122話 七獄スキル
いつからだろうか……あの者に友の影を見たのは。いつからだろうかあの者を恋しく思ったのは。いつからだろうかあの者を自分のモノにしたいと思ったのは。いつからだろうかワシが狂い始めたのは。
国に戻ってからは溜まっていた雑務を片付け人の国の動きをひたすらに観察していた。
結果としてわかったのは王の死因は自殺……例の連続殺人事件に関しては自殺した王が裏で何かをしていたということでもう一度捜査中らしい。トレイシーの働きでフィデース信栄帝国に対する害は特段ない。洗脳も解除されているとバールから報告が来た。
殺人事件に関してもそうだが短期間で2人の王を失ったゼールリアン聖王国は急いで次の王を選んでいるとのことだ。
これにて一件落着……だと思うが俺としては未だに引っかかる所も少なくない。
まぁ……ハウルって奴の演技が凄い上手かったって言えばそれまでなんだけどね。
「そんな難しい顔して……どうしたんじゃ〜?」
バックハグ……。
「リーベさんは暇なんですか?」
「そうじゃのぉ〜……まぁすることもないからのぉ」
てか胸が……当たっております。
「相変わらずシャイなやつじゃのぉ」
俺の顔をつつくリーベさん……。いやまぁね多少慣れてますからいいんですけどね。
「あっそうだ。ちょっと前にこっち来てたんですよね」
「ん〜……そうじゃのぉまぁ……暇つぶしじゃ、気にするな」
……まぁ温泉旅行で何かしら被害があったとか聞いてないし。あーでもケルロスにだる絡みしてたって言ってたな。
そんくらいならいいか。今度ケルロスには休みをあげよう。
こんなこと前も言ってなかったかな?
「で……今回は何をしに来たんですか?」
それを聞いたリーベさんが俺から離れて目の前の机に座り込んだ。
「……今回はのぉ、ゼクス・ハーレス開催の知らせをしに来たのじゃ」
? 前回は変な鳥が教えに来たのに……なんでわざわざリーベさんが?
疑問は残るが……まぁ話し合いって言うことなら集まるしかないよなぁ。それに最近は慣れてきたものだ。
「わかり……ました。それはいつ頃ですかね?」
「明後日じゃ。部下の1人くらい連れてくるといい……まぁ部下1人となれば誰を連れてくるかは明白じゃがの」
「いやいや……分かりませんよそれは」
結構真面目に誰を連れていこうか悩んでるしな。
コンコン
「? ちょっと待ってくれ」
別にいいけどリーベさんとの話を遮って部下と話すのは失礼になる……。
「入って良いぞ」
「えっ? いやでも」
リーベさんは俺の口を指で止めニコリと笑う。
……怖いっす。
「……はぁ。入っていいよ〜」
ガチャッ
「取り込み中だったか……すまな……」
リーベさんの姿を見て固まるケルロス……まぁ目の前に違う魔王が入れば驚くよなぁ。ってその魔王に絡まれてたんだからその時のケルロス、ストレスヤバそう。
「そうだノーチェ……部下はこやつを連れていけばいいでは無いか」
「え……いやまぁ、ケルロスがいいならいいですけど」
リーベさんは相当ケルロスが気に入ったのか……なんか少しだけモヤッとするなぁ。
「何の話だ?」
あっ……そりゃそうだよね! 前の話聞いてないもんね!
「その……明後日にゼクス・ハーレスがあるんだけど俺の護衛として来ないかなって」
「……なるほど。うん空いてるよ」
日頃から予定を頭の中に入れてるなんて凄い……。
「じゃあクイックにも声を」
「ノーチェ」
リーベさんが机から立ち上がり俺の頭を撫で回す。
「ちょっ! なんですか!」
「あんまり男囲ってると変な勘違いされるぞ〜」
「も〜……そんなんじゃないですって」
リーベさんに言われたからとかじゃないけど最近厄介事多いし国クイックには防衛の面も合わせてこっちにいてもらおうか。
「言うことは言ったので今日は帰るとするかぁ……ワシもちょっとやることあるしのぉ」
「暇なんじゃなかったんですか?」
それを聞いたリーベさんは頬を膨らませて頭を軽く叩いた。
「痛て……」
「用事が出来たのじゃ。女は気まぐれなんじゃよ」
は……ははは。
「じゃあノーチェ……明後日待っておるぞ」
「……わかりました」
リーベさんが立ち去ろうとしたその時何かを思い出したのか動きが止まる。
「? どうしたんですか?」
「いや、そうじゃ! これをやろうと思うての!」
そう言ってリーベさんは懐から狐のお面を出した。
「これでお主ももう寂しくないじゃろうて!」
「悪趣味!」
「なんでじゃ!」
しっぽをピンッと立てて驚く。
俺はその姿を見て「ふふっ」と笑ってしまった。
「……まぁ、頂いときますよ」
「そうそう、貰えるものは貰っておくことじゃ」
上機嫌になりウィンクでその場から消えるリーベさん。全く神出鬼没というか……こうポンポン転移されては警備が意味無くなっちゃうよ。
「ごめんねケルロス。それでどうしたのかな?」
