表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
聖王国編
116/261

115話 暴走する機械

シャンデラ国との和平は順調に進んでいる。

学校建設に関しても自動人形などを活用して問題は起きていない。

しかし物事が上手くいくと新しい問題も起きるそれは。

「書類が多いよ!」

「頑張ってくださいご主人様。あと少しです」

ケルロスはシャンデラ国にある初級ダンジョンについて再調査してる……クイックはカーヴェ地下帝国と技術提供の割合で話し合い中。2人とも国外だ。

「俺もダンジョン行きたかった〜」

「そう申されましても……今回ケルロス様は新人冒険者の育成も兼ねて初級ダンジョンに向かっております。狩りを全力で楽しみ敵を一瞬で屠ってしまうノーチェ様では周りのものが学べません」

……あれ? もしかしてディスられてる俺?

「……はい」

とはいえ自動人形の言うことも最もなので頷いときます。

「適材適所と言うやつですね。私も手伝いますので頑張りましょう」

テグの笑顔が眩しい……表情機能追加したガンドまじでナイスすぎる。

でも今はそれを拝んでる余裕が無い。

「終わりましたらどこか向かいましょうか」

「そうだね〜」

書類に集中していた俺はテグの言葉に適当な返事をしてしまいなんのことか……書類仕事が終わる頃にはすっかり忘れてしまっていた。



「はぁ〜……疲れた」

「お疲れ様です」

テグが冷たいお茶を持ってきてくれた。

「んっ……テグもお疲れ様。今日は助かったよ」

「いえ……私はご主人様に仕える自動人形。ご主人様の為であればいかなることも致します」

よくできたメイドさんだわほんと。

「それじゃあ俺は」

「はい。少々時間を頂けますか?」

「え? ……いやまぁいいけど」

なんか話したいこととかあるのかな……あれ? 書類にミスとかあったかな。

そんなことを考えていると扉が開いた。外からは普段のメイド服では無い言うなれば完全オフモードの女の子か現れた。

「……あっ」

その姿を見た時俺は適当に返した返事の内容を思い出した。

この後テグとお出掛けするのか俺。

「……なにか変でしょうか?」

不安そうな顔をするテグ。いくら機械とはいえ女の子を悲しませるのは宜しくない。

「いや……とても似合ってるよ。それで……どこに行こうか」

俺としては特段行きたい所とかないのでテグの行きたい所について行きたい。てか休日の自動人形が何をしてるのか気になるし。

「……かしこまりました。ご主人様を退屈させないように精一杯頑張ります」

本当に休めるのだろうかこの子は。



「これは良いものですね」

まさか最初に来るのが銃のショップなんて……。

「とはいえ」

あんなに楽しそうならいっか。

「あっ……これは申し訳ありません。はしゃぎすぎてしまいました」

「ううん。大丈夫……こっちの銃は新作?」

「そうですね……これは6発の玉を同時に発射できる銃です」

ん〜……どっかで見たことあるような銃だな……。

てかこれ……文明退化してない?

「……買います」

「買います!?」

「はい」

ダメだ〜……自動人形の世界観がわからん。てかこれを作るドワーフもドワーフだよなぁ……。

戦車とか戦艦の図は絶対に見せられないな。

「ご主人様?」

「えっ!? なんでもないよ」

「……? ご主人様は何も買われないのですか?」

「俺?」

うーん普段の戦闘では刀使ってるしなぁ。

けどせっかくだし。

「俺も一丁貰おうかな」

「それならこの銃がオススメです! これはですね〜」

説明なくても分かりはするけど……まぁ有難く受けとこうか。

見た目的にはマグナムってやつかぁ。

「6発装填式の銃で……こうやって弾丸を込めるんですよ」

近!? ……ん? てか甘い匂いがする。

「テグ? なんかいい匂いするけど香水とか使ってるの?」

「えっ!? あっ……これはですね、最近自動人形で流行っていて」

真っ赤になって顔を背けてしまった。

うーん……可愛い! でも少しだけキモかったかな。

「あの……ご主人様! ご主人様はこの匂い好きですか?」

「そうだね。好きな匂いだよ」

「良かったです!」

めちゃくちゃ嬉しそう。いや感情はないんだろうが!

