1話 蛇になっちゃいました。
昼下がりの学校給食を食べ終わり、程よい眠気が襲ってくる時間にある動物の声が響く。
「シャアァァ!」
1匹の蛇が学校に迷い込んだらしく生徒たちが箒の先端で叩き回している。
「おい、蛇をいじめると不幸になるぞお前ら」
俺は眠たい体を無理やり動かし叩き回しているやつの肩を持って言った。
「えぇ、そうなのかぁ?」
「あぁだからやめろ」
そう言うと俺は蛇を抱き上げて外に連れて行った。
「可哀想に、痛かったろ」
俺はそう言って蛇を下ろして草むらに置いた。
優しい人間、見つけた。
一瞬だがそんな声が聞こえたような気がした……。
ここは?
さっきまで俺は外にいたはずなんだが……。
暗い……それに硬い何かで包まれている、取り敢えず脱出を
パキパキ、いや思っていたよりは硬くないな。
俺は硬い何かを押して外に出た。
光の明るさに目が少し驚いたがあまり時間がかからないうちに慣れていった。
さてと現状を把握したいのだが……
辺り一面卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵
うん! ここどこ?
てかあれ? ……声も出てない?
それに……なんだか手の感覚がないような。
そんなことを考えている時だった。
ズルッズルッ
後ろから大きな音が聞こえる……。
よし落ち着け俺……この音の感じから結構近い。どの道現状を把握しないといけない。仕方ないよ……な。
俺は嫌々ながらも静かに振り返ることにした。
「シャァァァァ」
……。
蛇、うーん? デカくね?
高すぎて顔見えないんだけど
ここ日本だよな?いやぁちょっとサイズ感間違ってるよこれ。
いやけど……なんか止まってるな、攻撃するつもりはないのか?
まぁいいやとにかく現状を言葉に表すなら。
硬い何かから出たら目の前にでかい蛇がいた……うん!おかしいだろこれ。
俺はついさっき蛇を助けて……いや助けてどうしたっけ。
俺はそう考えると頭をかいた。
カキカキ
?? あれ……なんか変な感じだ、頭がすべすべしてる。
それに頭が感じている感触は1本の棒で撫で回されているようだった。
てかあれ? これ何で頭かいてる?
俺はそう思い頭をかいていたものを目の前に持ってきた。
……蛇のしっぽ。
おっ……おぉ! 動く!
あ〜蛇になってるのね。
うーん、目の前には普通有り得ないサイズの蛇。
そして俺は人だったのに蛇になってる。
なるほど!これはいわゆる異世界転生と言うやつでは?
いやーとうとう俺にもこの時がって嬉しくないわ!!
もっとマシな転生先あったろ!! え? なんで蛇なの?
人間、ヒューマンが良かったんだけど
いやそうじゃなかったとしてもせめて有名なスライムとか蜘蛛とかあったでしょ、まだそっちの方が対応できるってもんだよ。
てか……チート能力とか欲しかったなぁ。
……盛大にツッコミを入れたところで誰も反応しない、てか喋れてない。
はぁ虚しい。
いやここは前向きに!
謎は解決したからいっか! ……いやしてないかな。
まぁ異世界だしいいか、
俺は考えるのをやめた。
取り敢えず、ここから脱出するか?
周りには木が沢山生えてて奥には川が見えるな。
まぁ見て分かる状況はこんなもんか、脱出するとしたら草木に隠れながら逃げる。川に飛び込む、木に登る。
……川に落ちたら泳げるか分からないし却下。
木に登った所で目立ちそうだしこれも却下だな。
取り敢えずは草に隠れてどこか……。
ドン!!
そんなことを考えて動き出した時、目の前に大きな木が倒れてきた。
危ねぇ! 移動してなかったら死んでたぞこれ!
と思った時その木は静かに動き出した。
あれぇ? なんか動いてね?
そしてその木が妙に濡れていることに気が付いた。
あぁ蛇や、これさっきの蛇や
俺はここで死ぬのか?
もっと可愛い女の子とかとイチャイチャとか俺TUEEEEとかしたかったんだけど。
って蛇だから無理か、あははははは。
……笑えねぇよ!!
しっかしこいつは誰なんだ?
ん? 辺り一面の卵、でかい蛇、俺も蛇
あっMyMotherでしたか、問題解決。
けど蛇って子育てするっけ?
……まぁ異世界だしいいか、
俺はまた考えるのをやめた。
「シャァァアァ」
いや一生懸命話してくれてるんだろうけどさ何言ってるかわかんねぇんだよ。
「シャァァ、シャァ、シャァァァ」
遺伝子結合と血統から言語能力向上、
言語理解Lv1を会得しました。
頭に何か流れた、これは異世界でよくあるやつか
「私はお前達の母だ、7日は面倒を見てやるから後は好きに生きろ」
それを聞いた周りの蛇たちはシャアシャアと鳴き出した。
なんでこいつらこんなに元気なの? てか生後一日も経ってない蛇に1週間で見捨てるから何とかしろってきつくね?
言語理解Lv1を会得した為言語能力を会得しました。
言語能力Lv1会得
おい、なんかさっきまで丁寧だったのにいきなり機械みたいになったぞこいつ。
今の俺には優しさが必要だってのにもう少しいたわってくれよ。
……。
なんか言えや!
はぁ……まぁいいか、ステータスとかあんの?
これもだんまりか。
まぁここは定番でステータスオープン。
ふむふむ
蛇Lv1
言語理解Lv1、言語能力Lv1
うわ……弱すぎ、てかスキルしか見れないのか、まぁ体にある魔法力? の量はだいたい把握出来てるし。
いやけどなんか……優しくないなぁこの世界。
誰かガイドブックとか異世界攻略本とか俺にくれない?
……。
もういいよわかったあんたはこういうツッコミには反応しないのね。
てかmotherのでかさ的に最終的にはヤマタノオロチとかにでもなれんのかねぇ。
いや? ……悩んでも仕方ないな! 何ができるかわかんないけどLvがあるってことは上がることもあるはずだ!
しばらくはレベルアップを目標に頑張るぞ〜!
主人公は気付いていなかった、自分自身が蛇以外にもうひとつ変わったところがあることに。