130話 新戦力
会議室
「プリオル連隊は30300人まで増えたね」
「銀月帝国の住民が志願して随分増えたわねぇ」
「他にも黒翼族と霊人の方達も連隊に追加されて着々と戦力は上がってるぞ〜」
今回みんなを集めたのはプリオル連隊の現状確認、そしてそれぞれの役割の再確認をする為だ。軍隊の数が増えて意思疎通も取りずらくなりつつあるしそれぞれやることを分担させた方がいい。
「まずはプリオル連隊に所属する大隊を挙げていく」
俺がそんなことを考えているとケルロスが話し出した。
「フィー・サレリアル率いる牙獣大隊、エレナ・ハーレルト率いる黒翼大隊、エリーナ・クルジェンタ率いる黒森人大隊、エーゼル・クラック率いる百鬼大隊、テグ率いる傀儡大隊、サク・ココロ率いる朧夜大隊、そしてドルの進言により新しく追加されたドル・エタンセル率いる銀月大隊の七部隊の構成になっている」
「結構増えたなぁ〜」
「そうだね最初は全然いなかったもんね」
クイックが笑いながら答える。
本当に……あの頃は大変だったなぁ。
「そして各部隊の役割だが、牙獣大隊は本陣で構えて不利な戦場に向かい奇襲及び電撃戦を仕掛ける。黒翼大隊は空中戦特化、主に戦場把握と全体のサポートを行う。黒森人大隊は超遠距離攻撃による最初の殲滅戦担当、近接戦に移行した際は敵後方への攻撃を主とする。百鬼大隊は少数精鋭で固めている為敵本陣への奇襲及び最後の攻めを担当する。傀儡大隊は物理攻撃無効と圧倒的な数を利用して最前線で戦闘をしてもらう。朧夜大隊は敵陣への偵察や戦闘中の諜報活動が仕事だ。銀月大隊は傀儡大隊にはない速度を活かして電撃戦をしてもらう、前に突っ込みすぎないよう注意しろ」
「なるほど、要するに」
そう言ってエリーナが後ろにあるホワイトボードに何かを書き出した。
「こういう……事ね!」
お〜、これならわかりやすい。
ホワイトボードにはそれぞれの部隊のやることが簡易的に書かれていた。
牙獣大隊(本陣防衛サポート部隊)黒翼大隊(空中遠距離サポート部隊)黒森人大隊(超遠距離サポート部隊)百鬼大隊(主力殲滅部隊)傀儡大隊(特攻近接攻撃部隊)朧夜大隊(戦闘偵察及び諜報部隊)銀月大隊(電撃近接攻撃部隊)
「さすがはエリーナさんだ」
エーゼルが感心した様子で答えた。
「あっケルロスとクイックの部隊はどうするの?」
「あ〜……まぁなんて言うのかな俺達の部隊も戦闘になれば戦うけど」
そこまで言うとクイックがケルロスのことを見た。
「あくまで俺達はプリオル連隊と別組織ってだけだからな……まぁそろそろ俺達の部隊が何の目的で作られたかを教えてもいいだろう」
え? なんか理由とかあったんだ。
「俺の作った聖龍部隊はノーチェの護衛を育成する為に作った部隊だ」
「へぇ〜」
……。
「え?」
「俺達とか言うけど雲龍部隊に関しては前からやってること変わんないよ……ちょっとスパイの拷問とか殺しとかしてるけど」
今とんでもないこと言いませんでした!?
「あの2人が1番怖えぇよ」
イヴィルの言う通りだと思います!
「は、ははは。程々にね」
「それで、最近ようやくノーチェ護衛用のメンバーが揃ったんだ!」
「まだ話続いてたんだ!?」
俺の驚きはそのまま放置され扉の中からは種族も性別もバラバラな6名が現れた。
「なるほど……確かに強そうだ」
真っ先に反応したのは俺ではなくフィーだった。
「この6名はそれぞれがプリオル連隊の隊長レベルの実力を持っている」
ん〜、そう言われてもピンと来ないなぁ。こういうのもなんだけど最近魔王とか六王とかと戦って強さの感覚バグって来ちゃったし。
「そうだな、プリオル連隊隊長の強さは今や導く者の前任者であるクロンと同じくらいかな」
いくら弱いって言っても魔王だよ!? それと同レベルはさすがに言い過ぎなんじゃない。
俺が疑いの眼差しを向けているとみんなの機嫌が若干悪くなったのに気付いた。
「ほほぉ……ノーチェ、私たちが昔から成長してないと思ってるなぁ〜」
フィーが立ち上がり指を鳴らしている。
「ま、まぁまぁ! とりあえず説明続けてくれる?」
何とか話を戻さないと!
