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転生先は蛇さんでした。  作者: 時雨並木
聖王国編
104/261

103話 元通り

氷の塊は重りだ……本命はこっちさ。

崩れる足場……バージェスは慌ててその場から離れようとする。しかし自身の足はピクリとも動かない。

「何をした……」

「さっきの魔法……流れ雪は崩れた水を凍らせただけじゃない。大気中に存在する物質も凍らせることが出来る。まぁ極限漲溢(ルプトゥラ)で範囲拡大して無理やり魔力流し込んだから結構きつかったが……お前を倒せるなら問題ないさ」

「それはいいが……お前もここにいては危険じゃないのか?」

確かに……バージェスの言う通り。俺もこのままじゃ落ちるな。

「……そうだな。でもお前と地獄行きは嫌だね!」

グシャ!

「おま……え」

このまま放っておいても下にある溶岩でお陀仏だろうが念の為。

「1つ……聞かせてもらおう。この大穴はいつ作った」

「……不意打ちで放った土流八戒さ。お前が弾いた石を水龍でそれとなく移動……氷の塊をそれぞれの位置に重りとして置くことで地面を崩したんだ。地面の穴に関しては魔力循環をした時土石魔法で空けといたけどな。まぁ重さ的に崩れるかは賭けだったが……もしダメなら次の手を考えてたよ」

俺はそう言い終えると刺した刀を抜いてバージェスを突き放した。

「これで終わりだ」

崩れる地面に刀を思いっきり突き刺し最後の崩壊を引き起こす。

バラバラと崩れる地面を横目に俺はその場から離れて行った。



「こんなもんか……」

少しだけ明るくなってきた……朝も近いな。

刀を収めフィーの様子を確認しようとした時だった。

シュッ!

「よく気付いたな」

背後からの奇襲……あと少し気付くのが遅ければ首がなくなってたな。

「どうやって生き延びた……下にマグマがあったのは見ればわかるが壁の側面にも細工をしてどこからも逃げられないようにしていたはずだ。 」

「……人の寿命は短くてな。使える技にも限りがある」

バージェスは聞いてもいないことをベラベラも話し出した。

「スキルや魔法というのは時間をかければ増やしていくことができる。しかし人間という枠にいる状態では本物の強者にはなれない」

「何が言いたい?」

魔力循環もそろそろ限界だ……何より極限漲溢(ルプトゥラ)を使いすぎた。

「俺は人の理をはずれ……獣人や妖精……そして龍人にも届く力を手に入れたのさ!」

よく見ると姿が変わっている……。ただの兵士? 何が起きたんだ。

「俺が作ったスキル……転身公転だ。死体に乗り移り命を繋げることができる」

「それで人間を超えたって訳か」

まずいな……あの様子魔力も回復してる。それに与えた怪我もなかったことになってやがる。

「さぁ最初からやり直しだ」

嫌な奴だぜ。

とはいえ……不利なのは事実それに死体に乗り移るのが制限なしならここはあいつの命が大量に転がっているようなものだ。

「どうする? 反逆の刃」

さっきは自信満々に言ったけど敵に言われると腹立つな。

「くっ!」

ってそんなこと考えてる場合じゃない。

早い……。避けるのでやっとだ。

刀を抜いて応戦してるけどかすり傷が増える一方だ。このままだと目と同じレベルの怪我を負っちまう。

……。

いや待て……魔力循環をしていない状態で何故こいつと渡り合えてる?

もしかしてあいつの力が落ちてるのか?

……確認してみるか。

「岩石ずらし!」

「くっ……うぅん」

着地に違和感……。そうか! 入れ替わったばかりで体に慣れてないんだ。

極限漲溢(ルプトゥラ)!」

なら……今しかチャンスはないな!

刀でも拳でも蹴りでもなんでもありの乱戦。

刀を弾かれれば殴り掛かり受け止められれば蹴りで対応する。

弾かれた刀をどうにか掴み相手の剣を受け止める。ギリギリの戦い。バージェスが体に慣れきったら俺の負けが決まる。それまでにどうにか。

バージェスの動きが一瞬止まった……あの死体腕を怪我してるのか。

「火炎陣!」

「なんのつもりだ! この程度の炎!」

バージェスは周りに広がる炎を剣でかき消した。

「ここだ!」

左からの攻撃……そっちの腕じゃすぐに反撃はできないだろ。

「お前!」

俺の予測は大正解……少しだが反応が遅れたな。

「フローズン・カタストロフィ!」

刀の軌跡をなぞり氷の結晶が出来上がる。

このまま体を崩して殺す!

バージェスが剣で刀を防ぐがそんなもん関係ない! このまま剣ごと!

