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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
狂愛編
132/261

131話 友の遺産

「おいこらケルロス何許可なしに化け物集めてんだよ?」

俺は今ケルロスにアイアンクローをかましております。

「いや! ノーチェを守る為に強い人材を探し回って」

「探し回ったはいいけどタラレントダンジョンを統括してる化け物が混ざってるなんて聞いてないんですけど」

俺はさらに手の力を入れる。

「痛たたたた痛い! すごく痛いです!」

「てかなんであんなにノーチェ様信者みたいになってんの?」

大体正確に言えばあの母蜘蛛倒したのは俺じゃないし。

「いやあの子は最初からあんな感じだったよ!」

その言葉を聞いた俺はチラッとクイックを確認した。クイックはため息を付きながら頷いた。

「……マジかよ」

俺は驚きと恐怖の感情を抱きながらケルロスを解放した。

「あ〜、痛い痛い。本当に力強くなったね」

「女の子にそういうこと言うのはどうなのよ」

なんだよその驚いた顔は。

「ノーチェが自分のこと女の子って言った」

「明日は槍が降るな」

「待て! 今の冗談だから! ちょっ!!そのニヤニヤした顔やめろ!腹立つ!」

ったく2人とも俺の事普通にいじるようになって……前は俺の後ろをちまちま歩いてたのに。

コンコン

「誰か来たみたいだ。2人ともお話は後でね」

ケルロスとクイックは俺に大人しく従ってくれた。

こういうところは従順なのね。

「どうぞ〜」

「失礼します」

この声はドルだな、今回はどうしたんだろうか。

ガチャッ

「あっ……お取り込み中でしたか?」

……そりゃまぁ後ろの2人見たらそう思うか。

「ううん、それにお取り込み中なら呼んでないよ」

「そうですよね! 失礼しました」

真面目な子だなぁ。

「それで今日はどうしたのかな?」

「はい。本日は1度銀月帝国に戻る許可を頂こうと思いまして」

銀月帝国かぁ〜、場所が場所だからなぁ往復でも結構な時間かかるはずだ。

「まぁ俺的にはいいんだけど戻る理由を聞いてもいいかな?」

「……」

何か言いずらい理由なのかな。

「実は……」



「そんなことが起きてたのか」

ドルの話によると銀月帝国の住民はゼロの命令でフィデース信栄帝国に移動してきたらしい。反乱がなかったのはリーベさんが予めドルに色々話していたことと、ドル自身がリーベさんの意見を優先させた事などがあったらしい。

しかし今回の問題はそこではなく、誰も居なくなった銀月帝国にルーグント帝国の傀儡国であるオレオン国が勝手に軍隊を派遣して銀月帝国の物資やダンジョン資材を取っている所にある。名目上銀月帝国はリーベさんに勝った俺のものなんだけど。

「まぁ魔王が勝手に決めたルールなんて従わないよなぁ」

「はい、その通りです」

正直厄介事には首突っ込みたくないんだけど……。

「行こうか」

「えっ!?」

リーベさんの国がトカゲに食い荒らされてるなんて……すげぇムカつく。

「俺が行く、俺がいない間の防衛はケルロスに任せる。クイックは情報封鎖をしてくれ、プリオル連隊は黒翼大隊と黒森人大隊による周囲偵察を怠るな。銀月帝国に向かうのは俺とドル、後は星天守衛六将から数名引き抜いてくれ」

「「わかった!!」」

普段なら俺が行くとか怒るのに、俺も認められてきたってことかな?