「……あれ? なんだっけ」
珍しいな、ケルロスが言おうとしてたこと忘れるなんて。
「まぁ思い出したらでいいよ。ケルロスも最近忙しかったからな……今日はもう休みで!」
「え? いやいやまだやることが」
俺は首を振るケルロスの肩を叩いて優しく囁いた。
「大丈夫。俺だってもう慣れたし……あんまりケルロスが疲れてるとこ見たくないからさ」
「うぅん」
あんたは動じないのね!? ……なんだよクイックは面白い反応してくれるのに。
「ほら! 休め休め〜」
俺はまだ否定気味のケルロスを無理やりベッドに寝かせた。
「……ゆっくり休めよケルロス」
ケルロスの頭を優しく撫でて布団を掛ける。よっぽど疲れていたのか直ぐに瞼が閉じそうになっていた。
「でも……まだ……やること……」
「はいはい。やっとくから大丈夫だってば」
その言葉で安心しきったのかケルロスの瞼が閉じきって開くことはなかった。
「……頑張りすぎだ馬鹿やろ〜」
そう言い残しケルロスの仕事を片付け始めた。
「ん〜……はぁ」
いつもこんな量やってるのか……本当に無理しすぎなんだよあいつ。
コンコン
「どうぞ〜」
「ケルロス知らな……い?」
あ〜……ベッドの上見ちゃった。
「ちょっ!? な!」
騒ぎそうになったクイックを見て静かにするようジェスチャーする。クイックはそれに大人しく従い音を殺しながら俺の傍に来た。
「なんでケルロスが寝てるの?」
静かな声で俺に話しかけるクイック。
「最近頑張りすぎだと思ってね」
それを聞いたクイックが不満そうな顔をする。
「……クイックも頑張ってるもんね。そうだ!」
俺はソファに座り込みガンドに作ってもらった耳かき棒を取り出した。
「さぁ……こっちおいで」
膝を叩いてクイックを誘導する。
「いや……そんな」
口では否定しているものの体はゆっくりと俺に近付いている。
「おいで」
俺は優しく微笑みクイックの緊張を解く。最後のひと押しが聞いたのか何も言わず俺の膝に頭を預けた。
「はい、よく出来ました」
「そのまま動くなよ〜」
その後俺はクイックが眠るまで耳かきをして、寝たあとはゆっくりとその場から立ち上がった。
「ほんと……不器用だな2人とも」
昔から馬鹿で仲間思いで……優しいんだから。
眠る2人を起こさないようゆっくりと歩き窓際に立つ。その日の月は美しい満月で目を奪われてしまった。
「君が……私達が愛した世界はまだ美しいよ」
無意識に出た言葉……その言葉は俺の心に残ること無く消えていった。
……解放完了。
七獄が認識可能になりました。
七獄認識により七獄スキル解放、上限が増えました。
七獄スキル嫉妬が解放されました。
嫉妬解放によりスキル不達領域、完全反転を会得しました。
七獄スキルを3つ会得したことにより新クラス解放……?
---により解放不可。
現在のステータス
ノーチェ・ミルキーウェイ【反逆の刃】
天帝月夜蟒蛇Lv6
所持アイテム星紅刀
《耐性》
痛覚耐性Lv6、物理攻撃耐性Lv9、精神異常無効Lv8、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv8
《スキル》
支配者、知り尽くす者、信頼する者、諦める者、混沌監獄、研究部屋 、不達領域、完全反転、極限漲溢 、魔法無効
《魔法》
火炎魔法Lv8、火斬魔法Lv1、水泡魔法Lv10、水斬魔法Lv9、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、風新魔法Lv5、土石魔法Lv10、土斬魔法Lv8、土流魔法Lv9、回復魔法Lv10、破壊魔法Lv8、幻影魔法Lv10、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10
《七獄》
強欲、嫉妬、傲慢
《資格》
管理者-導く者
《称号》
神に出会った者/神を救った者
ケルロス・ミルキーウェイ
赫々白狼Lv9
《耐性》
痛覚無効Lv6、状態異常耐性Lv9、物理攻撃無効Lv3、魔法攻撃無効Lv9
《スキル》
信頼する者、不達領域、完全反転
《魔法》
水泡魔法Lv5、水斬魔法Lv1、風新魔法Lv10、風斬魔法Lv10、風流魔法Lv8、稲妻魔法Lv9、創造魔法Lv6、光魔法Lv10、神聖魔法Lv8
《七獄》
嫉妬
クイック・ミルキーウェイ
冥紅土竜Lv9
《耐性》
物理攻撃無効Lv5、精神異常無効Lv4、状態異常耐性Lv1、魔法攻撃無効Lv2
《スキル》
貪る者、永久保存、欲望破綻
《魔法》
火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv3、風斬魔法Lv8、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv10
《七獄》
暴食