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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

発狂時の安定方法

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

何処か空想的で、生々しく現実的な話。

「……またか……」

「せんせ、もう来なくて良いよ。私の相手するの疲れるでしょ。健全な相手を宛てがっちゃ駄目だよ。せんせまで枯れちゃうよ」

俺の目の前には落ち着いた白いシフォンの衣類を纏った子がぺたりと座り込んでいる。長い髪は束ねられておらず、ぐしゃりと乱れていた。

着替えを手伝って、髪を整えるようとした時の事。必要な道具を忘れて、目を離した隙の事。振り返った時には時すでに遅く、口は真っ赤に穢れ、手首からは血を流していた。

刃物ははの部屋から全て撤去した。自らの血肉を傷付けそうなものは何一つこの部屋にはない状態だった。けれども彼女の自傷の執念は凄まじいものだった。

「噛み付いたのか」

「うん。暴れないように。せんせに当たらない様に。怒らないでね。我慢したんだ。気分を落ち着けなきゃって思ったんだ。そうしたら噛み付いてた」

常に携帯している包帯を彼女の手首に巻き付けながら、なるべく淡々と会話を進める。発狂しかけた人間には毅然とした態度で。怒鳴ったり、泣いたり、それは逆効果。ただの日常として受け入れてやる事が何よりも大切。

「……なんでこんな事するんだって、前に怒ってた人が居てね。あぁ、この人真っ当だなって思ったんだ。……落ち着くんだよね。自傷行為って。血を見ると安心するの。これ以外に気持ちを落ち着ける手段なんかないの。だからね、せんせ、もう大丈夫だよ。せんせが枯れちゃうよ」

「安心しろ。あんまり人に感情移入するタイプじゃないんだ。お前が此処で自殺しようとも、ろくに心なんか動かない」

包帯を巻き終わったあと、止めていた髪を整える。突然眠り込んでも構わない様に、後ろで纏める真似はしない。肩のラインで左右に分けて、少し凝った編み込みをする。すると構って欲しそうに噛み付いたない方の手で邪魔をしてくる。

「よく、鬱を救うには自分が鬱になる覚悟で挑め、なんで言われるけど、それは真っ当な精神を持った人間がする覚悟だ。今お前に殺され様がお前を恨む真似はしないよ」

「じゃあ大丈夫かな」

編み込みが終わった。彼女は少し気持ちが落ち着いた様だった。ただ血の滲んだ包帯を気だるげに見て、また人形の様に動かなくなった。

自殺未遂しかけたのを目撃され、精神科に入れられた子の話。

メンタル弱い癖に、弱音吐かない。

故に上の人から袋叩きにされて、今に至る話。

自らに対する自己肯定感も、尊厳もないので、平気で自らを傷付けられます。

今は少し幼児退行した故の『せんせ』。

大人になったら、また色々我慢しなくてはならないから、逃避行動として。


此処まではこの子の話。

生々しい、ややリアルに寄った話をしましょう。


何でリスカするの? という問い、沢山出ると思うんですよ。

痛いし、傷は残るし、辛いだけじゃん。って。

この問いはこの子が言ったようにただ一つです。

血を見ると安心するんです。

後からじわじわと自責の念が来るんです。

言わば、麻薬と一緒で切り付けた時は安心感があるんです。

やった時は絶頂、後から救えないほどの後悔。


リスカをした事はありません。想像でしかありません。

(心身が健康な方が聞いたら『は?』と思われそうですが)

もしかしたら、リスカするほどメンタルがボロボロな方がお読みになったら、『もっと辛いよ!! こんな比じゃない!!』と叫ばれてしまうかも知れません。


救う側だって、無傷じゃ済みません。

鬱の不味いところは、自分が救われたいと望んでないところ。

だから徹底的に感情移入しない、共に鬱になる覚悟がないときっと救えません。

でも踏みとどまる気持ちが僅かでもあるなら、刃物ぶん投げて声を上げて泣いて、泣き疲れて寝て欲しいと思います。

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