「私の部隊からも数名引き抜いてよろしいでしょうか?」

「構わないよ」

ドルは頭を下げて自分の部隊に声をかける為に出て行った。

「いつもはノーチェが行くことない! って言うのに珍しいじゃん」

「……友を信じるのも大切だろ?」

ケルロスの言葉を聞いてクイックが静かに頷く。

「ふふっ、ありがと!」

俺が笑顔で感謝を伝えると2人とも驚いたような照れているよう顔をしてそっぽを向いてしまった。

「さぁ! 準備するぞ〜」



「君達が着いてきてくれる六帝だね」

「はい……蟲土、ガス・バンドです」

「雪人! フローリア・アイスでーす!」

ガス君は武人みたいな感じがする。雪人は前見た印象と同じでTheギャルって感じ。

「お待たせ致しました」

ドルの方も準備が終了したみたいだ。

「銀月大隊副隊長、ヴェル・ドラロックです」

連れて来たのは1人か、まぁ別に最初は穏便に行くつもりだし。

「転移はできる?」

「それが銀月帝国は転移防止用の魔法陣が敷かれており、リーベ様以外は誰も」

そんなのあるんだ、今度調べてみよ。

「ですが、近くには転移できますので」

ドルは悩んでいた俺を見て慌てて話し出した。

いや、そんなに気使わなくても。

「まぁ、そこでいいから転移お願いできるかな?」

「はい」

俺達はドルの服などに掴まり銀月帝国の近くへ転移を開始した。



「成功……かな?」

「そうですね」

「ひゃー! 転移って初めてっすけど面白いっすね!」

元気だね雪人さん。

「銀月帝国はここから3km程先にあります」

そう言ってドルは早足で歩き出した。

焦る気持ちは分かるけど龍が大量にいる場所へ突っ込むのは危険だ。

「まぁ少し落ち着いて、なんも考えずに突撃しても龍たちと戦闘することになるだけさ」

「しかし……」

「ここは殿の意見を聞くべきかと」

「……」

「……」

「……」

「……」

俺が周りのみんなのことを見ると全員の目が合っていることに気付く。

「あっ! 殿って俺の事!?」

「はい」

マジかよ大将と並んですごく恥ずかしいんですけど。

「殿! ご判断を!」

フローリアがその場で跪き頭を下げる。

「やめてフローリア!」

「殿! ドル様のお気持ちをどうか!」

ドルの後ろにいたヴェルもフローリアと同じ態勢をとった。

「そういうキャラなのヴェルって!」

「と、殿! 私の浅はかな――」

俺は跪こうとするドルを掴み一生懸命静止する。

「やめて! ドルまでここに乗らないで!」

「ですが!」

「いやいいから! もう収集つかなくなるから!」

「殿ぉぉぉ!」

ガスが大声で叫んだ。

「あぁ! お前らやめろぉぉぉぉ!」

とまぁこんな感じで騒いでいるとお約束ですねはい。

「貴様ら……こんなところで何をしている」

ほらね。

「ノっちゃんが騒ぐから敵来ちゃいましたよ」

ノっちゃん!?

「これが作戦なんですね、さすがノーチェ様」

それを本気で言ってるなら俺はドルの頭が心配だよ!

「殿! ここは某が」

「お前ら静かにしろぉ! はぁ、はぁ……帰ったらケルロスをもふもふしよう」

((((それは逆にご褒美なのでは?))))

「質問に答えんか貴様ら!」

空飛ぶトカゲも痺れ切らしてるしなぁ。

「俺達のことはどうでもいいだろ! ここは龍の土地では無いはずだ」

なぜこう龍ってのは上からなんだろう。

「いいや! ここは我々オレオン国の物になった! 貴様ら獣人如きが居ていい場所では無いのだ!」

俺の事を1発で見抜いたか……龍ってのは雑魚ばかりじゃないらしい。だが……。

「ここがオレオン国のもの? 笑わせる、この先にある銀月帝国はどうした!」

「銀月帝国? そんなものはもうない! 今は我がオレオン国の領土として――」

龍は異常な気配を感じ口を閉じた。空の上、圧倒的な体格あらゆる有利を持っていながらその有利を一瞬でひっくり返せると思わせるほどの威圧。龍という種族だけで見れば圧倒的に優れている存在ですら本能的恐怖を呼び起こす存在が今地面に立っているのだ。

「もう一度聞く……銀月帝国はこの先か?」

「はい! この先にあるのが銀月帝国です!」

先程の舐めた態度から一転、勝つことの出来ない強者と遭遇し己の身を最優先に考え最も賢い選択をする。

「案内しろ」

この異常な光景は龍だけでなく共に着いてきたドル達も感じており改めて魔王という存在がどのようなものが認識した。

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