「……、強さがどうとかの話は後でするとして」
いやしないで!もう掘り返さないで!
「まぁそれぞれ自己紹介を頼もうかな」
ケルロスがそう言うと6名のうち最も背の高い男の子が口を開いた。
「龍人、ソル・ノベリア」
「ちょっと待てい!」
俺のツッコミに驚きソルがビクッと体を震わせた。
「どうしたのノーチェ?」
「いやいやいやいや! どうしたのノーチェ? じゃないわ! 龍人!? 龍人をまずどこから連れてきた!?」
「え? まぁその辺は上手くやりました」
怖い、俺はケルロスが今ものすごく怖い。
そんな恐怖を胸の奥にしまい込み次に目をやった。
次は見るからにエルフの女の子だ。
「エルフ、メア・トト」
もう龍人のせいでなんも驚かないわ。
「魚人、ヨーレス・アクアバレル」
これは見た事ない種族だ、見た目は鮫かな? これまたどこで捕まえてきたのか。
「蟲土、ガス・バンド」
知らない種族のオンパレードなんですけど! 好きにやっていいとは言ったけど好きにやり過ぎでは!?
「雪人、フローリア・アイス」
冷たそうな名前だなぁ、てか雪人言うくらいだからもっとお淑やかっていうか雪女見たいの想像したんだけどめちゃくちゃギャルやん! いや! 礼儀正しいけど!
「吸血姫、トロリアット・ヴァレンティア」
いよいよ吸血鬼来ちゃったよ! 異世界最強キャラランキングに出てくるような強キャラ来ちゃったよ!
「「「「「「我ら星天守衛六将がノーチェ様をお守りします!」」」」」」
あはははは、こりゃたまげたなぁ。
「こ、これからよろしくね」
その時の俺は……しっかり笑えていただろうか。
会議はその後自分達の強さはどのレベルかという話題に移行して大変盛り上がりました。最終的には星天守衛六将まで巻き込んで模擬戦を行いましたとさ。
あっ俺はぶっちぎりで1位でした。
もちろん他の子達も俺が思っていたよりも力を増しており特にフィーがクイックといい戦いをしていたのは記憶に残ってる。最終的に勝ったのはクイックだったけど。
他にも知らないスキルを使っていたり六将に関しては特殊種族ということもありプリオル連隊の隊長達は苦戦を強いられる時も多くあった。
とはいえ実力は拮抗しておりずば抜けて強かったのはケルロス、クイック、フィー辺りだった。後はエリーナの成長速度には目を見張るものがあり魔法の威力も弓の正確性も格段に上がっていた。そういえばトロリアットっていうのも強かったな。
クロンと同じくらいってのも割と嘘じゃないのかもしれないなと思わされる試合でした。
「あっ……そうだノーチェ、この子から1つ言いたいことがあるんだってさ」
ケルロスがそう言って連れてきたのは吸血鬼のトロリアットだった。
「? どうしたんだい?」
俺が質問してもトロリアットは下を向いたまま何も答えてくれない。
ま、まさか! この子はケルロスが無理やり連れて来たとかで……本当は故郷に戻りたいとか!?
「全く! ケルロスは何を考えて――」
「あなたが! ノーチェ様なんですね!」
トロリアットが大声を出して質問する。
「え? あっうんその通りだけど」
驚いた俺は素の反応で返してしまった。
「はぁ〜リアルノーチェ様だぁ」
……ん? なんか様子おかしくね?
「私は吸血鬼の姫をやっているトロリアット・ヴァレンティアです!」
「あっ、うんそれはさっき――」
「ノーチェ様はタラレントダンジョンで倒した蜘蛛のことを覚えていらっしゃいますか!?」
タラレントダンジョン……か、懐かしいなぁ。って! え? どゆこと!?
