転移でいつでもオレオン国に行けるからな」
コゼットの目がキラキラしてるけどくだらない用で呼び出したら怒るからね。
「……それでドルはどうするんだい」
ドルが不思議そうな顔をして振り返った。
「このままここでリーベさんの意志を継ぐかい? もし全部をやり直そうとするって言うならできる限りの協力はするよ」
「……」
ゼロに言われて俺の国まで来たのは知ってる。そして覚悟を決めてプリオル連隊に志願したのも知っている。……だからこそ、そんなドルだからこそ自分の道を自分で決めて欲しい。
「私は……」
まだ少し……何かが引っかかっているのだろう。俺にそれが何なのかは理解できない。でもきっとリーベさんなら。
「俺は気にしない、思ったことを言うといい」
「ワシは気にせんぞ〜、お主の思った通りやりたいことを言うと良いのじゃ」
私がリーベ様に出会った時に掛けられた言葉。私がリーベ様を殺そうとした時に掛けられた言葉。その言葉のおかげで私はくだらない鎖から開放された。そう……だから私は。
「私は……リーベ様と共に……居たいです」
「わかった」
静かに涙を流すドルをヴェルに預けて俺は龍の前に立った。
「さっきの罰の件だが……ひとつ追加だ。この国の復興の手伝って欲しい。だがこれに関しては俺もできる限り力を貸そう」
「なら俺の番に!」
「それは断る」
近寄るコゼットを手で止めて他の龍達を見る。
「反論はないみたいだな」
「プリオル連隊には俺から話を通しておく」
そこまで言うと俺は後ろにいるフローリアとガスを招いた。
「1度転移で帰るからな……銀月帝国の住民は転移で運ぶから安心して欲しい」
それを聞いたドルが涙を拭き、聞いてきた。
「ですが、そんなことをすればゼロが」
「何言ってるんだ、ここは俺の土地だ。俺の土地で誰を管理人にさせたって問題ないだろ?」
グッドマークを作り優しく微笑む。ドルもそれを見て安心した顔をしていた。
「それじゃあ俺達は戻るからな」
転移を開始した時ドルが大きな声で叫んだ。
「ありがとうございます! ノーチェ様! この恩は絶対に忘れません! またお会いしましょう!」
「あぁ、また会おうなドル」
少しだけ空いた心をぶら下げながら家へ戻りプリオル連隊について話をまとめることにした。
「まぁ、仕方ないな」
「それがノーチェの選択なら俺達は何も言わないよ」
銀月帝国であったこと、プリオル連隊に関してをケルロスとクイックに伝えたが2人とも驚いては無い様子だ。
「なんて言うか……あっさりしてるな」
俺がそう言うと2人は読んでいた本と書類を置いて口を開いた。
「そんな目してる奴になんか言えるかよ」
「色々考えた末の決断なんでしょ? プリオル連隊に関してはこっちで何とかするから安心して」
「なんだよそれ……ふっふふ、あははははは」
さっきまでケルロスに色々言われそうとかクイックに呆れられそうとか考えてた俺がバカみたいじゃん! は〜面白い。
「やっぱり笑ってるノーチェが1番だな」
「うんうん」
少しだけ笑った2人が作業に戻ろうとした時、俺はとんでもない爆弾を投下してしまった。
「は〜、こんなことなら銀月帝国でオレオン国の王に求婚された話しても平気だったな〜。無駄に考えてた俺がばっ――」
「その話詳しく!」
本を開き続きを読もうとしていたケルロスが圧倒的な速さで俺の肩を強く掴んでいる。クイックに至っては椅子とテーブルを用意して3人でゆっくり話す満々な感じだ。
「えっ!? いやそんな大事な話って訳でもないしさ……それよりプリオル連隊とドルの国に関して」
「そんなの後でいいから!」
君が言ったら終わりだよクイック!!
その後半強制的に椅子へ座らされた俺は2人から4時間にも渡る尋……質問攻めを受けて意気消沈してしまった。窓から見える景色はもう真っ暗になっており例の話をした俺自身、そしてあんなことをいったコゼットをひたすらにそして深く深く恨むのであった。
現在のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ【反逆の刃】
天帝月夜蟒蛇Lv9
所持アイテム星紅刀、楼墨扇子
《耐性》
痛覚耐性Lv6、物理攻撃耐性Lv10、精神異常無効Lv8、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv8
《スキル》
支配者、知り尽くす者、信頼する者、諦める者、混沌監獄、研究部屋 、不達領域、完全反転、極限漲溢 、魔法無効
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv6、火流魔法Lv1、水泡魔法Lv10、水斬魔法Lv9、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、風新魔法Lv7、風斬魔法Lv1、土石魔法Lv10、土斬魔法Lv8、土流魔法Lv9、回復魔法Lv10、破壊魔法Lv8、幻影魔法Lv10、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10
《七獄》
強欲、嫉妬、傲慢
《資格》
管理者-導く者
《称号》
神に出会った者/神を救った者
ケルロス・ミルキーウェイ
赫々白狼Lv9
《耐性》
痛覚無効Lv6、物理攻撃無効Lv3、精神異常耐性Lv2、状態異常無効Lv1、魔法攻撃無効Lv9
《スキル》
信頼する者、不達領域、完全反転
《魔法》
水泡魔法Lv5、水斬魔法Lv4、風新魔法Lv10、風斬魔法Lv10、風流魔法Lv8、稲妻魔法Lv9、創造魔法Lv7、光魔法Lv10、神聖魔法Lv9
《七獄》
嫉妬
クイック・ミルキーウェイ
冥紅土竜Lv9
《耐性》
物理攻撃無効Lv5、精神異常無効Lv4、状態異常耐性Lv3、魔法攻撃無効Lv2
《スキル》
貪る者、永久保存、欲望破綻
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv8、火流魔法Lv3、風新魔法Lv6、風斬魔法Lv10、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv10、闇魔法Lv3
《七獄》
暴食