「俺は理の王……バージェス・ロンドだ! こんなもんで殺されるか!」

叫び声をあげたバージェスは自らの左腕を右手でちぎり捨てた。

「はぁ…….はぁ……惜しかったな」

左腕を抑えながら大粒の汗を垂らすバージェス。

「腕をちぎるとは思わなかったよ」

余裕を見せているが……正直やばい。さっきの攻撃は全てを乗せた攻撃だった。魔力も体力もだいぶ削られてる。

「だが……結構ギリギリだったぜ」

足を引きずりながらバージェスが向かってくる。

俺は刀を地面に突き刺して倒れそうな体をどうにか起こし強がりを口にする。

「ギリギリってんならこっちも同じだぜ」

視界がぼやける……今になって右目が痛む。

「無理するな……限界だろ? 俺をここまで追い詰めたのはお前が初めてだ。ノーチェ・ミルキーウェイ、その名前死ぬまで忘れないでやる」

やばい……どうにか防御を。

カチャン

「あっ……」

右手から刀が離れる……こんな時に魔力循環の代償が。

バージェスの剣が俺の髪を切り首に触れる。

生き残る方法を考えるが何も思いつかない。指先から頭まで冷たい感覚が走る。

首だけからは暖かい感覚が……。

「ノーチェ!!」

「はっ!」

「ケルロス!?」

バージェスの剣がケルロスの剣によって弾かれる。

「動けるか!?」

「ごめ……」

腕が上がらない……足に力が入らない……声ももう。

「謝らなくていい! ……。苦情は後で聞くぞ!」

そう言ってケルロスは俺の事を抱き上げてその場から離れて行った。

「また……助けられちまった」

「無理して話すな!」

ケルロスの背中が温かい。休んでしまいたけどここで眠る訳にはいかない。

「ケル…….ロス。回復だけお願い……すぐに」

「……安心しろ。もう心配いらない」

「どういう……」

ケルロスは俺を見て優しい瞳で答えた。

「シャルが向かった。あの子の実力はノーチェもよくわかってるだろ?」

確かに……シャルは強い。だけど。

「子供を戦わせるなんて……俺は」

「これはシャルが決めたことだ。それにあの子は立派な勇者だよ」



「……小汚い勇者が随分と綺麗になって戻ってきたな」

対峙する二人……ニヤリと嫌な笑みを浮かべる男とその男を真っ直ぐ見つめ綺麗な桃色の髪をなびかせる女の子。

「……」

「その剣……自我を奪う奴だろ? そんなので俺を」

ガシャン!

早い!?

受け止めたのに力が……地面が凹む。このままだとやばい。

バコンッ!!

「おいおい……なんだよその力」

上手く力を逃がせなかったら死んでたな。

少なくとも片手で勝てる相手じゃない……近くの死体を。

「乗り移させない!」

死体を目視してスキルを発動する数秒の間で剣を差し込んできやがった! しかも自我があるだと!?

「お前……いや勇者……一体何をした」

「何もしてない……ただ私はこの剣の使い方を知っただけ」

桃と青の光……。魔剣を完全に制御してやがる。いやあれはもう魔剣じゃねぇな。

「聖剣……グロウ・セレナ。この剣であなたを殺す!」


現在のステータス

ノーチェ・ミルキーウェイ【反逆の刃】

深淵蟒蛇Lv5

所持アイテム星紅刀

《耐性》

痛覚耐性Lv6、物理攻撃耐性Lv9、精神異常無効Lv8、状態異常無効Lv10、魔法攻撃耐性Lv8

《スキル》

支配者、知り尽くす者、諦める者、混沌監獄(ユニオンプリズン)研究部屋(マイワールド)極限漲溢(ルプトゥラ)魔法無効(アンチエリア)

《魔法》

火炎魔法Lv8、水斬魔法Lv9、水流魔法Lv10、氷結魔法Lv10、土石魔法Lv10、土斬魔法Lv3、土流魔法Lv9、回復魔法Lv10、破壊魔法Lv8、幻影魔法Lv9、闇魔法Lv10、深淵魔法Lv10

《???》

強欲、傲慢

《資格》

管理者-導く者

《称号》

神に出会った者/神を救った者


ケルロス・ミルキーウェイ

赫々白狼Lv5

《耐性》

痛覚無効Lv6、状態異常耐性Lv9、物理攻撃無効Lv3、魔法攻撃無効Lv9

《スキル》

信頼する者、不達領域(リーチキャンセル)完全反転(フルフリップ)

《魔法》

風新魔法Lv10、風斬魔法Lv10、風流魔法Lv8、稲妻魔法Lv9、創造魔法Lv6、光魔法Lv10、神聖魔法Lv8

《???》

嫉妬


クイック・ミルキーウェイ

冥紅土竜Lv4

《耐性》

物理攻撃無効Lv5、精神異常耐性Lv9、魔法攻撃耐性Lv3

《スキル》

吸収Lv6、放出Lv7

《魔法》

火炎魔法Lv10、火斬魔法Lv2、風斬魔法Lv8、土石魔法Lv10、土流魔法Lv10、土斬魔法Lv10、溶岩魔法Lv10

《???》

喰らい尽くす者Lv9

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