「いや、まぁそりゃ覚えてるけど」
「はぁ〜! 私はタラレントにいたコウモリでして! あの蜘蛛を倒してくださったことでノーチェ様は強制的な支配を解いてくださったんです!」
……いや全く知らない、てか思いもよらぬ所から話出てきて混乱極まってんだけど。
「私はノーチェ様が母蜘蛛を倒された日に蜘蛛の食料として差し出されて蜘蛛の巣に向かっていたのです! そうするとノーチェ様が目の前で母蜘蛛が倒されてしまい私は自由の身となることが出来ました!」
そ、それは良かった。
「その後私はノーチェ様に恩返しをする為タラレントの反逆者を殺し尽くし……」
ん?
「ノーチェ様に忠誠を誓う者を増やし!」
ん?? んんんん??
「いつの間にかタラレントダンジョンの主となっていた私はノーチェ様の矛となり盾となる為にこうして舞い戻って来ました!」
「待って! ちょっと待って! タラレントは? タラレントはどうしたの!?」
「タラレントは現在別の者に守らせております。まぁ私は転移が使えますので何かあればすぐに帰れます」
や、やばい子連れて来たなぁケルロス。
「それに! 現在タラレントダンジョンに居る魔獣や魔蟲は全てノーチェ様に感謝をしており忠誠を誓っているものばかりでございます!」
とんでもねぇ組織出来上がってるんですけど!
「ち、ちなみに数は?」
「全てを合わせると5万は居るかと」
とんでもない組織出来上がってるんですけど!!!!
「現在はケルロス様の計らいによりタラレントダンジョンからゼーレスクダンジョンに移動中です」
「そんなことしていいの!?」
ダンジョンの移動とかできるの!? すごくないそれ!
「さすがにタラレントを空にする訳にはまいりませんので母蜘蛛の後を継ぐ巨大蜘蛛3匹と2万の配下がタラレントを守っております」
あの蜘蛛が3匹かぁ……ははは、笑えてきた。
「タラレント……いえ! ゼーレスクダンジョンが主! トロリアット・ヴァレンティア! ノーチェ様に改めまして忠誠を誓います!」
俺は星が輝く美しい空を見上げながら心の底で思った。
後でケルロスにアイアンクローしよ。
現在のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ【反逆の刃】
天帝月夜蟒蛇Lv8
所持アイテム星紅刀、楼墨扇子
《耐性》
痛覚耐性Lv6、物理攻撃耐性Lv10、精神異常無効Lv8、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv8
《スキル》
支配者、知り尽くす者、信頼する者、諦める者、混沌監獄、研究部屋 、不達領域、完全反転、極限漲溢 、魔法無効
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv6、水泡魔法Lv10、水斬魔法Lv9、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、風新魔法Lv7、風斬魔法Lv1、土石魔法Lv10、土斬魔法Lv8、土流魔法Lv9、回復魔法Lv10、破壊魔法Lv8、幻影魔法Lv10、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10
《七獄》
強欲、嫉妬、傲慢
《資格》
管理者-導く者
《称号》
神に出会った者/神を救った者
ケルロス・ミルキーウェイ
赫々白狼Lv9
《耐性》
痛覚無効Lv6、物理攻撃無効Lv3、精神異常耐性Lv2、状態異常無効Lv1、魔法攻撃無効Lv9
《スキル》
信頼する者、不達領域、完全反転
《魔法》
水泡魔法Lv5、水斬魔法Lv4、風新魔法Lv10、風斬魔法Lv10、風流魔法Lv8、稲妻魔法Lv9、創造魔法Lv7、光魔法Lv10、神聖魔法Lv9
《七獄》
嫉妬
クイック・ミルキーウェイ
冥紅土竜Lv9
《耐性》
物理攻撃無効Lv5、精神異常無効Lv4、状態異常耐性Lv3、魔法攻撃無効Lv2
《スキル》
貪る者、永久保存、欲望破綻
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv8、火流魔法Lv3、風新魔法Lv6、風斬魔法Lv10、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv10、闇魔法Lv3
《七獄》
暴食