「情報を全体に共有……ご主人様の好きな香りは……」

ボソボソと何かを言っているがよく聞こえん……。

共有って聞こえたけど情報をネットワークに流したのかな?

「……今のうちにこれ買っとくか」

「あっこれお願いします」

「はーい」

使わないんだけどなぁ……。

まぁもしもの時の為に使えるかな。

俺はそう思い拳銃を懐にしまいこんだ。

「ご主人様!」

「ん? どうしたの?」

「この後はあそこに行きたいです!」



……。

「ここか」

『ハッピーハーピー』

「はい。ここの服は生地が良くて……ダメでしょうか?」

……個人的にどうかと聞かれれば……正直嫌だなぁとは思うりしかしテグがせっかくここに来たいって言ってるんだ。何よりいつも頑張ってくれてるメイドさんにご褒美をあげたい……。

「……行こうか」

俺はテグの手を取り……エレナの服屋へ入っていった。

「いらっしゃいませぇぇえ!?!?」

「どうした?」

口を開けたまま動かないエレナに近付き羽を触る。

「……死んでる」

「生きてるわよ!」

おぉ……ナイスツッコミ。

「というか……ノーチェが自分からここに来てくれるなんて思ってなかったから」

「いや……今回は」

後ろに隠れているテグを前に出す。

「あっ……なるほどね」

少しだけ残念そうな顔……仕方ない今度1人で来てやるか。

「それじゃあテグの測定から」

「あっ……私のサイズは……」

意味は無いけど咄嗟に耳を塞いでしまった。

「……」

「何してたのノーチェ」

「いや……聞いちゃいけない気がして」

女の子同士ならいいんだろうけどさすがに元男だからな……聞いちゃいけないことは聞かない。

……お風呂一緒に入ったりしてるけどね。あれ? 手遅れなのでは。

「それじゃあ久しぶりに私が服を選びましょう」

「えっ……」

「……なによ」

いやだって……エレナの選んだ水着……。

「水着に関してはノーチェだからやったのよ」

「なんで!?」

「さぁね〜」

テグを押して奥に行くエレナ……なんかまともな理由じゃ無さそう。



「おまたせ致しました」

「……いやさっきのメイド服とほぼ変わらんやん」

「え?ノーチェの趣味に合わせたんだけど」

「テグの趣味に合わせてあげて!」

「私はご主人様が1番好きな服装がいいです」

ダメだこの子どうにかしないと。

「うーん」

「この服は……ダメでしたか?」

テグの悲しそうな顔……そんな顔されたら。

「いいと思います」

明るい顔に変わるテグ……表情機能やべえな!

「ほら〜他にもノーチェの趣味を探ってくわよ〜」

今とんでもないこと言ったんだけどあの鳥!



しばらくテグの着せ替え劇は続きほとんどの服を買い取ることになったのだった。

「ご主人様の反応から……」

テグは服を見た時の俺の表情などを確認してなにかぶつぶつと言っている……。俺の趣味をネットワークに流して何するつもりなんだろうか。



「本日はありがとうございました」

服屋から出るとテグが深く頭を下げた。

「え? いや、こっちこそいつも助かってるからね……このくらいの恩返しは全然だよ、てかむしろもっとさせてね」

「……そうでしたか」

あれ? 下向いちゃった……。

「楽しかった? テグ」

……。

しばしの沈黙が流れ……テグが口を開いた。

「……はい! とっても楽しかったです」

テグの笑顔はとても眩しく綺麗だった。



「ご主人様はお休みになられました」

「……」

「どうしましたか?」

「いえ……抜け駆けが上手いなと思いまして」

「ネグもご主人様に頼めばいいのでは?」

「……テグは」

「2人ともやめなさい」

ゴラブがテグとネグの間に入り2人を止める。

「テグは今回ご主人様の趣味を色々とリークしてくれました。抜け駆けしたのはあれですけど情報を渡してくれた件で許すとしましょう」

「……了解」

ホョルとドロブが奥から現れる。

「それではご主人様が最も反応された服を元に色々と作成しましたので着替えていきましょう」

「女性用しか無かったので改良して男性が来てもおかしくない服も作りました」



その夜自動人形たちの着せ替え会があったが……その詳細を知るものは誰も居ないのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